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1 突如始まる非日常=日常
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規則的なメロディで、目覚まし時計が鳴り響く。
この手のタイプの目覚まし時計なんて最近買ってないのに、どうしてこんなに近くから聞こえるんだろう。
とりあえずクソうるさいから音を止め、怠い体を起こして時間を確認する。
……………5時34分?
なんで俺こんなこっぱやい時間に起こされてんの?なんかの嫌がらせ?
この目覚まし時計もそもそも見覚えないし。
姉ちゃんか弟の悪戯か?
そうげんなりしながら考えていると、ガチャッと部屋のドアが開いた。
えっ。
「あら!ちゃんと起きられたのね。おはよう、瑞月」
「お、おはよ……」
入ってきたのは母さんだった。
でも、ちょっとおかしい。違和感がある。
っていうか、うん。
なんで髪長くなってんの?あとなんかちょっと若くなってない?ん??
「準備はできてる?忘れ物はない?」
「え、あ、何が……?」
「何がって。寮生活に必要なものよ。さてはまだ寝惚けてるのね?」
「寮?!」
寮って何!?なんの!?俺、どっかに追いやられんの!?
いやいやいや、マジで意味分かんねぇ!!
「その反応。ちゃんと話を聞いてなかったんでしょう。もう、突然のことで瑞月が嫌だっていう気持ちも分かるのよ?だけど、しょうがないことなの。魔力が発現したんだもの」
「は……?」
魔力?
魔力ってあの、ファンタジー的な、アレ?
ここ、現代日本だぞ?だよな?ありえないよな??
いやでも、目が覚めてから、何かがおかしい。それは分かる。
母さんの髪が長かったり少し若く見えたり、見覚えのない目覚まし時計のこともそうだ。
部屋をぐるりと見回す。変わらない俺の部屋――――じゃ、ない。
ベッドの位置も、机の位置も昨日と違う。
それにあるべき物がなくて、無いはずの物がいくつか。
前者は今俺が通っている高校の制服で、後者は中学の学ランと、見覚えのない制服。
なんで中学の学ランがあるんだ?俺はもう使わないからって近所のガキに譲ってやったのに。
見覚えのない方の制服は、どう見ても新しいし。まるでこれから使いますって感じの……
「これ、なに?」
「え?それは貴方が通う学園の高等部の制服よ?駄目にされたら困るから隠してたんだけど、こんなに素敵な制服なのよって出しておいたの」
なんてことないように、母さんが言う。
いや俺今高校3年なんだが???
そう思いながらも、ひとつの考えが頭を過る。
いやでもまさか。
でも、これ、今の俺の状況って、まさしく。
ラノベの、異世界トリップ。みたいじゃね……?
どっちかってーと異世界っていうより、並行世界間移動って感じっぽいけど。
「なかったことにしたいっていう瑞月の気持ちは分かるわ。ずっと魔力無しだと思っていたし、中学を卒業してから後天発現するなんて思ってもいなかったから……でもね、これは瑞月の安全のためでもあるの」
困ったような顔で、言い聞かせるように言う母さん。
その様子から、昨日までの俺がその事を否定、あるいは拒絶していたことが窺える。
このこっぱやい時間に起こされたのもきっと、説得のためだな。
「………………話、聞かせてもらえる?最初から、全部。端折んないで」
俺のその言葉に母さんは顔をぱぁっと明るくし、嬉々として話し出した。この世界の魔力について。
今、俺が一番知りたい、この世界についてを。
で、だ。
この世界はどうやら、ファンタジーな世界を下地に、現代風に発展してきた世界らしい。
大昔、本当に気が遠くなるくらい昔は、存在する全てが魔力を持ち、それを活用し暮らしていた。それこそよくある異世界ファンタジーみたいな世界だったっぽい。
だけど時が経ち文明が発達するのと比例して、魔力持ちは減っていった。
それも、全てがそうだったなら何も問題なかったらしいけど。魔物とか妖精とか亜人とかそういうファンタジー的な連中はそのままで、段々と人間の脅威になっていった。
それらに対抗するために科学的に発展していった人間だけど、化学の力があっても、そういう『古の血が濃い者』には殆ど通じないらしい。
だから人々は、自国内の魔力持ちを集め、対応することにした。
それが、俺が行くらしい全寮制の学園の原点なんだそうだ。
ちなみに日本では首都に一校、その学園だけなんだと。
幼~大一貫のエリート校らしい。
…………。
洗脳教育じゃね?それ。
国のために戦え、ってやつじゃん。しかもエリート校、ってなってるし頭のないヤツは自分を選ばれし者、とか思ってそう。
っていうかそうなるように教育を施してるだろ、絶対。
子供の頃からそういうものだってレールが引かれてるのは楽だよな。それで何不自由なく生涯暮らしていけるなら、なんの問題もないしな。
やっっっっば。
何の疑問を持たず上からの指示を熟す駒。
知らなければ、ただ『当たり前』を生きるだけ。
いやさ、分かるよ?それが一番効率がいいんだろうことは。
魔物とか倒せるのが魔力持ちだけなら、こうなるのは仕方ない。どうしようもない。
ただ、その魔物とか、そもそも倒す必要があるのかとかの問題もあるけどな?
人間の生活圏ってどうなってるんだろうな。
…………うん。
裏考えると、マジでやばいしこっわ!
「これさぁ……回避不可能?」
「無理ねぇ」
あっさりばっさり切り捨てられた。
つまりこの話し合いは無意味で、俺がその学園とやらに行くことは確定事項。
こっちの俺、嫌がって逃げたいとか願ったんじゃね?
で、やり直したいなんて願った俺に突き刺さったんじゃね??
ははっ。
俺の願い叶ってねぇし嫌な感じしかしねぇぇぇぇ!!
「分かってくれたなら、準備しましょ!今日が入寮期間の最終日だから急がなきゃ!」
母さんがにっこにこ笑顔で準備を始める。
でっかいバッグに着替えとか、筆記用具とかをぱぱぱっと詰め込む。
行動はっや。
っていうか今日が入寮期間の最終日とか、そこまで放置してたのかこっちの俺が抵抗しまくったのか。
母さんは、俺を学園に入れたいっぽい。そして今日のこれ。
めっちゃ抵抗してたんだろうな……。なのに今日になって突然反応が変わって、母さんは不思議に思わないのか?
単に根負けして諦めた、って思ってるとか?いやそれは都合よすぎだよな。
昨日なんかあった、って言われた方が分かるんだけどそれを聞くのは流石に怪しすぎるんだよな~……。
そんな風に悶々としている間に準備は済まされ、追いやられるままに部屋を出て朝食を食べ、姉ちゃんと二、三言葉を交わし、父さんは一言も言葉を発さず、弟は顔すら見せず。
なんかこの家族、やばくね?と気付きはしたものの指摘なんてできるわけもなく、そのまま元々の世界と見た目だけは変わらない我が家を後にした。
これから、母さんの運転で、魔力持ちだけが通う学園とやらに連れていかれる。
やべぇ、ここまで来てようやっと危機感が湧いてきた。
何もかも違う世界、家族。
俺はこの世界の常識も何も知らない。
それでも来てしまった、いや入れ替わってしまった以上、ここで生きていくしかないみたいだ。
…………俺の願い。
アイツとの時間をやり直したい、だったんだけどな。
別の世界に来ちまった時点で叶わなくなったその願いを抱えて、生きていくのか。
ま、どうせ、3年も会ってなかったんだし。中学で、互いに終わったって分かってるし。
これからも、それが続いていくだけ。
これからを、楽しもう。
そうじゃなきゃやってられない。そうだろ?
大丈夫。
誤魔化して生きるのは、慣れてるからさ。
――――そう考えていた、矢先にコレだ。
「お前が同室なのか?」
にこりと笑う、艶やかな濡羽色の髪の、端麗な顔立ちの青年。
声も、聞き慣れたもの。
ひとつ違うのは目の色が青みの強い渋い青紫色……紺藤ってやつ?だってことくらいで、それ以外は最後の時とほぼ同じ姿。
「僕は葛西柊夜。これから1年、よろしく頼む」
どうやら俺の寮の同室者は、この世界のアイツらしい。
いやマジでふざけ過ぎてないかマジで!!!!
…………こうして、問題しかない中俺、甘竹瑞月の異世界(並行世界?)生活は始まったんだ。
この手のタイプの目覚まし時計なんて最近買ってないのに、どうしてこんなに近くから聞こえるんだろう。
とりあえずクソうるさいから音を止め、怠い体を起こして時間を確認する。
……………5時34分?
なんで俺こんなこっぱやい時間に起こされてんの?なんかの嫌がらせ?
この目覚まし時計もそもそも見覚えないし。
姉ちゃんか弟の悪戯か?
そうげんなりしながら考えていると、ガチャッと部屋のドアが開いた。
えっ。
「あら!ちゃんと起きられたのね。おはよう、瑞月」
「お、おはよ……」
入ってきたのは母さんだった。
でも、ちょっとおかしい。違和感がある。
っていうか、うん。
なんで髪長くなってんの?あとなんかちょっと若くなってない?ん??
「準備はできてる?忘れ物はない?」
「え、あ、何が……?」
「何がって。寮生活に必要なものよ。さてはまだ寝惚けてるのね?」
「寮?!」
寮って何!?なんの!?俺、どっかに追いやられんの!?
いやいやいや、マジで意味分かんねぇ!!
「その反応。ちゃんと話を聞いてなかったんでしょう。もう、突然のことで瑞月が嫌だっていう気持ちも分かるのよ?だけど、しょうがないことなの。魔力が発現したんだもの」
「は……?」
魔力?
魔力ってあの、ファンタジー的な、アレ?
ここ、現代日本だぞ?だよな?ありえないよな??
いやでも、目が覚めてから、何かがおかしい。それは分かる。
母さんの髪が長かったり少し若く見えたり、見覚えのない目覚まし時計のこともそうだ。
部屋をぐるりと見回す。変わらない俺の部屋――――じゃ、ない。
ベッドの位置も、机の位置も昨日と違う。
それにあるべき物がなくて、無いはずの物がいくつか。
前者は今俺が通っている高校の制服で、後者は中学の学ランと、見覚えのない制服。
なんで中学の学ランがあるんだ?俺はもう使わないからって近所のガキに譲ってやったのに。
見覚えのない方の制服は、どう見ても新しいし。まるでこれから使いますって感じの……
「これ、なに?」
「え?それは貴方が通う学園の高等部の制服よ?駄目にされたら困るから隠してたんだけど、こんなに素敵な制服なのよって出しておいたの」
なんてことないように、母さんが言う。
いや俺今高校3年なんだが???
そう思いながらも、ひとつの考えが頭を過る。
いやでもまさか。
でも、これ、今の俺の状況って、まさしく。
ラノベの、異世界トリップ。みたいじゃね……?
どっちかってーと異世界っていうより、並行世界間移動って感じっぽいけど。
「なかったことにしたいっていう瑞月の気持ちは分かるわ。ずっと魔力無しだと思っていたし、中学を卒業してから後天発現するなんて思ってもいなかったから……でもね、これは瑞月の安全のためでもあるの」
困ったような顔で、言い聞かせるように言う母さん。
その様子から、昨日までの俺がその事を否定、あるいは拒絶していたことが窺える。
このこっぱやい時間に起こされたのもきっと、説得のためだな。
「………………話、聞かせてもらえる?最初から、全部。端折んないで」
俺のその言葉に母さんは顔をぱぁっと明るくし、嬉々として話し出した。この世界の魔力について。
今、俺が一番知りたい、この世界についてを。
で、だ。
この世界はどうやら、ファンタジーな世界を下地に、現代風に発展してきた世界らしい。
大昔、本当に気が遠くなるくらい昔は、存在する全てが魔力を持ち、それを活用し暮らしていた。それこそよくある異世界ファンタジーみたいな世界だったっぽい。
だけど時が経ち文明が発達するのと比例して、魔力持ちは減っていった。
それも、全てがそうだったなら何も問題なかったらしいけど。魔物とか妖精とか亜人とかそういうファンタジー的な連中はそのままで、段々と人間の脅威になっていった。
それらに対抗するために科学的に発展していった人間だけど、化学の力があっても、そういう『古の血が濃い者』には殆ど通じないらしい。
だから人々は、自国内の魔力持ちを集め、対応することにした。
それが、俺が行くらしい全寮制の学園の原点なんだそうだ。
ちなみに日本では首都に一校、その学園だけなんだと。
幼~大一貫のエリート校らしい。
…………。
洗脳教育じゃね?それ。
国のために戦え、ってやつじゃん。しかもエリート校、ってなってるし頭のないヤツは自分を選ばれし者、とか思ってそう。
っていうかそうなるように教育を施してるだろ、絶対。
子供の頃からそういうものだってレールが引かれてるのは楽だよな。それで何不自由なく生涯暮らしていけるなら、なんの問題もないしな。
やっっっっば。
何の疑問を持たず上からの指示を熟す駒。
知らなければ、ただ『当たり前』を生きるだけ。
いやさ、分かるよ?それが一番効率がいいんだろうことは。
魔物とか倒せるのが魔力持ちだけなら、こうなるのは仕方ない。どうしようもない。
ただ、その魔物とか、そもそも倒す必要があるのかとかの問題もあるけどな?
人間の生活圏ってどうなってるんだろうな。
…………うん。
裏考えると、マジでやばいしこっわ!
「これさぁ……回避不可能?」
「無理ねぇ」
あっさりばっさり切り捨てられた。
つまりこの話し合いは無意味で、俺がその学園とやらに行くことは確定事項。
こっちの俺、嫌がって逃げたいとか願ったんじゃね?
で、やり直したいなんて願った俺に突き刺さったんじゃね??
ははっ。
俺の願い叶ってねぇし嫌な感じしかしねぇぇぇぇ!!
「分かってくれたなら、準備しましょ!今日が入寮期間の最終日だから急がなきゃ!」
母さんがにっこにこ笑顔で準備を始める。
でっかいバッグに着替えとか、筆記用具とかをぱぱぱっと詰め込む。
行動はっや。
っていうか今日が入寮期間の最終日とか、そこまで放置してたのかこっちの俺が抵抗しまくったのか。
母さんは、俺を学園に入れたいっぽい。そして今日のこれ。
めっちゃ抵抗してたんだろうな……。なのに今日になって突然反応が変わって、母さんは不思議に思わないのか?
単に根負けして諦めた、って思ってるとか?いやそれは都合よすぎだよな。
昨日なんかあった、って言われた方が分かるんだけどそれを聞くのは流石に怪しすぎるんだよな~……。
そんな風に悶々としている間に準備は済まされ、追いやられるままに部屋を出て朝食を食べ、姉ちゃんと二、三言葉を交わし、父さんは一言も言葉を発さず、弟は顔すら見せず。
なんかこの家族、やばくね?と気付きはしたものの指摘なんてできるわけもなく、そのまま元々の世界と見た目だけは変わらない我が家を後にした。
これから、母さんの運転で、魔力持ちだけが通う学園とやらに連れていかれる。
やべぇ、ここまで来てようやっと危機感が湧いてきた。
何もかも違う世界、家族。
俺はこの世界の常識も何も知らない。
それでも来てしまった、いや入れ替わってしまった以上、ここで生きていくしかないみたいだ。
…………俺の願い。
アイツとの時間をやり直したい、だったんだけどな。
別の世界に来ちまった時点で叶わなくなったその願いを抱えて、生きていくのか。
ま、どうせ、3年も会ってなかったんだし。中学で、互いに終わったって分かってるし。
これからも、それが続いていくだけ。
これからを、楽しもう。
そうじゃなきゃやってられない。そうだろ?
大丈夫。
誤魔化して生きるのは、慣れてるからさ。
――――そう考えていた、矢先にコレだ。
「お前が同室なのか?」
にこりと笑う、艶やかな濡羽色の髪の、端麗な顔立ちの青年。
声も、聞き慣れたもの。
ひとつ違うのは目の色が青みの強い渋い青紫色……紺藤ってやつ?だってことくらいで、それ以外は最後の時とほぼ同じ姿。
「僕は葛西柊夜。これから1年、よろしく頼む」
どうやら俺の寮の同室者は、この世界のアイツらしい。
いやマジでふざけ過ぎてないかマジで!!!!
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