勇者と冥王のママは二年後も魔王様と

蛮野晩

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Episode1・ゼロス、はじめてのおつかい

あれから二年です。7

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「あ、こらっ、ハウストッ……、ンッ、あぅッ……」

 二本の指で奥を突かれて身悶えます。
 慌てて手を強く掴むも、ハウストは指の動きを止めてくれない。

「あなたは、うごかしては、いけませんっ……、あ、あッ」
「お前に焦らされるのは拷問だと言っただろう」
「っ、ダメっ、あッ、あんんッ……!」

 ハウストの指が三本に増やされてナカを掻き回される。
 激しさに腰を引くも強引に引き寄せられて、更に奥へと指が入ってくる。

「あッ、ああっ、もう、ハウストッ……!」

 声が切羽詰まったものになっていく。
 私の性器は触られてもいないのに張り詰めて先端からたらたらと雫が零れています。

「いってもいいぞ」

 そう言ってハウストは私のナカの弱い所を強く押す。
 そうされるともうダメです。
 咄嗟にハウストの腕にしがみついてしまう。

「ッ、あ、あああッ……!」

 我慢できずに限界を迎え、高い嬌声とともに白濁を散らしました。
 ハアハアと荒い呼吸を繰り返す。
 達したばかりの体は敏感で、指を抜かれる感触にも「んッ」と声が漏れてしまう。
 でもここで終わりな筈がなく、ハウストが私の足を肩にかける。すると腰が浮いて彼の前に赤く疼く後孔が曝されました。
 後孔に彼の怒張の先端が擦られて息を詰める。
 そこは期待にヒクヒクと蠢いて、ハウストが満足そうに目を細めます。

「ブレイラ、挿れるぞ」
「はい……。ぅ、ん……ッ」

 ハウストの怒張がゆっくりとナカに挿入されていく。
 指とは比べ物にならない圧迫感に息が詰まりそう。でも私の体はそれが気持ちいいことだと知っている。

「っ、ンッ……あ」

 熱くて硬い怒張が狭い内壁をいっぱいに広げ、疼くような甘い痺れに腰が震えます。
 無意識に引いてしまう腰をハウストが鷲掴み、怒張の全てを挿入しました。

「ぁ、ん……」

 全部を挿入しながらも彼は動きを止めて、私の体が馴染むのを待ってくれます。
 私の顔の横に手をついて愛おしげに見下ろされました。

「大丈夫か?」
「はい」

 こうして気遣ってくれるのに、ダメな訳ないじゃないですか。
 口元を綻ばせると、彼の手がそっと伸びてきて汗で張り付いた前髪を指で払ってくれました。
 露わになった額に口付けを落とされて愛おしさが込み上げる。

「髪が少し伸びたな」

 そう言ってハウストが私の髪を梳く。
 たしかに以前よりほんの少しだけ髪が伸びました。といっても以前とほとんど変わりませんが、丁度良くなるように伸ばしたのです。

「今くらいが丁度いいんです」
「丁度いい?」

 ハウストが不思議そうに聞いてくる。
 そうしながらも髪を撫でてくれる感触が心地良くて目を細めると、今度は目元に口付けられました。
 私が髪を伸ばしたのは髪飾りを付ける為でした。
 二年前の冥界創世が落ち着いた頃、ハウストが外遊先で翡翠の花の髪飾りをお土産に買ってきてくれたのです。
 正直それを見た時は困惑しました。
 身を飾るのは得意な方ではないし、私は男でそういった物を付けても面白味がない筈ですから。
 でも彼が満足するならと試しに着けてみたのです。
 着けてみるとハウストは嬉しそうに「綺麗だ」と褒めてくれました。……けれど、ほんとうは似合っていませんでしたよね。
 あの頃の私の髪は今より短くて、髪飾りを付けると毛先がぴんぴん跳ねてしまって不格好でした。
 でもあなたがとても嬉しそうだったから。そんなあなたを見て私も嬉しくなって、それなら少しだけ髪を伸ばそうと思ったのですよ。
 あれから月日が経って、今では髪飾りを付けても跳ねずに纏まってくれます。髪飾りを付けることにもようやく慣れました。

「はい。これくらいが丁度いいんです。おかしいですか?」
「まさか。お前は何よりも、誰よりも美しい。いつも思っている」
「ふふふ、ありがとうございます。あなたも素敵です」

 そう言って今度は私がハウストの髪に手を伸ばします。
 私とは逆にハウストは髪が短くなりました。

「あなたはずるいですね。どんな姿も素敵なので困ります」
「それは困ることなのか?」
「当たり前じゃないですか。毎日心臓が煩いんです」

 言葉を交わす今だって胸が高鳴っている。
 私の答えにハウストは嬉しそうに破顔し、そして。

「あッ、ハ、ハウストっ……」

 ズクリッ。私のナカに収まっていた怒張が更に大きくなりました。
 思わず抗議の目を向けるも、ハウストはまったく悪びれた様子はありません。

「仕方ないだろう。お前が悪い」
「ああッ、ぅ……んッ」

 ハウストは私の所為にしたかと思うと、怒張でぐっと奥を突く。
 仰け反った私の喉にハウストが唇を這わせます。
 時折強く吸いながらハウストが腰を動かしだしました。

「あ、あッ、ンンッ、……はっ、ああッ……!」

 激しい抽挿に何も考えられなくなっていく。
 迫る波のような快感のままに唇からは嬌声があがる。

「ハウストっ……」

 堪らずに彼の名を呼んで、その広い背中に両手を回しました。
 するとハウストが上背を伏せてくれて、私はぎゅっとしがみ付く。
 嵐のような快感の中で素肌が溶けあうように触れ合っている。
 この嵐になら攫われても構わない。いっそ攫ってほしい。
 私はハウストにしがみ付いたまま、その唇に口付けました。



 体を重ねた後、ハウストと私は裸のままでベッドに寝転がっていました。
 あれからも二回ほど体を重ね、もう一回と誘ってきたハウストを宥めて今に至ります。
 とても疲れているけれど甘く心地よい疲れ。
 二人してごろごろ寝転がっているなんてだらしないけれど、終わった後に寝転がってくっついている時間も良いものなのです。

「なあ、ブレイラ」
「こら、くすぐったいじゃないですか」

 戯れに背中を撫でられてハウストの腕の中で身じろぐ。
 こらと甘い攻防をしながらも、彼の腕の中から出る気はありません。ここが一番気持ちいい場所なのです。
 そんな私の気持ちを察しているハウストも戯れに触れつつも、私を抱き締めて離さないでいてくれる。
 こうして微温湯に揺蕩っているような穏やかな時間。このまま眠ってしまいたくなるくらい。
 それはハウストも同じだったようで私を抱き締める腕に力が込められましたが。

「あ、そうだ。ちょっと待ててください」

 ふと思いついて、ハウストの腕から抜け出しました。
「おい」と追いかけてきたハウストの手に捕まる前に、ベッドを降りてテーブルの薬草図鑑を手に取る。
 そしてもちろんハウストが待っているベッドに戻ります。

「お待たせしました。せっかくなのでこれを一緒に見ませんか?」

 薬草図鑑を両手に抱いてベッドに上がります。
 お行儀が悪いですが今夜は特別ということにしましょう。
 きっとハウストの言っていたとおり私ははしゃいでいるのかもしれません。でも仕方ないでしょう、三日振りのイスラはとても元気そうで安心したんです。

「嬉しそうだな」
「はい。絶版になってからもずっともう一度見たいと思っていた図鑑なんです。それをイスラが見つけてきてくれるなんて嬉しくて」

 寝転がって図鑑を抱きしめます。
 肘をついて横になっているハウストの腕が私を抱き寄せて側へと連れ戻されました。

「イスラ、大きくなりましたよね」
「まあな」
「あっという間に大きくなってしまって……。ハウスト、一つ気になることがあるんです」

 調子を変えた私をハウストが「どうした」と心配そうに覗き込んでくる。
 それに力無く笑んで、一つの心配事を相談します。
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