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勇者のママは環の婚礼を魔王様と≪婚礼編≫
十四ノ環・幻の世界、三界の神話。4
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つまらない戦闘から離脱したハウストは、一人冥界の森を歩いていた。
フェルベオもイスラも別々の方向に散り、それぞれブレイラを探している筈だ。
フェルベオはともかくイスラを一人にしたことは気にならないではないが、今は父と子ではなく魔王と勇者だ。気にしてはならない事だった。
ふと、ハウストは懐に入れていた環の指輪を見た。これはブレイラに贈るはずだったものだ。
皮肉なものだと苦笑する。この指輪はハウストの力の一部だ。
もしあの四大公爵会議でブレイラに指輪を贈っていれば、自分は勇者の結界に穴を開ける力を出せなかっただろう。冥界の潜入も難しかったに違いない、おそらく冥王と戦うことになれば劣勢に陥るだろう。
指輪をブレイラに贈ろうとした事は性急だったと思わないし、今すぐにでも贈りたい。指輪はブレイラを守るものだ。しかし、こうして問題なく戦うことができているのも力が欠けていないからだ。
環の指輪を贈ることを反対した四大公爵の顔が浮かぶ。腹は立つが、四大公爵の魔界を守りたい気持ちは真摯だ。
ハウストは自嘲した。魔界とブレイラ、どちらか一方を守ろうとすればどちらかが不足する。そう思うと皮肉さに笑いたくなる。
ハウストはしばらく歩くと、ふと覚えのある気配を感じた。
小さく弱い気配だ。でもよく知るものでそこに向かって急いだ。
そして茂みをかき分け、見つけた二頭に目を見開く。
「クウヤ! エンキ!」
そこにいたのは魔狼だった。
全身傷だらけで呼吸が荒い。毒に侵された体は弱っており、発見が後数時間でも遅れていれば手遅れになっていただろう。
「大丈夫か、なにがあった!」
クウヤとエンキの体に手を当てて力を送る。
弱々しく頭を擡げながらも、ハウストを目にしたクウヤとエンキは瞳に光を宿した。
ハウストの力が送られ、二頭の呼吸が徐々に穏やかになっていく。応急処置でしかないが一命はとりとめられた。
ハウストがクウヤとエンキの喉を撫でると二頭は嬉しそうに鼻を寄せる。
少しじゃれついて甘えると、クウヤとエンキがとある方向に顔を向けた。
その二頭の様子に息を飲む。
「ブレイラが、いるのか?」
「ワン!」
「ワン!」
ひと鳴きしたクウヤとエンキをハウストは優しく撫でる。
毒に侵されながらもこの二頭はブレイラを感知できるぎりぎりの場所で潜んでいた。
命令を守り、身の危険を冒してもブレイラから離れなかったのだ。
「そうか、ありがとう。お前たちの忠義に感謝する」
ハウストはそう言ってまた撫でると、クウヤとエンキを連れて歩き出す。
二頭が指した方向には清らかな水が流れる小川があった。
「クウヤ、エンキ、水を飲むといい」
そう言うと二頭は嬉しそうに小川の水を飲み始める。
ハウストはそれを見ていたが。
ザバリッ!
突然、水中から人が出てきた。
「っ、……す、すみません!」
その人も驚いて咄嗟に謝ってきたが、ハウストは驚愕に目を見開く。
信じられない。
なぜなら、そこにいたのはブレイラなのだから。
ハウストは一歩、また一歩と近づき、躊躇いなく川に入る。
ずっと探していた。
生きていると分かっていても、その姿を見るまでは心臓が潰れそうだった。
引き寄せられるようにザブザブと大股で近づき、ブレイラの腕を掴んで引き寄せる。
「ブレイラ! ブレイラ……!!」
何度もその名を呼び、その存在を確かめるように強く抱きしめたのだ。
◆◆◆◆◆◆
「な、な、なななにをっ」
見知らぬ男から突然抱き締められ、頭が真っ白になりました。
なにがなんだか分かりません。
そうしている間にも、男が私の頬に手を添えて大きな影が覆い被さってくる。そして。
「んんッ、ぅ……」
唇を塞がれました。
そう、口付けられたのです。
「は、離してください!」
渾身の力で男を引き剥がしました。
口付けられた唇を拭い、男を強く睨みつける。
「なんのつもりですかっ! いきなり口付けるなんてどういうつもりです!」
「ブレイラ……?」
男は私の名を呼び、訝しむような顔になる。
なぜ男が私の名前を知っているのか分かりません。
分からないけれど、いきなり口付けるなんて失礼すぎます。
「まて、ブレイラ、お前……」
動揺する男に私も訝しむ。
私の方が驚いているというのに、なんのつもりか分かりません。
「あなたがどうして私の名前を知っているか知りませんが、初対面の相手にいきなり口付けるとはどういうつもりです。人違いにしても失礼すぎます」
説教した私に男はますます動揺したようでした。
困惑しながら私の肩をがしりと掴み、顔を覗き込んでくる。
「何を言っているんだ! 初対面とはお前こそどういうつもりだ!」
「っ……、ち、近すぎですっ……」
整った顔を近づけられ、男の顔を遠ざけようと顔を背ける。
とても精悍で美しい顔です。でも必死な形相で近づかれると少し怖いです。
ふと、川辺に二頭の狼がいることに気が付きました。
「あっ、あの二頭はっ! もしかしてあなたがあの狼たちの主人なんですか?」
「そうだが……」
男が呆然としながらも答えてくれる。
「良かった。ちゃんと帰れたんですね」
ほっと息をつきました。
この川辺で出会った時から姿が見えなくなって、とても心配していました。
「あの二頭はとても弱っていたんです。もう大丈夫なんですか?」
「ああ、もう少し休めば大丈夫だ」
「そうなんですね」
また安堵したものの、自分が男に抱き締められたままなのに気付いて焦ります。
とりあえず離れてほしいのです。
「あの、もういいでしょう。離れてください……」
ごそごそと身を捩り、男の厚い胸板を押して一人分の距離を置きました。
困惑しながらも見上げます。
「どうして私の名前をご存知なのか知りませんが、……どこかでお会いしたことがありましたか?」
街で会ったことでもあったでしょうか。
覚えがありません。だってこんな端正な顔立ちの男、一度会えば忘れないでしょう。
「ブレイラ……」
「たしかに私はブレイラと申しますが、人違いではありませんか?」
「人違いな訳ないだろう!」
「っ……」
びくりっ、大きな声を出されて肩が竦む。
怯えた私に気付いた男は少し冷静になって「……すまない」と声を落としました。
その様子に今度は私の方が申し訳ない気持ちになります。
そんなつもりはないのに、彼をひどく傷つけてしまった気がするのです。
「……こ、こんな所で話すのもなんですから、とりあえず川から出ませんか? 体が冷えてしまいます」
そう言いながら、自分がほぼ全裸の状態なのを思い出して顔が熱くなりました。
立派な体躯の男の前で自分の体がとても貧相に見えて恥ずかしいです。
さりげなく纏っていた布で体を隠しましたが、水中で濡れたそれは素肌に張り付くだけで意味はありませんでした。
意識しないようにしながらザブザブと岸に向かって歩く。
後ろから男もついて来て、二人で川から出ました。
体を拭くために持ってきていた布を男に渡します。
でも男は受け取ったそれを私の肩に被せました。
「先にお前が拭け」
「でも、風邪を引いてしまいます」
「いいから拭け。お前の体が冷える」
「……ありがとうございます。では、お先に」
体を拭いていると、男の側に二頭の狼が近づいてきました。
男に鼻を寄せて懐いている光景に、やはり思ったとおり狼の主人はとても優しい方なのかもしれません。いきなり口付けてきたのには驚きましたが悪い方ではないのでしょう、きっと。
体を拭いて男に布を渡し、手早く着替えを済ませました。
フェルベオもイスラも別々の方向に散り、それぞれブレイラを探している筈だ。
フェルベオはともかくイスラを一人にしたことは気にならないではないが、今は父と子ではなく魔王と勇者だ。気にしてはならない事だった。
ふと、ハウストは懐に入れていた環の指輪を見た。これはブレイラに贈るはずだったものだ。
皮肉なものだと苦笑する。この指輪はハウストの力の一部だ。
もしあの四大公爵会議でブレイラに指輪を贈っていれば、自分は勇者の結界に穴を開ける力を出せなかっただろう。冥界の潜入も難しかったに違いない、おそらく冥王と戦うことになれば劣勢に陥るだろう。
指輪をブレイラに贈ろうとした事は性急だったと思わないし、今すぐにでも贈りたい。指輪はブレイラを守るものだ。しかし、こうして問題なく戦うことができているのも力が欠けていないからだ。
環の指輪を贈ることを反対した四大公爵の顔が浮かぶ。腹は立つが、四大公爵の魔界を守りたい気持ちは真摯だ。
ハウストは自嘲した。魔界とブレイラ、どちらか一方を守ろうとすればどちらかが不足する。そう思うと皮肉さに笑いたくなる。
ハウストはしばらく歩くと、ふと覚えのある気配を感じた。
小さく弱い気配だ。でもよく知るものでそこに向かって急いだ。
そして茂みをかき分け、見つけた二頭に目を見開く。
「クウヤ! エンキ!」
そこにいたのは魔狼だった。
全身傷だらけで呼吸が荒い。毒に侵された体は弱っており、発見が後数時間でも遅れていれば手遅れになっていただろう。
「大丈夫か、なにがあった!」
クウヤとエンキの体に手を当てて力を送る。
弱々しく頭を擡げながらも、ハウストを目にしたクウヤとエンキは瞳に光を宿した。
ハウストの力が送られ、二頭の呼吸が徐々に穏やかになっていく。応急処置でしかないが一命はとりとめられた。
ハウストがクウヤとエンキの喉を撫でると二頭は嬉しそうに鼻を寄せる。
少しじゃれついて甘えると、クウヤとエンキがとある方向に顔を向けた。
その二頭の様子に息を飲む。
「ブレイラが、いるのか?」
「ワン!」
「ワン!」
ひと鳴きしたクウヤとエンキをハウストは優しく撫でる。
毒に侵されながらもこの二頭はブレイラを感知できるぎりぎりの場所で潜んでいた。
命令を守り、身の危険を冒してもブレイラから離れなかったのだ。
「そうか、ありがとう。お前たちの忠義に感謝する」
ハウストはそう言ってまた撫でると、クウヤとエンキを連れて歩き出す。
二頭が指した方向には清らかな水が流れる小川があった。
「クウヤ、エンキ、水を飲むといい」
そう言うと二頭は嬉しそうに小川の水を飲み始める。
ハウストはそれを見ていたが。
ザバリッ!
突然、水中から人が出てきた。
「っ、……す、すみません!」
その人も驚いて咄嗟に謝ってきたが、ハウストは驚愕に目を見開く。
信じられない。
なぜなら、そこにいたのはブレイラなのだから。
ハウストは一歩、また一歩と近づき、躊躇いなく川に入る。
ずっと探していた。
生きていると分かっていても、その姿を見るまでは心臓が潰れそうだった。
引き寄せられるようにザブザブと大股で近づき、ブレイラの腕を掴んで引き寄せる。
「ブレイラ! ブレイラ……!!」
何度もその名を呼び、その存在を確かめるように強く抱きしめたのだ。
◆◆◆◆◆◆
「な、な、なななにをっ」
見知らぬ男から突然抱き締められ、頭が真っ白になりました。
なにがなんだか分かりません。
そうしている間にも、男が私の頬に手を添えて大きな影が覆い被さってくる。そして。
「んんッ、ぅ……」
唇を塞がれました。
そう、口付けられたのです。
「は、離してください!」
渾身の力で男を引き剥がしました。
口付けられた唇を拭い、男を強く睨みつける。
「なんのつもりですかっ! いきなり口付けるなんてどういうつもりです!」
「ブレイラ……?」
男は私の名を呼び、訝しむような顔になる。
なぜ男が私の名前を知っているのか分かりません。
分からないけれど、いきなり口付けるなんて失礼すぎます。
「まて、ブレイラ、お前……」
動揺する男に私も訝しむ。
私の方が驚いているというのに、なんのつもりか分かりません。
「あなたがどうして私の名前を知っているか知りませんが、初対面の相手にいきなり口付けるとはどういうつもりです。人違いにしても失礼すぎます」
説教した私に男はますます動揺したようでした。
困惑しながら私の肩をがしりと掴み、顔を覗き込んでくる。
「何を言っているんだ! 初対面とはお前こそどういうつもりだ!」
「っ……、ち、近すぎですっ……」
整った顔を近づけられ、男の顔を遠ざけようと顔を背ける。
とても精悍で美しい顔です。でも必死な形相で近づかれると少し怖いです。
ふと、川辺に二頭の狼がいることに気が付きました。
「あっ、あの二頭はっ! もしかしてあなたがあの狼たちの主人なんですか?」
「そうだが……」
男が呆然としながらも答えてくれる。
「良かった。ちゃんと帰れたんですね」
ほっと息をつきました。
この川辺で出会った時から姿が見えなくなって、とても心配していました。
「あの二頭はとても弱っていたんです。もう大丈夫なんですか?」
「ああ、もう少し休めば大丈夫だ」
「そうなんですね」
また安堵したものの、自分が男に抱き締められたままなのに気付いて焦ります。
とりあえず離れてほしいのです。
「あの、もういいでしょう。離れてください……」
ごそごそと身を捩り、男の厚い胸板を押して一人分の距離を置きました。
困惑しながらも見上げます。
「どうして私の名前をご存知なのか知りませんが、……どこかでお会いしたことがありましたか?」
街で会ったことでもあったでしょうか。
覚えがありません。だってこんな端正な顔立ちの男、一度会えば忘れないでしょう。
「ブレイラ……」
「たしかに私はブレイラと申しますが、人違いではありませんか?」
「人違いな訳ないだろう!」
「っ……」
びくりっ、大きな声を出されて肩が竦む。
怯えた私に気付いた男は少し冷静になって「……すまない」と声を落としました。
その様子に今度は私の方が申し訳ない気持ちになります。
そんなつもりはないのに、彼をひどく傷つけてしまった気がするのです。
「……こ、こんな所で話すのもなんですから、とりあえず川から出ませんか? 体が冷えてしまいます」
そう言いながら、自分がほぼ全裸の状態なのを思い出して顔が熱くなりました。
立派な体躯の男の前で自分の体がとても貧相に見えて恥ずかしいです。
さりげなく纏っていた布で体を隠しましたが、水中で濡れたそれは素肌に張り付くだけで意味はありませんでした。
意識しないようにしながらザブザブと岸に向かって歩く。
後ろから男もついて来て、二人で川から出ました。
体を拭くために持ってきていた布を男に渡します。
でも男は受け取ったそれを私の肩に被せました。
「先にお前が拭け」
「でも、風邪を引いてしまいます」
「いいから拭け。お前の体が冷える」
「……ありがとうございます。では、お先に」
体を拭いていると、男の側に二頭の狼が近づいてきました。
男に鼻を寄せて懐いている光景に、やはり思ったとおり狼の主人はとても優しい方なのかもしれません。いきなり口付けてきたのには驚きましたが悪い方ではないのでしょう、きっと。
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