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勇者のママは環の婚礼を魔王様と≪婚約編≫
六ノ環・冥界の息吹き9
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「アイオナ!」
駆け寄ってその名前を呼ぶ。
手を握り締めると、アイオナの指がぴくりと動きました。
「……ブレ、イラ……、さま……」
「アイオナ、しっかりしなさい! 死んではいけません!」
必死で呼びかけました。
健康的だった褐色の肌は血の気が失せ、ひゅーひゅーと鳴る細い呼吸に胸が締め付けられる。
私は魂を繋ぎとめるように、強く、強く手を握り締めて、名前を呼ぶことしかできません。
「ブレイラさま……、もうしわけ、ありま、せん……」
「なにを謝るのですか! 今は喋ってはいけませんっ!」
「いいえ、これは、きっと……罰です」
アイオナは緩く首を横に振り、今にも暗く沈みそうな瞳に涙を滲ませる。
「わたしは、……ゆるされないことを、しました……」
「許されないこと?」
「立場を、わすれたのです……。ゆうしゃ様と、けいやくの……。それなのに、わたしは、王を、……ぅっ、王を取り戻したかった……っ」
「アイオナ、あなた」
「王をっ、わたしの、王を……」
アイオナの頬に涙が伝いました。
彼女は唇を噛みしめて、顔を悔しさと悲しみに歪ませる。
「アイオナ、あなたはダビド王を心から愛しているのですね」
肯定した私にアイオナの瞳から新たな涙が溢れだす。
契約者としての役目と矜持。そしてアイオナ自身が抱いた王への愛情。アイオナが選んだのは王への愛情。王を取り戻すこと。
これは俗心です。気高さから掛け離れた、俗物的で即物的なもの。
でも、どうしてでしょうね。侮る気持ちなどありません。むしろ、むしろ……。
「ゆうしゃさまは、わたしを、……おゆるしに、なるでしょうか……」
切ないほど真剣に問われました。
死を目前にしても、王を愛する決断をしても、それでも契約者の末裔として許しを乞うのです。
胸が、痛い。
痛くて痛くて堪りませんでした。
「イスラを、舐めないでくださいっ……」
震える声で言いました。
許すとはどういうことです。許すも許さないもないではないですか。
イスラはあなたを断罪するような子どもではありません。それは私が一番よく知っています。
アイオナが安堵の表情を浮かべる。こんな時だというのに、瞳に涙を浮かべて穏やかに微笑む。
「ゆうしゃさまの、……みらい、えいごうの……栄光を、おいのり……しております」
アイオナは掠れた声で勇者を讃えると、笑みを浮かべたまま生気が失われていく。
その様子に私は首を横に振る。
「っ、アイオナ。駄目ですっ、まだ王に会っていないのでしょう! 誰か、早くダビド王をここに連れてきてください! 早く!!」
アイオナの手を握ったまま叫びました。
アイオナは微笑むけれど、このまま逝かせたくありません。せめて、せめて最期に一目だけでも会わせてあげたいのです。
でも、握っていた手からだらんと力が抜ける。
涙に濡れた瞳は光を失い、微かな呼吸音さえも、もう聞こえない。
「アイオナっ、アイオナ……!」
涙が溢れて止まりませんでした。
こんなことあるでしょうか。異界で別れたほんの数時間前までアイオナの瞳は強い光を宿していたというのに、今、彼女の瞳から光が失われたのです。たった数時間のことです。
「どうして、こんな事にっ。どうして……っ。うっ」
あまりに突然の死に私は何も出来ませんでした。
遺体は目の前にあるのに、突然すぎて今でも信じ難い。
「ブレイラ」
「ハウストっ……」
抱き寄せられてハウストの肩に顔を埋める。
彼の大きな手が慰めるように私の頭を撫でてくれます。
「アイオナ様は不運でした。暴漢に襲われるなど不幸なことでございます」
ヘルメスが沈鬱な様子で冥福を祈りました。
不運と不幸。その言葉に間違いはありません。
今回の一件は、暴漢に襲われるという不運な偶然が生み出した最大の不幸。
でも。
「そんな言葉でアイオナの死を片付けないでくださいっ……!」
私は堪らずに声をあげました。
きつく睨むとヘルメスは驚いたように目を丸めましたが、すぐに胸に手を当てて深々と頭を下げます。
「不快にさせてしまい大変申し訳ありません。王妃様の突然の死に気が動転いたしました。何卒ご容赦ください」
「…………私も、声を荒げてすみませんでした……」
私も居た堪れずに謝り返す。
たしかに彼らにとって王妃は主です。彼らが動揺しても無理はありません。
「ヘルメス、ダビド王はどこです? 早くダビド王に報せを」
「畏まりました」
ヘルメスは一礼して病室を後にしました。
続いて侍女が入室してきてアイオナを弔うために遺体を清めだす。
私はハウストとともにそれを見守りました。
「どうしてこんな事になってしまったのでしょうか……。あまりにも急すぎて、しかも、こんなっ……」
「不幸という言葉で片付けるには、あまりにも惨すぎる」
「はい。最期に王にも会えないまま逝ってしまうなんて」
清められたアイオナの遺体に近づき、その手をそっと握りしめます。
両手で握りしめ、祈りとともに指先に口付けました。
でもふと、覚えのある香りが漂いました。微かですが、たしかに花の香りがします。
「どうして……」
「どうした?」
「おかしいです。アイオナから冥界の花の香りがするんです」
「それは奇妙だな」
訝しげな顔をするハウストに私も頷く。
ゴルゴスはダビド王が花の香りを纏っていたと言いましたが、死ぬ前のアイオナはダビド王に会っていない筈なのです。アイオナは王宮に向かう途中で暴漢に襲われたのですから。
「……いったいどういう事でしょうか。アイオナはダビド王に会う為に人間界に戻ったのではなかったのでしょうか」
妙な違和感を覚えてしまいます。
アイオナの目的はダビド王ではなかったということでしょうか。
暴漢に襲われる前に誰かと会っていたとしたら、その相手こそ。
「ブレイラ、俺たちは間違った思い込みをしているかもしれない……」
「はい」
重く頷きました。
行きついた答えはきっと同じものです。
「アイオナの今の香りはおそらく移り香だろう。そして、ダビド王から漂っていたという香りも移り香だとしたら、どうだ」
「はい、花の香りの発生源はダビド王ではないのかもしれません。きっと、アイオナが暴漢に襲われる前に会っていた人物……」
「急ごう、仕切り直しだ。精鋭部隊を使って王を至急探させる。出向いてくるのを待っている暇はない」
「はいっ!」
今はどんな手を使っても王を探しださなければなりません。
そしてダビド王の安否を確かめ、アイオナが死ぬ前に誰と会っていたのか即急に調べる必要があります。
でないと、彼女の死が不運で不幸な出来事として片付けられてしまうのです。
私とハウストは急いで診療所を出ましたが、その時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
地面の底から地鳴りが響きました。
まるで深い深い地底から何かが這い出してくるような、不気味な地鳴り。
「ハ、ハウスト、これは……」
恐ろしくなって振り向くと、ハウストは驚愕に目を見開いている。彼の普段にない反応です。
「……ブレイラ、ダビド王を探すのは後だ」
「えっ、でも」
訳が分かりません。
でもハウストは何かを感知しているようで、転移するために私を強引に抱き寄せました。
「アロカサルに戻るぞ」
「待ってください! いったいどういう事ですっ」
焦って問うとハウストは少しだけ落ち着きを取り戻してくれます。
でも、彼は苦々しい表情で口を開きました。
「――――冥界がくる」
駆け寄ってその名前を呼ぶ。
手を握り締めると、アイオナの指がぴくりと動きました。
「……ブレ、イラ……、さま……」
「アイオナ、しっかりしなさい! 死んではいけません!」
必死で呼びかけました。
健康的だった褐色の肌は血の気が失せ、ひゅーひゅーと鳴る細い呼吸に胸が締め付けられる。
私は魂を繋ぎとめるように、強く、強く手を握り締めて、名前を呼ぶことしかできません。
「ブレイラさま……、もうしわけ、ありま、せん……」
「なにを謝るのですか! 今は喋ってはいけませんっ!」
「いいえ、これは、きっと……罰です」
アイオナは緩く首を横に振り、今にも暗く沈みそうな瞳に涙を滲ませる。
「わたしは、……ゆるされないことを、しました……」
「許されないこと?」
「立場を、わすれたのです……。ゆうしゃ様と、けいやくの……。それなのに、わたしは、王を、……ぅっ、王を取り戻したかった……っ」
「アイオナ、あなた」
「王をっ、わたしの、王を……」
アイオナの頬に涙が伝いました。
彼女は唇を噛みしめて、顔を悔しさと悲しみに歪ませる。
「アイオナ、あなたはダビド王を心から愛しているのですね」
肯定した私にアイオナの瞳から新たな涙が溢れだす。
契約者としての役目と矜持。そしてアイオナ自身が抱いた王への愛情。アイオナが選んだのは王への愛情。王を取り戻すこと。
これは俗心です。気高さから掛け離れた、俗物的で即物的なもの。
でも、どうしてでしょうね。侮る気持ちなどありません。むしろ、むしろ……。
「ゆうしゃさまは、わたしを、……おゆるしに、なるでしょうか……」
切ないほど真剣に問われました。
死を目前にしても、王を愛する決断をしても、それでも契約者の末裔として許しを乞うのです。
胸が、痛い。
痛くて痛くて堪りませんでした。
「イスラを、舐めないでくださいっ……」
震える声で言いました。
許すとはどういうことです。許すも許さないもないではないですか。
イスラはあなたを断罪するような子どもではありません。それは私が一番よく知っています。
アイオナが安堵の表情を浮かべる。こんな時だというのに、瞳に涙を浮かべて穏やかに微笑む。
「ゆうしゃさまの、……みらい、えいごうの……栄光を、おいのり……しております」
アイオナは掠れた声で勇者を讃えると、笑みを浮かべたまま生気が失われていく。
その様子に私は首を横に振る。
「っ、アイオナ。駄目ですっ、まだ王に会っていないのでしょう! 誰か、早くダビド王をここに連れてきてください! 早く!!」
アイオナの手を握ったまま叫びました。
アイオナは微笑むけれど、このまま逝かせたくありません。せめて、せめて最期に一目だけでも会わせてあげたいのです。
でも、握っていた手からだらんと力が抜ける。
涙に濡れた瞳は光を失い、微かな呼吸音さえも、もう聞こえない。
「アイオナっ、アイオナ……!」
涙が溢れて止まりませんでした。
こんなことあるでしょうか。異界で別れたほんの数時間前までアイオナの瞳は強い光を宿していたというのに、今、彼女の瞳から光が失われたのです。たった数時間のことです。
「どうして、こんな事にっ。どうして……っ。うっ」
あまりに突然の死に私は何も出来ませんでした。
遺体は目の前にあるのに、突然すぎて今でも信じ難い。
「ブレイラ」
「ハウストっ……」
抱き寄せられてハウストの肩に顔を埋める。
彼の大きな手が慰めるように私の頭を撫でてくれます。
「アイオナ様は不運でした。暴漢に襲われるなど不幸なことでございます」
ヘルメスが沈鬱な様子で冥福を祈りました。
不運と不幸。その言葉に間違いはありません。
今回の一件は、暴漢に襲われるという不運な偶然が生み出した最大の不幸。
でも。
「そんな言葉でアイオナの死を片付けないでくださいっ……!」
私は堪らずに声をあげました。
きつく睨むとヘルメスは驚いたように目を丸めましたが、すぐに胸に手を当てて深々と頭を下げます。
「不快にさせてしまい大変申し訳ありません。王妃様の突然の死に気が動転いたしました。何卒ご容赦ください」
「…………私も、声を荒げてすみませんでした……」
私も居た堪れずに謝り返す。
たしかに彼らにとって王妃は主です。彼らが動揺しても無理はありません。
「ヘルメス、ダビド王はどこです? 早くダビド王に報せを」
「畏まりました」
ヘルメスは一礼して病室を後にしました。
続いて侍女が入室してきてアイオナを弔うために遺体を清めだす。
私はハウストとともにそれを見守りました。
「どうしてこんな事になってしまったのでしょうか……。あまりにも急すぎて、しかも、こんなっ……」
「不幸という言葉で片付けるには、あまりにも惨すぎる」
「はい。最期に王にも会えないまま逝ってしまうなんて」
清められたアイオナの遺体に近づき、その手をそっと握りしめます。
両手で握りしめ、祈りとともに指先に口付けました。
でもふと、覚えのある香りが漂いました。微かですが、たしかに花の香りがします。
「どうして……」
「どうした?」
「おかしいです。アイオナから冥界の花の香りがするんです」
「それは奇妙だな」
訝しげな顔をするハウストに私も頷く。
ゴルゴスはダビド王が花の香りを纏っていたと言いましたが、死ぬ前のアイオナはダビド王に会っていない筈なのです。アイオナは王宮に向かう途中で暴漢に襲われたのですから。
「……いったいどういう事でしょうか。アイオナはダビド王に会う為に人間界に戻ったのではなかったのでしょうか」
妙な違和感を覚えてしまいます。
アイオナの目的はダビド王ではなかったということでしょうか。
暴漢に襲われる前に誰かと会っていたとしたら、その相手こそ。
「ブレイラ、俺たちは間違った思い込みをしているかもしれない……」
「はい」
重く頷きました。
行きついた答えはきっと同じものです。
「アイオナの今の香りはおそらく移り香だろう。そして、ダビド王から漂っていたという香りも移り香だとしたら、どうだ」
「はい、花の香りの発生源はダビド王ではないのかもしれません。きっと、アイオナが暴漢に襲われる前に会っていた人物……」
「急ごう、仕切り直しだ。精鋭部隊を使って王を至急探させる。出向いてくるのを待っている暇はない」
「はいっ!」
今はどんな手を使っても王を探しださなければなりません。
そしてダビド王の安否を確かめ、アイオナが死ぬ前に誰と会っていたのか即急に調べる必要があります。
でないと、彼女の死が不運で不幸な出来事として片付けられてしまうのです。
私とハウストは急いで診療所を出ましたが、その時。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
地面の底から地鳴りが響きました。
まるで深い深い地底から何かが這い出してくるような、不気味な地鳴り。
「ハ、ハウスト、これは……」
恐ろしくなって振り向くと、ハウストは驚愕に目を見開いている。彼の普段にない反応です。
「……ブレイラ、ダビド王を探すのは後だ」
「えっ、でも」
訳が分かりません。
でもハウストは何かを感知しているようで、転移するために私を強引に抱き寄せました。
「アロカサルに戻るぞ」
「待ってください! いったいどういう事ですっ」
焦って問うとハウストは少しだけ落ち着きを取り戻してくれます。
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