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勇者のママは環の婚礼を魔王様と≪婚約編≫
五ノ環・魔王と勇者の冒険か、それとも父と子の冒険か。9
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「イスラ!」
「ブレイラ、ブレイラっ」
涙声で何度も名前を呼ばれ、愛おしさで胸が一杯になります。
ここまで私を探しにきてくれたのですね。
私の視界も涙に濡れて、覗きこんだイスラの顔がじんわり滲んでしまう。
「私を見つけてくれて、ありがとうございます」
「ずっと、あいたかったんだ」
「私もですよ」
「ブレイラっ」
イスラの小さな体が全身で抱き付いてきて、私は小さく笑って抱き締め返しました。
よしよしとイスラの頭を撫で、イスラと一緒に空から降ってきたハウストを見つめます。
ハウストは組んでいた腕を解き、私の側へと歩いてきました。
目の前で立ち止まり、私に手を差しだす。
「遅くなってすまなかったな」
「いいえ、来ていただいてありがとうございます」
そう返して、イスラを抱っこしたまま彼の手にそっと手を重ねる。
やっと、やっと触れることができました。
「怖い思いをさせてしまったか」
「この異界に来た時は驚きましたが大丈夫です。信じていましたから」
重ねた手を握り締めると、やんわりと、でも離すまいとするように握り返してくれる。
怖くなかったといえば嘘になるかもしれません。見たこともない世界で冥界の怪物に襲われたんですから。でも、ハウストが来てくれると信じていました。
この異界で取り乱さずにいられたのもハウストが預けてくれていたクウヤとエンキがいたからです。
ハウストは一つ頷いて、私たちを襲っていた巨木を一瞥する。
先ほどまで猛威を振るっていた巨木でしたが、ハウストとイスラが降り立ったことで勢いを削がれてたじろいでいました。ハウストとの歴然とした力の差に恐怖しているようです。
「冥界の怪物とはいえ元は植物、炎に弱いようだな」
「待ってくださいハウスト。この怪物は他のとは違って炎を怖がらない個体になっていたんです。もしかしたら克服したのかもしれません!」
慌てて訂正しました。この巨木に炎が通用しないなら別の手段が必要になります。
しかしハウストに動じた様子はなく、面白そうに口元に笑みを刻む。
「そうか、それは面白い。進化でもしたか? まあどうでもいい。弱点があろうがなかろうが、どうせ燃え尽きるのだからな」
ハウストがそう言ったのと、巨木が発火したのは同時でした。
恐ろしいほどの火力で巨木が燃え上がり、炎に巻かれて灰へと姿を変えていく。
たとえ巨木が炎を克服していたとしても最初から関係なかったのです。存在すら消し去るような圧倒的な火力で焼き尽くしてしまったのですから。
こうして私たちを襲った脅威は去りました。
ほっと安堵してハウストを見つめます。
「ありがとうございます」
「当たり前だ。怪我は?」
「ありません。あなたが預けてくれたクウヤとエンキが守ってくれました。でも二頭の様子がおかしくなってしまって」
そう言うとクウヤとエンキが私の側にきました。
抱っこしているイスラも二頭に手を伸ばし、よしよしと頭を撫でる。この二頭は魔界でイスラの遊び相手にもなってくれている魔狼です。イスラも心配なんですね。
ハウストが二頭の様子を確かめてくれます。
「少し毒気にあてられただけだ。クウヤ、エンキ、ご苦労だった。少し休んでいろ」
ハウストがそう言うと二頭はハウストの影に入っていきました。
これで大丈夫だと分かっていても不調の原因が分からずに心配です。
「クウヤとエンキは大丈夫なんですか?」
「問題ない、休めば元に戻る。二頭はなんらかの毒気に酔ってしまっていたようだ。心当たりはあるか?」
「酔う、ですか? ……もしかして花の香りでしょうか。ここに来るまでにとても変わった香りの花があったんです。人間界の花ではなかったようなので」
「後で案内してくれ」
「はい」
とりあえずクウヤとエンキはもう大丈夫でしょう。
一段落し、改めて抱っこしているイスラを覗きこみます。
「イスラ、会えて嬉しいです。怪我はしていませんか?」
「だいじょうぶだ。オレはつよい。あそこからぴょんってしたんだ」
そう言ってイスラが頭上を指差す。
それは断崖絶壁の頂上で青褪めました。ハウストとイスラに窮地を救われたのは分かっていますが、二人が飛び降りた絶壁は視界に収まらないほど遥か頭上です。
「あんなに高い所から……」
「ひとりでぴょんってしたんだ。えらいか?」
イスラが瞳をキラキラさせて見つめてきます。
複雑です。だってこれは褒めてほしい時の瞳です。
親としてあまり褒めたくありません。
でもイスラが勇者だということを考えれば、その勇気は褒めなければならないということも分かっています。
「えらいですね。怖くありませんでしたか?」
「だいじょうぶだ! オレ、かっこよかった?」
ますますイスラの瞳は輝いて、期待が膨らんでいることが手に取るようです。
でも、ハウストとイスラが空から降ってきた時のことを思い出して、……ああダメですね、胸がドキドキします。
だって空から腕を組んで仁王立ちで降ってくるなんて、そんなの、そんなのかっこいいに決まってるじゃないですか!! 思い出すだけで胸が高鳴るかっこよさです!!
こんな危険な行為を褒めすぎてはダメだと分かっていても、いけませんね、興奮して頬が熱くなってしまいますよ。
「はい、かっこいいですっ。とてもかっこよかったですよ!」
思わずついて出た本音です。
イスラの顔もパァッと輝いて、私に嬉しそうに教えてくれる。
「オレ、かっこいい! こうやって、ぴょんってしたんだ!」
私に抱っこされながら腕を組むイスラがかっこいいのに可愛いです。
よしよしと頭を撫でると照れ臭そうにはにかむ。
「上手にぴょんってしたのですね。足は痛くありませんか?」
「いたくない。ちょっとだけジーンってしたけど、もうだいじょうぶだ」
「そうですか。強いんですね」
「オレはつよい!」
えっへんと胸を張るイスラに笑いかけ、次はイスラ越しにハウストを見上げました。
ますます頬が熱くなります。
私ばかりハウストに惹かれている気がして悔しいくらいです。
「あなたは何をしても素敵で、ずるいですね」
「ずるいとは心外だな」
ハウストの手が伸びてきて、私の頬をひと撫でしてくれました。
その手に擦り寄るように頬を寄せると、ハウストの鳶色の目が優しい色を宿す。
このまま唇を触れあわせてしまいたい。でも。
「ブレイラ、オレもすてきか?」
腕の中のイスラに遮られてしまいました。
イスラは心なしかムッとした顔をしています。私とハウストの話に混じりたいのかもしれません。
中断されて少し残念な気持ちもありますが、イスラの前でこれ以上続けられませんよね。
「もちろんですよ。素敵に決まってるじゃないですか」
「オレ、すてき!」
「はい、素敵です」
「かっこいい!」
「はい、かっこいいです。ハウストと降ってきた時はびっくりしましたが、とてもかっこ良くて見惚れてしまいました」
そう言うとイスラは照れ臭そうに私に抱きついてきました。
ぎゅっとしてくるイスラが可愛いです。
いい子いい子と抱っこしながら背中を撫でて、イスラの小さな肩越しにハウストを見上げる。
すみません、後で、二人きりで。彼を見つめて目だけで伝えました。
私だって今すぐハウストに触れたい、触れられたい。だから後で、必ず、絶対ですからね! ハウストと約束です。
そんな私の意を察したハウストは苦笑して、目を細めて頷いてくれました。
「失礼いたします。よろしいでしょうか」
ふと声をかけられて振り向くと、畏まった様子のアイオナがいました。
アイオナはハウストとイスラに向かって背筋を伸ばして恭しく一礼する。
「ブレイラ、ブレイラっ」
涙声で何度も名前を呼ばれ、愛おしさで胸が一杯になります。
ここまで私を探しにきてくれたのですね。
私の視界も涙に濡れて、覗きこんだイスラの顔がじんわり滲んでしまう。
「私を見つけてくれて、ありがとうございます」
「ずっと、あいたかったんだ」
「私もですよ」
「ブレイラっ」
イスラの小さな体が全身で抱き付いてきて、私は小さく笑って抱き締め返しました。
よしよしとイスラの頭を撫で、イスラと一緒に空から降ってきたハウストを見つめます。
ハウストは組んでいた腕を解き、私の側へと歩いてきました。
目の前で立ち止まり、私に手を差しだす。
「遅くなってすまなかったな」
「いいえ、来ていただいてありがとうございます」
そう返して、イスラを抱っこしたまま彼の手にそっと手を重ねる。
やっと、やっと触れることができました。
「怖い思いをさせてしまったか」
「この異界に来た時は驚きましたが大丈夫です。信じていましたから」
重ねた手を握り締めると、やんわりと、でも離すまいとするように握り返してくれる。
怖くなかったといえば嘘になるかもしれません。見たこともない世界で冥界の怪物に襲われたんですから。でも、ハウストが来てくれると信じていました。
この異界で取り乱さずにいられたのもハウストが預けてくれていたクウヤとエンキがいたからです。
ハウストは一つ頷いて、私たちを襲っていた巨木を一瞥する。
先ほどまで猛威を振るっていた巨木でしたが、ハウストとイスラが降り立ったことで勢いを削がれてたじろいでいました。ハウストとの歴然とした力の差に恐怖しているようです。
「冥界の怪物とはいえ元は植物、炎に弱いようだな」
「待ってくださいハウスト。この怪物は他のとは違って炎を怖がらない個体になっていたんです。もしかしたら克服したのかもしれません!」
慌てて訂正しました。この巨木に炎が通用しないなら別の手段が必要になります。
しかしハウストに動じた様子はなく、面白そうに口元に笑みを刻む。
「そうか、それは面白い。進化でもしたか? まあどうでもいい。弱点があろうがなかろうが、どうせ燃え尽きるのだからな」
ハウストがそう言ったのと、巨木が発火したのは同時でした。
恐ろしいほどの火力で巨木が燃え上がり、炎に巻かれて灰へと姿を変えていく。
たとえ巨木が炎を克服していたとしても最初から関係なかったのです。存在すら消し去るような圧倒的な火力で焼き尽くしてしまったのですから。
こうして私たちを襲った脅威は去りました。
ほっと安堵してハウストを見つめます。
「ありがとうございます」
「当たり前だ。怪我は?」
「ありません。あなたが預けてくれたクウヤとエンキが守ってくれました。でも二頭の様子がおかしくなってしまって」
そう言うとクウヤとエンキが私の側にきました。
抱っこしているイスラも二頭に手を伸ばし、よしよしと頭を撫でる。この二頭は魔界でイスラの遊び相手にもなってくれている魔狼です。イスラも心配なんですね。
ハウストが二頭の様子を確かめてくれます。
「少し毒気にあてられただけだ。クウヤ、エンキ、ご苦労だった。少し休んでいろ」
ハウストがそう言うと二頭はハウストの影に入っていきました。
これで大丈夫だと分かっていても不調の原因が分からずに心配です。
「クウヤとエンキは大丈夫なんですか?」
「問題ない、休めば元に戻る。二頭はなんらかの毒気に酔ってしまっていたようだ。心当たりはあるか?」
「酔う、ですか? ……もしかして花の香りでしょうか。ここに来るまでにとても変わった香りの花があったんです。人間界の花ではなかったようなので」
「後で案内してくれ」
「はい」
とりあえずクウヤとエンキはもう大丈夫でしょう。
一段落し、改めて抱っこしているイスラを覗きこみます。
「イスラ、会えて嬉しいです。怪我はしていませんか?」
「だいじょうぶだ。オレはつよい。あそこからぴょんってしたんだ」
そう言ってイスラが頭上を指差す。
それは断崖絶壁の頂上で青褪めました。ハウストとイスラに窮地を救われたのは分かっていますが、二人が飛び降りた絶壁は視界に収まらないほど遥か頭上です。
「あんなに高い所から……」
「ひとりでぴょんってしたんだ。えらいか?」
イスラが瞳をキラキラさせて見つめてきます。
複雑です。だってこれは褒めてほしい時の瞳です。
親としてあまり褒めたくありません。
でもイスラが勇者だということを考えれば、その勇気は褒めなければならないということも分かっています。
「えらいですね。怖くありませんでしたか?」
「だいじょうぶだ! オレ、かっこよかった?」
ますますイスラの瞳は輝いて、期待が膨らんでいることが手に取るようです。
でも、ハウストとイスラが空から降ってきた時のことを思い出して、……ああダメですね、胸がドキドキします。
だって空から腕を組んで仁王立ちで降ってくるなんて、そんなの、そんなのかっこいいに決まってるじゃないですか!! 思い出すだけで胸が高鳴るかっこよさです!!
こんな危険な行為を褒めすぎてはダメだと分かっていても、いけませんね、興奮して頬が熱くなってしまいますよ。
「はい、かっこいいですっ。とてもかっこよかったですよ!」
思わずついて出た本音です。
イスラの顔もパァッと輝いて、私に嬉しそうに教えてくれる。
「オレ、かっこいい! こうやって、ぴょんってしたんだ!」
私に抱っこされながら腕を組むイスラがかっこいいのに可愛いです。
よしよしと頭を撫でると照れ臭そうにはにかむ。
「上手にぴょんってしたのですね。足は痛くありませんか?」
「いたくない。ちょっとだけジーンってしたけど、もうだいじょうぶだ」
「そうですか。強いんですね」
「オレはつよい!」
えっへんと胸を張るイスラに笑いかけ、次はイスラ越しにハウストを見上げました。
ますます頬が熱くなります。
私ばかりハウストに惹かれている気がして悔しいくらいです。
「あなたは何をしても素敵で、ずるいですね」
「ずるいとは心外だな」
ハウストの手が伸びてきて、私の頬をひと撫でしてくれました。
その手に擦り寄るように頬を寄せると、ハウストの鳶色の目が優しい色を宿す。
このまま唇を触れあわせてしまいたい。でも。
「ブレイラ、オレもすてきか?」
腕の中のイスラに遮られてしまいました。
イスラは心なしかムッとした顔をしています。私とハウストの話に混じりたいのかもしれません。
中断されて少し残念な気持ちもありますが、イスラの前でこれ以上続けられませんよね。
「もちろんですよ。素敵に決まってるじゃないですか」
「オレ、すてき!」
「はい、素敵です」
「かっこいい!」
「はい、かっこいいです。ハウストと降ってきた時はびっくりしましたが、とてもかっこ良くて見惚れてしまいました」
そう言うとイスラは照れ臭そうに私に抱きついてきました。
ぎゅっとしてくるイスラが可愛いです。
いい子いい子と抱っこしながら背中を撫でて、イスラの小さな肩越しにハウストを見上げる。
すみません、後で、二人きりで。彼を見つめて目だけで伝えました。
私だって今すぐハウストに触れたい、触れられたい。だから後で、必ず、絶対ですからね! ハウストと約束です。
そんな私の意を察したハウストは苦笑して、目を細めて頷いてくれました。
「失礼いたします。よろしいでしょうか」
ふと声をかけられて振り向くと、畏まった様子のアイオナがいました。
アイオナはハウストとイスラに向かって背筋を伸ばして恭しく一礼する。
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