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勇者のママは環の婚礼を魔王様と≪婚約編≫
二ノ環・西の大公爵5
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その晩、就寝前のゆったりとした時間。
私はハウストに今日の出来事を話していました。
広いソファに座っているハウストに、ぴたりとくっつくようにして座ります。
ハウストは凭れかかる私の肩を抱き、時折髪や頬に口付けてくれる。一日で一番安らぐ時間です。
でも、今日のお話し内容はとても安らげるものではありません。
「本当に驚きました……」
孤児院で会ってはならない人に会ってしまったのです。
それはランディ。西の大公爵。彼は本来なら会議中だったはず。
「ハハハッ、奴はそんな所にいたのか。会議中にいなくなったと思ったら、まさか城を抜け出していたとは」
「笑いごとじゃありませんよ。その後、ジョアンヌ様は半泣きで卒倒しそうになるし、そんなジョアンヌ様にランディ様はオロオロするだけですし……」
本当に酷いものでした。
ランディは言い訳すら出来ずにひたすらオロオロし、ジョアンヌは「どうして、ああっ、どうしてっ」と少女のように打ちひしがれてしまっていたのです。
視察といえど私は接待される側だったはずなのに、なぜか私の方が気を使ってしまいましたよ。
私がハウストの横顔をちらりと見ると、それに気付いた彼が「どうした」と振り返る。
言うか言うまいか迷いましたが、困惑しながらも口を開きます。
「……ハウスト、その、ランディ様のことですが」
おずおずと話しだした私にハウストは合点がいっているのか優しく目を細めました。
「ジョアンヌに俺の慈悲を乞うて欲しいと願われたか?」
「はい……、ハウストの不興を買ってしまったととても悲壮感たっぷりに嘆いていました。仲介に入ってほしいと必死に頼まれてしまいまして……」
思い出して苦笑いをしてしまいます。
ランディが会議を抜け出したと知ったジョアンヌは真っ青になり、地面に両手をつく勢いで頭を下げたのです。「魔王様の御慈悲を乞いたく、どうかブレイラ様からもお言葉添えをっ!」とすごい勢いで願われてしまいました。
「……ランディ様は厳しい咎めを受けるのですか?」
「さて、どうするか」
ふむとハウストは考えるような素振りをしたかと思うと、隣に座っていた私の膝を枕にしてごろりと横になりました。膝枕です。
気持ち良さそうに目を閉じて口角をあげたハウストに私はため息をついてしまいます。
「ハウスト、私は真剣に聞いているのですよ?」
「心外だな、俺はいつも真剣だ。で、お前はどうしてほしい?」
「え?」
「口添えしてほしいと願われたんだろう? お前はどうしてほしい」
「……わ、私にどうしてほしいと言われましても」
「婚約者の頼みなら俺は無視できない。お前の望むとおりにしよう」
「そんな……」
困りました。
どうして欲しいと言われても困ってしまいます。何が正解なのか分かりません。
ハウストを見下ろすと、まるで他人事のように膝枕で微睡んでいます。
「……ハウスト?」
鼻を抓んであげました。
私の反撃にハウストはびっくりした顔で目を開けます。
ムッとした顔の私と目が合うと、ハウストは苦笑して鼻を抓んでいる私の手を掴みました。
「すまなかった。困らせたかったわけじゃないんだ」
許せ、と私の指先に口付けてくれる。
しかしハウストは私を見上げたまま忠告に似た言葉を続けます。
「だが、これから先もお前は仲介を願われることが数多くあるだろう」
「……そんなこと頼まれても困るだけです」
「そうかもしれないが、相手にとっては命懸けの案件という事態も珍しくない」
「それなら尚更です。私は何も出来ませんよ?」
「そう思っているのはお前だけだ。お前の言葉は俺の心を動かせるものだからな」
「…………難しいものですね」
ハウストの言葉には覚えがありました。
モルカナの一件の時、私に接触してきた精霊界や人間界の高官は、ハウストに近づきたいという下心を隠し切れていませんでしたから。エルマリスやジェノキスにも似たような忠告を受けたことがあります。
「肝に銘じておきますね」
「ああ、そうしておいてくれ。ところでランディの今日の一件だが、心配しなくても最初から不問にすると決めていた」
「えっ、そうなんですか?」
意外とあっさりで驚きました。
実際、ランディがやらかした事は大公爵という立場として決して許されることではありません。だいたい会議の主催者が会議中に途中離脱するなど前代未聞です。
「会議自体は先代のランドルフが出席していたお陰で滞りなく進んだんだ。そのランドルフからも詫びは充分受けている。お陰で楽しい会議の時間になってくれた」
「楽しい……会議?」
「ああ。この失態も一度くらいなら大目に見ても良いほど楽しかったぞ?」
そう言ってハウストが会議を思い出したのか楽しそうに笑います。
とても楽しそうなのですが背筋がちょっとだけ冷たくなります。
きっと許す替わりに何らかの交換条件を飲ませたのですね。許したのは政治的判断というものでしょう。
「無茶を言ったのですか?」
「人聞きが悪いな。俺はただ次の四大公爵会議までに北の長老の硬すぎる頭を解しておけと言っただけだ」
「北の長老?」
「北の大公爵だ。フェリクトールと同年齢で同じくらい頑固な男でな、二人は会うたびに年を忘れて喧嘩をしている。四大公爵会議というのは」
「あっ、それは知っています! 魔王と四人の四大公爵が半年に一度集まって会議をするんですよね。それは勉強しました」
「それだ、よく勉強しているな。次の会議では大公爵たちにお前を紹介しよう」
「ありがとうございます」
私は礼を言いつつも、来たる四大公爵会議に緊張してしまいます。
頑固な北の長老や、他にも南と東の大公爵とはどんな方なのでしょうか。そして西の大公爵は……大丈夫なのでしょうか……。まだ当主になったばかりと聞いていますが、今日の様子を見ているとお世辞にもしっかりしているようには見えません。引退したランドルフが現役の当主に見えてしまうくらいに。
「他の大公爵の方々に会えるのを楽しみにしています。でも正直、ランディ様には少し驚かされました。イメージしていた大公爵とは少し違っていたので」
「まあな、子どもの頃から気弱な男だった。それを心配してランドルフは早めに跡を継がせることを決意したらしい」
「なるほど、実戦で鍛えようというわけですね」
「そうだ。俺の治世ならそれが出来るとランドルフにも相談されていた」
「たしかに、それもそうですね」
先代魔王時代は領主たちも自分の領土を守るだけで必死だったのでしょう。多くの破滅が各地を襲っていたと、今日の視察から察することができました。
そんな先代とは違い、当代魔王は賢帝と呼び名が高く、寛大な魔王です。そんなハウストの治世だからできる荒療治というものですね。
「ランディ様が大公爵の名に相応しく成長されるといいですね」
「そうでなくては困るぞ。ランディはメルディナの幼馴染で、俺も知らない相手ではないからな」
「そうなんですか?」
「ああ。メルディナが幼い時は遊び相手になってくれていた。大人になってからも仲良くしていたと思うが」
「はあ、幼馴染ですか……」
あの気弱なランディが、あの小生意気なメルディナと仲良しな幼馴染……。いまいちピンときませんね。
うーん、幼馴染な二人を想像してみましたがやっぱりピンときません。
考え込んでいると、「ブレイラ」と名を呼ばれて下から伸びてきた手に頬をひと撫でされました。
「俺と二人きりなのに考えごとか?」
「す、すみません」
「ひどい奴だ」
ハウストは喉奥で笑いながら指でくすぐるように私の頬を撫でてくれる。
甘いくすぐったさに小さく笑っていると、ハウストは穏やかな口調で私に聞いてきます。
私はハウストに今日の出来事を話していました。
広いソファに座っているハウストに、ぴたりとくっつくようにして座ります。
ハウストは凭れかかる私の肩を抱き、時折髪や頬に口付けてくれる。一日で一番安らぐ時間です。
でも、今日のお話し内容はとても安らげるものではありません。
「本当に驚きました……」
孤児院で会ってはならない人に会ってしまったのです。
それはランディ。西の大公爵。彼は本来なら会議中だったはず。
「ハハハッ、奴はそんな所にいたのか。会議中にいなくなったと思ったら、まさか城を抜け出していたとは」
「笑いごとじゃありませんよ。その後、ジョアンヌ様は半泣きで卒倒しそうになるし、そんなジョアンヌ様にランディ様はオロオロするだけですし……」
本当に酷いものでした。
ランディは言い訳すら出来ずにひたすらオロオロし、ジョアンヌは「どうして、ああっ、どうしてっ」と少女のように打ちひしがれてしまっていたのです。
視察といえど私は接待される側だったはずなのに、なぜか私の方が気を使ってしまいましたよ。
私がハウストの横顔をちらりと見ると、それに気付いた彼が「どうした」と振り返る。
言うか言うまいか迷いましたが、困惑しながらも口を開きます。
「……ハウスト、その、ランディ様のことですが」
おずおずと話しだした私にハウストは合点がいっているのか優しく目を細めました。
「ジョアンヌに俺の慈悲を乞うて欲しいと願われたか?」
「はい……、ハウストの不興を買ってしまったととても悲壮感たっぷりに嘆いていました。仲介に入ってほしいと必死に頼まれてしまいまして……」
思い出して苦笑いをしてしまいます。
ランディが会議を抜け出したと知ったジョアンヌは真っ青になり、地面に両手をつく勢いで頭を下げたのです。「魔王様の御慈悲を乞いたく、どうかブレイラ様からもお言葉添えをっ!」とすごい勢いで願われてしまいました。
「……ランディ様は厳しい咎めを受けるのですか?」
「さて、どうするか」
ふむとハウストは考えるような素振りをしたかと思うと、隣に座っていた私の膝を枕にしてごろりと横になりました。膝枕です。
気持ち良さそうに目を閉じて口角をあげたハウストに私はため息をついてしまいます。
「ハウスト、私は真剣に聞いているのですよ?」
「心外だな、俺はいつも真剣だ。で、お前はどうしてほしい?」
「え?」
「口添えしてほしいと願われたんだろう? お前はどうしてほしい」
「……わ、私にどうしてほしいと言われましても」
「婚約者の頼みなら俺は無視できない。お前の望むとおりにしよう」
「そんな……」
困りました。
どうして欲しいと言われても困ってしまいます。何が正解なのか分かりません。
ハウストを見下ろすと、まるで他人事のように膝枕で微睡んでいます。
「……ハウスト?」
鼻を抓んであげました。
私の反撃にハウストはびっくりした顔で目を開けます。
ムッとした顔の私と目が合うと、ハウストは苦笑して鼻を抓んでいる私の手を掴みました。
「すまなかった。困らせたかったわけじゃないんだ」
許せ、と私の指先に口付けてくれる。
しかしハウストは私を見上げたまま忠告に似た言葉を続けます。
「だが、これから先もお前は仲介を願われることが数多くあるだろう」
「……そんなこと頼まれても困るだけです」
「そうかもしれないが、相手にとっては命懸けの案件という事態も珍しくない」
「それなら尚更です。私は何も出来ませんよ?」
「そう思っているのはお前だけだ。お前の言葉は俺の心を動かせるものだからな」
「…………難しいものですね」
ハウストの言葉には覚えがありました。
モルカナの一件の時、私に接触してきた精霊界や人間界の高官は、ハウストに近づきたいという下心を隠し切れていませんでしたから。エルマリスやジェノキスにも似たような忠告を受けたことがあります。
「肝に銘じておきますね」
「ああ、そうしておいてくれ。ところでランディの今日の一件だが、心配しなくても最初から不問にすると決めていた」
「えっ、そうなんですか?」
意外とあっさりで驚きました。
実際、ランディがやらかした事は大公爵という立場として決して許されることではありません。だいたい会議の主催者が会議中に途中離脱するなど前代未聞です。
「会議自体は先代のランドルフが出席していたお陰で滞りなく進んだんだ。そのランドルフからも詫びは充分受けている。お陰で楽しい会議の時間になってくれた」
「楽しい……会議?」
「ああ。この失態も一度くらいなら大目に見ても良いほど楽しかったぞ?」
そう言ってハウストが会議を思い出したのか楽しそうに笑います。
とても楽しそうなのですが背筋がちょっとだけ冷たくなります。
きっと許す替わりに何らかの交換条件を飲ませたのですね。許したのは政治的判断というものでしょう。
「無茶を言ったのですか?」
「人聞きが悪いな。俺はただ次の四大公爵会議までに北の長老の硬すぎる頭を解しておけと言っただけだ」
「北の長老?」
「北の大公爵だ。フェリクトールと同年齢で同じくらい頑固な男でな、二人は会うたびに年を忘れて喧嘩をしている。四大公爵会議というのは」
「あっ、それは知っています! 魔王と四人の四大公爵が半年に一度集まって会議をするんですよね。それは勉強しました」
「それだ、よく勉強しているな。次の会議では大公爵たちにお前を紹介しよう」
「ありがとうございます」
私は礼を言いつつも、来たる四大公爵会議に緊張してしまいます。
頑固な北の長老や、他にも南と東の大公爵とはどんな方なのでしょうか。そして西の大公爵は……大丈夫なのでしょうか……。まだ当主になったばかりと聞いていますが、今日の様子を見ているとお世辞にもしっかりしているようには見えません。引退したランドルフが現役の当主に見えてしまうくらいに。
「他の大公爵の方々に会えるのを楽しみにしています。でも正直、ランディ様には少し驚かされました。イメージしていた大公爵とは少し違っていたので」
「まあな、子どもの頃から気弱な男だった。それを心配してランドルフは早めに跡を継がせることを決意したらしい」
「なるほど、実戦で鍛えようというわけですね」
「そうだ。俺の治世ならそれが出来るとランドルフにも相談されていた」
「たしかに、それもそうですね」
先代魔王時代は領主たちも自分の領土を守るだけで必死だったのでしょう。多くの破滅が各地を襲っていたと、今日の視察から察することができました。
そんな先代とは違い、当代魔王は賢帝と呼び名が高く、寛大な魔王です。そんなハウストの治世だからできる荒療治というものですね。
「ランディ様が大公爵の名に相応しく成長されるといいですね」
「そうでなくては困るぞ。ランディはメルディナの幼馴染で、俺も知らない相手ではないからな」
「そうなんですか?」
「ああ。メルディナが幼い時は遊び相手になってくれていた。大人になってからも仲良くしていたと思うが」
「はあ、幼馴染ですか……」
あの気弱なランディが、あの小生意気なメルディナと仲良しな幼馴染……。いまいちピンときませんね。
うーん、幼馴染な二人を想像してみましたがやっぱりピンときません。
考え込んでいると、「ブレイラ」と名を呼ばれて下から伸びてきた手に頬をひと撫でされました。
「俺と二人きりなのに考えごとか?」
「す、すみません」
「ひどい奴だ」
ハウストは喉奥で笑いながら指でくすぐるように私の頬を撫でてくれる。
甘いくすぐったさに小さく笑っていると、ハウストは穏やかな口調で私に聞いてきます。
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