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勇者と冥王のママは創世を魔王様と

第十一章・王妃の愛した過去と今10

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「ブレイラ、こっちを見ろ」
「…………」

 促されてハウストにおずおずと視線を向けると、彼が満足そうに目を細めます。
 そしてゆっくりと覆い被さってきました。

「ぁ……」

 触れ合う肌と肌の感触。
 触れ合った箇所がじわりと熱い。甘い温もりが全身に広がっていく。
 どうしましょう。それだけで気持ちいい。
 もっと触れ合いたくて、両腕をハウストの背中に回してぎゅっと抱きしめました。
 両腕に、全身にハウストの温もりを感じます。
 懐かしいような、初めてのような、そんな温もりに視界がじわりと滲む。

「お前に抱き締められるのは気持ちいいな」

 抱き締めたハウストがぽつりと言いました。
 彼が喋る吐息すらも素肌に感じて、甘いくすぐったさに身を竦めてしまう。

「ハウスト……」

 名を呼ぶと唇に口付けられました。
 啄むような口付けを何度も落とされ、唇が首筋を這って鎖骨に甘く歯を立てられる。
 ハウストの大きな手が平らな胸を揉み、指で突起を転がす。
 軽く抓まれるとぴくりっと背中が震えて居た堪れなさに視線を彷徨わせました。
 しかしその小さな反応すらも彼は見逃さず、突起に唇を寄せる。舌先で転がすように嬲られて甘く噛まれます。

「っ、ぅ……んッ」

 唇を引き結んでも鼻から漏れる声が高い。
 彼に何度も抱かれた体はそこが気持ちよくなる場所だと知っているのです。
 執拗に胸の突起を愛撫され、羞恥がこみあげる。
 私の体は抱かれる喜びを知っている。けれどそこは本来気持ち良くなる場所ではないのです。
 視線を下ろすと、視界に映るハウストの頭。
 私の胸元に顔を伏せて胸の突起を吸っている。
 時折ちらりと見える胸の突起は赤く色付いていて、それを美味しそうに食べているような姿。

「た、楽しいですか?」
「楽しい。俺の好きな体だ」

 ハウストはそう言うと更に強く吸って、「あっ」と声が漏れてしまう。
 その声に彼は満足気に口端をあげて敏感になっていく体を撫でまわす。
 私の性器を彼の手が包み、また扱きだしました。

「あ、ん……んッ」

 突起を甘く噛まれながら性器を扱かれ、熱が体内を駆け巡る。
 胸と腰の奥がジンジンと甘く痺れて、漏れる吐息に甘さが帯びてしまう。

「あ、ハウストっ……、んぅっ……」

 堪らなくなってハウストにぎゅっとしがみ付きました。
 すると彼は嬉しそうに私を抱きしめて、性器を更に激しく扱きだします。

「あっ、んんッ、もう、……ああッ」

 ハウストの指に先端を擦られて昂ぶりが限界を迎えました。
 彼の手中で白濁が弾けて、はあはあと呼吸が荒くなる。
 彼は満足そうに目を細めると、宥めるように私の目元に口付けを一つ。

「何度でもイクといい」
「な、何度もというのは、困りますっ……」
「そうか?」
「そうです」

 こんな気持ちいいことをたくさんされては、おかしくなってしまう。
 久しぶりの快楽は抗いがたくて押し寄せる波をうまくやりすごせないのです。

「だが、これからだ。ここに早く挿れたい」
「あッ」

 ハウストの濡れた指が私のお尻の奥に触れました。
 後孔の入口を軽く押されて、「んッ」と鼻にかかった吐息が漏れる。
 もちろん受け入れるのは初めてではないけれど、久しぶりの感覚に不安と期待がせめぎ合う。
 そんな気持ちを察したのかハウストが私の頬に口付ける。
 啄むような口付けを顔中に落とされながら、指がゆっくりと挿入されだしました。

「あ、ん……っ」

 異物感に声が漏れる。
 慣れている筈なのに呼吸が詰まる。
 以前抱かれてから間を置いている所為もあって後孔は硬く閉じているのです。

「うぅ、……あっ」

 きつく閉じた内壁に指を馴染ませながら、慎重に、でも奥へ奥へと入ってくる。
 そしてナカにある弱い箇所を擦られると、「ああッ」びくりっと腰が震えました。

「っ、待ってください……」

 分かっていたはずなのに、まるで神経を直接愛撫されたかのような感覚。
 我を忘れてしまいそうな強い快感に少しだけ怖くなる。

「駄目だ。待てない」
「えっ、……あっ、んんッ」

 ハウストの指の腹が弱い箇所を狙って擦ってきます。
 重点的に攻められて足の指先まで微弱な電流が走りました。

「っ、やっ、ああッ……、くっ」

 唇をきつく引き結ぶのに、軽く刺激されるだけで声が漏れてしまう。
 そこで与えられる快感はジンジンとナカを満たし、内壁を擦られる刺激にも気持ち良くなっていく。

「ああっ、あッ、んんっ……!」

 指が二本に増やされてナカで曲げられる。
 強い快感に体を丸めるも、顔を覗き込まれて口付けられました。

「良さそうだな」
「ぅっ、あッ、あんんッ……」

 言い返したいのに言葉にならない。
 異物感すらも快感に塗り潰されて、窮屈なそこを埋められることに体が喜んでいる。
 私の性器は触れられていないのにふるふると立ち上がり、昂ぶった先端からは雫を垂らしている。
 羞恥が込み上げて体を曲げて隠そうとするも弱い箇所を押されて喉が仰け反りました。

「あッ、ん……うぅっ」

 仰け反った喉をハウストの唇が這い、薄く開いた唇から漏れる呼吸は喘ぎのよう。
 体が自分のものではないような、ぐずぐずに溶かされていくような気がして、ハウストの腕を掴みました。

「ハウストっ……」
「大丈夫だ。気持ちいいだけだ」
「うぅっ、……あ、んんッ」

 それが困るのですよと返したいのに、宥めるような口付けに絆されてしまう。
 しかし口付けは優しくてもナカに入った指は容赦なく私の熱を上げていく。

「あっ、まってっ、ダメですっ、ダメっ。ああッ、んッ」

 腰を引いて逃げようとしても苦しいほど押し寄せる波に逆らえない。
 堪らずに後孔を弄るハウストの腕にぎゅっとしがみ付いて、うわ言のようにダメと繰り返す。
 でも言葉とは裏腹にしがみ付いた腕の指に腰を押し付けるような動きをして、無意識のそれに泣きたくなりました。

「いいな、それ。もっと見せてくれ」
「ち、ちがうっ。あっ、んんッ! ……ちがうんですっ。こんなっ……、やっ、ああッ」

 ガクガクと腰が震えて、指の動きに合わせて腰を押し付けてしまう。
 もっとと強請るように動いているようで、少しでも快感を散らそうと頭を振る。

「ブレイラ、我慢しなくていい」
「やっ、あッ、うぅっ……」
「苦しいんだな。楽にしてやる」
「ああッ、そんなっ、ダメッ。あ、アアッ……!」

 ナカの弱い箇所を強く擦られ、耐え切れずに白濁が散る。
 でも前を触られずにナカだけで達した体は熱いほどの余韻を引きずったままで、指が引き抜かれる感触にもビクビクと体が震えてしまう。

「あ、ん……、ぅ」
「もう大丈夫だな?」

 ハウストは確かめるように言うと、私の後孔に昂ぶった怒張の先端を押し当てました。
 入口を先端で擦られ、そこがヒクヒクと悩ましげに蠢く。
 まるで早く欲しいと訴えているかのようなそれに羞恥を感じましたが、挿入される悦びを知っている体は従順に受け入れようとしている。
 焦らすように入口を擦られて堪らずにハウストを見上げました。

「ハウスト……」
「ああ、分かっている。やっとだっ……」

 見上げたハウストの呼吸が荒くなっている。
 耐えるように眉を顰めた顔に、彼が今までずっと我慢していたことを知りました。
 そこは随分前に解されていたはずなのに、私の体が充分整うまで耐えてくれていたのです。
 堪らない気持ちが込み上げて視界が涙で滲む。
 上手く言葉にできなくてハウストの腕をぎゅっと掴みました。
 それだけで彼は嬉しそうに目を細め、私の頬に口付けます。

「挿れるぞ」

 そう言うと、彼がゆっくりと腰を動かしだす。
 後孔に押し付けられた怒張の先端がぐっと入口を押し潜り、締め付ける内壁を開きながら奥へ奥へと入ってくる。

「は、あ……あっ、ん……ッ」

 指とは比べ物にならない質量のそれ。
 息苦しいほどの圧迫感に体が縮こまってしまう。
 上手く呼吸ができなくて息を詰めると、ハウストの指が唇をなぞりました。

「あと少しだ。もう、少しっ……」
「はいっ……、んっ」

 苦しい。
 でも見上げた彼もきつい締め付けに険しい顔をしている。
 そこは充分解してもらっていましたが、それでも怒張を受け入れるには狭い。
 あなたも苦しいのですね。強引に捩じ込んでしまえば楽なのに、私の様子を確かめながら入ってくる。

「うっ、んッ……。すみま、せん……、きつい、ですよね……、っ」

 深呼吸をし、少しでも挿入しやすくする。
 でもうまく出来ずにはふはふと喘ぐような呼吸になってしまって、なんだか居た堪れない。
 ごめんなさいと謝ろうとして、「ヒアッ!」悲鳴のような声をあげてしまう。
 半分まで埋められた怒張がズクリッと体積を増したのです。

「っ、……頼むから、今、そんなことをするなっ……」
「で、でも」
「充分だ。じっと、していろ」

 彼は深く呼吸しながら言うと、ゆっくりと腰を押し進めてきます。
 徐々に奥を満たされていく。
 苦しいほどの圧迫感と異物感に奥まで埋められていき、時間をかけてハウストの怒張が全て挿入されました。

「うぅ、あ……っ」

 息苦しさにくぐもった声が漏れる。
 体が強張って、素肌がじっとりと汗ばむ。
 そんな私をハウストは両腕で抱きしめ、じっと動かずに待ってくれている。
 彼を見上げて、眉間に皺が寄っているのが見えました。
 ごめんなさい。私の体が馴染むまで待ってくれているんですよね。抱かれることは初めてではないのに、こんなに手を煩わせて申し訳ないです。
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