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勇者と冥王のママは創世を魔王様と
第十章・世界の果てにて5
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◆◆◆◆◆◆
「ちゅちゅ、うっ……うぅっ、あう~……、……ちゅちゅ……」
ゼロスは涙ぐみながら保存食の燻製肉を吸っていた。
ブレイラのパンケーキで一時は泣き止んだゼロスだが、混沌に満ちた冥界はトラブル続きだったのだ。
混沌によって不安定な世界では地殻変動を思わせるような自然の脅威に遭遇したり、凶暴化した動物や植物が襲ってきたりした。
もちろん四人はそれに対処したが、ゼロスが怯えたように泣き喚いていたのである。
それは違和感のあるものだった。魔界で戦闘に巻き込まれた時は平気そうだったのに、冥界ではちょっとしたことを怖がって泣いてしまうのだ。
こうして泣き喚くゼロスを連れて高原を超え、五人は陽が沈む頃に森に入った。
厚い雲に覆われて一日中薄暗い冥界は朝昼晩の区別がつきにくいが、ただでさえ薄暗い冥界の空が更に暗くなったので夜になったはずである。
今晩は森で休むことに決めて五人は焚火を囲んでいた。
夕食は凶暴化した動物だが、ゼロスはブレイラに持たされたミルクと保存食を食べている。
しかし。
「あう~……、ちゅちゅ、うぅっ……」
燻製肉を吸いながら嗚咽が漏れていた。
隣で同じく燻製肉を齧っていたイスラが渋面になる。
「ゼロス、なくな」
「あぶぅ……」
「おやつ、たべるか?」
イスラが鞄をごそごそ漁りながら聞いた。
ブレイラが持たせてくれたおやつがまだ少しだけ残っている。
ゼロスは心引かれたように反応したものの、「あう~……」と視線を下げた。おやつの気分ではないのだ。
「あい……」
ちゅっちゅっと吸っていた燻製肉をイスラに返す。
食事する元気もないゼロスに、さすがにハウストやジェノキスやアベルも心配になってくる。
冥界に来てから誰の目にもゼロスの様子はおかしかった。
「冥王様はもういらないのか?」
ジェノキスが心配そうに聞いた。
ミルクを飲んでいるのでお腹を空かせている様子はないが普段の食欲旺盛さからは程遠い。
「……ゼロスはだっこしてほしいんだ」
「抱っこ?」
「うん。ブレイラのだっこ、すきだから」
ブレイラがいなくて寂しいのである。
夜はブレイラに抱っこされて眠りたいのだ。
「あう~……」
ふと、お座りしていたゼロスがハイハイで動きだす。ここにブレイラはいないが、とりあえず抱っこを求めて彷徨いだした。
まずはジェノキスの前で止まる。「はふぅ……」ため息をついて動きだす。どうやら違うようだ。
次はアベル。「はふぅ……」またため息をついて動きだす。これも違うようだ。
最後にハウスト。「はふぅ~……」ちがう……とばかりに首を横に振る。
最適な抱っこ先は見つからず、結局元の位置に戻ってしまった。
「あうう~……」
そして嘆きとともに項垂れる……。
そんなゼロスの様子を見ていたイスラは三人を振り返った。
「おまえら、ぜんいんちがうって」
見れば分かる。
大変失礼ではあるが、それが赤ん坊の本音なのだった。
ゼロスはちゅちゅちゅっしながら項垂れていたが、少ししてまたハイハイを開始する。
「あう~、あー」
向かう先はハウスト。
今一番望んでいる抱っこ相手ではないがゼロスにとっては父上である。
本当はブレイラがいいけれど、今は父上のところへ行こうとハイハイで向かったが。
「ゼロス、ちがうぞ」
「あぶっ?!」
ガシリッ。イスラがゼロスの小さな足を掴んだ。
突然引き止められてゼロスは目を丸める。
しかしイスラは構わずにゼロスをずるずると引き摺って自分のところへ戻す。
「あれはちちうえだけど、ちちうえじゃないんだ」
イスラはハウストをじっと見つめて言った。
ハウストも無言のままイスラを見返す。
その間に挟まれたゼロスは訳が分からずきょとんとしていたが、またしてもイスラにずるずると引っ張られだした。
「もうねるぞ。こっちだ」
「あう~」
「だめだ。こっちでねろ」
イスラはそう言うとブレイラが用意してくれていたラグを敷く。
そこにゼロスをころんと寝転がすと、自分も横になって目を閉じたのだった。
「ああ~、魔王様、嫌われてない?」
からかうジェノキスをハウストはぎろりと睨む。
だが、特に言い返すことはなかった。
ハウストはジェノキスを無視して横になる。
そんなハウストにジェノキスとアベルは顔を見合わせて肩を竦め、二人も横になった。
明日は冥界の中心へと更に近づくのだ。体力は回復させなければならない。
しばらくゼロスがぐずっていたが、間もなくして子ども二人のスヤスヤとした寝息が聞こえだした。
それを聞いてからハウストも目を閉じる。
『あれはちちうえだけど、ちちうえじゃないんだ』
先ほどイスラが言った。
その通りだ。以前の自分はともかく、今の自分はイスラやゼロスの父上ではない。
いきなり二人の子どもが現われて自分の子どもだと言われても面食らう。初めて聞かされた時などはさすがに動揺を隠し切れなかったくらいだ。
今もそう思っている。
ブレイラが欲しいと思うが二人の子どもに関しては困惑がないといえば嘘になる。ブレイラの子どもなので邪険には出来ないが、父親として二人に接せられるかといえば疑問が残った。
そもそも、以前の自分はどうやって二人の子どもに接していたのか想像すらできない。
「…………」
ふと、ハウストは遠くに凶暴化した猛獣の気配を感じて目を開けた。
ここに近づいてくる可能性は低いが、近くで眠るイスラとゼロスをちらりと見る。
安眠妨害は困る。
ここで戦闘になったところで返り討ちにするだけだが、それでも戦闘中はなにが起きるか分からない。万が一、イスラとゼロスが怪我でもしたら……。
今のハウストの目的は、ゼロスを正式に戴冠させ、二人の子どもをブレイラの元に無事に帰すこと。ブレイラの両腕にイスラとゼロスを抱かせること。
ハウストはむくりと起き上がり、気配がする方へ歩きだした。
二人の子どもを巻き込まずに猛獣を始末する為だ。
ハウストは猛獣がいる方に向かって暗い森を歩く。
なにげなく頭上を見上げると、枝葉の向こうに暗い夜空が見えた。
厚い雲に覆われて月すらも見えない夜空。
この夜空の雲が晴れたなら、その時こそブレイラを冥界に連れて来てやろう。ブレイラも来たがっているはずだ。
ブレイラは今頃なにをしているだろうか。
大人しく城で待ってくれているだろうか。
ブレイラの性格を考えると冥界侵入を試みかねないが、それに関してはしっかり対処してきた。
地下神殿の転移魔法陣に結界を張ってきたのだ。
柔らかで美しい細工をした結界に怪我をすることはないだろうが、きっとさぞ怒っていることだろう。
以前の自分はそれをどう宥めていたのだろうか。以前の自分なら怒らせなくて済んだだろうか。そこまで考えて、……弱気なことをとハウストは首を振る。
俺は俺であり、以前の自分とは違うのだから。
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「ちゅちゅ、うっ……うぅっ、あう~……、……ちゅちゅ……」
ゼロスは涙ぐみながら保存食の燻製肉を吸っていた。
ブレイラのパンケーキで一時は泣き止んだゼロスだが、混沌に満ちた冥界はトラブル続きだったのだ。
混沌によって不安定な世界では地殻変動を思わせるような自然の脅威に遭遇したり、凶暴化した動物や植物が襲ってきたりした。
もちろん四人はそれに対処したが、ゼロスが怯えたように泣き喚いていたのである。
それは違和感のあるものだった。魔界で戦闘に巻き込まれた時は平気そうだったのに、冥界ではちょっとしたことを怖がって泣いてしまうのだ。
こうして泣き喚くゼロスを連れて高原を超え、五人は陽が沈む頃に森に入った。
厚い雲に覆われて一日中薄暗い冥界は朝昼晩の区別がつきにくいが、ただでさえ薄暗い冥界の空が更に暗くなったので夜になったはずである。
今晩は森で休むことに決めて五人は焚火を囲んでいた。
夕食は凶暴化した動物だが、ゼロスはブレイラに持たされたミルクと保存食を食べている。
しかし。
「あう~……、ちゅちゅ、うぅっ……」
燻製肉を吸いながら嗚咽が漏れていた。
隣で同じく燻製肉を齧っていたイスラが渋面になる。
「ゼロス、なくな」
「あぶぅ……」
「おやつ、たべるか?」
イスラが鞄をごそごそ漁りながら聞いた。
ブレイラが持たせてくれたおやつがまだ少しだけ残っている。
ゼロスは心引かれたように反応したものの、「あう~……」と視線を下げた。おやつの気分ではないのだ。
「あい……」
ちゅっちゅっと吸っていた燻製肉をイスラに返す。
食事する元気もないゼロスに、さすがにハウストやジェノキスやアベルも心配になってくる。
冥界に来てから誰の目にもゼロスの様子はおかしかった。
「冥王様はもういらないのか?」
ジェノキスが心配そうに聞いた。
ミルクを飲んでいるのでお腹を空かせている様子はないが普段の食欲旺盛さからは程遠い。
「……ゼロスはだっこしてほしいんだ」
「抱っこ?」
「うん。ブレイラのだっこ、すきだから」
ブレイラがいなくて寂しいのである。
夜はブレイラに抱っこされて眠りたいのだ。
「あう~……」
ふと、お座りしていたゼロスがハイハイで動きだす。ここにブレイラはいないが、とりあえず抱っこを求めて彷徨いだした。
まずはジェノキスの前で止まる。「はふぅ……」ため息をついて動きだす。どうやら違うようだ。
次はアベル。「はふぅ……」またため息をついて動きだす。これも違うようだ。
最後にハウスト。「はふぅ~……」ちがう……とばかりに首を横に振る。
最適な抱っこ先は見つからず、結局元の位置に戻ってしまった。
「あうう~……」
そして嘆きとともに項垂れる……。
そんなゼロスの様子を見ていたイスラは三人を振り返った。
「おまえら、ぜんいんちがうって」
見れば分かる。
大変失礼ではあるが、それが赤ん坊の本音なのだった。
ゼロスはちゅちゅちゅっしながら項垂れていたが、少ししてまたハイハイを開始する。
「あう~、あー」
向かう先はハウスト。
今一番望んでいる抱っこ相手ではないがゼロスにとっては父上である。
本当はブレイラがいいけれど、今は父上のところへ行こうとハイハイで向かったが。
「ゼロス、ちがうぞ」
「あぶっ?!」
ガシリッ。イスラがゼロスの小さな足を掴んだ。
突然引き止められてゼロスは目を丸める。
しかしイスラは構わずにゼロスをずるずると引き摺って自分のところへ戻す。
「あれはちちうえだけど、ちちうえじゃないんだ」
イスラはハウストをじっと見つめて言った。
ハウストも無言のままイスラを見返す。
その間に挟まれたゼロスは訳が分からずきょとんとしていたが、またしてもイスラにずるずると引っ張られだした。
「もうねるぞ。こっちだ」
「あう~」
「だめだ。こっちでねろ」
イスラはそう言うとブレイラが用意してくれていたラグを敷く。
そこにゼロスをころんと寝転がすと、自分も横になって目を閉じたのだった。
「ああ~、魔王様、嫌われてない?」
からかうジェノキスをハウストはぎろりと睨む。
だが、特に言い返すことはなかった。
ハウストはジェノキスを無視して横になる。
そんなハウストにジェノキスとアベルは顔を見合わせて肩を竦め、二人も横になった。
明日は冥界の中心へと更に近づくのだ。体力は回復させなければならない。
しばらくゼロスがぐずっていたが、間もなくして子ども二人のスヤスヤとした寝息が聞こえだした。
それを聞いてからハウストも目を閉じる。
『あれはちちうえだけど、ちちうえじゃないんだ』
先ほどイスラが言った。
その通りだ。以前の自分はともかく、今の自分はイスラやゼロスの父上ではない。
いきなり二人の子どもが現われて自分の子どもだと言われても面食らう。初めて聞かされた時などはさすがに動揺を隠し切れなかったくらいだ。
今もそう思っている。
ブレイラが欲しいと思うが二人の子どもに関しては困惑がないといえば嘘になる。ブレイラの子どもなので邪険には出来ないが、父親として二人に接せられるかといえば疑問が残った。
そもそも、以前の自分はどうやって二人の子どもに接していたのか想像すらできない。
「…………」
ふと、ハウストは遠くに凶暴化した猛獣の気配を感じて目を開けた。
ここに近づいてくる可能性は低いが、近くで眠るイスラとゼロスをちらりと見る。
安眠妨害は困る。
ここで戦闘になったところで返り討ちにするだけだが、それでも戦闘中はなにが起きるか分からない。万が一、イスラとゼロスが怪我でもしたら……。
今のハウストの目的は、ゼロスを正式に戴冠させ、二人の子どもをブレイラの元に無事に帰すこと。ブレイラの両腕にイスラとゼロスを抱かせること。
ハウストはむくりと起き上がり、気配がする方へ歩きだした。
二人の子どもを巻き込まずに猛獣を始末する為だ。
ハウストは猛獣がいる方に向かって暗い森を歩く。
なにげなく頭上を見上げると、枝葉の向こうに暗い夜空が見えた。
厚い雲に覆われて月すらも見えない夜空。
この夜空の雲が晴れたなら、その時こそブレイラを冥界に連れて来てやろう。ブレイラも来たがっているはずだ。
ブレイラは今頃なにをしているだろうか。
大人しく城で待ってくれているだろうか。
ブレイラの性格を考えると冥界侵入を試みかねないが、それに関してはしっかり対処してきた。
地下神殿の転移魔法陣に結界を張ってきたのだ。
柔らかで美しい細工をした結界に怪我をすることはないだろうが、きっとさぞ怒っていることだろう。
以前の自分はそれをどう宥めていたのだろうか。以前の自分なら怒らせなくて済んだだろうか。そこまで考えて、……弱気なことをとハウストは首を振る。
俺は俺であり、以前の自分とは違うのだから。
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