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勇者と冥王のママは創世を魔王様と
第八章・魔界騒乱~月華の麗人~11
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「イスラ、ゼロス! 大丈夫ですか?!」
「ブレイラだ!」
「あぶ~!」
フェリクトールの館に戻ると、奥からイスラが飛び出してきました。
マアヤに抱っこされていたゼロスも嬉しそうに手を伸ばしてきて、その小さな体を抱きとります。
イスラとゼロスが怪我をしていないことを確かめてほっとしました。ジェノキスは大丈夫と言ってくれたけど自分の目で見るまでは安心できませんでした。
「無事のようですね、良かった」
「いきなり、ゴオオオッてゆれたんだ」
「あーあー、うー!」
二人が地震の様子を興奮気味に語ってます。
突然の地震は二人をとても驚かせたようです。
「ブレイラ、だいじょうぶだったか? おそいから、しんぱいしたんだ」
「私は大丈夫でしたよ。二人には心配をかけました」
宥めるようにイスラの頭を撫でてあげます。
抱っこしているゼロスも頭をぴょこんっと突き出してきて、なでなでしろと主張してくる。小さく笑っていい子いい子と撫でてあげました。
「ブレイラ様、おかえりなさいませ。ご無事で何よりです」
「おかえりなさいませ。大きな地震でしたので心配いたしました」
コレットとマアヤに声を掛けられて向き直る。
二人にはイスラとゼロスを任せていたのです。
「コレット、マアヤ、二人をありがとうございました。この館の方々もあなた達も無事でしたか?」
「問題ありません。古い塔が崩れかけましたが怪我人も出ておりません」
「それは良かったです」
コレットの報告に安堵する。
皆の無事を知って安心しました。
フェリクトールとアベルも館の奥から出てきて、二人に向かってお辞儀します。
「ただいま戻りました。今日はありがとうございました」
「ブレイラこそ今日は頑張ったな。上出来だったぜ、さすが勇者と冥王の御母上様」
そう言ってアベルがわざとらしいほど恭しく一礼する。
態度は仰々しいほど紳士然として礼儀正しいのに顔が笑っています。
「からかってます? そもそも男の私を母と呼ぶのは不快です」
「そこ、まだ突っ込むのかよ」
アベルは笑いながらも言いましたが、当たり前です。そう呼ばれているのは承知していますが、今でも『母』と自分で認めるのは少し面白くないのです。
そんな私達のやり取りにフェリクトールが気難しい顔で割って入ってくる。
「喜ぶのはまだ早いだろう。決議は明日に持ち込されたんだ。……まったく今日の会議では驚かされたよ。あんな乱闘騒ぎは前代未聞だ」
「……悪かったよ。我慢できなかったんだ」
フェリクトールにぎろりと睨まれたジェノキスが苦笑する。
フェリクトールは盛大に呆れた顔をしましたが、ジェノキスの全身を見て顔を顰めました。ハウストとの戦闘で彼は満身創痍なのです。
「なにかあったようだね」
「魔王様とやりあった」
「どうせ君が挑発したんだろう」
「ハハッ、正解。さすが宰相様」
「君はもう少し自分の立場を自覚した方がいい。もし魔界と精霊界が開戦したらどうするつもりだ。しかも開戦理由がたった一人の人間を巡ってなんて目も当てられない。後世に残したくない記録だ」
そう言ってフェリクトールがため息をつきました。
でも次には、「無事のようだね」と私に声を掛けてくれる。
フェリクトールは厳しい宰相ですがとても優しい方だと知っています。
「フェリクトール様、ご心配をおかけしました。ところで先ほどの地震ですが……冥界の混沌が影響したものでしょうか」
「それは調べてみないと分からないが、あれほど大きな地震は今までなかった。因果関係が無いとは言い切れないだろう。しかも地震は魔界だけに起こったようだ」
「魔界だけに……?」
それは違和感があることでした。
今までも影響を受けて地震が起こることがありましたが、それは魔界も精霊界も人間界も同時に起こっていたのです。それが魔界だけというのは奇妙なことに思えてしまう。
「調査結果がでるまではなんとも言えないよ。それより君は明日の会議に集中したまえ。今日で分かっただろう、君にとって甘いものではないと」
「……そうですね。心得ます」
フェリクトールの言う通りです。
今は明日の決議に集中する時。明日の決議で冥界の、ゼロスの運命が決まるのですから。
ふと、くいくいっと袖が引っ張られる。イスラでした。
「ブレイラ、あしたもオレは……おるすばん?」
イスラが不満そうに聞いてきました。
眉尻を下げて、「オレもいきたい」と訴えてくる。
私もイスラやゼロスと一緒にいたい気持ちはありますが四大公爵会議に連れて行くわけにはいきません。
「……はい、明日もお留守番をお願いします。すぐに帰ってきますから」
「きょう、おそかった」
「ごめんなさい。ちょっと用事が出来てしまったんです……」
困ったように答えると、イスラがじっと私を見上げてくる。
私の顔を見つめて訝しげに首を傾げます。
「……ブレイラ、なにかあったのか?」
「え?」
「へんなかお、してる」
イスラの大きな瞳がじっと私を見つめる。
心を見透かすような瞳に息が詰まりそうになって、なんとか平静を装います。
イスラは勘が鋭くて賢い子どもです。
でもだからこそ、ハウストとのことを伝えることに躊躇いを覚えてしまう。情けないですね、伝えなければならないのに。
私はゼロスを抱っこしたまま膝をつき、イスラと目線を合わせました。
そして。
「こらっ、変な顔とはどういう意味ですか。失礼ですね」
イスラの鼻をきゅっと抓む。
わざと怒った顔をつくって、「私、おかしな顔ですか?」と誤魔化します。
「そ、そうじゃないっ、ブレイラがいちばんきれいだ! そうじゃなくてっ」
「ふふ、ありがとうございます」
焦ってくれたイスラに優しく笑いかけました。
いい子いい子と宥めて、私はまた誤魔化してしまう。
「大きな会議だったので緊張したんです。でも明日で終わりますから。だから、もう少しだけ」
そう説得すると渋々ながらも頷いてくれました。
その姿に胸が痛くなる。
そろそろ覚悟を決めなければいけません。大切なイスラにいつまでも誤魔化していたくない。傷付けてしまうかもしれないけれど、その時はイスラとゼロスを抱きしめて眠りましょう。
私はイスラに笑いかけ、その体をそっと抱き寄せました。
◆◆◆◆◆◆
「メルディナ様、大丈夫ですか?! 地震で怪我はありませんか?!」
ドンドンと扉を叩く。
扉越しに声を上げているのは西の大公爵ランディ。まだ若いがその気弱な性格を心配されて修行の為に早々大公爵の地位を受け継いだ男である。そして魔王の妹姫メルディナの幼馴染でもあった。
四大公爵会議に出席する為に西都から王都へ来ていたランディだが、幼馴染のメルディナには一度も会っていない。
何度か会おうと尋ねたが門前払いが続いていたのである。
会うことを諦めかけていたランディだったが、先ほどの大きな地震でどうしてもメルディナが心配になったのだ。
しかし扉越しに何度声を掛けてもメルディナが顔を見せてくれることはなかった。
「メルディナ様っ、顔を見せてください! ……メルちゃん!!」
「――――煩いですわね! いいから下がってて!!」
「わっ……!」
いきなり怒鳴られてランディは肩を竦める。
だが、ようやく返ってきた反応にほっとした。
今まで返事すらしてもらえなかったのだ。
「無事なんだね、良かった……」
「分かったなら、さっさと立ち去りなさいなっ」
「……メルちゃん、ずっと部屋から出てこないって女官が話していたよ? どこか体調でも悪い?」
そう、ランディがメルディナに挨拶すらできない状態が続いているのは、メルディナが部屋から一歩も出てきていないからだった。
特に体調不良という話しはないが、ずっと心配していたのである。
「少しだけでいいから、顔を見せてくれないかな?」
「しつこいですわよ! 早くどこかに行って!!」
「っ、メルちゃん……」
一際大きく怒鳴られてランディの肩が跳ねる。
しかしメルディナが外に出てくる様子はない。
様子がおかしいのは間違いないのに、理由も分からなければ様子も分からない。ランディは自分の情けなさに歯噛みした。
「……分かったよ。今夜はもう行くけど、明日もまた来るからね」
ランディは心配そうに扉越しに声を掛ける。
やはり返事はなく、ランディは肩を落として立ち去った。
扉の外にあったランディの気配が遠ざかる。
カーテンを閉め切った暗い部屋で忌々しげに扉を睨んでいたメルディナは、自分の左腕の腕輪を見下ろした。
複雑な模様が刻まれた金の腕輪。腕輪の中心には黒い魔石が嵌めこまれ、不気味な光を放っている。
メルディナは魅入られたようにうっとりと見つめ、黒い魔石を指で撫でた。
これはメルディナの願いを叶える腕輪。
あともう少し、あともう少しで叶うだろう。
「……あの人間、絶対に殺してやるわっ……。お兄様には、絶対に近づかせない……!」
メルディナの瞳が憎悪で澱み、唇からは呪いの言葉が吐き出される。
全ては魔界の為、敬愛する兄の為、メルディナは爛々とした瞳で空を睨む。
あの人間は魔界に災いを齎し、兄を苦しめる存在。魔王の妹姫として殺さなければならない。殺してやる、殺してやる、殺してやる。
「ころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやる」
部屋にぼそぼそと呟きが木霊する。
メルディナは薄ら笑いを浮かべ、腕輪を撫でながら呪いの言葉を繰り返していた。
◆◆◆◆◆◆
「ブレイラだ!」
「あぶ~!」
フェリクトールの館に戻ると、奥からイスラが飛び出してきました。
マアヤに抱っこされていたゼロスも嬉しそうに手を伸ばしてきて、その小さな体を抱きとります。
イスラとゼロスが怪我をしていないことを確かめてほっとしました。ジェノキスは大丈夫と言ってくれたけど自分の目で見るまでは安心できませんでした。
「無事のようですね、良かった」
「いきなり、ゴオオオッてゆれたんだ」
「あーあー、うー!」
二人が地震の様子を興奮気味に語ってます。
突然の地震は二人をとても驚かせたようです。
「ブレイラ、だいじょうぶだったか? おそいから、しんぱいしたんだ」
「私は大丈夫でしたよ。二人には心配をかけました」
宥めるようにイスラの頭を撫でてあげます。
抱っこしているゼロスも頭をぴょこんっと突き出してきて、なでなでしろと主張してくる。小さく笑っていい子いい子と撫でてあげました。
「ブレイラ様、おかえりなさいませ。ご無事で何よりです」
「おかえりなさいませ。大きな地震でしたので心配いたしました」
コレットとマアヤに声を掛けられて向き直る。
二人にはイスラとゼロスを任せていたのです。
「コレット、マアヤ、二人をありがとうございました。この館の方々もあなた達も無事でしたか?」
「問題ありません。古い塔が崩れかけましたが怪我人も出ておりません」
「それは良かったです」
コレットの報告に安堵する。
皆の無事を知って安心しました。
フェリクトールとアベルも館の奥から出てきて、二人に向かってお辞儀します。
「ただいま戻りました。今日はありがとうございました」
「ブレイラこそ今日は頑張ったな。上出来だったぜ、さすが勇者と冥王の御母上様」
そう言ってアベルがわざとらしいほど恭しく一礼する。
態度は仰々しいほど紳士然として礼儀正しいのに顔が笑っています。
「からかってます? そもそも男の私を母と呼ぶのは不快です」
「そこ、まだ突っ込むのかよ」
アベルは笑いながらも言いましたが、当たり前です。そう呼ばれているのは承知していますが、今でも『母』と自分で認めるのは少し面白くないのです。
そんな私達のやり取りにフェリクトールが気難しい顔で割って入ってくる。
「喜ぶのはまだ早いだろう。決議は明日に持ち込されたんだ。……まったく今日の会議では驚かされたよ。あんな乱闘騒ぎは前代未聞だ」
「……悪かったよ。我慢できなかったんだ」
フェリクトールにぎろりと睨まれたジェノキスが苦笑する。
フェリクトールは盛大に呆れた顔をしましたが、ジェノキスの全身を見て顔を顰めました。ハウストとの戦闘で彼は満身創痍なのです。
「なにかあったようだね」
「魔王様とやりあった」
「どうせ君が挑発したんだろう」
「ハハッ、正解。さすが宰相様」
「君はもう少し自分の立場を自覚した方がいい。もし魔界と精霊界が開戦したらどうするつもりだ。しかも開戦理由がたった一人の人間を巡ってなんて目も当てられない。後世に残したくない記録だ」
そう言ってフェリクトールがため息をつきました。
でも次には、「無事のようだね」と私に声を掛けてくれる。
フェリクトールは厳しい宰相ですがとても優しい方だと知っています。
「フェリクトール様、ご心配をおかけしました。ところで先ほどの地震ですが……冥界の混沌が影響したものでしょうか」
「それは調べてみないと分からないが、あれほど大きな地震は今までなかった。因果関係が無いとは言い切れないだろう。しかも地震は魔界だけに起こったようだ」
「魔界だけに……?」
それは違和感があることでした。
今までも影響を受けて地震が起こることがありましたが、それは魔界も精霊界も人間界も同時に起こっていたのです。それが魔界だけというのは奇妙なことに思えてしまう。
「調査結果がでるまではなんとも言えないよ。それより君は明日の会議に集中したまえ。今日で分かっただろう、君にとって甘いものではないと」
「……そうですね。心得ます」
フェリクトールの言う通りです。
今は明日の決議に集中する時。明日の決議で冥界の、ゼロスの運命が決まるのですから。
ふと、くいくいっと袖が引っ張られる。イスラでした。
「ブレイラ、あしたもオレは……おるすばん?」
イスラが不満そうに聞いてきました。
眉尻を下げて、「オレもいきたい」と訴えてくる。
私もイスラやゼロスと一緒にいたい気持ちはありますが四大公爵会議に連れて行くわけにはいきません。
「……はい、明日もお留守番をお願いします。すぐに帰ってきますから」
「きょう、おそかった」
「ごめんなさい。ちょっと用事が出来てしまったんです……」
困ったように答えると、イスラがじっと私を見上げてくる。
私の顔を見つめて訝しげに首を傾げます。
「……ブレイラ、なにかあったのか?」
「え?」
「へんなかお、してる」
イスラの大きな瞳がじっと私を見つめる。
心を見透かすような瞳に息が詰まりそうになって、なんとか平静を装います。
イスラは勘が鋭くて賢い子どもです。
でもだからこそ、ハウストとのことを伝えることに躊躇いを覚えてしまう。情けないですね、伝えなければならないのに。
私はゼロスを抱っこしたまま膝をつき、イスラと目線を合わせました。
そして。
「こらっ、変な顔とはどういう意味ですか。失礼ですね」
イスラの鼻をきゅっと抓む。
わざと怒った顔をつくって、「私、おかしな顔ですか?」と誤魔化します。
「そ、そうじゃないっ、ブレイラがいちばんきれいだ! そうじゃなくてっ」
「ふふ、ありがとうございます」
焦ってくれたイスラに優しく笑いかけました。
いい子いい子と宥めて、私はまた誤魔化してしまう。
「大きな会議だったので緊張したんです。でも明日で終わりますから。だから、もう少しだけ」
そう説得すると渋々ながらも頷いてくれました。
その姿に胸が痛くなる。
そろそろ覚悟を決めなければいけません。大切なイスラにいつまでも誤魔化していたくない。傷付けてしまうかもしれないけれど、その時はイスラとゼロスを抱きしめて眠りましょう。
私はイスラに笑いかけ、その体をそっと抱き寄せました。
◆◆◆◆◆◆
「メルディナ様、大丈夫ですか?! 地震で怪我はありませんか?!」
ドンドンと扉を叩く。
扉越しに声を上げているのは西の大公爵ランディ。まだ若いがその気弱な性格を心配されて修行の為に早々大公爵の地位を受け継いだ男である。そして魔王の妹姫メルディナの幼馴染でもあった。
四大公爵会議に出席する為に西都から王都へ来ていたランディだが、幼馴染のメルディナには一度も会っていない。
何度か会おうと尋ねたが門前払いが続いていたのである。
会うことを諦めかけていたランディだったが、先ほどの大きな地震でどうしてもメルディナが心配になったのだ。
しかし扉越しに何度声を掛けてもメルディナが顔を見せてくれることはなかった。
「メルディナ様っ、顔を見せてください! ……メルちゃん!!」
「――――煩いですわね! いいから下がってて!!」
「わっ……!」
いきなり怒鳴られてランディは肩を竦める。
だが、ようやく返ってきた反応にほっとした。
今まで返事すらしてもらえなかったのだ。
「無事なんだね、良かった……」
「分かったなら、さっさと立ち去りなさいなっ」
「……メルちゃん、ずっと部屋から出てこないって女官が話していたよ? どこか体調でも悪い?」
そう、ランディがメルディナに挨拶すらできない状態が続いているのは、メルディナが部屋から一歩も出てきていないからだった。
特に体調不良という話しはないが、ずっと心配していたのである。
「少しだけでいいから、顔を見せてくれないかな?」
「しつこいですわよ! 早くどこかに行って!!」
「っ、メルちゃん……」
一際大きく怒鳴られてランディの肩が跳ねる。
しかしメルディナが外に出てくる様子はない。
様子がおかしいのは間違いないのに、理由も分からなければ様子も分からない。ランディは自分の情けなさに歯噛みした。
「……分かったよ。今夜はもう行くけど、明日もまた来るからね」
ランディは心配そうに扉越しに声を掛ける。
やはり返事はなく、ランディは肩を落として立ち去った。
扉の外にあったランディの気配が遠ざかる。
カーテンを閉め切った暗い部屋で忌々しげに扉を睨んでいたメルディナは、自分の左腕の腕輪を見下ろした。
複雑な模様が刻まれた金の腕輪。腕輪の中心には黒い魔石が嵌めこまれ、不気味な光を放っている。
メルディナは魅入られたようにうっとりと見つめ、黒い魔石を指で撫でた。
これはメルディナの願いを叶える腕輪。
あともう少し、あともう少しで叶うだろう。
「……あの人間、絶対に殺してやるわっ……。お兄様には、絶対に近づかせない……!」
メルディナの瞳が憎悪で澱み、唇からは呪いの言葉が吐き出される。
全ては魔界の為、敬愛する兄の為、メルディナは爛々とした瞳で空を睨む。
あの人間は魔界に災いを齎し、兄を苦しめる存在。魔王の妹姫として殺さなければならない。殺してやる、殺してやる、殺してやる。
「ころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやるころしてやる」
部屋にぼそぼそと呟きが木霊する。
メルディナは薄ら笑いを浮かべ、腕輪を撫でながら呪いの言葉を繰り返していた。
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