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勇者と冥王のママは創世を魔王様と

第一章・冥界創世4

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 その夜。イスラとゼロスを寝かしつけると、二人の見守りをコレットとマアヤに任せました。
 理由は一つ、ハウストとともに別の寝所に入る為。
 見送られる時は相変わらず恥ずかしいですがコレットとマアヤの方が先に慣れてしまったようです。「ごゆっくり」などと見送られて、ほんとうに、あの二人。
 二人とはいろいろ話し合う必要がある気がします。

「考えごとか? 余裕だな」
「え? っ、あッ、まって、ああっ……!」

 耳元で低く囁かれたのと、私の中に入っていたハウストのものが奥を突いたのは同時。
 抗議の声は途中であえなく嬌声に変わってしまいました。
 四つん這いの態勢で奥を刺激され、背中がふるふると小刻みに震えます。
 背後からハウストが覆い被さってくると更に奥へと入ってきて、あっ……と喉が仰け反る。

「ブレイラ」
「んッ、ハウスト……」

 名を呼ばれて振り向くと唇が重なりました。
 シーツを握り締める手にハウストの大きな手が重なって、指を絡ませ、握りあう。
 不思議ですね。指を絡めると肌と肌が重なり合うのと同じくらい距離を近く感じます。

「あ、ふか……いっ、んッ」

 背後から片腕で腰を抱き寄せられ、奥を擦られて全身が熱くなる。
 身悶えていると胸に回ってきたもう片方の手が平らな胸を揉むように動き、硬くなっている突起を抓まれました。

「あッ、……ンンッ」

 思わず胸を仰け反らせると、背中のハウストが喉奥で笑う。
 胸を抓られるとジンッと疼いて、背筋に甘い痺れが走るのです。

「お前の中は気持ちがいいな」

 ハウストはそう言いながら、私のうなじや背中に唇を這わせます。
 時折気まぐれに胸の突起を抓まれて、ぴくりっと肩を震わせました。

「んッ……、動かないの、ですか?」

 背後のハウストをちらりと振り返りました。
 いつもと同じように二人で寝所に入り、ベッドで体を重ねたというのに、ハウストが私の中に入ってどれくらい経ったでしょうか。
 抱き締めて口付けをしながら中にいるだけで、快感を得る為に激しく腰を動かすことはありません。時折気まぐれに奥を突くだけで、それも戯れの域を出ることがない。

「こうしているのは嫌か?」
「そういう訳ではっ」

 慌てて首を振りました。
 嫌だなんて飛んでもないです。むしろ、いつもより、なんというか、その、気持ちいいのです。
 背中で密着した肌と肌が温かくて、気持ち良くて、穏やかなのに今までより深く交わっているような気がする。心も体も溶けてしまいそう。

「悪いな。気持ちいいんだ」
「……私も」

 自分の胸に回されているハウストの手をそっと掴みました。
 やはり意地悪で焦らされているわけではないようです。だって彼も私も温かくて気持ちいい。

「あの、それなら顔が……見たいです」

 ハウストを振り返ってお願いしました。
 こうして隙間もないほどくっつくのなら正面から抱きしめてほしい。
 そんな私の願いにハウストは眉を上げ、次には嬉しそうに破顔します。

「そうだな、俺もお前の顔が見たい。向きを変えるぞ?」
「あ、入れたまま……んっ、あぅッ」

 全身に甘い痺れが走って鼻にかかった高い声があがる。
 体を引っくりかえされた際、ナカに入ったままの彼のものが弱い所を擦ったのです。
 少し擦っただけなのに、それは目が眩むような快感でした。

「はぁ、まって、……ハウストっ、んッ」
「待ってろ。楽な体勢にしてやる」

 ハウストが私の腰を掴み、仰向けの体勢にして足を開かされました。
 抱き合って挿入されたまま彼の腰を両足で挟む格好になる。投げだした足のやり場に困っていると、ハウストの手が私の太腿を撫でながら誘導してきました。
 足を持ち上げられ、ハウストの腰を挟んで足を絡めろと……。

「こ、こんなっ……」

 体勢を意識した途端、全身の体温が一気に上がりました。
 なんてはしたない恰好っ、ああ眩暈がします……!
 思わず腰を引いてハウストのものを抜こうとするも。グチュリッ。

「アアッ! っ、ぁッ、う……!」

 ハウストに腰を押し付けられ、堪らない刺激に悶えてしまう。
 激しく動かれたわけでもないのに甘い疼きが体を支配している。
 はふはふと呼吸する私にハウストは目を細め、髪を撫でながら鼻先、頬、耳、唇と顔中に口付けを落としてきました。

「苦しいか?」
「わ、わかりませんっ。でもっ、ああダメですっ……!」

 また腰を押し付けられ、背筋を甘い衝撃が走り抜ける。
 思わずハウストの腰に両足を回して絡め、ぎゅっと全身で抱きつきました。
 なんとか衝撃をやり過ごす。

「うぅっ、なんで……、あっ、あ……、んッ」
「気持ちいいか?」

 問われて瞳を彷徨わせる。
 でもハウストに頭を優しく撫でられ、額に口付けられました。
 ダメです。こんなに甘やかされると、嬉しくて、暖かくて、気持ち良くて、ただただ愛おしさだけが込み上げる。

「……き、きもち、いいです……」

 素直に答えるとハウストが嬉しそうに目を細めました。
 呼吸が触れる距離で見つめられ、「俺もだ」と口元を綻ばせます。

「俺も気持ちいい。こんなに気持ちいいのはお前とだからか」
「ん、わたしも、あ……んっ」

 嬉しいです。動きを止めて全身で抱き合っているだけなのに彼は私だから気持ちいいと言ってくれる。
 両腕をハウストの背中に回し、両足を腰に回して全身でぎゅっと抱きつく。
 バカみたいな恰好ですね。まるで娼婦のように淫らで、はしたなく、滑稽で。
 でもどうしてでしょう。あなたも、あなたの瞳に映る私も、とても満たされた顔をしている。心も体も溶けあっているような。

「ブレイラ、愛してるぞ」
「はい。私も……、あなただけです」

 唇に口付けられ、薄く開いた唇に舌が忍び込んできます。
 しっとりと舌を絡ませ合い、混じる唾液を互いに飲み込んで、もっとと求め合う。

「ふ、う……んっ」

 全身が甘く疼いて、身悶えて、堪らなくなってまたぎゅっと抱き着きます。
 繋がったままの結合部からグチュリと卑猥な音がして、恥ずかしいのに、その音がまた体を熱くしました。

「こうしてずっと抱き合っているのも、たまには悪くないな」
「ふふ、そうですね。わたしも、ん……、そう、思います……」

 私はハウストとしか体を重ねた経験がありませんが、初めて体を重ねた時から彼はとても気持ち良くしてくれます。
 初めては痛みを伴うといいますが、彼の手解きは巧みで痛みよりも多くの快楽を齎してくれました。時には凶暴なくらいの快楽を。
 比べる相手がいないので分かりませんが、きっと彼はこういった行為が上手なのでしょうね。それくらい私にだって分かります。
 彼の過去に嫉妬を覚えないといえば嘘になりますが、過ぎ去った時間に拘るほど愚かではないつもりです。
 だって彼は私だからと言った。
 あなたが気持ち良くなるのは私だけ。そんな時がずっと続けばいい。

「ブレイラ」

 また名前を呼ばれて口付けを交わし合う。
 唇、頬、額、鼻先、耳へと触れるだけの口付けを落とされて、心地よさに目を細めます。
 彼の瞳に映る私はうっとりとした顔をしていて口元が綻びました。

「ハウスト、あの、そろそろ……」

 そう言って、ねだるように彼の腰に回した両足に少しだけ力を籠めてみる。
「あぅ……ッ」結合部がグチュリと鳴って、喉を仰け反らせました。
 動いてほしいと乞うた私に、ハウストが嬉しそうに目を細めました。

「動くぞ?」
「はい。おねがい、します……。あッ、あ、んっ、ああっ」

 ハウストがゆっくり動きだしました。
 硬く熱いもので内壁を擦られているだけで、熟れた果実が溶けていくようにナカがぐずぐずになる。
 堪らない甘い疼きに陥落し、もっとと欲しがるようにナカの彼を締め付けてしまう。

「あぅ、ん、あ、あ、……ふっ、うぅッ」

 声が我慢できません。
 激しく抜き差しされているわけでもないのに、少しの刺激だけで足の指先まで快感が駆け巡るのです。
 どんなに唇を引き結んでいても耐えきれずに甘い声が漏れてしまう。
 唇を噛み締めてハウストを見上げると目が合いました。
 ハウストは目を細めて、私を見つめている。

「お前は美しいな。そして、可愛い」

 前髪を上げるように撫でられて、露わになった額に口付けられました。
 たったそれだけなのに胸の奥から恥ずかしさと悦びが沸きあがる。

「ばかな、ことを。あっ、ああッ、ん……ッ」

 なにが美しいのか。
 なにが可愛いのか。
 こんなに足を広げて、もっと欲しいとねだって、はしたないばかりではないですか。
 でも、私を見つめる彼の瞳に嘘はない。

「ハウスト……」

 名を呼んで熱に浮かされたままハウストを見つめました。
 彼の前髪が汗で額に張り付いていて鼓動が高鳴ります。
 指で前髪をかき上げてあげて、そのまま耳に掛ける。
 あなた、かっこいいですね。思わず微笑みかけました。だって、初めて出会って恋をした時のように体が熱くなるのです。
 すると私のナカに入っている彼のものが大きさと硬さを増して、彼が欲情しているのだと私に教えてくれる。
 優しいけれど強い瞳です。私を見つめる瞳の奥に欲望が帯びて、私が欲しいと吠えている。
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