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罠と真実

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俺はウォーカーに俺達を全員始末したとオワネスに伝えるように指示をした。

優人「報告を終えたらここに戻れ、いいな。」

ウォーカー「ハイハイ!お任せを!」

ウォーカー(誰が戻るか!こんな奴等に付き合えるか報酬貰ったら暫く身を潜めないとな。)

マキ「ちょっといいかなエン。」

優人「どうした、キキ?」

ウォーカーが部屋を出ようとするとキキがまったをかけた。

マキ「ウォーカーだっけ、こっち来てくれる。」

キキがウォーカーを側まで来させると頭を鷲掴みにした。

ウォーカー「えっ ちょ 何!」

ゆっくりと手を離したマキはウォーカーに告げた。

マキ「気にしないで、ちょっと呪いを掛けただけだから。」

ウォーカー「ああ、呪いね。・・・!ええ~何でぇ呪いって何をしたの!」 

あまりに軽い調子で言われたウォーカーは始めは聞き流したが冷静になりかなり驚いた。

マキ「いや、あんた絶対に逃げるつもりでしょ。だから保険のためよ。ちなみに掛けた呪いは男のアレが一生使い物にならなくなる不能の呪いね!」

優人「流石キキ!じゃあ、更に逃げられないよいに男色になる呪いも掛けようぜ!」

命が惜しいウォーカーだが男としての生死に関わる呪いの為に逃げ出すことが出来なくなってしまった。

ウォーカー(この鬼畜コンビがーー!)

自分達を狙って来た暗殺者だが二人の容赦の無さにギースやレックスも哀れに思ってしまった。不意にミリスがギースとレックスに呟いた。

ミリス「この程度の鬼畜ぶりで驚いていては身が持たぬぞ。」

ギースはオワネスとカルネの二人が虎の尾を踏み縫いてしまう所か空腹のドラゴンの前でタップダンスを踊っている所を想像してしまった。

レックス(終わったな、あの馬鹿二人は。)

レックスも馬鹿二人の最後を確信した。




オワネス「そうか始末出来たか!それで死体はどうしたんだ?」

ウォーカー「ギレスの連中に知られると不味いんだろう、死体はこっちで処理しといたよ。」

オワネス「よし、これで私が正式にマスターだ!」

ウォーカー「早く報酬が欲しいんだが。」

オワネス「ふんっ、ほら!約束の2000万Gだ。さっさと消えるんだな。」

ウォーカー「ああ、そうするよ。あんたも気をつけるんだな。」

オワネス「?」

ウォーカー(コイツもお仕舞いか、俺はこの件が片付いたらどうなるんだろうな。)

ウォーカーは報酬を受け取りその場から姿を消した。

オワネス「これでやっとネズミとも縁が切れたな、いずれ奴も始末しないとな。」

オワネスはほとぼりが冷めたらウォーカーも始末しようと企んでいた。

オワネス「兄さんに報告するか。」

オワネスは兄であるカルネ大臣に会うためにカルネの屋敷へと向かった。




オワネスが屋敷に着くと直ぐにカルネの書斎へと通された。 

カルネ「オワネス良くやったな!これで冒険者も自由に動かせるぞ。」

オワネス「しかし、兄さん本当にレックスを殺ってしまって良かったのか?」

カルネ「構わん。思い通りにならない力は自分に降りかかる危険があるからな。それに、A級冒険者はまだ居るのだ問題はない!」

オワネス「私がギルドマスターになったんだ、これで計画も大詰めですね!兄さん。」

カルネ「ああ、今までの根回しで貴族の8割はワシの側についている。後は王族を引きずり落とせばこの国の王座はワシの物だ!」

オワネス「ですが兄さん、いきなり王族を排斥しては民への印象が悪くなるのではないですか?」

カルネ「はあ、何のためにお前をギルドマスターにしたと思ってるんだ。ギースの失踪とギレスの冒険者達の件は王が画策したものにすればよい、証拠はそちらで作っておけ。」

オワネス「成る程分かりました。ところで兄さん約束は覚えていますよね!」

カルネ「心配するな、勿論わかっている。暫くしたらお前を新たな大臣に据えてやる!」

兄弟は自分達の明るい未来を思い描いているが後ろから地獄の手が伸びてきていることにまだ気がついていなかった。



ウォーカーがレックスの家に戻ると優人とレックスはギースの護衛をマキとミリスおまけのウォーカーに任せて、ギルドにオワネスがいないことを確認すると転移の魔法陣でギレスへと向かった。

優人「着いたな、早速マスターの所に行くぞ。」

レックス「本当にギレスの王が協力してくれるのか?」

優人「十中八九大丈夫だ。だが先ずはマスターに話してからだ!」

幸い夜のギルドは人がおらず急いでマスターの部屋に向かう事が出来た。

優人「マスター!居るか、エンだ話がある。」

ゼニス「エン!入れ」

優人が部屋に入るとシャーリーと何やら書類を整理していた。

ゼニス「お前試験はどうなった!それよりもそいつはポセイドルのレックスじゃねぇか!一体どうしたんだ?」

優人はポセイドルで起きたことそして、大臣達の企みを全てを話した。

ゼニス「そうか、ギースの奴が倒れたのはそういう訳だったのか。それで俺にどうしろと。」

優人「ジュリウス陛下に協力を頼めないか!」

ゼニス「・・・良いだろう、ポセイドルに貸しを作れるしジュリウスも納得するだろう。それに、いけすかないオワネスの野郎を潰せるんだ!それだけでも協力する価値があるぜ。」

シャーリーに命じてジュリウスに連絡を入れると30分と経たない内にジュリウスがやって来た。

ジュリウス「エン!お前らは本当に話題に事欠かないな。また良い儲け話しを持ってきてくれるとはな!」

ジュリウスは一人の付き人と一緒にやって来た。

ジュリウス「お前がレックスか噂は色々きいてるぞまあ、世間話は後だそれで俺に協力して欲しいんだよな。勿論構わないぜ!」

それからオワネスとカルネをどうやって潰すか話を進めた。

ジュリウス「取り敢えずエン、お前が捕まえているウォーカーに二人の動向を調べさせろ、ポセイドルの王には俺から話を通しておくからさ!」

そして、俺とレックスはポセイドルに戻ろうと部屋を出ようとすると陛下に呼び止められた。

ジュリウス「チョイまちエン、行く前にこれ持っていって。」

渡されたのは野球のボールより少し小さい魔導球だった。

ジュリウス「それは最近モルガナで開発された新しい通信用の魔導具だよ、それがあれば俺やゼニスと連絡を取れる。」

受け取ると陛下の付き人が使い方を説明してくれた

「エン様、私はモルガナより派遣された魔法使いのケインと言います。よろしく。」

ケインからの説明では魔導球に話したい相手の名前を言うと相手の魔導球につながるようだ。説明が終わり転移の部屋に向かおうとすると

ケイン「私が転移の魔法でお二人をポセイドルまでお送りいたします。」

ケインはジュリウスがアルカディアとの取引で手に入れた、獣操剣と引き換えにモルガナから派遣された優秀な魔法使いで一人で転移の魔法を使えるようだ。

ゼニス「エン!頼むぞ!」

エン「ああ、任せろ!」




俺達はポセイドルに戻りウォーカーにオワネスとカルネを調査するように頼んだ。時間がかかると思ったがあっさりと報告が帰って来た。

ウォーカー「先ず奴等が動くのは3日後の王への報告会の日だ、その日はポセイドル中の高官や軍の関係者全員が集まる、そこで王にギースやお前らの殺害の件を問い詰めて罪を擦り付けるつもりみたいだな。」

マキ「良くそんな詳しい情報が手に入ったわね。」

ウォーカー「馬鹿二人が酒飲んで話してたよ、お前らを始末出来たと思って勝利の祝杯でも挙げてたんだと思うよ。」

俺は早速陛下に連絡を入れた。

ジュリウス〈分かった!3日後だな。俺もゼニスと共に3日にそっちに行くからそれまで見つからないようにしてくれよ。〉

俺達は3日の間レックスの家に隠れる事になった幸い水や食料は隠し部屋にもあったのでなんとかなりそうだ。  




ジュリウスは今ポセイドルの王と通信用魔導球で連絡をとり優人からの情報を話していた。

ジュリウス「そういう訳で奴等の謀反は3日後だけどどうするつもり、貴族の8割は奴等に着いているみたいだし多分、軍の人間も信用出来ないんじゃないかな。」

「・・・分かりきっている事を!何が望みだ。」

ジュリウス「俺が開催する祭りに協力して欲しいんだよ!それとそっちのレックスを少し借りたいんだよね。」

「祭りへの協力とやらは了承しよう、だがレックスの奴についてはギースと相談しろ。私は冒険者についてはあまり干渉しないつもりだ。」

ジュリウス「分かった!あんたは心配しないで構えていて構わないよ、あんたや他の王族の護衛はこっちでやるからさ!」

そういうと通信を切り部屋で一人呟いていた。

ジュリウス「これで良い、先ずはポセイドルそしてモルガナ、残りのシュラウドも祭りでどうにかするあと少しでアルカディアを終わらせる事ができる。フフフ!」

ジュリウスは一体何を企んでいるのかそれがわかるのはまだ先の話し。






  


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