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五章 選択
五十一話 オリジナル
しおりを挟む「貴族の生活ってどんな感じなんすか? やっぱり豪勢な食事とか出てくるんすかね?」
「いや、貴族といっても僕たちの生活は平民の人たちとほとんど変わりませんよ。」
「そうそう、位も一番下だしな。」
「へぇ~てっきりお金持ちなのかと思ってたよ。」
「貴族にも色んな人がいるんだね……」
学院生活が始まり約2週間。俺たち新入生もここの生活に慣れ、今は談笑して過ごしていた。
2週間も過ごすとクラスにもある程度のグループが生まれ、俺はミル・ローナ・ニイダの4人に加えて、タッグ戦の試合で仲良くなったソーラとカーズの合計6人と一緒にいることが多くなった。
「…………」
(…………また独りか。)
ちなみに、ラナはほとんど1人で過ごしていた。
あの整った見た目から最初は大勢に話しかけられていたが、ラナは初めから誰とも連(つる)む気はなかったようで淡々と受け答えをした結果、今のような立ち位置となっていた。
……昔のラナは独りぼっちが嫌いだったのか、よく俺にくっついていたが……成長したのだろうか。
(…………何様って話だが。)
「そういえば……次の授業は何か特別らしいですよ。」
「特別?」
「特別っていえば前みたいなタッグ戦とかっすかね……だったらまたウルスさんと組みたいっすねー」
「あっ、私も組みたい! ウルスって何か凄いことしてくれそうだし面白そう!」
「だ、駄目! 次は私だよ!」
「人気者ですね、ウルスさん。」
「まっ、確かにウルスの戦い方は凄かったし……俺も一回組んでみたいな!」
「…………持ち上げるのはやめてくれ、落ち着かない。」
…………こうやって同じ年代と過ごすのは違和感があって仕方ない。
(まあ………同年代というのはあれだが。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「この2週間で魔法の基本はそこそこ学べてるはずだろう……そこで、今回は課題を出す。3日後までに私が指定した2人ペアでオリジナル魔法を作り、披露してもらう。」
「えっ、課題?」
「急だな……しかもオリジナル魔法……?」
授業が始まった途端、ラリーゼがいきなりな課題を言い渡し……クラス全体が騒めき出す。
そして、ローナも同じように動揺しながら俺たちに聞いて来た。
「オ、オリジナル魔法? それってなに?」
「知らないのか? 既存の魔法ではなく新しく作られた魔法のことだ、お前のフレイムアーマーもそれと一緒だ。」
「オリジナル魔法っすか……楽しそうな課題っすね!」
ニイダはウキウキとした様子でそう言う。
オリジナル魔法……自分で魔法を作るというのは、実際みんなが驚くほど難しくはなく、単純な物なら1日あれば作れてしまう…………その場合、既存の魔法と性能が被ったりすることもあるが。
だが、複数人で3日もあればよっぽどでもない限り魔法ができないことはない。ラリーゼはそれも考慮しているのだろう。
「ラリーゼ先生、質問いいですか?」
「何だ、アイク?」
「オリジナル魔法を作るって、具体的にどのような魔法を作ればいいんですか? 回復魔法とか、攻撃魔法とか……」
「何でもいい。属性も性質もお前たちが自由に決めていい……が、あくまで実用的な魔法にしてくれ。あと、他には無い特殊な物だとより点は高いかもな。」
(特殊な魔法か…………)
ラリーゼの言う『特殊な物』というのはあまりよく分からないが……要は意外性かつ実用性のある魔法を求めてるのだろう。
「分かりました……では、ペアというのは?」
「そのまんまだ。私が無作為に2人組を指定する……その2人で協力して魔法を使ってもらう。ちなみに魔法は1人用、2人用どちらでもいい。」
「なるほど……ありがとうごさいました。」
質問をし終わり、カーズは席に座る。
(……以前のタッグ戦でのペア決めは自由だったのに対して、今回はラリーゼが選ぶのか。)
決め方が違う理由はよく分からないが……何か理由があるのだろうか。
(俺たちの新たな可能性…………そんなところだろうか。)
「この課題の期間中、魔法作りに集中してもらうため授業は無しにする……じゃあ、ペアを発表していくぞ。まず………」
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