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三章 入学試験 (学院編)
三十三話 仮の武器
しおりを挟む(………そういうことか。)
ローナと初めて会った時の俺は、まだ神眼を神眼を覚えたばかりだった。神眼はある程度使い方を知ればコントロールもできるが、使い始めて間もない頃は常に目が紫だったはず。
そして、コントロールできるようになった今の俺の目の色は黒…………通りでバレないわけだ。
「む、紫かぁ……珍しいねぇ?」
「……そうだな。」
「う~ん、だからあったら絶対気付くんだけどなぁ。」
ミルがじと目でこちらを見てくる。ミルには旅での出来事はそれなりに話したが…………
「……………」
「……………」
(……気づいたか?)
「あ、私はこっちだから……じゃあまた明日!」
俺たちが意味深に見つめ合っている中、ローナは帰って行ってしまった。
「…………ねぇ、ウルスくん。」
「……なんだ。」
「ユウって、もしかしてウルスくんじゃないの?」
「………違うだろ。」
「本当?紫っていうのも神眼を使ってたからじゃない?」
「……………俺はユウって奴じゃないぞ。」
「えぇー本当かなぁ?私はそうだと思うけどねぇ……?」
……別にミルにバレたところで特に問題はないが……何だか面倒くさそうなので誤魔化しておく。
「…そんなことより、武器を取りに行くぞ。」
「えっ……ちょっ、ま、待ってよぉ!」
俺は無理矢理話を終わらせ、足早にガータの店へと向かった。
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「お……来たか、もう出来てるぞ。」
「ああ、ありがとう。」
「ありがとうございます!」
ガータの店に今度は正面から入る。するとカウンターには既にガータが居座っており、目の前の机には片手剣と細剣の2つの武器が置いてあった。
俺たちはそれぞれ武器を取り、鞘を抜いて状態を確かめた。
「……この武器の名前はなんですか?」
「えっと……そうだな。ウルスが持ってる片手剣が『シュヴァルツ』、ミルが持ってる方のレイピアが『ペール・アクア』だ。」
「ペール・アクア……」
「………なんか、そのままの名前だな。」
「『そのまま』ってなんだよ。」
シュヴァルツは黒い剣身に灰色の柄をした、片手剣の中では比較的細い武器だ。そしてミルの持つペール・アクアは薄い水色で統一された、少し太めの剣身を持ったレイピアだった。
俺たちは一通り剣を眺めてから、鞘へとしまった。
「代金は要らないよな?」
「ああ。だが、また今度仕事手伝ってもらうぞ? どうせここにはその内来るんだろ?」
「…………分かった……それじゃあな。」
「おう、試験頑張れよ!」
俺たちは店を出る。
……俺たちが持っている武器には威力も能力もかなり劣るが……十分上物だろう。しばらくは大丈夫そうだ。
「……よし、これで仮の武器も貰ったしそろそろ宿に行こうよ!」
「ああ。」
ミルは新しい武器を手に入れて嬉しいのか、上機嫌でそう言った。
……………それにしても。
(……ガータはなんで知ってるんだろうな。)
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