4 / 7
4話
しおりを挟む
あのあと仕事があるエイデンと別れ、何事もなくベッドで眠りにつく。その夢の中で二人の少女が楽しそうに話していた。
「…それでね!アニタのお兄さんにバレちゃったの!」
「え!それは本当ですか!?」
大丈夫でしたか?と上目遣いで心配するアニタにアキは思わず顔が緩む。
「もうほんっとに…かわいい~!」
そう叫んで彼女に抱きつこうとすると持ち前の運動神経でスッと避けられ、抱きつこうと伸ばした手の甲をペシッと軽く叩かれた。
「痛かったでしょうが私はアキを心配しているのです!分かっていますか!?」
「分かってるけど、私は推しが可愛くて仕方がないの!」
「…お、推し??」
「そう!最初は少し厳しそうな印象だったけど凄く優しいし、めっちゃ可愛い!エイデン兄様がシスコンになる理由もめちゃくちゃ分かる!」
まだまだ熱く語るアキからアニタは少し離れて困惑しながらも真面目に聞いていた。
「推し?というのはとにかく分かりました。それよりお兄様にバレたことはどうなったのですか?」
「それがね案外冷静だった。やっぱりねって」
「…なんというか、お兄様らしいですわ」
アニタはその光景を思い浮かべているのかエイデンと似た考え方をして納得する。
「アハハッ!確かにね。あっ、でもねアニタが魔物討伐騎士団になりたいっていうの聞いたら卒倒しそうな勢いだったよ」
「それは言ったことありませんもの。驚くのも当然ですわ」
二人で一緒に声を上げて笑い、エイデンの話で盛り上がる。ひとしきり話したあとアキは聞かなければならないことを思い出した。
「あ、そうだ!ねぇアニタ、魔物討伐騎士団ってどうやってなるの?」
「そうですね…実技試験が主です」
「やっぱりか。でも筆記はないの?」
「それがあるのは王家の騎士や文官ですわ」
「王家かーそれにはなりたくないんでしょ?」
「えぇ。確かに王家の騎士もお強いですが私が心からなりたいと思ったのは魔物を倒す騎士なのです」
「じゃあ私も一緒に頑張る。アニタになら背中を預けられるよ」
「…!私もアキを信じていますわ!」
「フフッ。あ、あとねもう一つ聞きたいんだけど今アニタに婚約者って…いる?」
「はい、いますよ」
「その人とはどうするの?」
「婚約破棄…ってところでしょうか?ですが、あちらからしてくれるのを待ちます」
「なんで?」
「相手の評判を悪くするからです。何か問題があったときにするものですからね」
「その相手って誰なの?」
「それは…」
次に続こうとした言葉を聞こうとしていた瞬間意識が切れ、目を開くと朝になっていた。
「…転生したときも思ったけどなんでこうもタイミングが悪いんだろう」
この世界の小説を買ったのに中身も読めずただ転生したが今のところは順調に進んでいる。しかし今日はいつもと違って胸騒ぎを覚えた。気のせいだと思っているとコンコンとドアを叩く音が鳴りゆっくりと開く。
「起きたかい?アニタ」
「おはようエイデン兄様」
「うん、おはよう!突然だけど今日は君の婚約者が訪れるそうだ」
「…私の婚約者って誰なの?」
「あれ?アニタから聞いてない?君の婚約者はこの王国の第2王子であるローウェン・イニーツィオ様だよ」
「…それでね!アニタのお兄さんにバレちゃったの!」
「え!それは本当ですか!?」
大丈夫でしたか?と上目遣いで心配するアニタにアキは思わず顔が緩む。
「もうほんっとに…かわいい~!」
そう叫んで彼女に抱きつこうとすると持ち前の運動神経でスッと避けられ、抱きつこうと伸ばした手の甲をペシッと軽く叩かれた。
「痛かったでしょうが私はアキを心配しているのです!分かっていますか!?」
「分かってるけど、私は推しが可愛くて仕方がないの!」
「…お、推し??」
「そう!最初は少し厳しそうな印象だったけど凄く優しいし、めっちゃ可愛い!エイデン兄様がシスコンになる理由もめちゃくちゃ分かる!」
まだまだ熱く語るアキからアニタは少し離れて困惑しながらも真面目に聞いていた。
「推し?というのはとにかく分かりました。それよりお兄様にバレたことはどうなったのですか?」
「それがね案外冷静だった。やっぱりねって」
「…なんというか、お兄様らしいですわ」
アニタはその光景を思い浮かべているのかエイデンと似た考え方をして納得する。
「アハハッ!確かにね。あっ、でもねアニタが魔物討伐騎士団になりたいっていうの聞いたら卒倒しそうな勢いだったよ」
「それは言ったことありませんもの。驚くのも当然ですわ」
二人で一緒に声を上げて笑い、エイデンの話で盛り上がる。ひとしきり話したあとアキは聞かなければならないことを思い出した。
「あ、そうだ!ねぇアニタ、魔物討伐騎士団ってどうやってなるの?」
「そうですね…実技試験が主です」
「やっぱりか。でも筆記はないの?」
「それがあるのは王家の騎士や文官ですわ」
「王家かーそれにはなりたくないんでしょ?」
「えぇ。確かに王家の騎士もお強いですが私が心からなりたいと思ったのは魔物を倒す騎士なのです」
「じゃあ私も一緒に頑張る。アニタになら背中を預けられるよ」
「…!私もアキを信じていますわ!」
「フフッ。あ、あとねもう一つ聞きたいんだけど今アニタに婚約者って…いる?」
「はい、いますよ」
「その人とはどうするの?」
「婚約破棄…ってところでしょうか?ですが、あちらからしてくれるのを待ちます」
「なんで?」
「相手の評判を悪くするからです。何か問題があったときにするものですからね」
「その相手って誰なの?」
「それは…」
次に続こうとした言葉を聞こうとしていた瞬間意識が切れ、目を開くと朝になっていた。
「…転生したときも思ったけどなんでこうもタイミングが悪いんだろう」
この世界の小説を買ったのに中身も読めずただ転生したが今のところは順調に進んでいる。しかし今日はいつもと違って胸騒ぎを覚えた。気のせいだと思っているとコンコンとドアを叩く音が鳴りゆっくりと開く。
「起きたかい?アニタ」
「おはようエイデン兄様」
「うん、おはよう!突然だけど今日は君の婚約者が訪れるそうだ」
「…私の婚約者って誰なの?」
「あれ?アニタから聞いてない?君の婚約者はこの王国の第2王子であるローウェン・イニーツィオ様だよ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
異世界転移したら傭兵団を率いることになりました
響 恭也
ファンタジー
士官候補生だった俺こと、有田義信は、戦場で狙撃兵によって倒された。
死んだはずだったが目覚めてみるとなぜか戦場のど真ん中で、傭兵隊長のガイウスに拾われる。
帝国の権力争いに敗れて戦場で消息を絶ったガイウスから傭兵団を引き継ぐことになる。
そして、西方辺境から物語は動き出す。魔物の氾濫と分裂する帝国。歴戦の傭兵、ガイウスからアルと名付けられた少年は何を成すのか。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
婚約者に裏切られた女騎士は皇帝の側妃になれと命じられた
ミカン♬
恋愛
小国クライン国に帝国から<妖精姫>と名高いマリエッタ王女を側妃として差し出すよう命令が来た。
マリエッタ王女の侍女兼護衛のミーティアは嘆く王女の監視を命ぜられるが、ある日王女は失踪してしまった。
義兄と婚約者に裏切られたと知ったミーティアに「マリエッタとして帝国に嫁ぐように」と国王に命じられた。母を人質にされて仕方なく受け入れたミーティアを帝国のベルクール第二皇子が迎えに来た。
二人の出会いが帝国の運命を変えていく。
ふわっとした世界観です。サクッと終わります。他サイトにも投稿。完結後にリカルドとベルクールの閑話を入れました、宜しくお願いします。
2024/01/19
閑話リカルド少し加筆しました。
勇者の処分いたします
はにわ
ファンタジー
勇者・・・それは世界を救う人類の希望。
けれども世の中には断罪され、追放されたり首をはねられたりした勇者もございます。
おイタの過ぎた勇者様は処分を下される、そんな者達のお話です。
#短編集に近い形になるかと思います。
オークと女騎士、死闘の末に幼馴染みとなる
坂森大我
ファンタジー
幼馴染みである奥田一八と岸野玲奈には因縁があった。
なぜなら二人は共に転生者。前世で一八は災厄と呼ばれたオークキングであり、玲奈は姫君を守護する女騎士だった。当然のこと出会いの場面は戦闘であったのだが、二人は女神マナリスによる神雷の誤爆を受けて戦いの最中に失われている。
女神マナリスは天界にて自らの非を認め、二人が希望する転生と記憶の引き継ぎを約束する。それを受けてオークキングはハンサムな人族への転生を希望し、一方で女騎士は来世でオークキングと出会わぬようにと願う。
転生を果たした二人。オークキングは望み通り人族に転生したものの、女騎士の希望は叶わなかった。あろうことかオークキングであった一八は彼女の隣人となっていたのだ。
一八と玲奈の新しい人生は波乱の幕開けとなっていた……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる