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闇魔法 2
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闇魔法を教え始めて数カ月がたったがやはり進みは遅くなる。今までなら数日で基本的な魔法を覚えていた。しかしこの魔法はまだ第一段階の途中だ。第一段階は体全体に黒のオーラを行き渡らせて体外に出すだけだがこれだけでも難しい。簡単に言えば、コーヒーと牛乳を同じコップに入れて分かれたままでもう一つのコップに移す。しかしこの2つが混ざってしまえばもう戻すことはできない。私が普通の人だったら二度と魔法が使えなくなるどころか命の危機すらあるその魔法を使いたいとは思わないだろう。それなのにノアはそのリスクを背負ってでもやりたいと言うのだから凄いと思う。だが…あの子にその魔法を教えることは…嫌な予感がしてならない。ふと空を見上げると灰色の分厚い雲が隙間なく埋まっていた。
「豪雨の前の雲みたいだな」
暗く重たい空を見上げて私は胸騒ぎをおぼえた。
師匠から闇魔法を教えてもらって数カ月がたったけどちっとも扱うことができない。他の魔法なら10日もあれば基礎の魔法は全て覚えていたというのに、この魔法になるともの凄く難しくて集中力がいる。集中して体中に闇の元素を自分の魔力と混ざらないようにゆっくりゆっくりと巡らせる。そうしていると急に息苦しくなってきて目の前が歪み汗だくで倒れてしまう。そして起きると木陰に寝かされている。その後師匠が「起きたか」と声をかけてくるのが一連の流れだ。それにしてもどうしてこんなに難しいのだろうか?と木陰で唸っていると「どうした?」と師匠が聞いてきた。
「うーん、どうしてこの魔法はうまくいかないんだろうと思って…」
「あー、やはり難しいか」
「…はい」
「そうだな…自分の魔力とその闇の元素の間に壁を作るイメージをしたらどうだ?いや、でも難しいか」
腕を組んで後ろの木に寄りかかる。この姿勢は昔から考え込むときの癖としてよく出てきた。
壁をイメージと言われた俺は早速実践してみようと体中の魔力に壁を作るイメージをし、その上で闇の元素を流してみることにした。すると今までの大変な努力が嘘のようにスムーズにできたのだ。
俺は嬉しくなり「見てください!」とはしゃいで振り向く。まだ腕を組んでいたが俺の呼びかけに顔を上げた瞬間目を見開いた。どうしてそんな顔をしているのか分からなかったが、この時俺は嬉しくなって見せようとした時に壁のイメージを消してしまった。そうなれば俺のオーラと混ざり始めて最悪の状況が出来上がりと言うわけだ。そして目の前が師匠から地面へと変わって体が叩きつけられる。
あれ…?体が動かない。それに暑い…いや、寒い?
なんとか目だけを動かして師匠を見ると血の気が引いたような顔して「ノア!!」と叫びながらこちらへと駆け寄ってくる。そんな姿を見てそんなに叫ぶなんて師匠らしくないなと呑気に思っていた。
「豪雨の前の雲みたいだな」
暗く重たい空を見上げて私は胸騒ぎをおぼえた。
師匠から闇魔法を教えてもらって数カ月がたったけどちっとも扱うことができない。他の魔法なら10日もあれば基礎の魔法は全て覚えていたというのに、この魔法になるともの凄く難しくて集中力がいる。集中して体中に闇の元素を自分の魔力と混ざらないようにゆっくりゆっくりと巡らせる。そうしていると急に息苦しくなってきて目の前が歪み汗だくで倒れてしまう。そして起きると木陰に寝かされている。その後師匠が「起きたか」と声をかけてくるのが一連の流れだ。それにしてもどうしてこんなに難しいのだろうか?と木陰で唸っていると「どうした?」と師匠が聞いてきた。
「うーん、どうしてこの魔法はうまくいかないんだろうと思って…」
「あー、やはり難しいか」
「…はい」
「そうだな…自分の魔力とその闇の元素の間に壁を作るイメージをしたらどうだ?いや、でも難しいか」
腕を組んで後ろの木に寄りかかる。この姿勢は昔から考え込むときの癖としてよく出てきた。
壁をイメージと言われた俺は早速実践してみようと体中の魔力に壁を作るイメージをし、その上で闇の元素を流してみることにした。すると今までの大変な努力が嘘のようにスムーズにできたのだ。
俺は嬉しくなり「見てください!」とはしゃいで振り向く。まだ腕を組んでいたが俺の呼びかけに顔を上げた瞬間目を見開いた。どうしてそんな顔をしているのか分からなかったが、この時俺は嬉しくなって見せようとした時に壁のイメージを消してしまった。そうなれば俺のオーラと混ざり始めて最悪の状況が出来上がりと言うわけだ。そして目の前が師匠から地面へと変わって体が叩きつけられる。
あれ…?体が動かない。それに暑い…いや、寒い?
なんとか目だけを動かして師匠を見ると血の気が引いたような顔して「ノア!!」と叫びながらこちらへと駆け寄ってくる。そんな姿を見てそんなに叫ぶなんて師匠らしくないなと呑気に思っていた。
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