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Season1-Archive
ある研究員の日記
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8月11日(火) 晴
まったく最悪だ。なんで俺がこんな田舎の研究所に来なきゃならないんだ。同期の連中はニューヨークやらロスやらで働いているってのに……くそっ!!土地が安いかどうか知らねーがもっと中心部に作りやがれ!!
と、いうわけで何もなくて暇だろうから日記を書くことにした。いつまで続くかわからないけど。
8月12日(水)晴
今日はこの町の散策をした。といっても特に何もなかった。派手なクラブがあるわけでもないしかと言って澄んだ森があるわけでもない。周りは見渡す限り畑と牧場に囲まれていて特に見るものはない。おまけに住民たちはよそ者の俺をあまり歓迎していない様だ。
唯一といってもいい癒しが昼食に入ったバーの店員だ。彼女は他の奴らと違って俺に好意的に接してくれた。あの綺麗な瞳が忘れられない。また明日も行こう。
8月13日(木)雨
昨日の日記を見て自分でも気持ち悪くなる。10代の女の子か俺は。
残念ながら今日は土砂降りで外に出る気が起きない。彼女に会うのもお預けだ。
あまりに暇なので俺の仕事について紹介してみる。と言ってもこれ見るの俺しかいないんだけど……。
俺は新しく発見された細菌の研究をしている。なんでも高いエネルギー生産性を持っているらしい。わずかな栄養だけでも生きていけるし他の細菌と比べても活発に動く。論文を読んだだけでは何故そんな能力を身につけることができたのかはわからない。きっと生命の神秘ってやつだろう。それか神様の悪戯か……。
俺の研究所ではその細菌の遺伝子を変異させたり、様々な条件で培養したりしてよりエネルギー効率を上げたりしている。将来的には新しいエネルギー源としての活用が期待される。
俺の研究が世界の役に立つ……そう考えるとヤル気が出てきた。月曜からの仕事、頑張ろう。
2月2日(火)曇
案の定、3日で日記を書くのをやめていた。しょうがねーだろ。特に書くこともなかったんだから。一応書いておくが、バーの彼女、ジョアンヌとは色々あったが交際することができた。付き合ってみて口うるさい女だと気づいた。
また日記を書いてみることになったのは俺の環境が急激に変化したからだ。何故か軍の連中がこの前から出入りする様になっていた。なんでも大統領命令らしい。
新しい仲間もできた。実験用のラットたちだ。何故この研究所でラットを使うのかはわからないが……。
俺の仕事も細菌の世話からラットの世話に変わった。……昇進……と思っていいのだろうか。給料は全然変わってないけど。
まあ変化があるのは嬉しい。ネズミたちも細菌よりはかわいいしな。俺はネズミの一匹にスチュアートと名付けた。あの映画また見たいな。
2月3日(水)晴
ジョアンヌが俺の研究所についてしつこく聞いてくる。恐らく町の住人に聞けと言われたのだろう。軍の奴らが出入りして不安なのはごもっともだが俺にも訳がわからない。あまりにしつこいのでつい怒鳴りつけてしまった。彼女は泣きながら飛び出てった。あんな女知るか。
今日から煩わしい防護服を着ることになった。前までは白衣だけでOKだったのに……。同僚に聞いてみるとなんでも細菌が突然変異で生物への感染力が高まったらしい。だからってここまでするか……感染しても風邪で済みそうなもんだけど……。
2月4日(木)雨
ジョアンヌとはまだ連絡をとってない。悪いのは俺じゃない向こうだ。絶対に俺からは折れてやらない。
仕事の話だが、妙なことが起きた。スチュアートに細菌を投与すると暴れて血を吐いて死んだかと思ったらまた動き始めたのだ!!心拍数は下がっていたが光や刺激には反応するし餌も食う。だが趣向が変わったらしくひまわりの種よりも肉を好む様になった。グルメな奴め。
スチュアートは大人しいやつだったが興味深いことに他のラットを襲う様になった。動物の行動は専門外だが発情期というやつだろうか。スチュアートも隅におけない。
……彼女も俺が恋しいはずだ。
2月5日(金)曇
最悪だ。スチュアートが俺の指を噛みやがった。面倒臭い防護服を着なかったらこれだ……俺は運が悪い。
ラットたちは前と比べて凶暴になった。餌は十分に与えているのに共食いをし始める奴らまでいる。まったく、肉食系どころではない。
ああ、くそっ!!噛まれた傷がまだ痛みやがる。
……こんな時彼女がいたら……。
2月6日(土)晴
朝から頭が痛い。熱を測ったら見たことのない数字が出た。今日は仕事を休むことにした。……ジョアンヌが恋しい……。
夜になると体調が更に悪化して血まで吐いてしまった。もらっていたマニュアル通り軍に連絡する。大丈夫、すぐに良くなるはずだ。
2月7日(日)?
気がついたらガラスの檻に入れられていた。防護服をきた研究員たちが俺を観察している。ふざけるな。俺は動物園の猿じゃない。
なんとかこの日記は隠し持つことができた。ここから出たらこれを公表してやる。
頭が痛い。ジョアンヌ会いたい。
2が、8にち
からだかゆいはらへったにくくううまいかゆいうまい
ジョ アン ヌあいたい
かゆい うまい
日記はここで終わっている。
まったく最悪だ。なんで俺がこんな田舎の研究所に来なきゃならないんだ。同期の連中はニューヨークやらロスやらで働いているってのに……くそっ!!土地が安いかどうか知らねーがもっと中心部に作りやがれ!!
と、いうわけで何もなくて暇だろうから日記を書くことにした。いつまで続くかわからないけど。
8月12日(水)晴
今日はこの町の散策をした。といっても特に何もなかった。派手なクラブがあるわけでもないしかと言って澄んだ森があるわけでもない。周りは見渡す限り畑と牧場に囲まれていて特に見るものはない。おまけに住民たちはよそ者の俺をあまり歓迎していない様だ。
唯一といってもいい癒しが昼食に入ったバーの店員だ。彼女は他の奴らと違って俺に好意的に接してくれた。あの綺麗な瞳が忘れられない。また明日も行こう。
8月13日(木)雨
昨日の日記を見て自分でも気持ち悪くなる。10代の女の子か俺は。
残念ながら今日は土砂降りで外に出る気が起きない。彼女に会うのもお預けだ。
あまりに暇なので俺の仕事について紹介してみる。と言ってもこれ見るの俺しかいないんだけど……。
俺は新しく発見された細菌の研究をしている。なんでも高いエネルギー生産性を持っているらしい。わずかな栄養だけでも生きていけるし他の細菌と比べても活発に動く。論文を読んだだけでは何故そんな能力を身につけることができたのかはわからない。きっと生命の神秘ってやつだろう。それか神様の悪戯か……。
俺の研究所ではその細菌の遺伝子を変異させたり、様々な条件で培養したりしてよりエネルギー効率を上げたりしている。将来的には新しいエネルギー源としての活用が期待される。
俺の研究が世界の役に立つ……そう考えるとヤル気が出てきた。月曜からの仕事、頑張ろう。
2月2日(火)曇
案の定、3日で日記を書くのをやめていた。しょうがねーだろ。特に書くこともなかったんだから。一応書いておくが、バーの彼女、ジョアンヌとは色々あったが交際することができた。付き合ってみて口うるさい女だと気づいた。
また日記を書いてみることになったのは俺の環境が急激に変化したからだ。何故か軍の連中がこの前から出入りする様になっていた。なんでも大統領命令らしい。
新しい仲間もできた。実験用のラットたちだ。何故この研究所でラットを使うのかはわからないが……。
俺の仕事も細菌の世話からラットの世話に変わった。……昇進……と思っていいのだろうか。給料は全然変わってないけど。
まあ変化があるのは嬉しい。ネズミたちも細菌よりはかわいいしな。俺はネズミの一匹にスチュアートと名付けた。あの映画また見たいな。
2月3日(水)晴
ジョアンヌが俺の研究所についてしつこく聞いてくる。恐らく町の住人に聞けと言われたのだろう。軍の奴らが出入りして不安なのはごもっともだが俺にも訳がわからない。あまりにしつこいのでつい怒鳴りつけてしまった。彼女は泣きながら飛び出てった。あんな女知るか。
今日から煩わしい防護服を着ることになった。前までは白衣だけでOKだったのに……。同僚に聞いてみるとなんでも細菌が突然変異で生物への感染力が高まったらしい。だからってここまでするか……感染しても風邪で済みそうなもんだけど……。
2月4日(木)雨
ジョアンヌとはまだ連絡をとってない。悪いのは俺じゃない向こうだ。絶対に俺からは折れてやらない。
仕事の話だが、妙なことが起きた。スチュアートに細菌を投与すると暴れて血を吐いて死んだかと思ったらまた動き始めたのだ!!心拍数は下がっていたが光や刺激には反応するし餌も食う。だが趣向が変わったらしくひまわりの種よりも肉を好む様になった。グルメな奴め。
スチュアートは大人しいやつだったが興味深いことに他のラットを襲う様になった。動物の行動は専門外だが発情期というやつだろうか。スチュアートも隅におけない。
……彼女も俺が恋しいはずだ。
2月5日(金)曇
最悪だ。スチュアートが俺の指を噛みやがった。面倒臭い防護服を着なかったらこれだ……俺は運が悪い。
ラットたちは前と比べて凶暴になった。餌は十分に与えているのに共食いをし始める奴らまでいる。まったく、肉食系どころではない。
ああ、くそっ!!噛まれた傷がまだ痛みやがる。
……こんな時彼女がいたら……。
2月6日(土)晴
朝から頭が痛い。熱を測ったら見たことのない数字が出た。今日は仕事を休むことにした。……ジョアンヌが恋しい……。
夜になると体調が更に悪化して血まで吐いてしまった。もらっていたマニュアル通り軍に連絡する。大丈夫、すぐに良くなるはずだ。
2月7日(日)?
気がついたらガラスの檻に入れられていた。防護服をきた研究員たちが俺を観察している。ふざけるな。俺は動物園の猿じゃない。
なんとかこの日記は隠し持つことができた。ここから出たらこれを公表してやる。
頭が痛い。ジョアンヌ会いたい。
2が、8にち
からだかゆいはらへったにくくううまいかゆいうまい
ジョ アン ヌあいたい
かゆい うまい
日記はここで終わっている。
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