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Season1
巨人ーMonsterー3
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「……あいつ、首を何回切っても死ななかった。」
「すげー回復力を持ってるんじゃ?」
いつのまにか側に来ていたナナシが言った。
「いや、これまでも傷がすぐに回復する敵と戦ったことがあるけれど何回も首を切れば殺せた。……それにしてもあなた、いつの間にあいつの側に?」
「ああ、実は俺の素質で……」
ナナシは自分の素質が気配を消す“サイレント”であることと、それが殺意や敵意を持つと効果が消えることを説明した。
ポラリスは先程の巨人の動きについて思い出していた。何故、顔への瓶は振り払わなかったのに腹部への瓶は振り払ったのか。ポラリスに一つの考えが浮かんだ。
「あ、あの。もしあの巨人の頭が弱点じゃないとしたら……あの頭が飾りか何かで……例えば腹部に本体がいるとしたら」
「……どういうこと?」
「さっき、あいつは顔よりも腹部への瓶を優先して防いだんです。まるでそっちの方がよく見えるみたいに……すいません自分の見間違いかもしれないです……」
自分でも馬鹿げたことを言っていると思い声が自信を失っていく。
「……いや、あれだけ首を切っても死なないんだ。試して見る価値はある。」
「エストレアさん!?」
ポラリスの提案を聞きエストレアが立ち上がると巨人へ向かっていく。
「それに……あなたのことを信じてみたいと思ったから……。」
振り向くと少し笑うように口元を緩め、駆け出した。
巨人は未だ中庭で火傷した体を回復していた。
エストレアの接近に気づくと拳を無造作に振り回しながら後ろに飛んで距離を取る。なお接近するエストレアに向かって、両手に指のように縫い付けられた腕を用いて大量の瓦礫を投げつけた。
「……刃の羽……」
魔力の刃が羽のように舞うとエストレアに向かう瓦礫を自動的に打ち落としていく。
巨人の懐に入り込むと二本の剣で巨人の両腕と両足の筋を切ると巨人は脱力し動かなくなった。
エストレアはそのまま巨人の腹部の肉を切り裂いていく。開腹するとそこにはアンデットの頭部が埋め込まれており、喚きながらエストレアを睨みつけていた。
「……剣の山……!!」
剣で貫くと巨人の体の内部から次々と魔力の剣が突き出る様に出現し、その体を崩壊させた。
「エストレアさん!!無事ですか!!」
ポラリスは彼女の無事を確認すると巨人の死体を観察した。どうやら内部のアンデットがコアだったらしく、様々な死体のパーツを縫い合わせ、鎧のように纏っていたようである。ポラリスはコアのアンデットが身につけいている首飾りに気がつくと拾い上げた。
「……一回戻った方が良さそうだ……。」
エストレアの提案通り一度庭園に戻ることにした。
「ムサシ……あんた……」
シリウスはムサシの元にたどり着いた。そこは城の兵士のための修練場である。
「カ、カヲル……」
ムサシの足元にはカヲルが腹部から血を流して倒れており、ピクリとも動かない。恐らくもう事切れているのだろう。
「……俺がやる……下がっていてくれ」
シリウスが剣を構えるとムサシも腰の刀に手を添え、殺気立った。
「すげー回復力を持ってるんじゃ?」
いつのまにか側に来ていたナナシが言った。
「いや、これまでも傷がすぐに回復する敵と戦ったことがあるけれど何回も首を切れば殺せた。……それにしてもあなた、いつの間にあいつの側に?」
「ああ、実は俺の素質で……」
ナナシは自分の素質が気配を消す“サイレント”であることと、それが殺意や敵意を持つと効果が消えることを説明した。
ポラリスは先程の巨人の動きについて思い出していた。何故、顔への瓶は振り払わなかったのに腹部への瓶は振り払ったのか。ポラリスに一つの考えが浮かんだ。
「あ、あの。もしあの巨人の頭が弱点じゃないとしたら……あの頭が飾りか何かで……例えば腹部に本体がいるとしたら」
「……どういうこと?」
「さっき、あいつは顔よりも腹部への瓶を優先して防いだんです。まるでそっちの方がよく見えるみたいに……すいません自分の見間違いかもしれないです……」
自分でも馬鹿げたことを言っていると思い声が自信を失っていく。
「……いや、あれだけ首を切っても死なないんだ。試して見る価値はある。」
「エストレアさん!?」
ポラリスの提案を聞きエストレアが立ち上がると巨人へ向かっていく。
「それに……あなたのことを信じてみたいと思ったから……。」
振り向くと少し笑うように口元を緩め、駆け出した。
巨人は未だ中庭で火傷した体を回復していた。
エストレアの接近に気づくと拳を無造作に振り回しながら後ろに飛んで距離を取る。なお接近するエストレアに向かって、両手に指のように縫い付けられた腕を用いて大量の瓦礫を投げつけた。
「……刃の羽……」
魔力の刃が羽のように舞うとエストレアに向かう瓦礫を自動的に打ち落としていく。
巨人の懐に入り込むと二本の剣で巨人の両腕と両足の筋を切ると巨人は脱力し動かなくなった。
エストレアはそのまま巨人の腹部の肉を切り裂いていく。開腹するとそこにはアンデットの頭部が埋め込まれており、喚きながらエストレアを睨みつけていた。
「……剣の山……!!」
剣で貫くと巨人の体の内部から次々と魔力の剣が突き出る様に出現し、その体を崩壊させた。
「エストレアさん!!無事ですか!!」
ポラリスは彼女の無事を確認すると巨人の死体を観察した。どうやら内部のアンデットがコアだったらしく、様々な死体のパーツを縫い合わせ、鎧のように纏っていたようである。ポラリスはコアのアンデットが身につけいている首飾りに気がつくと拾い上げた。
「……一回戻った方が良さそうだ……。」
エストレアの提案通り一度庭園に戻ることにした。
「ムサシ……あんた……」
シリウスはムサシの元にたどり着いた。そこは城の兵士のための修練場である。
「カ、カヲル……」
ムサシの足元にはカヲルが腹部から血を流して倒れており、ピクリとも動かない。恐らくもう事切れているのだろう。
「……俺がやる……下がっていてくれ」
シリウスが剣を構えるとムサシも腰の刀に手を添え、殺気立った。
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