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Season1
疑惑ーDoubtー
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ロープでを動けないように縛った。
「あなた達は何者ですか。なにをしていたんですか」
二人は答えない。顔はローブと仮面でわからなかった。
「……仕方ない。……少し痛めつける。」
「!!エストレアさん!?」
剣を抜くエストレアを何とか制しようとする。
「……心配無用だ。加減は心得ている。殺すことはしない。」
「……でもだからって……」
そんなやりとりをしていると二人がブツブツと何かを呟いているエストレアが気づいた。
「……!?危ない!!」
エストレアがポラリスを抱き寄せ二人から離れる。
その直後、二人の体から炎が激しく上がった。炎が消える頃にはそこには二体の黒焦げた死体が転がっていた。もちろん顔はもうわからない。
「……そこにいるのは誰?」
「!!ナナシさん!?」
エストレアが物陰に話しかけるとナナシが出てきた。
「……なぜここに?」
「二人を探してやしたんですがこっちの方が騒がしかったんで来てみたんです。そしたら怪しい奴らがいたもんで隠れて様子を見てたんでさあ」
エストレアの疑惑の目にナナシがあたふたと説明する。
「……私たちに何の用だ。」
「そ、それが食糧庫の前にヤベー奴がいてよう!ビルの旦那が言うには七英傑かなんからしくて天使の旦那を呼んできてくれって言われたんでさあ!!」
ナナシが思い出したように焦った口調で話した。
「え!?七英傑のアンデットが!?」
「……分かった。すぐに行こう。」
三人は食糧庫に向かった。これから巻き起こるであろう戦闘の決意を胸に。
シリウスは城門の前に立っていた。辺りのアンデットは全滅させられていた。
体に魔力を巡らせると両手で数トンもある門を閉じる。門を閉じる装置が壊れてしまっていたのだ。
門はシリウスによって少しずつ押され、ついに完全に閉じ切った。
(……魔力の流れが鈍いな……)
腕に残る疲労を感じ取り思った。普段の彼ならばこんな門など片手でも楽々と閉じることができた。きっとこれまでの出来事が彼に精神的負担をかけているのだ。
辺りの様子を改めて観察した。そこに立っているのはシリウスただ一人であるが自分が倒したアンデット以外にも妙な死体が転がっていた。
妙な死体の外傷は二種類に分けられた。まず刀で斬り付けられたように横や縦に両断された死体。なかなかの手練れだろう剣筋に迷いはなく切断面は美しくさえ思える。もう片方の死体はそれとは対照的に頭を潰されていたり壁に叩きつけられたりなど酷い有り様であった。まるで巨人が暴れたような現場であった。
嫌な予感が彼の頭をよぎった為、庭園に帰ることにした。
庭園に帰る途中、廊下の先から何者かが近づいてきた。目を凝らして見るとそれはビルであった。
「シ、シリウス殿大変だ!カヲルが!!」
「……どうした、なにがあったんだ!?」
ビルは手当てはしてあったが身体中に深い傷を負っていた。
「あなた達は何者ですか。なにをしていたんですか」
二人は答えない。顔はローブと仮面でわからなかった。
「……仕方ない。……少し痛めつける。」
「!!エストレアさん!?」
剣を抜くエストレアを何とか制しようとする。
「……心配無用だ。加減は心得ている。殺すことはしない。」
「……でもだからって……」
そんなやりとりをしていると二人がブツブツと何かを呟いているエストレアが気づいた。
「……!?危ない!!」
エストレアがポラリスを抱き寄せ二人から離れる。
その直後、二人の体から炎が激しく上がった。炎が消える頃にはそこには二体の黒焦げた死体が転がっていた。もちろん顔はもうわからない。
「……そこにいるのは誰?」
「!!ナナシさん!?」
エストレアが物陰に話しかけるとナナシが出てきた。
「……なぜここに?」
「二人を探してやしたんですがこっちの方が騒がしかったんで来てみたんです。そしたら怪しい奴らがいたもんで隠れて様子を見てたんでさあ」
エストレアの疑惑の目にナナシがあたふたと説明する。
「……私たちに何の用だ。」
「そ、それが食糧庫の前にヤベー奴がいてよう!ビルの旦那が言うには七英傑かなんからしくて天使の旦那を呼んできてくれって言われたんでさあ!!」
ナナシが思い出したように焦った口調で話した。
「え!?七英傑のアンデットが!?」
「……分かった。すぐに行こう。」
三人は食糧庫に向かった。これから巻き起こるであろう戦闘の決意を胸に。
シリウスは城門の前に立っていた。辺りのアンデットは全滅させられていた。
体に魔力を巡らせると両手で数トンもある門を閉じる。門を閉じる装置が壊れてしまっていたのだ。
門はシリウスによって少しずつ押され、ついに完全に閉じ切った。
(……魔力の流れが鈍いな……)
腕に残る疲労を感じ取り思った。普段の彼ならばこんな門など片手でも楽々と閉じることができた。きっとこれまでの出来事が彼に精神的負担をかけているのだ。
辺りの様子を改めて観察した。そこに立っているのはシリウスただ一人であるが自分が倒したアンデット以外にも妙な死体が転がっていた。
妙な死体の外傷は二種類に分けられた。まず刀で斬り付けられたように横や縦に両断された死体。なかなかの手練れだろう剣筋に迷いはなく切断面は美しくさえ思える。もう片方の死体はそれとは対照的に頭を潰されていたり壁に叩きつけられたりなど酷い有り様であった。まるで巨人が暴れたような現場であった。
嫌な予感が彼の頭をよぎった為、庭園に帰ることにした。
庭園に帰る途中、廊下の先から何者かが近づいてきた。目を凝らして見るとそれはビルであった。
「シ、シリウス殿大変だ!カヲルが!!」
「……どうした、なにがあったんだ!?」
ビルは手当てはしてあったが身体中に深い傷を負っていた。
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