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Season1
感染ーInfectionー1
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ここに来るまでの経緯を思い出しシリウスは頭を抱えて震える。
「なんだか外が騒がしいわね……」
ポラリスと共に怪我人の救護や物資の配布を行なっていたアイリーンが疑問に思う。
「……ファランクスがアンデットに破られるとは思えません。」
ポラリスは自分に言い聞かせるようにアイリーンをなだめる。
そんな時であった。
「アラン!!しっかりしてどうしちゃったの!!」
声の方を見ると恋人だろうか。若い女性が怪我を負っているアランと呼ばれた男性の看病をしていた。男性の顔は蒼白で口から吐いたのであろうか、床には血溜まりができていた。
「っ!!アランやめて!!」
急にアランが女性を襲い始める。ポラリスが止めに入ろうとすると広間のあちこちで更に騒ぎが巻き起こっていた。
「一体何が起こっているんだ……!?」
唖然とした。一般にアンデット化の呪いは対象者の死後発動する。しかしこの広間には死体は運び込まれていない。
「ポラリス!!市民を守るんだ!!」
兵士の一人から槍を貰う。
「っ!!アイリーンさん!!ジョシュとルーナを連れて自分の側へ!!」
槍を強く握りしめ、市民を守る為駆け出した。
「無礼者!!王族になんたることを!!」
親衛隊に阻まれながらも襲い来るアンデットに向かって王女が叫ぶ。
「っ!!国王様!王女様!!お下がりください!!」
次々となだれ込んでくるアンデットの群れに親衛隊も押し込まれた。
その手が国王と王女に伸びる寸前で立ち上がったシリウスがそれらを斬り付ける。
「っ!!逃げますわよシリウス!!」
「……いえ母上……。ここの守りは俺が勤めます。」
シリウスは崩壊した親衛隊に代わり両親を守る。少し震えた手で剣を持ちながら。
「なんだ……この数は……」
兵士たちは急に出現したアンデットの対処に追われていた。しかし増え続けるアンデットに逆に押し込まれてしまう。
その時、広間の扉が開いた。
「ファランクスが崩壊!!大量のアンデットが入り込んできます!!」
表の決壊を知らせた兵士は広間の様子を見て唖然とする。
次いでリック隊長も広間に入り、ポラリスの無事を確認すると叫ぶ。
「ポラリス!!王と生存者を連れて安全な場所へ逃げろ!!」
「そんな……自分だけ逃れません!!」
「さっさと行け!!残りの兵隊が防いでくれているがすぐに決壊するだろう。大量のアンデットがなだれ込んでくる!!」
「でも……なんで自分が……」
「この中で城の構造を一番知っているのは誰よりも雑務をこなしてきたお前だ!!安全な場所も知っているはずだ!!生き残るために考えろ!!」
確かにポラリスは様々な雑務をこなす中でこの入り組んだ城の部屋の位置や経路を把握していた。
「ポラリス君。隊長殿の言う通りここもやばそうだ」
こちらも対処していたビルが話しかける。
「っ!!どうか御無事で……」
生存者を探すために駆け出した。
「なんだか外が騒がしいわね……」
ポラリスと共に怪我人の救護や物資の配布を行なっていたアイリーンが疑問に思う。
「……ファランクスがアンデットに破られるとは思えません。」
ポラリスは自分に言い聞かせるようにアイリーンをなだめる。
そんな時であった。
「アラン!!しっかりしてどうしちゃったの!!」
声の方を見ると恋人だろうか。若い女性が怪我を負っているアランと呼ばれた男性の看病をしていた。男性の顔は蒼白で口から吐いたのであろうか、床には血溜まりができていた。
「っ!!アランやめて!!」
急にアランが女性を襲い始める。ポラリスが止めに入ろうとすると広間のあちこちで更に騒ぎが巻き起こっていた。
「一体何が起こっているんだ……!?」
唖然とした。一般にアンデット化の呪いは対象者の死後発動する。しかしこの広間には死体は運び込まれていない。
「ポラリス!!市民を守るんだ!!」
兵士の一人から槍を貰う。
「っ!!アイリーンさん!!ジョシュとルーナを連れて自分の側へ!!」
槍を強く握りしめ、市民を守る為駆け出した。
「無礼者!!王族になんたることを!!」
親衛隊に阻まれながらも襲い来るアンデットに向かって王女が叫ぶ。
「っ!!国王様!王女様!!お下がりください!!」
次々となだれ込んでくるアンデットの群れに親衛隊も押し込まれた。
その手が国王と王女に伸びる寸前で立ち上がったシリウスがそれらを斬り付ける。
「っ!!逃げますわよシリウス!!」
「……いえ母上……。ここの守りは俺が勤めます。」
シリウスは崩壊した親衛隊に代わり両親を守る。少し震えた手で剣を持ちながら。
「なんだ……この数は……」
兵士たちは急に出現したアンデットの対処に追われていた。しかし増え続けるアンデットに逆に押し込まれてしまう。
その時、広間の扉が開いた。
「ファランクスが崩壊!!大量のアンデットが入り込んできます!!」
表の決壊を知らせた兵士は広間の様子を見て唖然とする。
次いでリック隊長も広間に入り、ポラリスの無事を確認すると叫ぶ。
「ポラリス!!王と生存者を連れて安全な場所へ逃げろ!!」
「そんな……自分だけ逃れません!!」
「さっさと行け!!残りの兵隊が防いでくれているがすぐに決壊するだろう。大量のアンデットがなだれ込んでくる!!」
「でも……なんで自分が……」
「この中で城の構造を一番知っているのは誰よりも雑務をこなしてきたお前だ!!安全な場所も知っているはずだ!!生き残るために考えろ!!」
確かにポラリスは様々な雑務をこなす中でこの入り組んだ城の部屋の位置や経路を把握していた。
「ポラリス君。隊長殿の言う通りここもやばそうだ」
こちらも対処していたビルが話しかける。
「っ!!どうか御無事で……」
生存者を探すために駆け出した。
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