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Season1
勇者ーCollapseー1
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ポラリス達が城に到着するより数刻前のことである。
勇者アルタイルの子孫、シリウスは混乱に陥る街中を城に向かって走っていた。
「あと少しだ!!頼む耐えてくれ!」
その腕には一人の修道着を着た少女が抱き抱えられていた。
時間は更に巻きもどる。
「がはははは!!此度も良き旅だったのうシリウス!!」
とある酒場で大男が豪快に笑う。
「何度も死にかけてたくせによくそんなに笑えるわね。馬鹿なんだわ。きっと。いや絶対」
隣に座っていた女性がそんな大男を冷ややかな目で見る。大きな帽子を被り、妖しく艶やかな雰囲気を纏っている。
「なあに!!名誉の負傷というものよ!!新入りもよくやってくれたな!!」
「い、いえ私は特に役に立てませんでしたので!!ザハク様は何でか傷が勝手に治ってるし。ターニャ様は自分で直しちゃうし。シリウス様に至っては怪我自体しなかったし」
「何言ってるのよ!ローズちゃんは居るだけで私の精神安定剤だったわ。こんなむさい男との旅なんて考えるだけでゾッとする…」
ターニャと呼ばれた女性が修道女、ローズに抱きつき頭を撫でる。ローズはまだ幼さが残る顔を赤らめた。
「がははは!むさいとはのう!言われておるぞシリウス!」
そんな賑やかな仲間の様子を見て青年、シリウスは人知れず笑った。
シリウス達が遠征に旅立ったのは半年前のことであった。遠い地で魔神の復活が予言された。それを阻止すべく旅立ったのである。幸い魔神復活は未然に防ぐことができた。
七英傑が一人、剛山のザハクは戦士ギルド出身でありその頑丈さを生かし、前衛で全ての攻撃を受け切っていた。
さらに七英傑が一人、開闢の魔女ターニャはこの世の全ての魔法を使うことができると言われ、さらには自身で魔法を創り出すことさえできた。
シリウスはこの二人とさらに聖職者オルドを加えた4人で過去、世界の危機を3度ほど救っていた。しかしオルドは半月前に老衰してしまったため、オルドの孫娘であるローズが今回の旅では同行することになった。
「父上が今回の旅の凱旋パレードを開いてくださるそうだ。日時は来週あたりだろう」
「こりゃ盛大なパレードになりそうだのう!!なんてったって世界を4度も救ったのだからな!勇者シリウスの英雄譚が三英雄に代わって語られる日は近いぞい!!」
「はあー。それにしても世界様は何回危機に陥るのよ。私も早く引退してイケメン金持ち貴族と結婚したいわー」
「お前のような性悪女はゴブリンでももらわないぞい」
「はああああ!!??」
喧嘩を始める二人の間にローズが必死に仲裁に入る。
なんだかんだ言って今回の旅も楽しかったとシリウスは感慨にふけった。
そんな時だった。
「大変だ!貧民街の暴動がこっちまで来たぞ!!皆逃げろ!」
男が一人、店先から呼びかける。確かに店の外が騒がしい。
「ふう。せっかくのランチが台無しだな」
「がはははは!国の外も中も争いが絶えないものだのう」
「シリウス。報償金はちゃんと国王に交渉しておいてよね」
「こ、今回こそ役に立てるようにがんばります!」
こうして勇者パーティーは新たな戦いに赴いた。
勇者アルタイルの子孫、シリウスは混乱に陥る街中を城に向かって走っていた。
「あと少しだ!!頼む耐えてくれ!」
その腕には一人の修道着を着た少女が抱き抱えられていた。
時間は更に巻きもどる。
「がはははは!!此度も良き旅だったのうシリウス!!」
とある酒場で大男が豪快に笑う。
「何度も死にかけてたくせによくそんなに笑えるわね。馬鹿なんだわ。きっと。いや絶対」
隣に座っていた女性がそんな大男を冷ややかな目で見る。大きな帽子を被り、妖しく艶やかな雰囲気を纏っている。
「なあに!!名誉の負傷というものよ!!新入りもよくやってくれたな!!」
「い、いえ私は特に役に立てませんでしたので!!ザハク様は何でか傷が勝手に治ってるし。ターニャ様は自分で直しちゃうし。シリウス様に至っては怪我自体しなかったし」
「何言ってるのよ!ローズちゃんは居るだけで私の精神安定剤だったわ。こんなむさい男との旅なんて考えるだけでゾッとする…」
ターニャと呼ばれた女性が修道女、ローズに抱きつき頭を撫でる。ローズはまだ幼さが残る顔を赤らめた。
「がははは!むさいとはのう!言われておるぞシリウス!」
そんな賑やかな仲間の様子を見て青年、シリウスは人知れず笑った。
シリウス達が遠征に旅立ったのは半年前のことであった。遠い地で魔神の復活が予言された。それを阻止すべく旅立ったのである。幸い魔神復活は未然に防ぐことができた。
七英傑が一人、剛山のザハクは戦士ギルド出身でありその頑丈さを生かし、前衛で全ての攻撃を受け切っていた。
さらに七英傑が一人、開闢の魔女ターニャはこの世の全ての魔法を使うことができると言われ、さらには自身で魔法を創り出すことさえできた。
シリウスはこの二人とさらに聖職者オルドを加えた4人で過去、世界の危機を3度ほど救っていた。しかしオルドは半月前に老衰してしまったため、オルドの孫娘であるローズが今回の旅では同行することになった。
「父上が今回の旅の凱旋パレードを開いてくださるそうだ。日時は来週あたりだろう」
「こりゃ盛大なパレードになりそうだのう!!なんてったって世界を4度も救ったのだからな!勇者シリウスの英雄譚が三英雄に代わって語られる日は近いぞい!!」
「はあー。それにしても世界様は何回危機に陥るのよ。私も早く引退してイケメン金持ち貴族と結婚したいわー」
「お前のような性悪女はゴブリンでももらわないぞい」
「はああああ!!??」
喧嘩を始める二人の間にローズが必死に仲裁に入る。
なんだかんだ言って今回の旅も楽しかったとシリウスは感慨にふけった。
そんな時だった。
「大変だ!貧民街の暴動がこっちまで来たぞ!!皆逃げろ!」
男が一人、店先から呼びかける。確かに店の外が騒がしい。
「ふう。せっかくのランチが台無しだな」
「がはははは!国の外も中も争いが絶えないものだのう」
「シリウス。報償金はちゃんと国王に交渉しておいてよね」
「こ、今回こそ役に立てるようにがんばります!」
こうして勇者パーティーは新たな戦いに赴いた。
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