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Season1
鉄壁ーPharanxー1
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「あの、ビルさん。これは流石に恥ずかしいんですが…」
「怪我人がなにを言うか!!」
ポラリスとジョシュ、ルーナをそれぞれ小脇に持ってビルが走っていた。楽しそうなジョシュ達と反対にポラリスは恥ずかしそうだ。
「そうよ!自分を置いていけなんて言った罰よ!」
アイリーンが小馬鹿にしたように笑う。ポラリスはなにも言い返せなかった。
城に近づくごとに人口が増えていくため必然的にアンデットの数も多くなった。
しかし、合流したエストレアの援護のお陰で以前よりも城へ進むペースが上がっていた。
「……もうすぐ着く……。」
エストレアの言葉通り、特に危機的なこともなく城に到着した。
ガラクシアの中央に位置する城は唯一の入口である石橋以外は深い堀に囲まれている。
その石橋の上で盾と槍を持った兵士たちが慌ただしく何かを準備していた。その中心で厳しく指示を出す人物にポラリスは駆け寄る。
「リック隊長!!」
「ポラリスか!!無事…ではなさそうだな。そんなボロボロの体でよく辿り着いた!」
無事の再会を喜び、強く抱擁した。
リック隊長はポラリスが所属する王国近衛隊の隊長である。体格に恵まれず、兵士としての素質が全くないポラリスを時に厳しく、時に優しく指導してくれた。孤児であるポラリスにとっては父親のような存在である。
「シェーンは一緒じゃないのか?」
「え!?まだ来ていないんですか!?」
「……まあ奴も簡単にやられる玉じゃない。この街のどこかで戦っているんだろう」
「あの…ところでこれは…?」
忙しく何かを準備する兵士についてポラリスは尋ねる。
「ああ。実はアンデットの大群がこちらに向かってくるとの情報が入った。だが安心しろ。ラウム王国が誇る鉄壁で押し返す」
「ほう。あの無敵と名高いファランクスならばアンデット如き敵ではないな…」
「ビル殿もアイリーンちゃんも一緒でしたか。ここは我々だけで十分です。中でお休みください」
「リック隊長!!自分も戦います!!」
「そんなボロボロの体でなにができる!!お前は城内で待機だ」
「しかし…自分だけ休んでは…」
「ポラリス!!我々は帰還するであろうシェーン達同志のためにこの城門は死守せねばならない。貴様は城内の人々を守ってくれ。いいか、自分のやるべきことを見極めるんだ」
「……了解です。どうか御無事で!!」
ポラリスが城内に入るのを確認すると見張りにやった兵士が戻ってきた。
「報告!!アンデットの群れが目前まで接近中!!数、約3000!!」
「予想よりも早いな……皆!!準備は良いか!!」
「おう!!」
隊長の合図に300人ほどの兵士は雄叫びを上げる。
「いいか!!ここは必ず死守せねばならん!!避難した市民のためにも!!帰ってくる仲間のためにもだ!!アンデットの中には仲間や家族の姿をした者もいるかも知れない!!だが手を抜くな!!奴らはもう人間でない!邪な物に操られている者を弔ってやれ!!」
アンデットの群れが目視できる距離まで近づいてくる。その圧倒的な数を前にしても誰も怖気付くことはなかった。
「この戦いを勇者アルタイルに捧げる!!ファランクス用意!!」
リックが剣を掲げると石橋の前で整列した兵士が盾を構えた。
「怪我人がなにを言うか!!」
ポラリスとジョシュ、ルーナをそれぞれ小脇に持ってビルが走っていた。楽しそうなジョシュ達と反対にポラリスは恥ずかしそうだ。
「そうよ!自分を置いていけなんて言った罰よ!」
アイリーンが小馬鹿にしたように笑う。ポラリスはなにも言い返せなかった。
城に近づくごとに人口が増えていくため必然的にアンデットの数も多くなった。
しかし、合流したエストレアの援護のお陰で以前よりも城へ進むペースが上がっていた。
「……もうすぐ着く……。」
エストレアの言葉通り、特に危機的なこともなく城に到着した。
ガラクシアの中央に位置する城は唯一の入口である石橋以外は深い堀に囲まれている。
その石橋の上で盾と槍を持った兵士たちが慌ただしく何かを準備していた。その中心で厳しく指示を出す人物にポラリスは駆け寄る。
「リック隊長!!」
「ポラリスか!!無事…ではなさそうだな。そんなボロボロの体でよく辿り着いた!」
無事の再会を喜び、強く抱擁した。
リック隊長はポラリスが所属する王国近衛隊の隊長である。体格に恵まれず、兵士としての素質が全くないポラリスを時に厳しく、時に優しく指導してくれた。孤児であるポラリスにとっては父親のような存在である。
「シェーンは一緒じゃないのか?」
「え!?まだ来ていないんですか!?」
「……まあ奴も簡単にやられる玉じゃない。この街のどこかで戦っているんだろう」
「あの…ところでこれは…?」
忙しく何かを準備する兵士についてポラリスは尋ねる。
「ああ。実はアンデットの大群がこちらに向かってくるとの情報が入った。だが安心しろ。ラウム王国が誇る鉄壁で押し返す」
「ほう。あの無敵と名高いファランクスならばアンデット如き敵ではないな…」
「ビル殿もアイリーンちゃんも一緒でしたか。ここは我々だけで十分です。中でお休みください」
「リック隊長!!自分も戦います!!」
「そんなボロボロの体でなにができる!!お前は城内で待機だ」
「しかし…自分だけ休んでは…」
「ポラリス!!我々は帰還するであろうシェーン達同志のためにこの城門は死守せねばならない。貴様は城内の人々を守ってくれ。いいか、自分のやるべきことを見極めるんだ」
「……了解です。どうか御無事で!!」
ポラリスが城内に入るのを確認すると見張りにやった兵士が戻ってきた。
「報告!!アンデットの群れが目前まで接近中!!数、約3000!!」
「予想よりも早いな……皆!!準備は良いか!!」
「おう!!」
隊長の合図に300人ほどの兵士は雄叫びを上げる。
「いいか!!ここは必ず死守せねばならん!!避難した市民のためにも!!帰ってくる仲間のためにもだ!!アンデットの中には仲間や家族の姿をした者もいるかも知れない!!だが手を抜くな!!奴らはもう人間でない!邪な物に操られている者を弔ってやれ!!」
アンデットの群れが目視できる距離まで近づいてくる。その圧倒的な数を前にしても誰も怖気付くことはなかった。
「この戦いを勇者アルタイルに捧げる!!ファランクス用意!!」
リックが剣を掲げると石橋の前で整列した兵士が盾を構えた。
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