上 下
4 / 4

4.食事

しおりを挟む
 居間に向かうと先に春史が座っていた。理津も促され向かい側に座った。今日は千代子もいるが、次からは春史と二人で食べるように言われた。
「これから、食事は居間で二人で食べるけど良いかな」
「はい」
  理津は春史にも言われ返事をする。そして、彼は家のしきたりのこととか、そのような事を理津に話した後、それと大事な話だけど、と付け足す。
「桑谷家と三橋家の婚約内容の確認だけど」
「ええ」
 理津は春史に言われ、気を引き締めた。
(そうよね私達二人は政略結婚だもの。うかうかしてられないわ)
理津は政略結婚だということに気を引き締めた。
「理津さんの家、三橋家は地方の豪商で、今後、この政略結婚はお互いの利益を還元させるもので良いかな」
「ええ。それで合ってます。地方の特権を活かした産業を、華族で公爵家の桑谷家に庇護して貰う為の婚約と父は言ってました」
「うん」
 春史は職業は軍人だ。しかし、彼は貴族でもあり、公爵の称号を持つ。理津の家、三橋家は元武家の娘で位は伯爵。二人の間に身分差があるが、三橋家が最近力を付けた産業を守って貰いたく、桑谷家に嫁ぐことになった。
「いや、でも凄いものだね。三橋家は。元は諸侯に仕える一武家の家柄だったのに。短期間で豪商になるなんてね」
「…有難うございます」
 春史は感心した様子で言った。しかし、その一方で理津は複雑だった。しかし、理津はそれを悟られないようにし、そう言って頂けると父も鼻が大層高いでしょうと言っておいた。
「ま、その話は今後又するとして、これから俺が色々教えるから。東京も案内するよ。色々見たいだろう?」
「はい」
 理津は春史に返事をした。
(しかし、それにしても…春史さんって落ち着いてて腰据えた話するというか…。彼は私と同じ、21歳よね?なのにこんなに、こんな私と差があるんだろう…)
これが、地方と都会人との違いか…。理津は、そう思う。しかし、そんな風に思ったら何か彼と差がある事に気づき、理津は嫌気が差してきた。
 すると、ふと顔を上げると、春史はじっと理津の方を見てきた。
「…?どうされました?春史さん」
理津が聞くといや、何でもないと彼は言った。理津は、春史の態度にそうですか…と。答えた。
だけど、なんだか二人の間にはぎこちないものがあるというか。お互い会話を交わしてもすぐ終わるような。そんな雰囲気が纏っているな。と理津は思う。
(だってなんだか緊張してしまうもの)
 もう少し自分も気を遣って話が出来れば良いのに。と理津は思った。
「早速だけど、明日、桑谷家の人達と顔合わせするから。宜しくね」
「ええ」
 
そして、二人はその後、話をした後、別れた。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

ご褒美

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
彼にいじわるして。 いつも口から出る言葉を待つ。 「お仕置きだね」 毎回、されるお仕置きにわくわくして。 悪戯をするのだけれど、今日は……。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

秘密 〜官能短編集〜

槙璃人
恋愛
不定期に更新していく官能小説です。 まだまだ下手なので優しい目で見てくれればうれしいです。 小さなことでもいいので感想くれたら喜びます。 こここうしたらいいんじゃない?などもお願いします。

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

処理中です...