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Epilogue4(波多野&鏑木Presents全員集合)
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え、何で私と鏑木が締めになるん。そんなん誰も興味ないやつやん。そもそも二人やったら間、持たへんし。っていうことで、全員に招集かけさせていただきました。
はい質問コーナー。
えーと、じゃあまずは私から、今ここにいる森川シェフと広瀬さんに質問。
二人が出会った大学のサークルって、何のサークルやったんですか?
(森川)野外料理サークル。
(広瀬)キャンプまでじゃないけどとにかく屋外で、普段しないような料理をするっていう。
(森川)真夏の炎天下、ドラム缶でザリガニ茹でたりね。
(広瀬)あの時森川が、ハーブとか自作のソースとかすごい何種類も持って来てて。釣り方検索しまくって自分らで釣ったザリガニに、どんだけ美食の可能性見出してるんだって(笑)。でも紙皿にソース三種類くらい添えて貰って食べたら、それがめちゃくちゃ美味しかったんだよ。こいつ天才だと思って。いま思えばあれが、シャリオドール誕生の瞬間だったね(笑)。
(鏑木)あ、俺からも訊きたいことあります。この店の開業資金って、どうやって調達したんですか?
(森川)それは広瀬が、在学中に開発したアプリを事業ごと売却して。
(広瀬)いや全然足りなくて、残りはクラウドファンディングだけど。
(波多野)もしかしてお二人、めっちゃいい大学出てます?
(森川)いやいや、まあ広瀬は優等生だったけど、俺は卒業できるかすらギリギリだったし。それより逆に鏑木くんに訊きたいんだけど、鏑木くんは詩音さんとどこで知り合ったの。
(鏑木)あ、俺が高二ん時に、詩音さんが教育実習に来て。
(全員)教育実習!!!
(鏑木)俺クラスの女子とかあんまし興味持てなくて。そこに詩音さんが降臨したんで。
(森川)それで、どうアプローチしたの?
(鏑木)休み時間とかくっついて回ったり、いろいろ質問攻めとか。まあいい迷惑っすよね。
(波多野)それで彼女がOKしたんが理解できんわ。
(鏑木)いや秒でフラれたっすよ。
(広瀬)じゃあ何で今その詩音さんは鏑木くんと結婚してるわけ?
(鏑木)なんか、卒業式の日に来てくれて。俺のこと思い出したら懐かしくなって、とか言って。まじほんと夢かと思ったけど、そこからわりとすぐ付き合い始めた感じす。
(波多野)ちなみに家でも詩音さんって、さん付けで呼んでるん?
(鏑木)そっすね。最初からそうだったし。
(森川)じゃあ詩音さんは、鏑木くんのこと何て呼んでるの?
(鏑木)え、まあ、瑠可くん?
(波多野)へー。仲いいんや(完全どうでもいいわ)。
ここで倉田さんと相原くんが到着。
っていうか北澤遅いねん。斉藤くんといちゃいちゃしながら一緒に遅刻してくるんか(斉藤くんはもう北澤んちに住みついたっぽい。「斉藤くんがさ、毎日うちにいるんだよ」って自慢してくる北澤、うざいねんけど)。
(鏑木)じゃあ俺から相原さんに質問っす。パティシエになろうと思ったきっかけは。
(相原)えと、瑞希さんが教えてくれて。
(倉田)私の妻です。相原家とは昔から家族ぐるみでお付き合いを。
(相原)僕けっこう引きこもったりしてたから、心配してくれて。
(倉田)颯太君のところはご両親が忙しかったからね。うちは子どもがいなかったから、ちょうど良かったんです。
(波多野)そうなんや。じゃあ初めて教わったお菓子とか、覚えてる?
(相原)そば粉のクレープ。七歳んとき。子ども扱いじゃなくて、フルーツのカッティングとかも教えてくれて。
(鏑木)もしかしてその瑞希さんもパティシエさんっすか?
(倉田)ええ。私が最初に働いていた店で。
(波多野)パティシエとメートルの恋、か。あんまし想像しにくいんですけど。
(倉田)さすがに当時はメートルじゃなくてただのボーイでしたよ。昔から甘いものが大好きで、彼女のケーキに夢中になって。ただ彼女は、仕事でつくるのは好きじゃない、と言ってました。
(波多野)じゃあプロポーズはもしかして、これからは僕だけのために、みたいなやつやったんですか?
(倉田)そんな恥ずかしいことは言ってませんよ(笑)。でもとにかく、瑞希のおかげで颯太君が、今この店で働いてくれてるわけで。
(広瀬)そうそう、相原くんが製菓の専門学校行ってないって聞いて、俺も森川もびっくりした。
(森川)製菓は独学じゃできない領域が多いしね。訊いたら瑞希さんの話が出てきて、それもびっくりしたよね。
(鏑木)そう言えば倉田さん、結婚記念日がクリスマス・イヴって、めちゃロマンティックっすよね。
(倉田)いえ、別にそういう感じを狙ったわけではなくて。クリスマス・イヴなら私がうっかり忘れることがないので。この業界にいれば、イヴは一年でいちばん忙しい日でしょう。忘れてしまって怒られるよりは、疲れて帰宅した後に、記念日を一緒に祝うというご褒美があればいいんじゃないかと。
(波多野)感動するべきか突っ込むべきか、絶妙に迷うわ。
ここでやっと、北澤が斉藤くんとくっついて到着。え、何でそこまで密着してるん。どうやったらそこまで隙間なくせるん。そのめっちゃ甘々な匂い、ちょっとは隠す気ないんかい。
(斉藤)すみません、遅くなりました。
(波多野)ほんま遅いわ。
(広瀬)けど別に、今さらこの二人に訊くことって何もなくないか?
(森川)うん確かに、ぜんぶだだ漏れだしね。
(斉藤)すみません、それ言うの止めてもらっていいですか?
(倉田)では私から北澤くんに質問を。北澤くんは、斉藤くんのどういうところが好き?
(波多野)倉田さんそれ聞いたらあかんやつ!
(倉田)え? どうして?
(広瀬)北澤に今から一時間語られたくないでしょ。
(北澤)二時間半いける。
(波多野)何なんその半っていうの。
(北澤)だって二時間じゃちょっと足りない気するんだよ。
(広瀬)誰かこいつの口、接着してくれ。
(相原)同感す。
(鏑木)あのー、これ俺と北澤さんしか解んないやつなんすけど、質問いいすか。あの時のあの映画って、何であのチョイスだったんすか? なんか心理学的考察みたいの、あったりしたのかなって。
っていうか鏑木くんその質問、どういう話なんか全員がしっかり理解してるからな。
(森川)北澤? 黙ってないで説明してあげれば。
(北澤)とことん退屈させて、怒らせようと思って。そうすれば他の娯楽に興味を持つかと。
(鏑木)うわ、じゃあもろに計略にハマったってことか俺。怖え。
(波多野)大丈夫。それ鏑木くんだけちゃうから。
(斉藤)すみません、ちょっとその話題、やめてもらっていいですか?
(森川)ちなみに斉藤くんはさ、ここで修行して、いつか自分の店を持ちたいとかあるの?
(斉藤)今のところは、そこまで具体的なことは特に。
(北澤)俺は考えてるよ、色々。
(斉藤)え?
(北澤)カウンターだけのモダンな感じのワインバーでさ、俺がメインで接客すんの。でもそのカウンターの隅っこに、お客さんから直接は見えないけど小さい厨房があって、ちょっとしたフィンガーフードから本格的な煮込み料理とかまで出せるようになってて、その厨房で斉藤くんが…
(広瀬)おい、これ二時間半いくやつじゃないか。
(波多野)もう後は二人で喋らせとこ。はいじゃあ皆さん、お疲れ様でした。
えー、こういうアホな面子にここまで付き合って頂いて、ほんま、ありがとうございました。って私、誰に向かって言うてんの。
はい質問コーナー。
えーと、じゃあまずは私から、今ここにいる森川シェフと広瀬さんに質問。
二人が出会った大学のサークルって、何のサークルやったんですか?
(森川)野外料理サークル。
(広瀬)キャンプまでじゃないけどとにかく屋外で、普段しないような料理をするっていう。
(森川)真夏の炎天下、ドラム缶でザリガニ茹でたりね。
(広瀬)あの時森川が、ハーブとか自作のソースとかすごい何種類も持って来てて。釣り方検索しまくって自分らで釣ったザリガニに、どんだけ美食の可能性見出してるんだって(笑)。でも紙皿にソース三種類くらい添えて貰って食べたら、それがめちゃくちゃ美味しかったんだよ。こいつ天才だと思って。いま思えばあれが、シャリオドール誕生の瞬間だったね(笑)。
(鏑木)あ、俺からも訊きたいことあります。この店の開業資金って、どうやって調達したんですか?
(森川)それは広瀬が、在学中に開発したアプリを事業ごと売却して。
(広瀬)いや全然足りなくて、残りはクラウドファンディングだけど。
(波多野)もしかしてお二人、めっちゃいい大学出てます?
(森川)いやいや、まあ広瀬は優等生だったけど、俺は卒業できるかすらギリギリだったし。それより逆に鏑木くんに訊きたいんだけど、鏑木くんは詩音さんとどこで知り合ったの。
(鏑木)あ、俺が高二ん時に、詩音さんが教育実習に来て。
(全員)教育実習!!!
(鏑木)俺クラスの女子とかあんまし興味持てなくて。そこに詩音さんが降臨したんで。
(森川)それで、どうアプローチしたの?
(鏑木)休み時間とかくっついて回ったり、いろいろ質問攻めとか。まあいい迷惑っすよね。
(波多野)それで彼女がOKしたんが理解できんわ。
(鏑木)いや秒でフラれたっすよ。
(広瀬)じゃあ何で今その詩音さんは鏑木くんと結婚してるわけ?
(鏑木)なんか、卒業式の日に来てくれて。俺のこと思い出したら懐かしくなって、とか言って。まじほんと夢かと思ったけど、そこからわりとすぐ付き合い始めた感じす。
(波多野)ちなみに家でも詩音さんって、さん付けで呼んでるん?
(鏑木)そっすね。最初からそうだったし。
(森川)じゃあ詩音さんは、鏑木くんのこと何て呼んでるの?
(鏑木)え、まあ、瑠可くん?
(波多野)へー。仲いいんや(完全どうでもいいわ)。
ここで倉田さんと相原くんが到着。
っていうか北澤遅いねん。斉藤くんといちゃいちゃしながら一緒に遅刻してくるんか(斉藤くんはもう北澤んちに住みついたっぽい。「斉藤くんがさ、毎日うちにいるんだよ」って自慢してくる北澤、うざいねんけど)。
(鏑木)じゃあ俺から相原さんに質問っす。パティシエになろうと思ったきっかけは。
(相原)えと、瑞希さんが教えてくれて。
(倉田)私の妻です。相原家とは昔から家族ぐるみでお付き合いを。
(相原)僕けっこう引きこもったりしてたから、心配してくれて。
(倉田)颯太君のところはご両親が忙しかったからね。うちは子どもがいなかったから、ちょうど良かったんです。
(波多野)そうなんや。じゃあ初めて教わったお菓子とか、覚えてる?
(相原)そば粉のクレープ。七歳んとき。子ども扱いじゃなくて、フルーツのカッティングとかも教えてくれて。
(鏑木)もしかしてその瑞希さんもパティシエさんっすか?
(倉田)ええ。私が最初に働いていた店で。
(波多野)パティシエとメートルの恋、か。あんまし想像しにくいんですけど。
(倉田)さすがに当時はメートルじゃなくてただのボーイでしたよ。昔から甘いものが大好きで、彼女のケーキに夢中になって。ただ彼女は、仕事でつくるのは好きじゃない、と言ってました。
(波多野)じゃあプロポーズはもしかして、これからは僕だけのために、みたいなやつやったんですか?
(倉田)そんな恥ずかしいことは言ってませんよ(笑)。でもとにかく、瑞希のおかげで颯太君が、今この店で働いてくれてるわけで。
(広瀬)そうそう、相原くんが製菓の専門学校行ってないって聞いて、俺も森川もびっくりした。
(森川)製菓は独学じゃできない領域が多いしね。訊いたら瑞希さんの話が出てきて、それもびっくりしたよね。
(鏑木)そう言えば倉田さん、結婚記念日がクリスマス・イヴって、めちゃロマンティックっすよね。
(倉田)いえ、別にそういう感じを狙ったわけではなくて。クリスマス・イヴなら私がうっかり忘れることがないので。この業界にいれば、イヴは一年でいちばん忙しい日でしょう。忘れてしまって怒られるよりは、疲れて帰宅した後に、記念日を一緒に祝うというご褒美があればいいんじゃないかと。
(波多野)感動するべきか突っ込むべきか、絶妙に迷うわ。
ここでやっと、北澤が斉藤くんとくっついて到着。え、何でそこまで密着してるん。どうやったらそこまで隙間なくせるん。そのめっちゃ甘々な匂い、ちょっとは隠す気ないんかい。
(斉藤)すみません、遅くなりました。
(波多野)ほんま遅いわ。
(広瀬)けど別に、今さらこの二人に訊くことって何もなくないか?
(森川)うん確かに、ぜんぶだだ漏れだしね。
(斉藤)すみません、それ言うの止めてもらっていいですか?
(倉田)では私から北澤くんに質問を。北澤くんは、斉藤くんのどういうところが好き?
(波多野)倉田さんそれ聞いたらあかんやつ!
(倉田)え? どうして?
(広瀬)北澤に今から一時間語られたくないでしょ。
(北澤)二時間半いける。
(波多野)何なんその半っていうの。
(北澤)だって二時間じゃちょっと足りない気するんだよ。
(広瀬)誰かこいつの口、接着してくれ。
(相原)同感す。
(鏑木)あのー、これ俺と北澤さんしか解んないやつなんすけど、質問いいすか。あの時のあの映画って、何であのチョイスだったんすか? なんか心理学的考察みたいの、あったりしたのかなって。
っていうか鏑木くんその質問、どういう話なんか全員がしっかり理解してるからな。
(森川)北澤? 黙ってないで説明してあげれば。
(北澤)とことん退屈させて、怒らせようと思って。そうすれば他の娯楽に興味を持つかと。
(鏑木)うわ、じゃあもろに計略にハマったってことか俺。怖え。
(波多野)大丈夫。それ鏑木くんだけちゃうから。
(斉藤)すみません、ちょっとその話題、やめてもらっていいですか?
(森川)ちなみに斉藤くんはさ、ここで修行して、いつか自分の店を持ちたいとかあるの?
(斉藤)今のところは、そこまで具体的なことは特に。
(北澤)俺は考えてるよ、色々。
(斉藤)え?
(北澤)カウンターだけのモダンな感じのワインバーでさ、俺がメインで接客すんの。でもそのカウンターの隅っこに、お客さんから直接は見えないけど小さい厨房があって、ちょっとしたフィンガーフードから本格的な煮込み料理とかまで出せるようになってて、その厨房で斉藤くんが…
(広瀬)おい、これ二時間半いくやつじゃないか。
(波多野)もう後は二人で喋らせとこ。はいじゃあ皆さん、お疲れ様でした。
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