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——たやすく唇を許してはいけない。
——たやすく体を許してはいけない。
——たやすく心を許してはいけない。
貴族の家に生まれたわたしを、彼は事あるごとに、くり返し戒めてきた。
付き合いで男性と話すことになっても、成人前のパーティでダンスをすることがあっても、男性からの個人的な誘いはすべて断ってきた。家名に泥を塗るような不祥事を招かないよう、日々の行いをつつしむよう、口酸っぱく教えられてきたから。
そして彼は、それらは全て、わたしの将来を思ってのことだと言っていた。財力のある家と婚姻を結ぶため、貴族の娘に課せられた鎖は——いずれ幸福な未来へと繋がっている、と。
授けられる戒めを、幼いわたしは苦痛に思うことなく従っていた。ただ無邪気に、彼がくれる愛であるかのように。
——けれども。
破戒は今、その彼によって行われようとしている。
「……随分と無口だな」
ひんやりとしたシーツの冷たさを感じながら、自分の上で馬乗りになっている彼の声に、どこか夢見ごこちのような気持ちで目を向けた。
相も変わらず彼の表情は愉快そうで、うつろな心のなか、いまだに夢であることを願っているもうひとりのわたしが、少しずつ消えていく。
「叫んでみるのも、君らしくて面白いんだが」
見下すようなこの話し方も、わたしは知らない。
叫んだところで、この部屋の防音の壁では無意味だ。そんなことすら分からず、愚かにわめき散らすわたしを見たかったのだろうか。そもそも、子守唄として聴きたいと寝室に欲したピアノは、彼が手配してくれたことを思い出した。防音の設備も。
痩せた三日月型の唇から目を離さずに、ようやく、
「最初から……ぜんぶ、うそだったの……」
こぼれた声は掠れていて、言葉にした途端、さまざまな感情があふれそうになった。
——泣いちゃだめだ。どんなときでも、毅然として相手と向かい合わなくては。
脳裏で閃いた、自分を律する意思——それすらも彼によって育まれたものだけれども——が、悲劇におぼれる自身を叱咤する。
「ずっと、騙していたの」
問いかけのようでいて、けれども確信を帯びた強気な声に、彼は手を止めた。
ほどかれたリボンの下で、夜着がはらりと肌をなぞって落ちる。
「——さすが、名家のお嬢様だな。涙のひとつも零さないか」
「……そう育てたのは、あなたでしょう」
「俺が、どう育てたって?」
「……凛と咲く花のように、気高く生きなさいと——」
くくくっと、彼の喉が鳴った。
まるで耐えきれないかのように、肩を震わせて笑い出す。
「……何が、おかしいの」
「君は、本当に馬鹿だな」
薄闇のなかで、ゆっくりと語る彼の瞳に、灯されたままの蝋燭の火が揺れている。
骨張った長い指先が、わたしの首筋から胸にかけて素肌をたどった。
「どうせ手折るなら、綺麗な花がいいだろ?」
紅い唇が、わらう。
かっと激しい感情が沸き立ち、怒りをぶつけるように彼を睨みつけた——瞬間。
突如、彼がわたしの首筋に咬み付いた。鋭い痛みが深く刺さり、頭を占めた怒りが恐怖によって掻き消される。押しのけようと突っぱった腕は、たやすく片手で搦め捕られた。
「そういえば……答えを聞いてなかったな」
彼に下敷きにされたわたしの下半身は、わずかも動かない。一対一だというのに、ここまで無力化されるものなのだろうか。男のひとは、こんなにも……怖い、とは。
「——苦痛と快楽、どちらにするんだ?」
「どちらもいらない……放してっ」
「……ようやく危機感を持ったか。鈍いお嬢様だ」
怯えの浮かんだわたしの顔に、彼は薄く吐息をこぼした。
唇がきつく塞がれる。血の味。
それよりも、唇が重なったことで心を揺さぶられる自分が悔しい。反抗する力が緩んだことを、彼は分かっている。
わたしの心など気にも留めず、ぬるりとした舌が口腔を蹂躙し、わたしの舌を吸いあげる。
ぞわり、と。背筋に走るこの感覚が何かなんて、考えたくもない。
「——んんっ」
未知の感覚から逃げるようにまぶたを閉じていたが、太ももに触れた彼の掌の感触に、はっと目を開いた。
間近にせまる彼の瞳が、わらっている。
両脚のあいだに下半身をすべり込ませた彼は、就寝前だったために下着を身につけていない無防備なそこを、さらりと撫でた。
深いくちづけとは、また違う。捉えたくない感覚から逃れようと、必死に身をよじるが、完全に動きの封じられた体はびくともしない。無情にも、わずかに掛かっていた夜着だけがすべり落ちて、彼の前にすべてを晒した。
わたしの反応が楽しいのか、細めた目でじっと見ていた彼は、唇を離してくすりと微笑んでみせた。見知った面影を残すその顔に、眼の奥が痛む。——涙など、見せたくない。
「……こんなこと、やめて」
「こんなことって?」
「こんな——っ、」
言葉を返すよりも早く、指先が足の付け根をくすぐった。こぼれ落ちそうになる声を呑み込む。
器用に動き回る指先が、誰にも触らせたことのない秘所をなぞり、いたずらに劣情を煽っていく。
「どうした? 快楽はいらないと言ったわりには、」
意味ありげに言葉を切った彼は、わたしの耳朶にその唇を寄せて、
「——濡れてる、な」
全身の血が、一瞬にして顔に集まった気がした。朱に染まる頬を、彼の舌先が舐める。
濡れることが何を意味するのか。知らないほど初心ではない。
「キスだけで感じたのか、それとも期待してるのか……」
くすくすと笑いながら揶揄する彼を、きつく睨みつける。
「きらい……あなたなんか、大嫌い」
「ふ……嘘吐きな子だ」
刹那、いつもみたいに柔らかく微笑む彼が現れる。
とくりと胸が鳴ったときには、もう遅く。寒気が走るような笑みの男に変貌していた。
「そんな子には——仕置きがいるな?」
熱い、何かが秘所に触れた。
それが、何であるか。彼の会話に気を取られていたわたしの頭に、恐ろしい答えが浮かび、
「や——ひ、ぁっ」
息が、詰まった。
痛いほどの力で開かれた両脚のあいだ、強い圧迫感と、内部を押し広げる硬い肉棒が、お腹の底から全身を貫かんとばかりに突き刺さっていく。解放された両手で必死になって何かを掴み逃げようともがくが、シーツを掻き寄せることしかできない。
十分に弛緩していない中は、強引に沈められていく彼の熱に悲鳴をあげている。
「やめてっ……おねがい……」
涙が浮かび始めた眼を彼に向けたが、薄くわらっただけで、腰を引く素振りは見せなかった。
——ただ、上半身を傾けた彼は、何を思ったか不意に唇を重ねた。
先ほどとは、違う。
唇の皮膚をやわらかく食み、濡れたリップ音を響かせる。痛みに耐えようときつく閉ざしていた歯列を割るように、彼の右手が顎を優しく押さえた。開かれた隙間から差し込まれた彼の舌は、こわばっていたわたしの舌先にたどり着くと、誘うように絡みついた。
優しく吸いつく彼の舌の心地よさが、わずかながらではあるが、痛みを遠ざけてくれた気がした。
——どうして。
この優しすぎるくちづけに、一体なんの意味があるのだろう。
ただの気まぐれなのか、あるいは口を塞ぐためだけなのか。
現実から目をそらすように濡れていた瞳を閉じれば、あふれた涙がひとしずく、こめかみを伝う。
(優しくなんか、しないで……)
視界が闇に染まる前。声にならない想いを嘲るかのように、窓の外で細い月がわらっていた。
——たやすく体を許してはいけない。
——たやすく心を許してはいけない。
貴族の家に生まれたわたしを、彼は事あるごとに、くり返し戒めてきた。
付き合いで男性と話すことになっても、成人前のパーティでダンスをすることがあっても、男性からの個人的な誘いはすべて断ってきた。家名に泥を塗るような不祥事を招かないよう、日々の行いをつつしむよう、口酸っぱく教えられてきたから。
そして彼は、それらは全て、わたしの将来を思ってのことだと言っていた。財力のある家と婚姻を結ぶため、貴族の娘に課せられた鎖は——いずれ幸福な未来へと繋がっている、と。
授けられる戒めを、幼いわたしは苦痛に思うことなく従っていた。ただ無邪気に、彼がくれる愛であるかのように。
——けれども。
破戒は今、その彼によって行われようとしている。
「……随分と無口だな」
ひんやりとしたシーツの冷たさを感じながら、自分の上で馬乗りになっている彼の声に、どこか夢見ごこちのような気持ちで目を向けた。
相も変わらず彼の表情は愉快そうで、うつろな心のなか、いまだに夢であることを願っているもうひとりのわたしが、少しずつ消えていく。
「叫んでみるのも、君らしくて面白いんだが」
見下すようなこの話し方も、わたしは知らない。
叫んだところで、この部屋の防音の壁では無意味だ。そんなことすら分からず、愚かにわめき散らすわたしを見たかったのだろうか。そもそも、子守唄として聴きたいと寝室に欲したピアノは、彼が手配してくれたことを思い出した。防音の設備も。
痩せた三日月型の唇から目を離さずに、ようやく、
「最初から……ぜんぶ、うそだったの……」
こぼれた声は掠れていて、言葉にした途端、さまざまな感情があふれそうになった。
——泣いちゃだめだ。どんなときでも、毅然として相手と向かい合わなくては。
脳裏で閃いた、自分を律する意思——それすらも彼によって育まれたものだけれども——が、悲劇におぼれる自身を叱咤する。
「ずっと、騙していたの」
問いかけのようでいて、けれども確信を帯びた強気な声に、彼は手を止めた。
ほどかれたリボンの下で、夜着がはらりと肌をなぞって落ちる。
「——さすが、名家のお嬢様だな。涙のひとつも零さないか」
「……そう育てたのは、あなたでしょう」
「俺が、どう育てたって?」
「……凛と咲く花のように、気高く生きなさいと——」
くくくっと、彼の喉が鳴った。
まるで耐えきれないかのように、肩を震わせて笑い出す。
「……何が、おかしいの」
「君は、本当に馬鹿だな」
薄闇のなかで、ゆっくりと語る彼の瞳に、灯されたままの蝋燭の火が揺れている。
骨張った長い指先が、わたしの首筋から胸にかけて素肌をたどった。
「どうせ手折るなら、綺麗な花がいいだろ?」
紅い唇が、わらう。
かっと激しい感情が沸き立ち、怒りをぶつけるように彼を睨みつけた——瞬間。
突如、彼がわたしの首筋に咬み付いた。鋭い痛みが深く刺さり、頭を占めた怒りが恐怖によって掻き消される。押しのけようと突っぱった腕は、たやすく片手で搦め捕られた。
「そういえば……答えを聞いてなかったな」
彼に下敷きにされたわたしの下半身は、わずかも動かない。一対一だというのに、ここまで無力化されるものなのだろうか。男のひとは、こんなにも……怖い、とは。
「——苦痛と快楽、どちらにするんだ?」
「どちらもいらない……放してっ」
「……ようやく危機感を持ったか。鈍いお嬢様だ」
怯えの浮かんだわたしの顔に、彼は薄く吐息をこぼした。
唇がきつく塞がれる。血の味。
それよりも、唇が重なったことで心を揺さぶられる自分が悔しい。反抗する力が緩んだことを、彼は分かっている。
わたしの心など気にも留めず、ぬるりとした舌が口腔を蹂躙し、わたしの舌を吸いあげる。
ぞわり、と。背筋に走るこの感覚が何かなんて、考えたくもない。
「——んんっ」
未知の感覚から逃げるようにまぶたを閉じていたが、太ももに触れた彼の掌の感触に、はっと目を開いた。
間近にせまる彼の瞳が、わらっている。
両脚のあいだに下半身をすべり込ませた彼は、就寝前だったために下着を身につけていない無防備なそこを、さらりと撫でた。
深いくちづけとは、また違う。捉えたくない感覚から逃れようと、必死に身をよじるが、完全に動きの封じられた体はびくともしない。無情にも、わずかに掛かっていた夜着だけがすべり落ちて、彼の前にすべてを晒した。
わたしの反応が楽しいのか、細めた目でじっと見ていた彼は、唇を離してくすりと微笑んでみせた。見知った面影を残すその顔に、眼の奥が痛む。——涙など、見せたくない。
「……こんなこと、やめて」
「こんなことって?」
「こんな——っ、」
言葉を返すよりも早く、指先が足の付け根をくすぐった。こぼれ落ちそうになる声を呑み込む。
器用に動き回る指先が、誰にも触らせたことのない秘所をなぞり、いたずらに劣情を煽っていく。
「どうした? 快楽はいらないと言ったわりには、」
意味ありげに言葉を切った彼は、わたしの耳朶にその唇を寄せて、
「——濡れてる、な」
全身の血が、一瞬にして顔に集まった気がした。朱に染まる頬を、彼の舌先が舐める。
濡れることが何を意味するのか。知らないほど初心ではない。
「キスだけで感じたのか、それとも期待してるのか……」
くすくすと笑いながら揶揄する彼を、きつく睨みつける。
「きらい……あなたなんか、大嫌い」
「ふ……嘘吐きな子だ」
刹那、いつもみたいに柔らかく微笑む彼が現れる。
とくりと胸が鳴ったときには、もう遅く。寒気が走るような笑みの男に変貌していた。
「そんな子には——仕置きがいるな?」
熱い、何かが秘所に触れた。
それが、何であるか。彼の会話に気を取られていたわたしの頭に、恐ろしい答えが浮かび、
「や——ひ、ぁっ」
息が、詰まった。
痛いほどの力で開かれた両脚のあいだ、強い圧迫感と、内部を押し広げる硬い肉棒が、お腹の底から全身を貫かんとばかりに突き刺さっていく。解放された両手で必死になって何かを掴み逃げようともがくが、シーツを掻き寄せることしかできない。
十分に弛緩していない中は、強引に沈められていく彼の熱に悲鳴をあげている。
「やめてっ……おねがい……」
涙が浮かび始めた眼を彼に向けたが、薄くわらっただけで、腰を引く素振りは見せなかった。
——ただ、上半身を傾けた彼は、何を思ったか不意に唇を重ねた。
先ほどとは、違う。
唇の皮膚をやわらかく食み、濡れたリップ音を響かせる。痛みに耐えようときつく閉ざしていた歯列を割るように、彼の右手が顎を優しく押さえた。開かれた隙間から差し込まれた彼の舌は、こわばっていたわたしの舌先にたどり着くと、誘うように絡みついた。
優しく吸いつく彼の舌の心地よさが、わずかながらではあるが、痛みを遠ざけてくれた気がした。
——どうして。
この優しすぎるくちづけに、一体なんの意味があるのだろう。
ただの気まぐれなのか、あるいは口を塞ぐためだけなのか。
現実から目をそらすように濡れていた瞳を閉じれば、あふれた涙がひとしずく、こめかみを伝う。
(優しくなんか、しないで……)
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