【完結】おれたちはサクラ色の青春

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　桜統おうとう学園は夏休みを迎える。
　終業式が終わり、生徒会からの連絡や体育祭に向けた色決めのくじ引きなど、ライブ映像を教室で眺める２Ｂのクラスメイトたちは気もそぞろだった。（壱正いっせいだけは真面目に視聴していた）
　
「夏休み、家うちに泊まりに来ねェ～？」
　
　午前中で放課後となった教室。琉夏るかがクラスメイトを誘った。「夜通し遊ぼ～」ハヤトや竜星を中心としているが、誰でも歓迎らしい。遠い席の壱正まで届く声だった。
　竜星りゅうせいがスクールバッグにペンケースだけ放り込んで顔を上げる。
　
「夏休みって言ってもぉ、集中講座あるやろぉ？」
「オレ、一個も取ってねェもん。フルでフリー」
「嘘ぉ……あんた自由すぎんか？ 先生から注意受けんかったん？」
「担任？ 研究だけ、ちゃんとやれって言われたァ～」
「集中講座を取らん桜統生。前代未聞やろな……」
「オレって歴代最高の天才だから」
「あっそぉ……天才は天才でも誘っとき」
　
　竜星が目で示したのは、中央のヒナ。机の中を整理している。
　
「ヒナ～、夏休みオレんち泊まりに来るよなァ～？ ゲーム大会しよォ～」
「うん、全然むり。おれは空いてる時間ぜんぶ集中講座いれた」
「——はァっ？」
「留学向けのも取ったし、この夏は充実しそうだな！ 講座はみんな違うから少し淋さびしいけど……学祭の準備で会えるな！ みんな熱中症に気をつけて。じゃあなーっ」
　
　取り出した教科書類をリュックに入れて、ひらっと手を掲げたヒナは去っていった。
　あっさり振られた琉夏が固まっている。
　竜星がぼそりと呟つぶやいた。
　
「ぜんぜん淋しそうじゃないやろ」
「ってか、昼メシ！ 一緒に食おうって約束してたじゃん！」
「……ほんとや。ヒナ、完全に忘れてるわ……連絡するかぁ？」
「オレする。どうせ部活あるし、敷地内にいるっしょ」
「……ん？ ハヤト、どこ行った？」

　気づけばハヤトも教室にいない。