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第六節 〜似非魔王と魔物、女王と兵隊〜
070 盾使い《タンク》
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もう悪役令嬢って言うよりも悪役女王様?
ギルド兵をシバきます。いや、訓練します。
ハナちゃんがカワカッコいいです。
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
黒い◆が人物の視点の変更の印です。
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
◆ (引き続き『ハナさま』の視点です)
―――――――――
私は今、ギルドの擁壁の上に立ち、ギルドの鍛錬場側を覗き見る。超絶怖いんですけど。でもまあ、お仕事お仕事、ガンバロ。
眼下に見えるのは楕円形の広大な鍛錬場、その中央より左側に三メートルの幅を開けて二本の線が引かれている。線と見えたのは『蜘蛛の糸』で、地面から七十センチの位置に張られている境界。幅三メートルはギルド擁壁頂部通路の幅と同じだし、七十センチは手摺の高さと同じ。まあ、疑似ギルド擁壁頂部通路って事ね。
疑似通路の両端に大盾を構えた盾使いが背中合わせで二人立っている。
そこに攻撃を仕掛ける射手が五メートル離れて、やはり高さ三メートルの縦長の台座の上で構えている。それが高低差を利用した擬似カトンボ。それが両翼それぞれに三人づつで計六人。補給係がやはり両翼にひとりづつ付いて一グループ合計十人。それが五つ。
ギルド鍛錬場が広くて助かる。
射手には全員に“飛竜落とし”改め“投網”を練習の為に持たせたかったけど、全部でまだ十丁しか無いので片翼三人のうちひとりだけになってしまった。その他は自分の得意な遠距離用魔法で撃ってもらう事とした。
この訓練のメインは大盾を持った肉壁の堅牢最大値までの強化だ。射手その他は仮想カトンボなのだが、メインより数が多いのには勿論理由がある。
如何しようもなくヘタレな理由よ。やんなっちゃう。ひとりで熟すには連射が出来ない。威力が全く以て弱い。脅威にならない。以上。
先ずは“投網”なんだけど、一発撃つのに非常に時間がかかる。一々銃身を折って、弾を入れて魔晶石入れてって、もうその間に美味しい紅茶が飲めるわよティータイムよ。ほんともう欠陥品としか思えない。
で、弾も魔晶石も大量に携帯出来ないから補給係が必要(弾は散開しない模擬弾を使用、これが無数にあるの、昔日の名残? 的な。だから全て真っ黒に汚れててバッチイ。勿論触らないわ)。
だから無理。まあ、ハム君が連射ができるよう魔改造してくれるって、それに期待だけど、未だ未だ時間が掛かりそう。
その補填で仕方無しの魔法攻撃射手の増員なのに、これがまあ“投網”より使えない。輪をかけて全く。赤鬼さんが甘やかしたから。激アマ。アマアマよ、ムカつく。
炎弾も氷弾も岩弾もショボくって、撃つまでに非常に時間が掛かるの。だってアノ“厨ニチック”な呪文を詠唱してるのよ。長々と。恥ずかしくないのかしら。だって炎弾なんて『八十度のお湯を二百cc』程度の威力しか無いのよ。それで得意顔よ。信じられない。そこ、おまゆうって言うな。わかってるわよ。でも私はあんなに早くバテなかったわよ。体力、魔力量? 根性? 無さすぎ。
だから造ってもらったわよハム君に。簡易型の無詠唱省エネ型“魔法の杖”を、チョッパヤで。ハム君ってば腕を上げたわ。ああ、これがあの時に有れば、って思っちゃう。詮無きことね。
これで仮想カトンボが出来るわ。威力も当たりどころが悪ければ骨折も有りぐらいには高められたし。緊張感が出マクリでしょ。
盾使いはただ撃ち込まれるのを耐えるのではない。そんなに甘くないわよ。
射手は正面のタンクではなく、後ろのもう一人の背中を狙う。射手の三人は縦長の台座の上で左右に自由に動き、死角から撃ってくる。
正面を向いている盾持ちは、勝手に動く見えない後背の相方に合わせ、正面と後ろ、その両方を意識しながら盾を構え守る。背中合わせの相方と自分を。
そして自分自身も背中を、全く見えない死角からの攻撃を受け続けながら、守りは他人である相方に全て依存している現状を認識しながら。
どうよ、この悪辣な無限地獄のような訓練メニューは。考え出したのはハム君とサッちゃんだけど殆どサッちゃん。ハム君も引いてた。サッちゃんを怒らすのはやめよう。
それを盾使い・射手・兵站とローテーションで休み無く繰り返す。負傷したタンクが、魔法切れで射手が、潰れて順序が乱れている組もチラホラ、でもかまわず廻す。だって戦場ってそんなもんだから。
怪我人は兵站係がポーションを飲ませその場で治し、復帰させる。ポーション各種は腐るほど備蓄してるのよね。さすが歴史あるギルド、昔日の名残? 的な。無くなればハム君が造ってくれるみたいだし|(未だ性能的にはイマイチらしいけど。体力増強は魔物肉の超な濃縮汁そのまま。うぇ! 治癒ポーションの正体はナノマシーンでそこまで判ったけど、やっぱり謎で具現化は無理だったので、事象遷移変改で培養したらしい。うん、私に聞かないで。あと魔力回復はお手上げらしい)。
私の役目は擁壁の上からカーブとかシュートとか、フォーク、ドロップ等の変化球を駆使して本当の死角から撃ち込む係り。楽しい。だって殆ど避けきれてないから。沈め下郎共! って感じ。楽し過ぎ。そして私が主に狙うのは治療中・補給中・待機中構わずスキを見せた兵站。だって戦場ってそんな感じゃない。
ギルド鍛錬場の中央より左側では赤鬼に監督された残りの五十人が槍のお稽古をしていた。
ん? これ、槍のお稽古なのか、な?
槍って普通、水平に繰り出すものだよね。戦国時代の足軽が持たされた長柄の槍は大きく振りかぶって落とす殴打戦法だって聞いたことあるけど、確かにちょっと長く、二メートルぐらい、空に向かい振りかぶるのは同じだけど、落とさずそのまま天に向かい突き上げる。捻りを加えた回転突き。
見様によっては踊ってるみたい。なんだっけな、どっかで観た。そうだ、テレビの時代劇、大名行列の先頭で長槍をくるくる回したりするパフォーマンス。そう、『毛槍回し』そのままよ。
丁度回転力を測るためか穂先に布が括り付けられてて、上下する度に右回り左回りとフワッと広がってキュって萎んで、面白い。面白いって言っちゃいけないのかな。未だ未だ不揃いで一斉とは行かないようだけど、五十の人間が揃っての『毛槍回し』は壮観ね。
でもいいのそれで? まあいいんでしょうね。実際に見るまでは気づかなかったけど、確かにあの動作はハム君がサッちゃんに細部まで丁寧に説明していた動きそのままだったのだから。
異世界には“武魔装技操”と言う魔法があるらしい。武術の一連の動作を魔法的にひとつの型として固めて放つ的な。
……チョット待ってね、要するに、みんな大好き『居合』でいうと抜刀して一閃、納刀までをプログラミング化してただ単純にシーケンスするってこと。
メリットは条件さえ揃えば何も考えずに思っただけで発動すること、筋肉ではなく魔法的な理力で動くので疲れ知らず、連続で魔力尽きるまで繰り出せ続けられる。同じ理由で鍛錬を積めば積むほど限りなく素早く、目で捉えられない程の速さで繰り出せるようになること。
デメリットは発動したら自分の意思では止められない。プログラムされた動き以外は出来ない。途中でフェイントとか入れられない。複雑な複数の動作を連続して行うプログラムも組むことは出来るけど、収得には非常に時間がかかってしまう。
達人はそのデメリットを克服する為に単純なプログラムを幾つも用意し、その組み合わせで多彩な業に昇華させる。正しいシーケンシャル制御化だ。例えばみんな大好き『居合』でいうと『抜刀』ひとつ、『一閃』ひとつ、『切り返し』ひとつ、『フェイント』ひとつ、で最後の『納刀』ひとつ。と、それぞれを個別のプログラムとしてその組合せを行う。『切り返し』をもう一つ加えたり、『フェイント』三つとか。九○龍閃も夢じゃない?
身に付けるには同じ動作を死ぬほど繰り返すこと。本当に死ぬほど。それがただひとつの取得方法。その辺は本当の武術の習得とそんなに変わらないのかもしれないね。
魔法はイメージ。身体が自分の思った通りに動く確固たるイメージを身体に覚え込ませる。ほんと普通。私的には特に要らないかなって思う。もっと自由に臨機応変に動けたほうがいいかなって思っちゃう。それは人それぞれらしいし、織り交ぜて、最後の決めの必殺技的に使うのが通なのだそうだ。蕎麦は喉越し的な。違うか。六光○斬的な。まあ“武魔装技操”のみの専門な人は居ないらしい。それはそれでつまんないと思うんだけど。マリオネット的な。魔法大好きっ娘の性か?
その“武魔装技操”をハム君はギルドの兵隊五十人に緊急且つ絶対に覚えさせたいらしい。そんなに『秘技・毛槍回し』ってカッコイイ、の? 違うか。
確かにカトンボは空から襲い来るから槍を天に突き出すのは理にかなってる。けど。捻りながら軸に回転を与える事で貫通力も増し、僅かだけどジャイロ効果で軌道も安定する。でも、この短期間では仕留めるまでの練度は絶対に習得できない。それでも。
『それだけでいいのさ、それだけが必要なんだ。それに、贅沢は言えないよ』
ハム君が望んでいる。それが理由だ。
で、わかってるのかな? 赤鬼さんは。至上命令だって、私さっき言ったわよね。
『秘技・毛槍回し』は単純な動作二過程で有るため、比較的お手軽に習得出来るらしいのだけど、それでも必死こいて死ぬほど繰り返すことで約七十二時間で顕現可能であるらしい。最短で。
「顕現しても威力も速さも全然変わらないんだけどね、でも三日間ぐらいは休まずにずっと槍を突き上げ続ける事は出来るようになるかな」
ホントにわかってるのかな。赤鬼も槍使い組の五十人も。七十二時間の縛りもただウダウダ過ごせばいいという事では決して無いのだけど。“必死こいて”と“死ぬほど”の絶対条件が付くのだけど。
―――――――――
お読み頂き、誠にありがとうございます。
よろしければ次話もお楽しみ頂ければ幸いです。
毎日更新しています。
ギルド兵をシバきます。いや、訓練します。
ハナちゃんがカワカッコいいです。
ご笑覧いただければ幸いです。
※注
黒い◆が人物の視点の変更の印です。
白い◇は場面展開、間が空いた印です。
◆ (引き続き『ハナさま』の視点です)
―――――――――
私は今、ギルドの擁壁の上に立ち、ギルドの鍛錬場側を覗き見る。超絶怖いんですけど。でもまあ、お仕事お仕事、ガンバロ。
眼下に見えるのは楕円形の広大な鍛錬場、その中央より左側に三メートルの幅を開けて二本の線が引かれている。線と見えたのは『蜘蛛の糸』で、地面から七十センチの位置に張られている境界。幅三メートルはギルド擁壁頂部通路の幅と同じだし、七十センチは手摺の高さと同じ。まあ、疑似ギルド擁壁頂部通路って事ね。
疑似通路の両端に大盾を構えた盾使いが背中合わせで二人立っている。
そこに攻撃を仕掛ける射手が五メートル離れて、やはり高さ三メートルの縦長の台座の上で構えている。それが高低差を利用した擬似カトンボ。それが両翼それぞれに三人づつで計六人。補給係がやはり両翼にひとりづつ付いて一グループ合計十人。それが五つ。
ギルド鍛錬場が広くて助かる。
射手には全員に“飛竜落とし”改め“投網”を練習の為に持たせたかったけど、全部でまだ十丁しか無いので片翼三人のうちひとりだけになってしまった。その他は自分の得意な遠距離用魔法で撃ってもらう事とした。
この訓練のメインは大盾を持った肉壁の堅牢最大値までの強化だ。射手その他は仮想カトンボなのだが、メインより数が多いのには勿論理由がある。
如何しようもなくヘタレな理由よ。やんなっちゃう。ひとりで熟すには連射が出来ない。威力が全く以て弱い。脅威にならない。以上。
先ずは“投網”なんだけど、一発撃つのに非常に時間がかかる。一々銃身を折って、弾を入れて魔晶石入れてって、もうその間に美味しい紅茶が飲めるわよティータイムよ。ほんともう欠陥品としか思えない。
で、弾も魔晶石も大量に携帯出来ないから補給係が必要(弾は散開しない模擬弾を使用、これが無数にあるの、昔日の名残? 的な。だから全て真っ黒に汚れててバッチイ。勿論触らないわ)。
だから無理。まあ、ハム君が連射ができるよう魔改造してくれるって、それに期待だけど、未だ未だ時間が掛かりそう。
その補填で仕方無しの魔法攻撃射手の増員なのに、これがまあ“投網”より使えない。輪をかけて全く。赤鬼さんが甘やかしたから。激アマ。アマアマよ、ムカつく。
炎弾も氷弾も岩弾もショボくって、撃つまでに非常に時間が掛かるの。だってアノ“厨ニチック”な呪文を詠唱してるのよ。長々と。恥ずかしくないのかしら。だって炎弾なんて『八十度のお湯を二百cc』程度の威力しか無いのよ。それで得意顔よ。信じられない。そこ、おまゆうって言うな。わかってるわよ。でも私はあんなに早くバテなかったわよ。体力、魔力量? 根性? 無さすぎ。
だから造ってもらったわよハム君に。簡易型の無詠唱省エネ型“魔法の杖”を、チョッパヤで。ハム君ってば腕を上げたわ。ああ、これがあの時に有れば、って思っちゃう。詮無きことね。
これで仮想カトンボが出来るわ。威力も当たりどころが悪ければ骨折も有りぐらいには高められたし。緊張感が出マクリでしょ。
盾使いはただ撃ち込まれるのを耐えるのではない。そんなに甘くないわよ。
射手は正面のタンクではなく、後ろのもう一人の背中を狙う。射手の三人は縦長の台座の上で左右に自由に動き、死角から撃ってくる。
正面を向いている盾持ちは、勝手に動く見えない後背の相方に合わせ、正面と後ろ、その両方を意識しながら盾を構え守る。背中合わせの相方と自分を。
そして自分自身も背中を、全く見えない死角からの攻撃を受け続けながら、守りは他人である相方に全て依存している現状を認識しながら。
どうよ、この悪辣な無限地獄のような訓練メニューは。考え出したのはハム君とサッちゃんだけど殆どサッちゃん。ハム君も引いてた。サッちゃんを怒らすのはやめよう。
それを盾使い・射手・兵站とローテーションで休み無く繰り返す。負傷したタンクが、魔法切れで射手が、潰れて順序が乱れている組もチラホラ、でもかまわず廻す。だって戦場ってそんなもんだから。
怪我人は兵站係がポーションを飲ませその場で治し、復帰させる。ポーション各種は腐るほど備蓄してるのよね。さすが歴史あるギルド、昔日の名残? 的な。無くなればハム君が造ってくれるみたいだし|(未だ性能的にはイマイチらしいけど。体力増強は魔物肉の超な濃縮汁そのまま。うぇ! 治癒ポーションの正体はナノマシーンでそこまで判ったけど、やっぱり謎で具現化は無理だったので、事象遷移変改で培養したらしい。うん、私に聞かないで。あと魔力回復はお手上げらしい)。
私の役目は擁壁の上からカーブとかシュートとか、フォーク、ドロップ等の変化球を駆使して本当の死角から撃ち込む係り。楽しい。だって殆ど避けきれてないから。沈め下郎共! って感じ。楽し過ぎ。そして私が主に狙うのは治療中・補給中・待機中構わずスキを見せた兵站。だって戦場ってそんな感じゃない。
ギルド鍛錬場の中央より左側では赤鬼に監督された残りの五十人が槍のお稽古をしていた。
ん? これ、槍のお稽古なのか、な?
槍って普通、水平に繰り出すものだよね。戦国時代の足軽が持たされた長柄の槍は大きく振りかぶって落とす殴打戦法だって聞いたことあるけど、確かにちょっと長く、二メートルぐらい、空に向かい振りかぶるのは同じだけど、落とさずそのまま天に向かい突き上げる。捻りを加えた回転突き。
見様によっては踊ってるみたい。なんだっけな、どっかで観た。そうだ、テレビの時代劇、大名行列の先頭で長槍をくるくる回したりするパフォーマンス。そう、『毛槍回し』そのままよ。
丁度回転力を測るためか穂先に布が括り付けられてて、上下する度に右回り左回りとフワッと広がってキュって萎んで、面白い。面白いって言っちゃいけないのかな。未だ未だ不揃いで一斉とは行かないようだけど、五十の人間が揃っての『毛槍回し』は壮観ね。
でもいいのそれで? まあいいんでしょうね。実際に見るまでは気づかなかったけど、確かにあの動作はハム君がサッちゃんに細部まで丁寧に説明していた動きそのままだったのだから。
異世界には“武魔装技操”と言う魔法があるらしい。武術の一連の動作を魔法的にひとつの型として固めて放つ的な。
……チョット待ってね、要するに、みんな大好き『居合』でいうと抜刀して一閃、納刀までをプログラミング化してただ単純にシーケンスするってこと。
メリットは条件さえ揃えば何も考えずに思っただけで発動すること、筋肉ではなく魔法的な理力で動くので疲れ知らず、連続で魔力尽きるまで繰り出せ続けられる。同じ理由で鍛錬を積めば積むほど限りなく素早く、目で捉えられない程の速さで繰り出せるようになること。
デメリットは発動したら自分の意思では止められない。プログラムされた動き以外は出来ない。途中でフェイントとか入れられない。複雑な複数の動作を連続して行うプログラムも組むことは出来るけど、収得には非常に時間がかかってしまう。
達人はそのデメリットを克服する為に単純なプログラムを幾つも用意し、その組み合わせで多彩な業に昇華させる。正しいシーケンシャル制御化だ。例えばみんな大好き『居合』でいうと『抜刀』ひとつ、『一閃』ひとつ、『切り返し』ひとつ、『フェイント』ひとつ、で最後の『納刀』ひとつ。と、それぞれを個別のプログラムとしてその組合せを行う。『切り返し』をもう一つ加えたり、『フェイント』三つとか。九○龍閃も夢じゃない?
身に付けるには同じ動作を死ぬほど繰り返すこと。本当に死ぬほど。それがただひとつの取得方法。その辺は本当の武術の習得とそんなに変わらないのかもしれないね。
魔法はイメージ。身体が自分の思った通りに動く確固たるイメージを身体に覚え込ませる。ほんと普通。私的には特に要らないかなって思う。もっと自由に臨機応変に動けたほうがいいかなって思っちゃう。それは人それぞれらしいし、織り交ぜて、最後の決めの必殺技的に使うのが通なのだそうだ。蕎麦は喉越し的な。違うか。六光○斬的な。まあ“武魔装技操”のみの専門な人は居ないらしい。それはそれでつまんないと思うんだけど。マリオネット的な。魔法大好きっ娘の性か?
その“武魔装技操”をハム君はギルドの兵隊五十人に緊急且つ絶対に覚えさせたいらしい。そんなに『秘技・毛槍回し』ってカッコイイ、の? 違うか。
確かにカトンボは空から襲い来るから槍を天に突き出すのは理にかなってる。けど。捻りながら軸に回転を与える事で貫通力も増し、僅かだけどジャイロ効果で軌道も安定する。でも、この短期間では仕留めるまでの練度は絶対に習得できない。それでも。
『それだけでいいのさ、それだけが必要なんだ。それに、贅沢は言えないよ』
ハム君が望んでいる。それが理由だ。
で、わかってるのかな? 赤鬼さんは。至上命令だって、私さっき言ったわよね。
『秘技・毛槍回し』は単純な動作二過程で有るため、比較的お手軽に習得出来るらしいのだけど、それでも必死こいて死ぬほど繰り返すことで約七十二時間で顕現可能であるらしい。最短で。
「顕現しても威力も速さも全然変わらないんだけどね、でも三日間ぐらいは休まずにずっと槍を突き上げ続ける事は出来るようになるかな」
ホントにわかってるのかな。赤鬼も槍使い組の五十人も。七十二時間の縛りもただウダウダ過ごせばいいという事では決して無いのだけど。“必死こいて”と“死ぬほど”の絶対条件が付くのだけど。
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