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出発の時
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ガラガラと戸を開けて外に出た。
「ついに、行くんだね」
旅館から一歩踏み出し、夏芽は後ろを振り返る。
そこには、靴紐を固く結び、フリーニャの形見であるレイピアを背中に付けたアキホと、杖を磨きながら出発を待つウイッテの姿があった。
「準備完了だ!」
「私も!」
「わたしもです!」
そして三人はウイッテの案内を頼りに雲母の秘境へと向かった。
数分歩いた後、ウイッテはポケットから地図を取りだし、
「まずは森の奥を抜けなくてはいけません。それまでは少し平坦な道を進んでいきます」
そうして、旅館を出た後は、前日にいた街とは逆の山道へと進んでいった。
「こっち側に行くとこんな道につながっていたんだあ」
気がつくと、周りには大自然が広がっていた。
草むらからは、虫が飛び跳ね、鳴いていた。
太陽が照らす中、三人は歩き続けた。
そのまま一時間ほど歩くと、森の入り口へと着いた。
並んだ三人の目の前にはゲートがあり、ゲートの前には赤い看板がぽつんと立てられていて、小さな文字で文が書かれていた。
「なんだろう、、、?」
アキホがその看板の前に行き、そこに書き込まれている文を読んだ。
そして、読み終わると夏芽とウイッテのほうを向いて、残念そうな顔をして俯いた。
「ここから先は通れないみたい。どうやら危険な猛獣が見つかっているんだって。既に犠牲者がでていてその死体も広がっているくらい危険で衛生にも悪いって書いてあったよ」
「っ、、、」
「でもここを通らないと絶対に秘境には行けないよ!こんな看板無視して先に進もうよー!」
どうしても進まなくてはならないのだが、森の中を見ると、そこから今にも襲ってくるような禍々しさがい感じられる。
「進むしかないのか、、、」
そして、アキホを先頭に看板の横を通って森の中へと歩き出した。
足を踏み入れると、その一歩から先程まで歩いてきた道とは違い、萎れ、湿った雑草から、うごめく何かがある。
そして、太陽がほとんど見えず、薄暗い、不気味な道を進む。
緑あふれる景色の中に、紫色の虫や蛇が視界にちらちらと写る。
「きゃあははははははは」と甲高い声が奥から響いて聞こえる。
「気持ち悪い、、、」
先が見えず、周りをぐるぐる見渡しながらおどおどしている夏芽を、後ろからウイッテが足に抱き着いてきた。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。こわくなーいこわくなーい。私もちょっと怖いけど頑張ってるから、お姉ちゃんもついてきてね!」
怖がっていた夏芽だったが、小さい女の子に励まされ、なんだか元気が湧いてきたのである。
夏芽が抱き着かれている足元を見ると、ウイッテから、金色の輝きが出ていた。
夏芽はこれを、回復魔法ではないが、元気の出る魔法だと思った。
よし、と前を向くと、衝撃の光景が広がっていた。
アキホが尻もちをついて倒れている。
「く、来るなあ」
そして、その先、森の奥には虎のような獣がこちらを見ていた。
「ついに、行くんだね」
旅館から一歩踏み出し、夏芽は後ろを振り返る。
そこには、靴紐を固く結び、フリーニャの形見であるレイピアを背中に付けたアキホと、杖を磨きながら出発を待つウイッテの姿があった。
「準備完了だ!」
「私も!」
「わたしもです!」
そして三人はウイッテの案内を頼りに雲母の秘境へと向かった。
数分歩いた後、ウイッテはポケットから地図を取りだし、
「まずは森の奥を抜けなくてはいけません。それまでは少し平坦な道を進んでいきます」
そうして、旅館を出た後は、前日にいた街とは逆の山道へと進んでいった。
「こっち側に行くとこんな道につながっていたんだあ」
気がつくと、周りには大自然が広がっていた。
草むらからは、虫が飛び跳ね、鳴いていた。
太陽が照らす中、三人は歩き続けた。
そのまま一時間ほど歩くと、森の入り口へと着いた。
並んだ三人の目の前にはゲートがあり、ゲートの前には赤い看板がぽつんと立てられていて、小さな文字で文が書かれていた。
「なんだろう、、、?」
アキホがその看板の前に行き、そこに書き込まれている文を読んだ。
そして、読み終わると夏芽とウイッテのほうを向いて、残念そうな顔をして俯いた。
「ここから先は通れないみたい。どうやら危険な猛獣が見つかっているんだって。既に犠牲者がでていてその死体も広がっているくらい危険で衛生にも悪いって書いてあったよ」
「っ、、、」
「でもここを通らないと絶対に秘境には行けないよ!こんな看板無視して先に進もうよー!」
どうしても進まなくてはならないのだが、森の中を見ると、そこから今にも襲ってくるような禍々しさがい感じられる。
「進むしかないのか、、、」
そして、アキホを先頭に看板の横を通って森の中へと歩き出した。
足を踏み入れると、その一歩から先程まで歩いてきた道とは違い、萎れ、湿った雑草から、うごめく何かがある。
そして、太陽がほとんど見えず、薄暗い、不気味な道を進む。
緑あふれる景色の中に、紫色の虫や蛇が視界にちらちらと写る。
「きゃあははははははは」と甲高い声が奥から響いて聞こえる。
「気持ち悪い、、、」
先が見えず、周りをぐるぐる見渡しながらおどおどしている夏芽を、後ろからウイッテが足に抱き着いてきた。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。こわくなーいこわくなーい。私もちょっと怖いけど頑張ってるから、お姉ちゃんもついてきてね!」
怖がっていた夏芽だったが、小さい女の子に励まされ、なんだか元気が湧いてきたのである。
夏芽が抱き着かれている足元を見ると、ウイッテから、金色の輝きが出ていた。
夏芽はこれを、回復魔法ではないが、元気の出る魔法だと思った。
よし、と前を向くと、衝撃の光景が広がっていた。
アキホが尻もちをついて倒れている。
「く、来るなあ」
そして、その先、森の奥には虎のような獣がこちらを見ていた。
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