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フリーニャとローリア
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テーブルに夏芽とフリーニャで並んで腰掛けて、シェフが食事を運んでくるのを待っていた。
「あはは、あなたは、忘れてるみたいだから、この家の家族の紹介と、私とあなたの関係の話をしなくちゃね。さっきからお母様お母様って呼んでる人は、あなたの実のお母さんなの。そして、私はそのお母様の親友の娘ってわけ」
「ふーん。そーなん、、だったんだ~」
「まあ、私のお母さんは、もう、この世にいないんだけどね」
「え?」
いきなり想像の斜め上の事実に夏芽は驚いた。
「私も詳しくは知らないんだけど、お母さんは、私が生まれてすぐに死んじゃったらしいんだよね。だから、私もお母さんの顔は写真でしか見たことがないの。そして、この家のお母様に育てられたの。」
「じゃあ、あなたは私と一緒に暮らしてたの?」
「そう。幼い頃は二人で仲良くしてたのよ。あんまり昔のことは覚えてないけど、一緒によく人形遊びをしていたの」
「へー」
「そして、私は15歳になって一人暮らしを始めるためにこの家を出たの。ちょうど学校を卒業するタイミングだったからね。その後は、あなたとはたまに会う程度だったんだけど、20歳の時に転機が訪れたわ。」
「何があったの?」
「私のお父さんが戦死しちゃったの。お母さんがいなくなって、お母さんの親友の家で養われていたのも、お父さんが戦っていたからなの。「お前に辛い思いはさせたくない」ってね。」
「そ、そんな…」
「そうして、私は一人でお父さんの遺品を取りに隣の村に行ったの。そして、家に届いた手紙の案内に従って、建物に入って、お父さんの剣と鎧、バンダナを持ち帰ったの。ここで、持ち帰っている途中に、邪鬼の群れに遭遇してしまったの」
「邪鬼って何?」
起きたときから気になっていたが、邪鬼という存在は何なのか夏芽はフリーニャに問いかけてみた。
「邪鬼っていうのは、この世界の魔の存在。いろんな街や村を襲っては、人を殺し、金品を盗む。そんな者たちよ。厄介なことに、邪鬼は、いろんな形があるの。獣形、人形、影、本当にいろいろよ。そして、彼らの上には邪帝という最強の邪鬼もいるの。私のお父さんは、邪帝に殺されたの…」
「ヒッ!!こんなに平和そうな感じなのに、そんなに恐ろしいものがでるの?」
「うん。話を戻すけど、そんな邪鬼の群れと遭遇した私は、死を確信したわ。邪鬼は魔法も使えるもの。眠らされて食われると思ったわ。でもね、ダメ元で剣を振り回してみたら、お父さんが作っていたみたいな波動を作れて、邪鬼が吹っ飛んでいたの。自分でもびっくりよ」
「それって、そんなにすごいの?」
「う~ん。本当に剣術を極めた人でも難しいって言われてるくらいよ。自分で言うのもなんだけど、私、この時点でかなりの剣豪だったらしいの。それで、お父さんの形見の剣で、邪帝を倒すことを決意したの。私の手であいつを倒すと。」
「それで、私も一緒に旅することになったってこと?」
「そう。記憶の無くなる前のあなたは、最強の剣豪として、すでに名を馳せていたから、すぐにスカウトして、一緒のチームになったっていう流れなの。」
「私ってそんなに強かったの?」
「ええ、あなたは最強の名にふさわしいほど強かった。剣を一振りすれば、黄金の波動が周りを包んで全てを破壊していたわ。」
「ひええ、すごい!」
夏芽は生まれ変わった体がこんなにすごい体だったんだ!と思うとニヤケが止まらなかった。
「でも、記憶がなくなって、あなたはもう、戦えないよね…。いい戦友だったのよ。私たち。ほとんど負けることなんて、無かったのに…。」
フリーニャが、寂しそうに下を向いた。夏芽はなんとかしてフリーニャを慰めてあげようと思ったが、どうしたらよいか分からなかった。
本当だったら、ここで「私は戦えるよ!」って言ってあげるのが一番なのだろうが、夏芽には、自分が戦えるという自信が無かった。
フリーニャが、悲しみに明け暮れていると、良い匂いが、部屋の中に広がった。
「あ、食事が来たよ!一緒に食べよ!」
シェフが、食事をカートに乗せて持ってきた。
肉、魚、野菜が色とりどりに盛り付けられていて、流石豪邸のご飯という感じだった。
二人はそれをぺろりと平らげた。
「ふー。あ、私、これからメンバーの会議があるから、帰るね。また遊びに来るから!!」
そう言ってフリーニャは、家を出ていった。
夏芽は自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛けて、ローリアの過去について考えていた。
自分は、亡くなったローリアの能力を受け継いで、戦うことが指名なのではないかと考え始めた。
そして、そのことについてずっと考えていると、時計は、午後5時を指していた。
「剣、振ってみようかな……。」
そう呟くと、偶然なのか、必然なのかは分からないが、部屋の棚から、ガコンという音がして、赤いラインの入った剣が落ちてきた。
「こ、これが、ローリアの剣……。す、すごい……これを使えば、私も剣豪になれる、、よね!」
それを持って、夏芽は、剣を振り回しても良さそうな公園を探しに行った。
外を歩いている時は、起きたときよりも身が軽く感じた。
「あはは、あなたは、忘れてるみたいだから、この家の家族の紹介と、私とあなたの関係の話をしなくちゃね。さっきからお母様お母様って呼んでる人は、あなたの実のお母さんなの。そして、私はそのお母様の親友の娘ってわけ」
「ふーん。そーなん、、だったんだ~」
「まあ、私のお母さんは、もう、この世にいないんだけどね」
「え?」
いきなり想像の斜め上の事実に夏芽は驚いた。
「私も詳しくは知らないんだけど、お母さんは、私が生まれてすぐに死んじゃったらしいんだよね。だから、私もお母さんの顔は写真でしか見たことがないの。そして、この家のお母様に育てられたの。」
「じゃあ、あなたは私と一緒に暮らしてたの?」
「そう。幼い頃は二人で仲良くしてたのよ。あんまり昔のことは覚えてないけど、一緒によく人形遊びをしていたの」
「へー」
「そして、私は15歳になって一人暮らしを始めるためにこの家を出たの。ちょうど学校を卒業するタイミングだったからね。その後は、あなたとはたまに会う程度だったんだけど、20歳の時に転機が訪れたわ。」
「何があったの?」
「私のお父さんが戦死しちゃったの。お母さんがいなくなって、お母さんの親友の家で養われていたのも、お父さんが戦っていたからなの。「お前に辛い思いはさせたくない」ってね。」
「そ、そんな…」
「そうして、私は一人でお父さんの遺品を取りに隣の村に行ったの。そして、家に届いた手紙の案内に従って、建物に入って、お父さんの剣と鎧、バンダナを持ち帰ったの。ここで、持ち帰っている途中に、邪鬼の群れに遭遇してしまったの」
「邪鬼って何?」
起きたときから気になっていたが、邪鬼という存在は何なのか夏芽はフリーニャに問いかけてみた。
「邪鬼っていうのは、この世界の魔の存在。いろんな街や村を襲っては、人を殺し、金品を盗む。そんな者たちよ。厄介なことに、邪鬼は、いろんな形があるの。獣形、人形、影、本当にいろいろよ。そして、彼らの上には邪帝という最強の邪鬼もいるの。私のお父さんは、邪帝に殺されたの…」
「ヒッ!!こんなに平和そうな感じなのに、そんなに恐ろしいものがでるの?」
「うん。話を戻すけど、そんな邪鬼の群れと遭遇した私は、死を確信したわ。邪鬼は魔法も使えるもの。眠らされて食われると思ったわ。でもね、ダメ元で剣を振り回してみたら、お父さんが作っていたみたいな波動を作れて、邪鬼が吹っ飛んでいたの。自分でもびっくりよ」
「それって、そんなにすごいの?」
「う~ん。本当に剣術を極めた人でも難しいって言われてるくらいよ。自分で言うのもなんだけど、私、この時点でかなりの剣豪だったらしいの。それで、お父さんの形見の剣で、邪帝を倒すことを決意したの。私の手であいつを倒すと。」
「それで、私も一緒に旅することになったってこと?」
「そう。記憶の無くなる前のあなたは、最強の剣豪として、すでに名を馳せていたから、すぐにスカウトして、一緒のチームになったっていう流れなの。」
「私ってそんなに強かったの?」
「ええ、あなたは最強の名にふさわしいほど強かった。剣を一振りすれば、黄金の波動が周りを包んで全てを破壊していたわ。」
「ひええ、すごい!」
夏芽は生まれ変わった体がこんなにすごい体だったんだ!と思うとニヤケが止まらなかった。
「でも、記憶がなくなって、あなたはもう、戦えないよね…。いい戦友だったのよ。私たち。ほとんど負けることなんて、無かったのに…。」
フリーニャが、寂しそうに下を向いた。夏芽はなんとかしてフリーニャを慰めてあげようと思ったが、どうしたらよいか分からなかった。
本当だったら、ここで「私は戦えるよ!」って言ってあげるのが一番なのだろうが、夏芽には、自分が戦えるという自信が無かった。
フリーニャが、悲しみに明け暮れていると、良い匂いが、部屋の中に広がった。
「あ、食事が来たよ!一緒に食べよ!」
シェフが、食事をカートに乗せて持ってきた。
肉、魚、野菜が色とりどりに盛り付けられていて、流石豪邸のご飯という感じだった。
二人はそれをぺろりと平らげた。
「ふー。あ、私、これからメンバーの会議があるから、帰るね。また遊びに来るから!!」
そう言ってフリーニャは、家を出ていった。
夏芽は自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛けて、ローリアの過去について考えていた。
自分は、亡くなったローリアの能力を受け継いで、戦うことが指名なのではないかと考え始めた。
そして、そのことについてずっと考えていると、時計は、午後5時を指していた。
「剣、振ってみようかな……。」
そう呟くと、偶然なのか、必然なのかは分からないが、部屋の棚から、ガコンという音がして、赤いラインの入った剣が落ちてきた。
「こ、これが、ローリアの剣……。す、すごい……これを使えば、私も剣豪になれる、、よね!」
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