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潮道進向編
自己中な男
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(異次元ライフ4日め)
部屋の窓から注がれる光で高生は目覚めた。時計を見ると、朝の6時を回っていた。おお、10時間以上寝ていたのか。でも、もうこの地獄から開放されるのか。正直戦いで死ぬと思っていたから、一度絶えれただけ良かったのかもしれない。
「おはよ……高生……」
義志斗は、右手を上げたままだった。昨日の体制のまま寝てしまっていたようだ。
「ふ、今日で終わりか……。ここから、帰れる……。」
「スズコさんが来るまで暇だし、それまでラジオでも聞いとくか」
高生はラジオをつけ、ダイヤルを回したが、どこにも繋がらない。まだ、どこの放送局も活動していないのか、ラジオ局が、アームによって破壊されたのか……信実は闇の中である。
「なーんだ、なんにも繋がらないじゃないか」
高生はラジオのアンテナを畳んで地面に寝転んだ。すると、外からゴンゴンゴンととこの部屋のドアを叩く音が聞こえた。
「入るわよー!!!」
「どうぞー!」
すると、部屋の中にミーラが、入ってきた。そして、その手には、畳まれた防弾チョッキがあった。ミーラの顔は、先程までの元気な顔とは異なり、心なしか残念そうな顔をしている。
「みんな、三次元に帰っちゃうの?」
三人は、ドキッとした。なぜ、ミーラが高生たちが三次元から来たことを知っているのだろうか?
「な、なぜ、そのことを知っているんですか?」
「スズコさんから聞いたの。もう嫌だから帰るっていうこと。君たちが帰ったら二次元のみんなは君たちのことを完全に忘れてしまうから、最後に君たちが三次元から来ていることを教えてあげるって言われて」
「スズコさん……」
このまま何もなく帰ろうかと思っていたのだが、まさかスズコさんが、バラしてしまうなんて。
「でも、一応!念のため!念のためにね、君たちが二次元に残りたいって思った時に着てほしい服を持ってきたの。これ、防弾チョッキ。後4時間後の10時になったら、私達はコミュの外に進軍するの。だから、もし、残るんだったらこの服を着て下に集まってね」
「あ、ありがとうございます。もう帰るって言っちゃったのに、こんなに気を遣っていただいて」
「うんうん、気にしないで!アームとの戦闘、本当に君たちが加勢してくれて嬉しかった。君たちのお陰で三人の命がまもられたのだから」
「三人は、無事だったんですか?」
「うん。今はもうバッチリ回復してる感じかな」
良かった……。俺たちが二次元に来たのにはこんな意味があったんだ。きっと、公輔さんと、のりかちゃん、そして、アリスちゃん。この三人を助けることに意味があったんだ。俺たちは自分の仕事を全うしたんだ!高生はそう思うと、この3日間がとても充実していたんだと実感した。
「本当にありがとう!みんなと会えてよかった。またね!」
ミーラはそう言うと、深くお辞儀をして下の階に降りていった。
はは、なんだ、、なんか、寂しくなってしまうじゃないか。
三人は、お盆に乗ったお菓子を食べ、スズコが来るのを待った。そして、9時になる5分ほど前に部屋の戸がコンコンコンとなった。
「おまたせいたしました!もってきましたよ!婚姻届」
そうして、スズコは、高生たちの部屋に入ると三枚の婚姻届を机の上に並べた。
「これにサインをしてくだされば、結婚が成立して、みなさんは三次元に帰れます。お相手は私が手配しておきました!」
そして、三人は一枚ずつ自分の前に婚姻届を並べた。そうか、これに書けば、俺たちは帰れるんだ……。
「それでは、このペンを使ってサインをお願いします!私もこれが最後のお仕事ですね!」
そして、スズコが三本のペンを差し出し、一本一本丁寧に三人に渡していった。
そして、一筆一筆名前を書いていく。津、田、高、そして、生きるという字を書こうとした瞬間、9時になり、先程高生がいじっていたラジオからなにやら、ズー、ズーと音がなっている。
「なんだ、なんだ?」
「なにか受信したようですね……」
高生は立ち上がってラジオの音量を大きくすると、聞き覚えのある男の声がした。
「あーあーあー。聞こえてるかなー?これ?まあいっか。どうせ聞いている可能性の方が低いんだから。おーい、高生くーん、進向くーん、義志斗くーん!俺だ!信だよー!」
一瞬四人の空間に動揺が走る。まさか、俺たちだけ抜け駆けしようとしたことが、バレたのか???いや、信にも事情を後からスズコさんに伝えてもらって、帰ってきてもらおっかなーって思ってたんだよー。
「まあいっか、ラジオをたまたまつけるくらいしか俺の声は届かないんだから、相当確率が低いよな。でも、もし、お前たちがたまたま今の俺の声を聞いているんだったら、頼みがある。俺のことを助けに来てほしい。実は言うと、俺はあの後に一人でゲーセンに籠もった。誰もいないゲーセンなんて気味が悪かったさ、正直。でも、ここなら襲われないと思っていたんだが、残念だった。俺はアームに捕まってコミュの外へ連れて行かれてしまった。高生と義志斗。お前たちが正しかった。お前たちを信じてついていけばよかったのにな。俺は馬鹿だ。許してほしい。ここで、本題だ。俺を連れ戻してくれないか。なんでもする。なんでもするから、もう一度お前たちと会いたい。今、俺含めコミュの住民たちは、囚われの身となり、労働など過酷な要求をされている。しかし、食事や睡眠などは、かなりある。一応、健康で文化的な最低限度の生活は送れている感じだ。まだ、流石に死ぬことはないだろうが、これから俺たちはどうなるか分からない。明日を予想できない生活を送っているんだ。怖い。怖いよ。我儘を言っているという自覚はあるが、助けに来てくほしい…下さい…お願いします。本当に……。……ツーツーツーツー」
間違いなく信の声だった。これは、正真正銘信であった。
「ご結婚、どうされますか?」
スズコは変わらぬ口調で話し続ける。
「やれやれ、自己中な男だべね。自分で勝手な行動をしてこんな風になってしまった。俺たちじゃなかったら、助けないだべよ絶対」
義志斗は、そう言って、親指を立てて高生の方を見た。高生もそれに返して親指を立てた。
「どーしてもっていうなら、仕方ないですね。この二次元に来たのも、元は彼が始まりでしたね。いいでしょう。信を最後のピースとして、取り返しましょう」
進向は、目の前にある防弾チョッキを着だした。流石だ!
「しゃーねぇーなー!助けに行くか!」
高生は、親指を立てたまま空に掲げた。一階でブォーンと戦闘機が立てている音が三人には鮮明に聞こえた。
部屋の窓から注がれる光で高生は目覚めた。時計を見ると、朝の6時を回っていた。おお、10時間以上寝ていたのか。でも、もうこの地獄から開放されるのか。正直戦いで死ぬと思っていたから、一度絶えれただけ良かったのかもしれない。
「おはよ……高生……」
義志斗は、右手を上げたままだった。昨日の体制のまま寝てしまっていたようだ。
「ふ、今日で終わりか……。ここから、帰れる……。」
「スズコさんが来るまで暇だし、それまでラジオでも聞いとくか」
高生はラジオをつけ、ダイヤルを回したが、どこにも繋がらない。まだ、どこの放送局も活動していないのか、ラジオ局が、アームによって破壊されたのか……信実は闇の中である。
「なーんだ、なんにも繋がらないじゃないか」
高生はラジオのアンテナを畳んで地面に寝転んだ。すると、外からゴンゴンゴンととこの部屋のドアを叩く音が聞こえた。
「入るわよー!!!」
「どうぞー!」
すると、部屋の中にミーラが、入ってきた。そして、その手には、畳まれた防弾チョッキがあった。ミーラの顔は、先程までの元気な顔とは異なり、心なしか残念そうな顔をしている。
「みんな、三次元に帰っちゃうの?」
三人は、ドキッとした。なぜ、ミーラが高生たちが三次元から来たことを知っているのだろうか?
「な、なぜ、そのことを知っているんですか?」
「スズコさんから聞いたの。もう嫌だから帰るっていうこと。君たちが帰ったら二次元のみんなは君たちのことを完全に忘れてしまうから、最後に君たちが三次元から来ていることを教えてあげるって言われて」
「スズコさん……」
このまま何もなく帰ろうかと思っていたのだが、まさかスズコさんが、バラしてしまうなんて。
「でも、一応!念のため!念のためにね、君たちが二次元に残りたいって思った時に着てほしい服を持ってきたの。これ、防弾チョッキ。後4時間後の10時になったら、私達はコミュの外に進軍するの。だから、もし、残るんだったらこの服を着て下に集まってね」
「あ、ありがとうございます。もう帰るって言っちゃったのに、こんなに気を遣っていただいて」
「うんうん、気にしないで!アームとの戦闘、本当に君たちが加勢してくれて嬉しかった。君たちのお陰で三人の命がまもられたのだから」
「三人は、無事だったんですか?」
「うん。今はもうバッチリ回復してる感じかな」
良かった……。俺たちが二次元に来たのにはこんな意味があったんだ。きっと、公輔さんと、のりかちゃん、そして、アリスちゃん。この三人を助けることに意味があったんだ。俺たちは自分の仕事を全うしたんだ!高生はそう思うと、この3日間がとても充実していたんだと実感した。
「本当にありがとう!みんなと会えてよかった。またね!」
ミーラはそう言うと、深くお辞儀をして下の階に降りていった。
はは、なんだ、、なんか、寂しくなってしまうじゃないか。
三人は、お盆に乗ったお菓子を食べ、スズコが来るのを待った。そして、9時になる5分ほど前に部屋の戸がコンコンコンとなった。
「おまたせいたしました!もってきましたよ!婚姻届」
そうして、スズコは、高生たちの部屋に入ると三枚の婚姻届を机の上に並べた。
「これにサインをしてくだされば、結婚が成立して、みなさんは三次元に帰れます。お相手は私が手配しておきました!」
そして、三人は一枚ずつ自分の前に婚姻届を並べた。そうか、これに書けば、俺たちは帰れるんだ……。
「それでは、このペンを使ってサインをお願いします!私もこれが最後のお仕事ですね!」
そして、スズコが三本のペンを差し出し、一本一本丁寧に三人に渡していった。
そして、一筆一筆名前を書いていく。津、田、高、そして、生きるという字を書こうとした瞬間、9時になり、先程高生がいじっていたラジオからなにやら、ズー、ズーと音がなっている。
「なんだ、なんだ?」
「なにか受信したようですね……」
高生は立ち上がってラジオの音量を大きくすると、聞き覚えのある男の声がした。
「あーあーあー。聞こえてるかなー?これ?まあいっか。どうせ聞いている可能性の方が低いんだから。おーい、高生くーん、進向くーん、義志斗くーん!俺だ!信だよー!」
一瞬四人の空間に動揺が走る。まさか、俺たちだけ抜け駆けしようとしたことが、バレたのか???いや、信にも事情を後からスズコさんに伝えてもらって、帰ってきてもらおっかなーって思ってたんだよー。
「まあいっか、ラジオをたまたまつけるくらいしか俺の声は届かないんだから、相当確率が低いよな。でも、もし、お前たちがたまたま今の俺の声を聞いているんだったら、頼みがある。俺のことを助けに来てほしい。実は言うと、俺はあの後に一人でゲーセンに籠もった。誰もいないゲーセンなんて気味が悪かったさ、正直。でも、ここなら襲われないと思っていたんだが、残念だった。俺はアームに捕まってコミュの外へ連れて行かれてしまった。高生と義志斗。お前たちが正しかった。お前たちを信じてついていけばよかったのにな。俺は馬鹿だ。許してほしい。ここで、本題だ。俺を連れ戻してくれないか。なんでもする。なんでもするから、もう一度お前たちと会いたい。今、俺含めコミュの住民たちは、囚われの身となり、労働など過酷な要求をされている。しかし、食事や睡眠などは、かなりある。一応、健康で文化的な最低限度の生活は送れている感じだ。まだ、流石に死ぬことはないだろうが、これから俺たちはどうなるか分からない。明日を予想できない生活を送っているんだ。怖い。怖いよ。我儘を言っているという自覚はあるが、助けに来てくほしい…下さい…お願いします。本当に……。……ツーツーツーツー」
間違いなく信の声だった。これは、正真正銘信であった。
「ご結婚、どうされますか?」
スズコは変わらぬ口調で話し続ける。
「やれやれ、自己中な男だべね。自分で勝手な行動をしてこんな風になってしまった。俺たちじゃなかったら、助けないだべよ絶対」
義志斗は、そう言って、親指を立てて高生の方を見た。高生もそれに返して親指を立てた。
「どーしてもっていうなら、仕方ないですね。この二次元に来たのも、元は彼が始まりでしたね。いいでしょう。信を最後のピースとして、取り返しましょう」
進向は、目の前にある防弾チョッキを着だした。流石だ!
「しゃーねぇーなー!助けに行くか!」
高生は、親指を立てたまま空に掲げた。一階でブォーンと戦闘機が立てている音が三人には鮮明に聞こえた。
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