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職をください! パート1

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「地球に逃げたんですか?」
 周治は一言一言を噛みしめながら言った。でも、女神様が地球に逃げたというなら、地球と今いる世界が繋がったことにも説明がつく。
「ああ、間違いないと言っていい。女神様の痕跡や失踪した現場をよく確認した結果、「地球」という星に逃げたというデータも取れたんだ。君にはとても申し訳ないことをしてしまったね。私たちの世界のことなのに、君まで巻き込んでしまったのだから。女神様がいなくなってしまった今では、地方同士での争いも起こってしまってね。私たちのグラトマス村でも兵隊の徴集を行っている。私たちの村人は、アリュ・マーニュ地方の軍隊に配属されるのだが、、、」
 「僕も軍隊に入隊は出来ますか?」
 周治は、村長の話を遮って、入隊の意思を伝えた。さらに続けて、
 「僕、軍隊で働いて、しっかりお金を稼ぎますから、どうか、この家に住ませてください。お願いします」
 周治が真剣な表情でこれを伝えると、村長は、
 「流石に地球人に戦ってもらうのは、、、」
 と嫌な表情を見せたが、ここで、マニーが、
 「周治は、解呪が出来るの!必ず軍隊を勝利に導いてくれるはずだよ!」
 と周治に加勢した。すると、先ほどまで嫌な顔をしていた村長が、笑顔になって、
 「そんなに言うなら、明日行って入隊審査を受けてこい!今日はもう遅いから、明日に備えなさい」
 と言った。
 「ありがとうございます!」
 周治は大きな声でそう言った途端、その場で倒れて寝てしまった。

 次の日、入隊審査を受けるために、マニーと共に地方の役場に向かった。服装は昨日のようなパジャマ姿ではなく、この世界の風土にあった動物の皮でできた服で臨んだ。役場の周りの広場には、たくさんの剣士や魔法使いのような人、拳でと言わんばかりの筋肉質な人が集っていた。そんな中、ヒョロガリ地球人の周治が、合格できるのか不安になってきた。横にいたマニーは、
 「きっと大丈夫だよ!君ならできるわ」
 と励ましてくれたが、緊張は解けなかった。村長曰く、まずは、レベル検診から始まるらしい。しばらく待っていると、女性の騎士隊長のような人が、広場の真ん中の朝礼台の上に立って、
 「今から君たちが本当に我が軍隊にふさわしいかを審査する。今日審査するのは私、クラエルだ、よろしく。」
 美人でスタイルのいい人だなあと、クラエルのことを見惚れていた周治をマニーは、
 「何惚れてんのよ!バカ!」
 と一突きした。
 「それでは、まずはレベル検診を行う。順番に並んで、暴れずに待つように」
 クラエルの一声で広場に集まっていた戦士たちが一列に並んだ。周治はマニーと一旦別れ、一人で並んだ。かなり後ろの方に並んだからか、かなり時間がかかりそうだった。待っている間暇だなあ。と思っていると、前に並んでいた男に話しかけられた。
 「こんにちは、あなたはここに来るのは初めてですか?」
 「そうです」
 「そうか、初めての人にはここは厳しいかもしれないな」
 周治は、極度の緊張下の中で、こんなことを言われ、心底キレていた。
 「なんでそんなことを言うんですか!」
 「違う。勘違いしないでくれ。君をけなすためにこんなことを言ったんじゃないんだ。その、、、クラエルはものすごく厳しい隊長なんだ。無能は切り、必要なものはこき使う。そんな人なんだ。僕も何回ここで落ちたのか数えきれないよ。」
 周治はその男が言ったことが言い訳にしか聞こえなかったが、こんなことで怒ってはだめだと思いしっかりと耐えた。
 「僕の実力を舐めないでくださいよ。初めてでも受かりますから」
 「ほう。ところであなたは何の役職で審査を受けるんですか?剣士?魔法?」
 「解呪術師です」
 「え?」
 周治は自信満々だったが、男は笑いだして、
 「解呪なんて、専攻してない俺でも出来るわ、笑わせてくれる。解呪術師選考で軍隊に入るなんてお前は舐めている。解呪なんてチキュウジンでもできるんだぞ!」
 「そのチキュウジンとやらは僕のことだ!」
 「ん?何て言った?」
 「何でもないよアハハ」
 周治はホッとしたと同時に絶望した。まさか、この世界の戦士は、地球人のことをバカにしているなんて。本当に聞こえてなくて良かった。男に自分が地球人だと知れたら大変なことになるに違いない。そう会話をしているうちに、男の番になった。クラエルが大きな声で
 「次、入れ!」
 と、叫んだと同時に男は大きな声で返事をした。そうして、男の番が始まった。男が審査を受けている姿を見て周治は悟った。コイツ、強いと。
 多分男は剣士として審査を受けているのだろうが、動きが軽く、移動が素早い。さらに、攻撃の体制に入ったときの力強さが頼もしかった。こういうやつが仲間にいると心強いだろうなあ。
 男の審査が終わった。周治は、この男は必ず受かったと確信していた。ならば、自分も受からねばと思った。
 「次、入れ!」
 「はい!」
 周治は大きな声で返事をした。
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