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第十四章 礼拝堂で
不登校は悪いこと?
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食後のコーヒーを飲みながら、僕と佑夏はヒロトの話を聞く。
「家に......帰りたくないんです。」
ヤマネ姫は、この子の袖を掴みながら、
「学校に行きなさい、って言われるのね?」
「はい。いくら、イジメられてる、って言っても、お父さんも、お母さんも全然、聞いてくれません。
”みんな、学校や会社で嫌なことがあっても頑張ってるのに、情けない!”って、怒るだけなんです。」
ありがちな親だな。
氣持ちは分かるが、こんな時、叱ったり、無理矢理、学校に行かせるのは逆効果のNG行動なのに。
「ヒロト、一度、学校に行くのは中止しよう。今は不登校は別に珍しいことじゃないし、異常でもない。
転校だってできるんだ。」
そう、僕が提案しても、彼の表情は晴れない。
「猫.....が、......外に出されちゃうんです.....。」
「猫!?」
「猫ちゃん!?」
僕と佑夏が同時に声を上げる。
「はい.....。ミントっていう、女の子の猫なんですけど。僕が学校に行かないと、お母さん、ミントを外に放り出すんです。」
何だと!?この鬼ババァ!、いや、ずいぶん厳しい母親だな。
「ヒロトくんが学校に行かないと、ミントちゃん、お家に入れてもらえないの?」
人一倍優しいヤマネ姫の声に、いくぶん、彼も氣を許しているように見える。
「そうなんです.....。”アンタが学校行くまで、ミントは家に入れない”って言うんで......。
ミントが外でニャーニャー鳴くから、仕方なくて、学校行くしかないんです....。」
「ヒロトくん、大丈夫よ。」
佑夏は髪のポニーテールをほどき、いつものサラサラのロングヘアに戻すと、真帆さんの白い貝殻が、力強く光る。
何を?乗馬モードから、なにか「よそ行きモード」だ。
「私と中原先生、今から、あなたのお家に行って、お母さんとお話するから。」
!やっぱりか!ちょっと驚いたが、この展開上、やむを得ないかもしれないな。
「ヒロト、俺も今、そうしようと思っていたところだ。お母さんは、家にいるな?」
「はい。います.....。」
僕達三人は、店を後にして、彼の家に向かう。
到着まで、大して時間はかからなかった。
「お母さんを、呼んで来てくれ。」
「はい....。」
僕に言われ、まず、ヒロトが家に入り、程なく母親を連れて再び、出て来る。
どんな、鬼バ.....もとい、キツそうなご婦人が現れるものと思いきや、想像とは正反対の痩せた穏やかなそうな人である。
足元には白い猫。この子がヒロトママにじゃれつきながら甘え、僕と佑夏を出迎えてくれる。
猫も虐待してるんじゃないか?と心配したが、ミントは毛並みが良く、状態がいい。
飼い猫が二人の珍客を恐れず、ママに懐いている様子から、悪い人じゃなさそうだ。(あ~良かった!)
「家に......帰りたくないんです。」
ヤマネ姫は、この子の袖を掴みながら、
「学校に行きなさい、って言われるのね?」
「はい。いくら、イジメられてる、って言っても、お父さんも、お母さんも全然、聞いてくれません。
”みんな、学校や会社で嫌なことがあっても頑張ってるのに、情けない!”って、怒るだけなんです。」
ありがちな親だな。
氣持ちは分かるが、こんな時、叱ったり、無理矢理、学校に行かせるのは逆効果のNG行動なのに。
「ヒロト、一度、学校に行くのは中止しよう。今は不登校は別に珍しいことじゃないし、異常でもない。
転校だってできるんだ。」
そう、僕が提案しても、彼の表情は晴れない。
「猫.....が、......外に出されちゃうんです.....。」
「猫!?」
「猫ちゃん!?」
僕と佑夏が同時に声を上げる。
「はい.....。ミントっていう、女の子の猫なんですけど。僕が学校に行かないと、お母さん、ミントを外に放り出すんです。」
何だと!?この鬼ババァ!、いや、ずいぶん厳しい母親だな。
「ヒロトくんが学校に行かないと、ミントちゃん、お家に入れてもらえないの?」
人一倍優しいヤマネ姫の声に、いくぶん、彼も氣を許しているように見える。
「そうなんです.....。”アンタが学校行くまで、ミントは家に入れない”って言うんで......。
ミントが外でニャーニャー鳴くから、仕方なくて、学校行くしかないんです....。」
「ヒロトくん、大丈夫よ。」
佑夏は髪のポニーテールをほどき、いつものサラサラのロングヘアに戻すと、真帆さんの白い貝殻が、力強く光る。
何を?乗馬モードから、なにか「よそ行きモード」だ。
「私と中原先生、今から、あなたのお家に行って、お母さんとお話するから。」
!やっぱりか!ちょっと驚いたが、この展開上、やむを得ないかもしれないな。
「ヒロト、俺も今、そうしようと思っていたところだ。お母さんは、家にいるな?」
「はい。います.....。」
僕達三人は、店を後にして、彼の家に向かう。
到着まで、大して時間はかからなかった。
「お母さんを、呼んで来てくれ。」
「はい....。」
僕に言われ、まず、ヒロトが家に入り、程なく母親を連れて再び、出て来る。
どんな、鬼バ.....もとい、キツそうなご婦人が現れるものと思いきや、想像とは正反対の痩せた穏やかなそうな人である。
足元には白い猫。この子がヒロトママにじゃれつきながら甘え、僕と佑夏を出迎えてくれる。
猫も虐待してるんじゃないか?と心配したが、ミントは毛並みが良く、状態がいい。
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