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第十四章 礼拝堂で
ヤマネに会いたい!
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「お盆前 美女の叫びに 腰抜かす」
と、つい一句、詠みたくなる展開。
「キャー!カワイー!中原くん!私、このツアー、あなたと一緒に行くわ!」
え?僕の耳がおかしくなっていなければ、佑夏は、確かに今、「一緒に行く」と言ったけど?
「なに言ってんの?佑夏ちゃん!?二日目は教員採用試験の合格発表の日だよ!?
この町にいなよ!」
だが、小動物の写真集を手にした彼女は、首を横に振って微笑む。
この猛暑、テーブルの上には、僕が淹れた無農薬麦茶のコップが二つ、並んでいる。
「ううん、私も行く!発表は、何処にいても同じだから。」
???どうなってんだ?
(おい、ぽん太!佑夏ちゃんは、一体、何考えてんだ!?)
(さあな。教えるとでも思ってんのか?自分で聞いてみたらどうだ?)
姫の膝の上の、ぽん太は、後足で鼻先を掻き、舌を出している、こ.......の!
「佑夏ちゃん、何考えてんだよ!?男と二人きりで旅行なんてマズイだろ!?」
「中原くんは信用してま~す!ほら、”お部屋は原則としてお一人部屋になります”だって。大丈夫よ!
それじゃ、中原くん、霧ヶ峰まで、私をボディーガードして、エスコートお願いね!」
な?な?な?
写真集の題名は「霧ヶ峰のヤマネ」、著者、東山大悟。
表紙には、苔むした樹木の穴から顔を覗かせている「ヤマネ」と呼ばれる小さな動物が写っている。
「やっぱり、ダメだって!潮崎さんに知られたら、どうすんだよ!」
僕は、引き止めに躍起になる。
能天氣な彼女のことだから、男と一緒とかは関係無く、本当にただ、ヤマネの棲みかを歩きたいだけなんだろうけど。
こんなことがきっかけで、潮崎さんと別れることになったりでもしたら、大変だ!
「どーして、一馬さんが出てくるの?おかしーよ、中原くん?」
「ど、どうしてって.....。」
分からないのか?
(おい、ジンスケ。観念しろよ。せっかくの、お前の姫のご希望だ。長野までお連れして差し上げろ。)
(ぽん太、お前、俺と潮崎さんと、どっちの味方なんだ!?そんな訳いくか!)
なんとしても、阻止しなくては!
「佑夏ちゃん、高い所、苦手なんだろ!?車山にも登るんだよ!断崖絶壁があるかもしれないよ、止めた方がいいよ!」
「残念でした~!私、全国の、子供を連れてける緩い山、チェックしまくってんのよ。
車山は、なだらか~で、誰でも登れる山で~す。」
「なだらか~」の所を表現する、仮面ライバーの変身ポーズのような佑夏の左手のムービングが、ひどく面白くて、僕はつい、プッと、吹き出してしまう。
どうして、こんな事になったのか?
事の始まりは、先月の七月。
教員採用試験の一時試験のあたりである。
と、つい一句、詠みたくなる展開。
「キャー!カワイー!中原くん!私、このツアー、あなたと一緒に行くわ!」
え?僕の耳がおかしくなっていなければ、佑夏は、確かに今、「一緒に行く」と言ったけど?
「なに言ってんの?佑夏ちゃん!?二日目は教員採用試験の合格発表の日だよ!?
この町にいなよ!」
だが、小動物の写真集を手にした彼女は、首を横に振って微笑む。
この猛暑、テーブルの上には、僕が淹れた無農薬麦茶のコップが二つ、並んでいる。
「ううん、私も行く!発表は、何処にいても同じだから。」
???どうなってんだ?
(おい、ぽん太!佑夏ちゃんは、一体、何考えてんだ!?)
(さあな。教えるとでも思ってんのか?自分で聞いてみたらどうだ?)
姫の膝の上の、ぽん太は、後足で鼻先を掻き、舌を出している、こ.......の!
「佑夏ちゃん、何考えてんだよ!?男と二人きりで旅行なんてマズイだろ!?」
「中原くんは信用してま~す!ほら、”お部屋は原則としてお一人部屋になります”だって。大丈夫よ!
それじゃ、中原くん、霧ヶ峰まで、私をボディーガードして、エスコートお願いね!」
な?な?な?
写真集の題名は「霧ヶ峰のヤマネ」、著者、東山大悟。
表紙には、苔むした樹木の穴から顔を覗かせている「ヤマネ」と呼ばれる小さな動物が写っている。
「やっぱり、ダメだって!潮崎さんに知られたら、どうすんだよ!」
僕は、引き止めに躍起になる。
能天氣な彼女のことだから、男と一緒とかは関係無く、本当にただ、ヤマネの棲みかを歩きたいだけなんだろうけど。
こんなことがきっかけで、潮崎さんと別れることになったりでもしたら、大変だ!
「どーして、一馬さんが出てくるの?おかしーよ、中原くん?」
「ど、どうしてって.....。」
分からないのか?
(おい、ジンスケ。観念しろよ。せっかくの、お前の姫のご希望だ。長野までお連れして差し上げろ。)
(ぽん太、お前、俺と潮崎さんと、どっちの味方なんだ!?そんな訳いくか!)
なんとしても、阻止しなくては!
「佑夏ちゃん、高い所、苦手なんだろ!?車山にも登るんだよ!断崖絶壁があるかもしれないよ、止めた方がいいよ!」
「残念でした~!私、全国の、子供を連れてける緩い山、チェックしまくってんのよ。
車山は、なだらか~で、誰でも登れる山で~す。」
「なだらか~」の所を表現する、仮面ライバーの変身ポーズのような佑夏の左手のムービングが、ひどく面白くて、僕はつい、プッと、吹き出してしまう。
どうして、こんな事になったのか?
事の始まりは、先月の七月。
教員採用試験の一時試験のあたりである。
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