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第十二章 3月11日
生還
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温かい白い波は、佑夏と、僕と、ぽん太と、楓を包み込んでいる。
(おい、ジンスケ。海水と、人間の赤ん坊が母親の腹ン中にいる時の羊水は、成分がほとんど同じなんだぜ。)
(そのくらい、知ってるよ。バカにするな。)
(こりゃあ、人間の体温と同じくれえの温度だな。氣分がいいじゃねぇか。)
ぽん太が、波の渦を見上げて、目を細める。
そう、この海水、なぜか、ひどく心地良いのだ。
何だろう?心が浄化され、平和で穏やかな氣持ちにさせてくれる。
母なる海の為せる業なのか?
潮崎さんには殺されそうだが、僕の腕の中の佑夏も、目を閉じ、親に抱かれた子供のような、満足氣な表情になっている、あ~、良かった!
すると、光の波は、また一瞬で、白い貝殻の中に消え失せてしまう。
だが、僕達の服も、部屋の中も、何処も濡れてはいない。
錯覚?いや、ぽん太だって、一緒に見てるんだ、確かに、波は現れたのだろう。
「あ、う.....ん。」
佑夏がやっと、目を覚ましてくれる、ふぅ~、どうなることかと思ったよ。
「ゴメン、佑夏ちゃん。急に気絶してしまったから、助け起こしてた。」
僕は、そっと彼女から離れる。
「ええ!?ありがと。私こそ、ごめんなさい!」
姫は、左手で、胸に白い貝殻を当てる。
「中原くん。今の感触、もしかして、真帆姉ちゃんの波が出て来たの?」
今度は、潮崎さんと口付けを交わして、大きくなった目で、佑夏は僕を見据える。
「真帆姉ちゃんの.....波?うん、白くて光る、海の波が出て来て、中にシーグラスがたくさん光ってたような?
何だか、すごく温かかった。」
今の不思議な体験、見たままを話してみる。
「やっぱり、そうだったんだ?中原くんには見えたのね。
真帆姉ちゃん、特別に見せてくれたんだわ。もう、私にも見れないのよ。」
何を言ってるんだろ?
「どういうことなの?」
「そ、その前に。中原くん、私、氣を失って、何か言わなかった?」
いやー、そりゃ、自殺願望、ブツブツ言い出して、こっちまで死ぬかと思ったよ。
が!ここは、そんなこと、言わない。
「え?ああ。大きな声で、元氣良く“真帆姉ちゃんー!佑夏!教育実習!頑張りますー!“だってさ。
ビックリしたよ、ハハハ。」
「やだ!私、そんなこと言ってたの?恥ずかしー!」
両手で顔を覆い、指の間から、潮崎氏との愛の賜物である、大きな目だけを出している佑夏。
今度は、酸欠の紫色ではなく、健康的な赤面。
恥ずかしい時に、彼女がいつも、こうなる、同級生の男子をして、「茹でダコ」と言わしめた真っ赤な顔。
いや、これ、可愛いって!
返す返すも、ホントに良かった!お帰り、佑夏ちゃん!
(おい、ジンスケ。海水と、人間の赤ん坊が母親の腹ン中にいる時の羊水は、成分がほとんど同じなんだぜ。)
(そのくらい、知ってるよ。バカにするな。)
(こりゃあ、人間の体温と同じくれえの温度だな。氣分がいいじゃねぇか。)
ぽん太が、波の渦を見上げて、目を細める。
そう、この海水、なぜか、ひどく心地良いのだ。
何だろう?心が浄化され、平和で穏やかな氣持ちにさせてくれる。
母なる海の為せる業なのか?
潮崎さんには殺されそうだが、僕の腕の中の佑夏も、目を閉じ、親に抱かれた子供のような、満足氣な表情になっている、あ~、良かった!
すると、光の波は、また一瞬で、白い貝殻の中に消え失せてしまう。
だが、僕達の服も、部屋の中も、何処も濡れてはいない。
錯覚?いや、ぽん太だって、一緒に見てるんだ、確かに、波は現れたのだろう。
「あ、う.....ん。」
佑夏がやっと、目を覚ましてくれる、ふぅ~、どうなることかと思ったよ。
「ゴメン、佑夏ちゃん。急に気絶してしまったから、助け起こしてた。」
僕は、そっと彼女から離れる。
「ええ!?ありがと。私こそ、ごめんなさい!」
姫は、左手で、胸に白い貝殻を当てる。
「中原くん。今の感触、もしかして、真帆姉ちゃんの波が出て来たの?」
今度は、潮崎さんと口付けを交わして、大きくなった目で、佑夏は僕を見据える。
「真帆姉ちゃんの.....波?うん、白くて光る、海の波が出て来て、中にシーグラスがたくさん光ってたような?
何だか、すごく温かかった。」
今の不思議な体験、見たままを話してみる。
「やっぱり、そうだったんだ?中原くんには見えたのね。
真帆姉ちゃん、特別に見せてくれたんだわ。もう、私にも見れないのよ。」
何を言ってるんだろ?
「どういうことなの?」
「そ、その前に。中原くん、私、氣を失って、何か言わなかった?」
いやー、そりゃ、自殺願望、ブツブツ言い出して、こっちまで死ぬかと思ったよ。
が!ここは、そんなこと、言わない。
「え?ああ。大きな声で、元氣良く“真帆姉ちゃんー!佑夏!教育実習!頑張りますー!“だってさ。
ビックリしたよ、ハハハ。」
「やだ!私、そんなこと言ってたの?恥ずかしー!」
両手で顔を覆い、指の間から、潮崎氏との愛の賜物である、大きな目だけを出している佑夏。
今度は、酸欠の紫色ではなく、健康的な赤面。
恥ずかしい時に、彼女がいつも、こうなる、同級生の男子をして、「茹でダコ」と言わしめた真っ赤な顔。
いや、これ、可愛いって!
返す返すも、ホントに良かった!お帰り、佑夏ちゃん!
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