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第十二章 3月11日
小部屋のモチーフ
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「真帆姉ちゃんのお部屋、とっても素敵だったの!絵のモチーフを自分で作るのよ。」
だんだん、佑夏は喜々としてくる。真帆さんとの、楽しい想い出を思い出しているようだ。
「海から、貝殻や、流木や、シーグラスを拾ってきてね。お皿や布にくっ付けて、色を塗ったり、繋げて天井から吊るしたり、ガラスの瓶に入れて、かわいいリボンをつけたりしてね。みんな、私には宝物に見えたわ。」
「へぇ~。でも、それじゃ、勉強にならなかったんじゃない?」
「えへへ、そーなのよ!真帆姉ちゃん、何とか、私を机に座らせて、勉強させようとするんだけど、私、貝殻のモチーフ、手に取って走り回ってばっかり。あ、でもね。壊したりはしなかったの。」
「うん、分かってるよ。」
たとえ、少女期は問題児だったとしても、彼女は、そんなことする人ではない。
「自分からも、電車を乗り継いで、真帆姉ちゃん、何度も私の家まで、来てくれたわ。勉強、教えにね。」
何だって?潮騒から、佑夏の実家までは、かなり距離があるぞ。
まだ、中学生か、高校生くらいだろ?部活や、自分の学校の勉強だってあるだろうに、よくやるな。
「でも、私ってば”やだ~!ゆーか、べんきょー、きらーい!マホねーちゃんとあそぶー!!!”って、そればっかり。
それでも、真帆姉ちゃん、ふんわり笑って、パズルを解くみたいな問題、自分で作って、根氣強く教えてくれたわ。」
流石は教員志望だ。
「それってさ、今、佑夏ちゃんが子供にやってることじゃない?」
「そうね。私、忘れられないのよ。今でも、頭に残ってる。とっても分かりやすかったわ。
あら、ぽん太?どうしたの?」
怪猫が「ニャ~!」という高い声を出し、佑夏の髪の白い貝殻をツンツンしている。
(おい、ジンスケ。ちょっと、白い貝殻を見てみろよ。実に良く出来てるぜ。)
(ああ、分かった。)
「何だか、その貝殻、外せって言ってるんじゃないかな?」
取り合えず、佑夏には、こういう言い方をしてみる。
「そうなの?ぽん太?え~と、じゃあ、中原くん、白い貝殻見てみる?」
姫は、両手で髪の貝殻を外すと、とてつもなく大事そうに僕に両手で手渡してくれる。
僕も、武術の作法に乗っ取った動きで、両手で受ける。
佑夏の命と言っていい一品のようだ、武芸者として、礼は尽くさねば。
「これも、真帆さんが作ったの?」
「ええ、そうよ。真帆姉ちゃんが高校に入って、一年生の冬になる頃だったわ。」
厳かに、僕は、自分の掌の上の貝殻を見てみる。
だんだん、佑夏は喜々としてくる。真帆さんとの、楽しい想い出を思い出しているようだ。
「海から、貝殻や、流木や、シーグラスを拾ってきてね。お皿や布にくっ付けて、色を塗ったり、繋げて天井から吊るしたり、ガラスの瓶に入れて、かわいいリボンをつけたりしてね。みんな、私には宝物に見えたわ。」
「へぇ~。でも、それじゃ、勉強にならなかったんじゃない?」
「えへへ、そーなのよ!真帆姉ちゃん、何とか、私を机に座らせて、勉強させようとするんだけど、私、貝殻のモチーフ、手に取って走り回ってばっかり。あ、でもね。壊したりはしなかったの。」
「うん、分かってるよ。」
たとえ、少女期は問題児だったとしても、彼女は、そんなことする人ではない。
「自分からも、電車を乗り継いで、真帆姉ちゃん、何度も私の家まで、来てくれたわ。勉強、教えにね。」
何だって?潮騒から、佑夏の実家までは、かなり距離があるぞ。
まだ、中学生か、高校生くらいだろ?部活や、自分の学校の勉強だってあるだろうに、よくやるな。
「でも、私ってば”やだ~!ゆーか、べんきょー、きらーい!マホねーちゃんとあそぶー!!!”って、そればっかり。
それでも、真帆姉ちゃん、ふんわり笑って、パズルを解くみたいな問題、自分で作って、根氣強く教えてくれたわ。」
流石は教員志望だ。
「それってさ、今、佑夏ちゃんが子供にやってることじゃない?」
「そうね。私、忘れられないのよ。今でも、頭に残ってる。とっても分かりやすかったわ。
あら、ぽん太?どうしたの?」
怪猫が「ニャ~!」という高い声を出し、佑夏の髪の白い貝殻をツンツンしている。
(おい、ジンスケ。ちょっと、白い貝殻を見てみろよ。実に良く出来てるぜ。)
(ああ、分かった。)
「何だか、その貝殻、外せって言ってるんじゃないかな?」
取り合えず、佑夏には、こういう言い方をしてみる。
「そうなの?ぽん太?え~と、じゃあ、中原くん、白い貝殻見てみる?」
姫は、両手で髪の貝殻を外すと、とてつもなく大事そうに僕に両手で手渡してくれる。
僕も、武術の作法に乗っ取った動きで、両手で受ける。
佑夏の命と言っていい一品のようだ、武芸者として、礼は尽くさねば。
「これも、真帆さんが作ったの?」
「ええ、そうよ。真帆姉ちゃんが高校に入って、一年生の冬になる頃だったわ。」
厳かに、僕は、自分の掌の上の貝殻を見てみる。
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