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第十二章 3月11日
恋する乙女は
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五月晴れの僕の部屋。
佑夏は、まだ、ぽん太のお腹をこちょこちょしたり、このデブ猫を高い高いしたりして、楽しげな笑い声を上げている。
ん~?氣のせいか、いつもより、居てくれる時間が長いように感じるが?潮崎さんと、ケンカでもしたのかな?
「ねえ、中原くん。教育実習に行ったら、何したい?」
ぽん太を両手で掲げたまま、今度は視線を僕に向ける姫。
「そりゃ、真面目に授業するよ。」
「それだけ?」
何の変哲も無い、僕の答えに、佑夏はよくやるように、イタズラっぽく、クスクス笑う。
柔らかい笑顔、“さあ、一緒にアイデア出そう!“と誘っているようだ。
いつも、感じることだが、この子は何を言っても、押し付けがましくない。
相手の氣持ちを汲んで、心を前向きにしてくれる。
「いやさ、変にウケとか狙ったら、逆に生徒にバカにされそうな氣がしてさ。普通にやるのが、いいかな?って。」
これは、ここ数日、考えていたことだ。
「あ~、そーだね。授業の最初に大きな謎をかけて、一時間かけて解くようにすれば、いいんじゃない?
そうすれば、生徒達、飽きないで、集中してくるんじゃないかな?」
「ああ、そうか!ありがとう、佑夏ちゃん。」
相変わらず、旺盛な姫のサービス精神。
最愛の、この子を潮崎氏に奪われた僕の悔しさは、東京ドーム10杯分と形容しても、まだ足りないくらいだが、彼と付き合い始めてからの佑夏は、以前にも増して、より美しくなっている。
あのサーファー兼音楽家と交際する前の佑夏は、美女とはいっても、どこか子供っぽさが抜けず、まだ女子高生の延長といった印象だった。
それが、今や、天の世界からやって来た女神のような、優雅で、華麗で、落ち着きを持ち、周囲を優しく包み込むような包容力さえ備えた存在に、変貌を遂げているのだ。
女性は恋をすると綺麗になる、という話は聞いたことくらいはある。
こういった劇的な変化は、女性特有の物で、男には起こらないのだという。
身体が子を産み、母親になる為のホルモンを分泌し始めることから、発生するらしい。
佑夏の場合、まず、サラサラの黒髪と、雪の結晶のよりも白い肌の、色艶と輝きが以前とは段違いに増している。
髪の状態は光の反射で、いわゆる、輝く「天使の輪」ができるくらいで、しっとりした潤いのある質感が触れなくても、感じられる。
透明感で、透き通るにように光る白肌の煌めきといったら、まるで、シルクのようである。
この人、いや、天界からの使いと恋人?
心底、潮崎さんが羨ましい。
佑夏は、まだ、ぽん太のお腹をこちょこちょしたり、このデブ猫を高い高いしたりして、楽しげな笑い声を上げている。
ん~?氣のせいか、いつもより、居てくれる時間が長いように感じるが?潮崎さんと、ケンカでもしたのかな?
「ねえ、中原くん。教育実習に行ったら、何したい?」
ぽん太を両手で掲げたまま、今度は視線を僕に向ける姫。
「そりゃ、真面目に授業するよ。」
「それだけ?」
何の変哲も無い、僕の答えに、佑夏はよくやるように、イタズラっぽく、クスクス笑う。
柔らかい笑顔、“さあ、一緒にアイデア出そう!“と誘っているようだ。
いつも、感じることだが、この子は何を言っても、押し付けがましくない。
相手の氣持ちを汲んで、心を前向きにしてくれる。
「いやさ、変にウケとか狙ったら、逆に生徒にバカにされそうな氣がしてさ。普通にやるのが、いいかな?って。」
これは、ここ数日、考えていたことだ。
「あ~、そーだね。授業の最初に大きな謎をかけて、一時間かけて解くようにすれば、いいんじゃない?
そうすれば、生徒達、飽きないで、集中してくるんじゃないかな?」
「ああ、そうか!ありがとう、佑夏ちゃん。」
相変わらず、旺盛な姫のサービス精神。
最愛の、この子を潮崎氏に奪われた僕の悔しさは、東京ドーム10杯分と形容しても、まだ足りないくらいだが、彼と付き合い始めてからの佑夏は、以前にも増して、より美しくなっている。
あのサーファー兼音楽家と交際する前の佑夏は、美女とはいっても、どこか子供っぽさが抜けず、まだ女子高生の延長といった印象だった。
それが、今や、天の世界からやって来た女神のような、優雅で、華麗で、落ち着きを持ち、周囲を優しく包み込むような包容力さえ備えた存在に、変貌を遂げているのだ。
女性は恋をすると綺麗になる、という話は聞いたことくらいはある。
こういった劇的な変化は、女性特有の物で、男には起こらないのだという。
身体が子を産み、母親になる為のホルモンを分泌し始めることから、発生するらしい。
佑夏の場合、まず、サラサラの黒髪と、雪の結晶のよりも白い肌の、色艶と輝きが以前とは段違いに増している。
髪の状態は光の反射で、いわゆる、輝く「天使の輪」ができるくらいで、しっとりした潤いのある質感が触れなくても、感じられる。
透明感で、透き通るにように光る白肌の煌めきといったら、まるで、シルクのようである。
この人、いや、天界からの使いと恋人?
心底、潮崎さんが羨ましい。
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