152 / 305
第七章 嵐の夜に
幸せのダンス
しおりを挟む
どんどん強くなる雨と風。
しかし、佑夏の「課外授業」は、これで終わりではない。
スマホを取り出した姫は、動画を再生し始め、
「よ~し!モナちゃん、はじっコらいふのダンスしようね!」
今度は何と、踊りの時間だ。
「はじっこディスコ」、「はじっこらいふ音頭」、続けざまにに二曲、苺奈子ちゃんと一緒に踊り始める。
佑夏が歌だけでなく、ダンスもこの上なく上手かったとは、僕は初めて知って、苺奈子ちゃんも大はしゃぎしている。
これの為か、今日の佑夏は、いつものようにロングスカートではなく、パンツルックがことのほか似合う。
本当に、よくある「集団アイドル」よりはるかに上手い!
冗談抜きで、教師なんか辞めて、芸能界を目指した方がいいんじゃ?
東京暮らしだったら、多分、スカウトされてるだろう。
「モナちゃん、ほら、Dancing~!Dancing~!はじっコディスコ!み~ぎ!ひだり~!ま~え!うしろ~!
あ~!モナちゃん!うまいな~!」
姫に、子供でも分かるようなリズムの取り方を楽しく教えてもらって、苺奈子ちゃんはすっかりニコニコ興奮し、ピョンピョン跳ね回ってしまう。
僕も負けていられなくなり、
「モナちゃん、いいかい?足を出すのと、体重移動は同時にやらないんだ。
全身の力を抜いて!リズムに合わせて動けるよ。」
合氣道の原理など教えてあげる。
二人と三匹に囲まれて、幼児殿は、すっかり有頂天に。
これは、佑夏とも言っていたことだが、苺奈子ちゃんは理解力が、すごく高い。
僕の家には、この子用に絵本など、幼児向きの本が何冊かある。
その内、折り紙の本を見ながら、複雑な大人でも難しい折り方を、苺奈子ちゃんは、簡単に理解して折りあげてしまう。
従って、やはりダンスの飲み込みも早い。
大いに盛り上がってはいるが、もう、この辺にしなくては。
「佑夏ちゃん、そろそろ、明るい内に帰らないと、危ないよ。今日は、ぽん太の世話は、いいからさ。」
僕は、せめて、駅まで送りたいけど、苺奈子ちゃんを一人にはできない。
(おい、ジンスケ、余計なこと言うんじゃねえ。オレは、これが楽しみなんだ。)
(黙れ!ぽん太!状況見て、ものを言え!)
「ゆーかねーちゃん、かえるの~?」
ああ、やっぱり。苺奈子ちゃんは、今にも泣き出しそうである、こうなるのは、分かってたこと、とはいえ.......。
「モナちゃん、佑夏お姉ちゃんは、お泊まりはできないんだよ。」
僕は、苺奈子ちゃんの頭を撫で、目線を同じ高さまで落として、これ以上できないくらい、優しく言ったつもりであるのに。
「やだー!!やだー!!ゆーかねーちゃん!かえってダメー!!!」
台風の真っ只中、ここまで頑張っていた苺奈子ちゃんも、とうとう大声で泣き出してしまうのである。
しかし、佑夏の「課外授業」は、これで終わりではない。
スマホを取り出した姫は、動画を再生し始め、
「よ~し!モナちゃん、はじっコらいふのダンスしようね!」
今度は何と、踊りの時間だ。
「はじっこディスコ」、「はじっこらいふ音頭」、続けざまにに二曲、苺奈子ちゃんと一緒に踊り始める。
佑夏が歌だけでなく、ダンスもこの上なく上手かったとは、僕は初めて知って、苺奈子ちゃんも大はしゃぎしている。
これの為か、今日の佑夏は、いつものようにロングスカートではなく、パンツルックがことのほか似合う。
本当に、よくある「集団アイドル」よりはるかに上手い!
冗談抜きで、教師なんか辞めて、芸能界を目指した方がいいんじゃ?
東京暮らしだったら、多分、スカウトされてるだろう。
「モナちゃん、ほら、Dancing~!Dancing~!はじっコディスコ!み~ぎ!ひだり~!ま~え!うしろ~!
あ~!モナちゃん!うまいな~!」
姫に、子供でも分かるようなリズムの取り方を楽しく教えてもらって、苺奈子ちゃんはすっかりニコニコ興奮し、ピョンピョン跳ね回ってしまう。
僕も負けていられなくなり、
「モナちゃん、いいかい?足を出すのと、体重移動は同時にやらないんだ。
全身の力を抜いて!リズムに合わせて動けるよ。」
合氣道の原理など教えてあげる。
二人と三匹に囲まれて、幼児殿は、すっかり有頂天に。
これは、佑夏とも言っていたことだが、苺奈子ちゃんは理解力が、すごく高い。
僕の家には、この子用に絵本など、幼児向きの本が何冊かある。
その内、折り紙の本を見ながら、複雑な大人でも難しい折り方を、苺奈子ちゃんは、簡単に理解して折りあげてしまう。
従って、やはりダンスの飲み込みも早い。
大いに盛り上がってはいるが、もう、この辺にしなくては。
「佑夏ちゃん、そろそろ、明るい内に帰らないと、危ないよ。今日は、ぽん太の世話は、いいからさ。」
僕は、せめて、駅まで送りたいけど、苺奈子ちゃんを一人にはできない。
(おい、ジンスケ、余計なこと言うんじゃねえ。オレは、これが楽しみなんだ。)
(黙れ!ぽん太!状況見て、ものを言え!)
「ゆーかねーちゃん、かえるの~?」
ああ、やっぱり。苺奈子ちゃんは、今にも泣き出しそうである、こうなるのは、分かってたこと、とはいえ.......。
「モナちゃん、佑夏お姉ちゃんは、お泊まりはできないんだよ。」
僕は、苺奈子ちゃんの頭を撫で、目線を同じ高さまで落として、これ以上できないくらい、優しく言ったつもりであるのに。
「やだー!!やだー!!ゆーかねーちゃん!かえってダメー!!!」
台風の真っ只中、ここまで頑張っていた苺奈子ちゃんも、とうとう大声で泣き出してしまうのである。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる