125 / 305
第六章 幸福は義務
漫画家女房
しおりを挟む
あの、漫画家の奥さんの手記、うろ覚えだが、こんなことが書いてあったように思う。
売れなくて貧しかった貧乏時代が一番、懐かしい。
人生の入り口で幸運を手に入れることで、その後の人生が決まってしまうと思っている人が多い。
私達は、人生の入り口は幸福とは言えなかったけれど、私は不幸ではなかった。
人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道でどう生きていくか、なんだろうと思う。
そして、最も印象に残っている一節。
どんなに赤貧で苦しくても、別れたいと思ったことはなかった。
伴侶とともに、歩いていく過程で、お互いに信頼関係を築いて行けるかにこそ、全てがかかっている。
ルミ子さんも、売れなかった無名時代から、総司氏と信頼関係を築いて来たから、今の幸福があるのか。
また、ルミ子さんが、「オタクでダサ男」と言うように、漫画家と言えば、お世辞にも、女性が胸をときめかせるような、カッコいい職業ではない。
こう言っては何だが、容姿の面でも、漫画家に一目惚れする女性はいないのではないだろうか?
しかし、だからこそ。
恋愛ホルモンで盛り上がった結婚ではなかったからこそ。
逆に一緒に暮らすことによって信頼が深まり、この二組の漫画家夫婦は、長年連れ添うことができたのかもしれない。
「この頃は、おかん、漫画に口出しするんです。゛ぴょんぴょんはこんなん言わへん!“、゛新しいキャラ考えたわぁ。キャラデザ頼むなぁ。“って。それで、おとん、゛これじゃ、どっちが原作者か分からん。そやけど、おおきに。“言うて、喜びます。」
理夢ちゃん、こんなご両親の下に生まれて、本当に幸せだ。
母子家庭の僕からは、本当に羨ましい。
水野さんが手を叩く
「あら~!ルミ子さん、ノロケ入りましたね!
そう言えば、今日、ここに来てる女性で結婚してて、ご主人がいるの、ルミ子さんだけですね。」
佑夏も、両手を握った「祈りのポーズ」でテーブルに両膝をつき、顎を手の上に乗せ、
「それも、こんな素敵なご主人。お話だけで、ウットリしちゃいます。
お幸せで、いいですね~!」
「うちはなんも言うてまへん。このアホ娘勝手に言うたこっとすなぁ。ほんまにせんない!」
ルミ子さんは、理夢ちゃんを睨み付けるが、心無しか、嬉しそう。
佑夏がニコッと笑って、首を傾け
「私、ぴょんぴょん、読んでて、何だか女の人の作ったお話みたいだな~って思うことが何度もあったんです。
感性が女性的というか、アハッ!
今夜、その謎が解けました!ありがとうございます!」
「白沢さん、ぴょんぴょんの作者が女性なのではないか、という噂は、一部の読者の間で根強く言われていたことですよ。」
小林さん、ファンの声まで分析するくらい、ぴょんぴょん、読み込んでいたのか...........。
売れなくて貧しかった貧乏時代が一番、懐かしい。
人生の入り口で幸運を手に入れることで、その後の人生が決まってしまうと思っている人が多い。
私達は、人生の入り口は幸福とは言えなかったけれど、私は不幸ではなかった。
人生は入り口で決まるのではなく、選んだ道でどう生きていくか、なんだろうと思う。
そして、最も印象に残っている一節。
どんなに赤貧で苦しくても、別れたいと思ったことはなかった。
伴侶とともに、歩いていく過程で、お互いに信頼関係を築いて行けるかにこそ、全てがかかっている。
ルミ子さんも、売れなかった無名時代から、総司氏と信頼関係を築いて来たから、今の幸福があるのか。
また、ルミ子さんが、「オタクでダサ男」と言うように、漫画家と言えば、お世辞にも、女性が胸をときめかせるような、カッコいい職業ではない。
こう言っては何だが、容姿の面でも、漫画家に一目惚れする女性はいないのではないだろうか?
しかし、だからこそ。
恋愛ホルモンで盛り上がった結婚ではなかったからこそ。
逆に一緒に暮らすことによって信頼が深まり、この二組の漫画家夫婦は、長年連れ添うことができたのかもしれない。
「この頃は、おかん、漫画に口出しするんです。゛ぴょんぴょんはこんなん言わへん!“、゛新しいキャラ考えたわぁ。キャラデザ頼むなぁ。“って。それで、おとん、゛これじゃ、どっちが原作者か分からん。そやけど、おおきに。“言うて、喜びます。」
理夢ちゃん、こんなご両親の下に生まれて、本当に幸せだ。
母子家庭の僕からは、本当に羨ましい。
水野さんが手を叩く
「あら~!ルミ子さん、ノロケ入りましたね!
そう言えば、今日、ここに来てる女性で結婚してて、ご主人がいるの、ルミ子さんだけですね。」
佑夏も、両手を握った「祈りのポーズ」でテーブルに両膝をつき、顎を手の上に乗せ、
「それも、こんな素敵なご主人。お話だけで、ウットリしちゃいます。
お幸せで、いいですね~!」
「うちはなんも言うてまへん。このアホ娘勝手に言うたこっとすなぁ。ほんまにせんない!」
ルミ子さんは、理夢ちゃんを睨み付けるが、心無しか、嬉しそう。
佑夏がニコッと笑って、首を傾け
「私、ぴょんぴょん、読んでて、何だか女の人の作ったお話みたいだな~って思うことが何度もあったんです。
感性が女性的というか、アハッ!
今夜、その謎が解けました!ありがとうございます!」
「白沢さん、ぴょんぴょんの作者が女性なのではないか、という噂は、一部の読者の間で根強く言われていたことですよ。」
小林さん、ファンの声まで分析するくらい、ぴょんぴょん、読み込んでいたのか...........。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる