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第四章 怪奇!化け猫談義
空襲前夜
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大学二年の梅雨。
雨は上がり、スズメの声が聞こえる。
今日は、この後、合氣道の稽古があるが、時間的にはまだ余裕がある。
同じ大学の後輩、鈴村千尋は、ほぼ皆勤賞で僕の稽古に出席し続けてくれている。
彼女は大変な「合氣道バカ」なのだ。
(ジンスケ、時間、大丈夫なのか?猫の話なんか聞いても仕方ねえ、なんて言わないのかよ?)
怪猫ぽん太は、そのヨリ目で、僕をじっと見つめながら、鼻をヒクヒクさせている。
「いいから話せよ。俺で良かったら、全部、聞いてやるから。」
(そうか。お前は全く氣のいい奴だぜ。佑夏と仲がいいのも、たりめーかもな。)
ちょっと待て。
ぽん太は、人の心が読めて、予知能力があるんなら、今、佑夏が僕のことをどう思っていて、これから二人の関係がどうなるとか、分かるんじゃないのか?
(おっと、それはたとえ主人であっても、伝えることはできねぇんだ。
人の運命は自分自身で切り拓くものだからな。)
あ、また、ぽん太に思考を読まれたか。
(猫又が飼い主に伝えていいのは、身に迫る危険だけだ。
そして、予知能力で空襲が10日後に来ることが分かったオレは、ご家族三人の夢枕に立ち、すぐに避難するように言った。
信じなかったと思うか?とんでもねえ。三人とも同じ夢を見て、一発で信じてくれたさ。
だが、逃げることのできねえ牛や馬をおいては行けない、と言って、ご家族は留まられて、どうしようもねえ。
オレはついに、日中、思念で猫又の正体を明かし、三人の頭の中に直接、焼夷弾で火の海に包まれるお屋敷の未来の映像を送ったんだ。
旦那様は、せめて真白様だけでも、上のお姉様の嫁ぎ先に疎開させようとしたんだがな。
真白様は頑として動かなかった。
それによ、どういう訳か、警察や憲兵共が避難を禁止しやがった。
バカな憲兵が街角で”逃げ出す者は射殺も辞さ~ん!”とか、偉そうに勝手なことほざいて、バケツリレーの訓練なんかやらせてたぜ。
あの焼夷弾の、地獄みてなデカイ炎を、バケツの水で消すだ?できる訳ねえだろ!
警察や兵隊ってのは、民衆を守る為にいるんじゃねえのかよ?
あいつらのやってることは、丸っきり逆だった。
全く、人間のやることは猫には理解できねえ。
したくもねえがよ。)
雨は上がり、スズメの声が聞こえる。
今日は、この後、合氣道の稽古があるが、時間的にはまだ余裕がある。
同じ大学の後輩、鈴村千尋は、ほぼ皆勤賞で僕の稽古に出席し続けてくれている。
彼女は大変な「合氣道バカ」なのだ。
(ジンスケ、時間、大丈夫なのか?猫の話なんか聞いても仕方ねえ、なんて言わないのかよ?)
怪猫ぽん太は、そのヨリ目で、僕をじっと見つめながら、鼻をヒクヒクさせている。
「いいから話せよ。俺で良かったら、全部、聞いてやるから。」
(そうか。お前は全く氣のいい奴だぜ。佑夏と仲がいいのも、たりめーかもな。)
ちょっと待て。
ぽん太は、人の心が読めて、予知能力があるんなら、今、佑夏が僕のことをどう思っていて、これから二人の関係がどうなるとか、分かるんじゃないのか?
(おっと、それはたとえ主人であっても、伝えることはできねぇんだ。
人の運命は自分自身で切り拓くものだからな。)
あ、また、ぽん太に思考を読まれたか。
(猫又が飼い主に伝えていいのは、身に迫る危険だけだ。
そして、予知能力で空襲が10日後に来ることが分かったオレは、ご家族三人の夢枕に立ち、すぐに避難するように言った。
信じなかったと思うか?とんでもねえ。三人とも同じ夢を見て、一発で信じてくれたさ。
だが、逃げることのできねえ牛や馬をおいては行けない、と言って、ご家族は留まられて、どうしようもねえ。
オレはついに、日中、思念で猫又の正体を明かし、三人の頭の中に直接、焼夷弾で火の海に包まれるお屋敷の未来の映像を送ったんだ。
旦那様は、せめて真白様だけでも、上のお姉様の嫁ぎ先に疎開させようとしたんだがな。
真白様は頑として動かなかった。
それによ、どういう訳か、警察や憲兵共が避難を禁止しやがった。
バカな憲兵が街角で”逃げ出す者は射殺も辞さ~ん!”とか、偉そうに勝手なことほざいて、バケツリレーの訓練なんかやらせてたぜ。
あの焼夷弾の、地獄みてなデカイ炎を、バケツの水で消すだ?できる訳ねえだろ!
警察や兵隊ってのは、民衆を守る為にいるんじゃねえのかよ?
あいつらのやってることは、丸っきり逆だった。
全く、人間のやることは猫には理解できねえ。
したくもねえがよ。)
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