24 / 267
第二章 霧ヶ峰のヤマネ
ヤマネとにらめっこ
しおりを挟む
「しかしですね、ヤマネは警戒心が強いだけじゃないんですよ。
非常に好奇心も強いです、ここが他の野生動物とは違いますね。」
そうなのか?
「外の匂いを嗅いで、異常無いと分かれば、巣穴から出てきます。
それで、目が合ったことがありまして。」
どの木だろう?
全員が森の木を一本一本、目で追う。
「ジーっとこちらを睨んで動かなくなりました。
なにか、”何見てるんだよ”と言ってるみたいでしたね。」
ルミ子さんが、「ああ、あれか」というように
「そら、写真集に出てきましたなぁ。」
「人間が睨んでるような、鋭い目でしたね。」
東山さんは、その時を振り返る。
そして、小林さんがボソッと
「近年では、動物にも複雑な感情があることが、分かっています。」
巣穴から、出てきたヤマネが、こちらをジッと睨んでいる画像は、東山さんの写真集に登場するのである。
みんな、その写真を思い出しているようだ。
もちろん、僕も含めて。
そして、一同一斉に佑夏を見る。
また、何かやってくれるだろう、と全員が微笑みながら、期待を込めて。
佑夏は既に、自分に何が期待されているか、心得ている。
期待を裏切らないどころか、それ以上の上手さで、あの写真のヤマネの物真似をしてくれた!
「こんな顔してましたね。」
キッと目を吊り上げて、顔を前に突き出した佑夏は、写真のヤマネそのもの!
笑いが、またも森にコダマする。
東山さん、笑いをこらえて
「ヤマネは人間を見ると寄ってくるところがあるんです、こちらを観察しようとするんですね。
それで、困ったことに、ヤマネに餌付けしようとする人がいまして。」
野生動物への餌付けはいつだって悲劇しか、もたらさない。
非常に好奇心も強いです、ここが他の野生動物とは違いますね。」
そうなのか?
「外の匂いを嗅いで、異常無いと分かれば、巣穴から出てきます。
それで、目が合ったことがありまして。」
どの木だろう?
全員が森の木を一本一本、目で追う。
「ジーっとこちらを睨んで動かなくなりました。
なにか、”何見てるんだよ”と言ってるみたいでしたね。」
ルミ子さんが、「ああ、あれか」というように
「そら、写真集に出てきましたなぁ。」
「人間が睨んでるような、鋭い目でしたね。」
東山さんは、その時を振り返る。
そして、小林さんがボソッと
「近年では、動物にも複雑な感情があることが、分かっています。」
巣穴から、出てきたヤマネが、こちらをジッと睨んでいる画像は、東山さんの写真集に登場するのである。
みんな、その写真を思い出しているようだ。
もちろん、僕も含めて。
そして、一同一斉に佑夏を見る。
また、何かやってくれるだろう、と全員が微笑みながら、期待を込めて。
佑夏は既に、自分に何が期待されているか、心得ている。
期待を裏切らないどころか、それ以上の上手さで、あの写真のヤマネの物真似をしてくれた!
「こんな顔してましたね。」
キッと目を吊り上げて、顔を前に突き出した佑夏は、写真のヤマネそのもの!
笑いが、またも森にコダマする。
東山さん、笑いをこらえて
「ヤマネは人間を見ると寄ってくるところがあるんです、こちらを観察しようとするんですね。
それで、困ったことに、ヤマネに餌付けしようとする人がいまして。」
野生動物への餌付けはいつだって悲劇しか、もたらさない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる