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第二章 霧ヶ峰のヤマネ
幸せの写真家
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幸福論のアラン大先生は、旅行についても述べている。
それを、佑夏が教えてくれるのが、これまた興味深い。
「観光地を駆け足で回ったりするのは良くないわ。思い出に残らないの。
気持ちは分かるけどね。」
僕も頷く。
「やりがちだね。だけど、そんなことやってたら、スゲー疲れそうだ。」
「そーなのよ。
今ここ、ちょっと歩いてみて。それから、立ち止まってみよーか。それだけで、景色が違って見えるよ。」
彼女に言われた通り、少しずつ歩き、また立ち止まり、この素晴らしい高原の景観を見直してみる。
「ホントだ。少し動いただけで、全然違って見えるよ。」
佑夏は、一面の紅葉を見ながら微笑む。
「変化のあるものは、見るのに、喜びを持っているのよ。
この高原は、春から冬までずっと違う姿をしてるわ。」
僕も大いに同意する。
「確かに、ニッコウキスゲや花の季節に来たら、それは見事だろうね。」
「ふふ。変わっていくものに喜びを見つけるのは、習慣の中に眠ってしまわない為に、必要なことなの。
でもね。季節の移り変わりだけじゃないのよ。
もし、お花の時期だったら、どうかしら?」
唸って答える僕。
「時間や天気によって、陽の当たり方が違うし、色んな虫も来る。
一秒ごとに、もう別物だよ。」
「うん、正解!
お庭やベランダのお花でも楽しめるよね。鳥の来る木だったら、もっと楽しそー☆」
姫は合格点をくれたようだ。
すると、ちょうどその時、小型のSUV車がやって来て、駐車したりする。
中に誰が乗っているのか、ここにいる全員が承知しているが。
運転席のドアが開き、小柄な男性が降りて来る。
年齢は60代前半くらい。
銀縁のメガネをかけて、髪には白いものが混じっている。
写真集の著者近影にあった髭は無いな。
身長は160センチちょうどといったところか?
やはり、アウトドアルックが、ピッタリ似合っている。
この人が、霧ヶ峰のヤマネを撮り続けて30年。
動物写真家、東山大悟氏だ。
「東山です。こんにちは。」
落ち着いた声。
すごく感じの好い人じゃないか。
ディーン・フジオカ似の添乗員が、東山さんに駆け寄って頭を下げる。
「先生、よろしくお願いします。」
全員が東山さんを中心に輪になった。
これで正真正銘、全てのメンバーが揃ったのである。
ディーン添乗員(本名は聞いたが、すぐ忘れた)が僕達に向き直る。
「皆さん、東山大悟先生です。
先生に、一人ずつ自己紹介をして下さい。」
それを、佑夏が教えてくれるのが、これまた興味深い。
「観光地を駆け足で回ったりするのは良くないわ。思い出に残らないの。
気持ちは分かるけどね。」
僕も頷く。
「やりがちだね。だけど、そんなことやってたら、スゲー疲れそうだ。」
「そーなのよ。
今ここ、ちょっと歩いてみて。それから、立ち止まってみよーか。それだけで、景色が違って見えるよ。」
彼女に言われた通り、少しずつ歩き、また立ち止まり、この素晴らしい高原の景観を見直してみる。
「ホントだ。少し動いただけで、全然違って見えるよ。」
佑夏は、一面の紅葉を見ながら微笑む。
「変化のあるものは、見るのに、喜びを持っているのよ。
この高原は、春から冬までずっと違う姿をしてるわ。」
僕も大いに同意する。
「確かに、ニッコウキスゲや花の季節に来たら、それは見事だろうね。」
「ふふ。変わっていくものに喜びを見つけるのは、習慣の中に眠ってしまわない為に、必要なことなの。
でもね。季節の移り変わりだけじゃないのよ。
もし、お花の時期だったら、どうかしら?」
唸って答える僕。
「時間や天気によって、陽の当たり方が違うし、色んな虫も来る。
一秒ごとに、もう別物だよ。」
「うん、正解!
お庭やベランダのお花でも楽しめるよね。鳥の来る木だったら、もっと楽しそー☆」
姫は合格点をくれたようだ。
すると、ちょうどその時、小型のSUV車がやって来て、駐車したりする。
中に誰が乗っているのか、ここにいる全員が承知しているが。
運転席のドアが開き、小柄な男性が降りて来る。
年齢は60代前半くらい。
銀縁のメガネをかけて、髪には白いものが混じっている。
写真集の著者近影にあった髭は無いな。
身長は160センチちょうどといったところか?
やはり、アウトドアルックが、ピッタリ似合っている。
この人が、霧ヶ峰のヤマネを撮り続けて30年。
動物写真家、東山大悟氏だ。
「東山です。こんにちは。」
落ち着いた声。
すごく感じの好い人じゃないか。
ディーン・フジオカ似の添乗員が、東山さんに駆け寄って頭を下げる。
「先生、よろしくお願いします。」
全員が東山さんを中心に輪になった。
これで正真正銘、全てのメンバーが揃ったのである。
ディーン添乗員(本名は聞いたが、すぐ忘れた)が僕達に向き直る。
「皆さん、東山大悟先生です。
先生に、一人ずつ自己紹介をして下さい。」
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