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4話:魔女によって対価は色々です。
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「マスクしたままとか酷くないですか」
「あなた、この部屋の状況でよくそんなことが言えますね」
私は恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
家族以外を初めて部屋に招き入れたが、その相手が魔女で扉を通り抜けるなんて思わなかった。
「テーブルの上には使った食器がそのまま、シンクも洗い物が大量にあってリビングに来るまでの廊下には…」
「悪かったですね。脱衣場も洗濯物が大量にありますよ」
リーアム先生は引き気味に部屋の状況を見る。
確かに足の踏み場も無い程に散らかっているが、生活に問題はない。休みの日に体力があれば片付けは可能な限り行っている。
「これでは忍び込まれたことに気付けないですね」
「ぐっ…おっしゃる通りで…」
「ですが、呪い袋の在処はわかります。例えどんなに部屋が散らかっていても」
「部屋が散らかっていることについては、もう何も言わないで下さい」
顔から火が出そうだ。リーアム先生は迷うこと無くテーブルに近付く。そして屈むとテーブルの天板の裏から黒い呪い袋を剥がし取った。
「術者はこの部屋に侵入してるのは明らかです。ツキミヤさんが留守の時、眠ってる時を狙って来てる可能性があります」
「…眠ってる時もですか?」
先生は先程と同じように呪い袋を黒い炎で焼き尽くす。呪い袋が二つ消滅したことによって私の体にも変化が起きた。
「痒くない…?」
先程まで耐えるのがやっとだった痛痒さと体に咲いてたゴボウの花も消滅していく。だが、顔に咲いてる花は未だ消滅しなかった。
「もう部屋の中には無いですが、このまま部屋に居るのも危険でしょう」
「犯人がまた消滅した分の呪い袋を仕掛けに来る可能性はありますか?」
「それは無いでしょう。再度、仕掛けるなら魔女の元に行き対価を払わねばなりませんし」
「対価…」
私は対価について思い付く限り考えてみた。
魔女に支払う対価、命、財産、とにかく望んだ物を支払わなきゃいけないのかと思うと今更だが後悔した。
リーアム先生も魔女だから、私に対価を要求するのは当然だろう。
「リーアム先生、先生が望むならどんな対価でもお支払します…ですが、命だけは…」
私は震えながらリーアム先生に懇願した。
きっと払いきれない程の対価かもしれないと思うと泣きそうになる。貯金はあるけど、法外な値段だったらどうしようかと考えた。
「あ、対価ですが現金でお願いします。50,000リアル頂きますね。振込も可能です。」
「あ、ハイ。じゃあ振込で」
対価は現金だと聞いて、涙がすぐに引っ込んだ。
「あなた、この部屋の状況でよくそんなことが言えますね」
私は恥ずかしさでどうにかなりそうだった。
家族以外を初めて部屋に招き入れたが、その相手が魔女で扉を通り抜けるなんて思わなかった。
「テーブルの上には使った食器がそのまま、シンクも洗い物が大量にあってリビングに来るまでの廊下には…」
「悪かったですね。脱衣場も洗濯物が大量にありますよ」
リーアム先生は引き気味に部屋の状況を見る。
確かに足の踏み場も無い程に散らかっているが、生活に問題はない。休みの日に体力があれば片付けは可能な限り行っている。
「これでは忍び込まれたことに気付けないですね」
「ぐっ…おっしゃる通りで…」
「ですが、呪い袋の在処はわかります。例えどんなに部屋が散らかっていても」
「部屋が散らかっていることについては、もう何も言わないで下さい」
顔から火が出そうだ。リーアム先生は迷うこと無くテーブルに近付く。そして屈むとテーブルの天板の裏から黒い呪い袋を剥がし取った。
「術者はこの部屋に侵入してるのは明らかです。ツキミヤさんが留守の時、眠ってる時を狙って来てる可能性があります」
「…眠ってる時もですか?」
先生は先程と同じように呪い袋を黒い炎で焼き尽くす。呪い袋が二つ消滅したことによって私の体にも変化が起きた。
「痒くない…?」
先程まで耐えるのがやっとだった痛痒さと体に咲いてたゴボウの花も消滅していく。だが、顔に咲いてる花は未だ消滅しなかった。
「もう部屋の中には無いですが、このまま部屋に居るのも危険でしょう」
「犯人がまた消滅した分の呪い袋を仕掛けに来る可能性はありますか?」
「それは無いでしょう。再度、仕掛けるなら魔女の元に行き対価を払わねばなりませんし」
「対価…」
私は対価について思い付く限り考えてみた。
魔女に支払う対価、命、財産、とにかく望んだ物を支払わなきゃいけないのかと思うと今更だが後悔した。
リーアム先生も魔女だから、私に対価を要求するのは当然だろう。
「リーアム先生、先生が望むならどんな対価でもお支払します…ですが、命だけは…」
私は震えながらリーアム先生に懇願した。
きっと払いきれない程の対価かもしれないと思うと泣きそうになる。貯金はあるけど、法外な値段だったらどうしようかと考えた。
「あ、対価ですが現金でお願いします。50,000リアル頂きますね。振込も可能です。」
「あ、ハイ。じゃあ振込で」
対価は現金だと聞いて、涙がすぐに引っ込んだ。
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