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電撃論破!??
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一見落ちついた、白髪混じりの初老の男。
それが、赤井の印象であった。
いわゆる左翼ジャーナリストなのであるが、唯一のレギュラー番組でも語り口調は穏やかで、それなりにSNSでの志?を同じくする者どもの信頼は篤い。
しかし、その内容は…。
「君は先ず、憲法9条を知っていますか?」
「…人並みには。
令和に来てネットの海で比較的早くに知って、同時に呆れ果てもしたが。」
「でしたらば我が国は戦争を世界に先駆け永久に放棄した事を知っているでしょう。
その誇りを持ち、本来この国は他国の軍隊から攻められても抵抗せず、殺すくらいなら殺されようの精神を全員が貫くべきなのです。
民自党が55年体制下、違憲の自衛隊と在日米軍による専守防衛という欺瞞で軍国主義の種を残し続けております。
私たちは民意が正された今の政権下で、これを少しづつ修正している時に、君は信長と名乗り周辺各国への敵意や在日外国人の方への憎悪をひたすらに煽っている…。」
「説法はそれでお終いであるか。」
「!?」
「こちらからも問いたいがあなたは殺生を戒めとする僧か何かか?」
「いや、私は…」
「もはや無理に信じろと言わないがワシは…私はここの世で言う戦国武将の一人として、そのような坊主の説法にもならぬ観念など一切通じぬ世界で戦っておった。
『殺さねば殺される』どころではない。
『予め殺しておかねば殺される』のだ。
案の定日本の外を見渡せば、あなたのような手合いが言う話し合いなど、いざとなったらハナから聞く気なく、問答無用でこちらの国を潰す気満々な大国が虎視眈々と刃を手にこちらを狙っている。
憲法9条とやらで戦争を放棄しても、いくさ…戦争の方は我々を放棄してはくれぬのだぞ。
ここ10年の諸国の動乱、弱き国々が辿る末路を見てもまだわからぬか?
戦争があるから民草が理不尽に死ぬのではない。
国が弱いから民を護れぬのだ。
これはよくよく、あなただけでなくこれからの日本を担う私の(肉体の)同世代に聴いて欲しいことだがね。」
実況コメント欄は、
ノッブよく言った!
赤井涙目www
ど正論!!
などと言う支持者の言葉に溢れていた。
赤井の顔が軽く歪む。
「け、結局そう言う論法で自衛だ自国民を護るとか言う口実で、かつての日本は戦争に突入すると言う過ちを犯して…。
そ、その結果が、沖縄戦、原爆投下などといった悲劇を招いて…。」
「戦争自体は何千年も、現在も皆やっている。
それは力ある国が切りうる札で、罪悪でもなんでもない。
これを見ている人々の中には、教育の場で残虐な先の大戦の映像や体験談を見聞きして、だから平和が大事なのだと刷り込まれた者も多かろう。
まして今の世は遠い国の戦地で傷つく民草の姿が居ながらにして見られる時代。
怪我をしたり、死んだり、父母とはぐれ泣き叫ぶ幼子らの姿などを見れば、誰しも令和の世の思考を持つ者ならば『戦争反対!』と叫びたくもなろう。
だがそれが大きな間違いであるのだ。」
コメント欄も赤井も沈黙する。
「繰り返すが観念で、この日本を狙う軍事大国の侵略を止めることは出来ない。
我が国を奪う強欲を抱き、充分それをなしうる武力がある近隣の国々からすれば、獲って喰わない理由なぞ一寸もないのだからな。
何度でも言うが、憲法9条や戦争反対の叫びでは、日本が地獄と化すのは止められぬ。
さらに言えば、相手に降る、降伏すればよい。
あるいは自分達だけでも逃げ出すと言う考えも何の役にも立たん。
今日本を脅かしている強国達は、お主らを奴婢、奴隷にするか、女ならば慰み者にすることしか考えておらぬ。
そして日本から空か海で逃げ出す道など『いざその時』には一瞬で塞がれておるしな!」
再び、コメント欄はこちらへの賛意の嵐。
「いや、だからこそ、政府は外交で常に平和的解決の道を…。」
「外交…話し合い…それは自らの手に相応の武力財力があって初めて真っ当に成り立つ事。
いくさ…戦争か平和か、ではない。
力の均衡が保たれているか、否か、だ。
お主らはここ10年の世界と日の本を取り巻く情勢の激変を見て、本当に何を学んだのか?
繰り返しての通りリスク無く領地を、権益を奪えると見ればすぐにでも諸国は侵攻して来る。沖縄でも北海道でも…。
我々が一言も発する間もなく、だ。
ではどうするか?
長年当て込んでいたアメリカもあの調子だ。
全力で日本のみで防衛をする前提で、戦える国作りをする。
幸い近く選挙がある。
若い皆も投票して欲しい。
ヒューマニズムに殉じて死するか。
何らかの形で戦う覚悟を決めるか。
投票する候補者、党で決めて欲しい。
いくらこちらが被害者であると叫んでも、勇猛に出血を恐れず戦う姿勢を見せねば、当事国以外の国々も手を差し伸べてはくれぬ。
とにかく、テレビ、新聞、ネットニュースが報じるより遥かに日本は危機的状況にある。
そのことは十二分に心得るべし!」
暴風のようなコメント。
サーバーとやらは大丈夫か。
「そ、それは…日本が憲法改正、核武装も辞さないと言う意味かね…」
かろうじて声を絞り出した赤井に、ワシは必要とあらばと頷いた。
それが、赤井の印象であった。
いわゆる左翼ジャーナリストなのであるが、唯一のレギュラー番組でも語り口調は穏やかで、それなりにSNSでの志?を同じくする者どもの信頼は篤い。
しかし、その内容は…。
「君は先ず、憲法9条を知っていますか?」
「…人並みには。
令和に来てネットの海で比較的早くに知って、同時に呆れ果てもしたが。」
「でしたらば我が国は戦争を世界に先駆け永久に放棄した事を知っているでしょう。
その誇りを持ち、本来この国は他国の軍隊から攻められても抵抗せず、殺すくらいなら殺されようの精神を全員が貫くべきなのです。
民自党が55年体制下、違憲の自衛隊と在日米軍による専守防衛という欺瞞で軍国主義の種を残し続けております。
私たちは民意が正された今の政権下で、これを少しづつ修正している時に、君は信長と名乗り周辺各国への敵意や在日外国人の方への憎悪をひたすらに煽っている…。」
「説法はそれでお終いであるか。」
「!?」
「こちらからも問いたいがあなたは殺生を戒めとする僧か何かか?」
「いや、私は…」
「もはや無理に信じろと言わないがワシは…私はここの世で言う戦国武将の一人として、そのような坊主の説法にもならぬ観念など一切通じぬ世界で戦っておった。
『殺さねば殺される』どころではない。
『予め殺しておかねば殺される』のだ。
案の定日本の外を見渡せば、あなたのような手合いが言う話し合いなど、いざとなったらハナから聞く気なく、問答無用でこちらの国を潰す気満々な大国が虎視眈々と刃を手にこちらを狙っている。
憲法9条とやらで戦争を放棄しても、いくさ…戦争の方は我々を放棄してはくれぬのだぞ。
ここ10年の諸国の動乱、弱き国々が辿る末路を見てもまだわからぬか?
戦争があるから民草が理不尽に死ぬのではない。
国が弱いから民を護れぬのだ。
これはよくよく、あなただけでなくこれからの日本を担う私の(肉体の)同世代に聴いて欲しいことだがね。」
実況コメント欄は、
ノッブよく言った!
赤井涙目www
ど正論!!
などと言う支持者の言葉に溢れていた。
赤井の顔が軽く歪む。
「け、結局そう言う論法で自衛だ自国民を護るとか言う口実で、かつての日本は戦争に突入すると言う過ちを犯して…。
そ、その結果が、沖縄戦、原爆投下などといった悲劇を招いて…。」
「戦争自体は何千年も、現在も皆やっている。
それは力ある国が切りうる札で、罪悪でもなんでもない。
これを見ている人々の中には、教育の場で残虐な先の大戦の映像や体験談を見聞きして、だから平和が大事なのだと刷り込まれた者も多かろう。
まして今の世は遠い国の戦地で傷つく民草の姿が居ながらにして見られる時代。
怪我をしたり、死んだり、父母とはぐれ泣き叫ぶ幼子らの姿などを見れば、誰しも令和の世の思考を持つ者ならば『戦争反対!』と叫びたくもなろう。
だがそれが大きな間違いであるのだ。」
コメント欄も赤井も沈黙する。
「繰り返すが観念で、この日本を狙う軍事大国の侵略を止めることは出来ない。
我が国を奪う強欲を抱き、充分それをなしうる武力がある近隣の国々からすれば、獲って喰わない理由なぞ一寸もないのだからな。
何度でも言うが、憲法9条や戦争反対の叫びでは、日本が地獄と化すのは止められぬ。
さらに言えば、相手に降る、降伏すればよい。
あるいは自分達だけでも逃げ出すと言う考えも何の役にも立たん。
今日本を脅かしている強国達は、お主らを奴婢、奴隷にするか、女ならば慰み者にすることしか考えておらぬ。
そして日本から空か海で逃げ出す道など『いざその時』には一瞬で塞がれておるしな!」
再び、コメント欄はこちらへの賛意の嵐。
「いや、だからこそ、政府は外交で常に平和的解決の道を…。」
「外交…話し合い…それは自らの手に相応の武力財力があって初めて真っ当に成り立つ事。
いくさ…戦争か平和か、ではない。
力の均衡が保たれているか、否か、だ。
お主らはここ10年の世界と日の本を取り巻く情勢の激変を見て、本当に何を学んだのか?
繰り返しての通りリスク無く領地を、権益を奪えると見ればすぐにでも諸国は侵攻して来る。沖縄でも北海道でも…。
我々が一言も発する間もなく、だ。
ではどうするか?
長年当て込んでいたアメリカもあの調子だ。
全力で日本のみで防衛をする前提で、戦える国作りをする。
幸い近く選挙がある。
若い皆も投票して欲しい。
ヒューマニズムに殉じて死するか。
何らかの形で戦う覚悟を決めるか。
投票する候補者、党で決めて欲しい。
いくらこちらが被害者であると叫んでも、勇猛に出血を恐れず戦う姿勢を見せねば、当事国以外の国々も手を差し伸べてはくれぬ。
とにかく、テレビ、新聞、ネットニュースが報じるより遥かに日本は危機的状況にある。
そのことは十二分に心得るべし!」
暴風のようなコメント。
サーバーとやらは大丈夫か。
「そ、それは…日本が憲法改正、核武装も辞さないと言う意味かね…」
かろうじて声を絞り出した赤井に、ワシは必要とあらばと頷いた。
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