15 / 26
民自党再生
しおりを挟む
ここか…。
長年なんのかので「戦後日本」の大半の期間、政権を牛耳って来た、民主自由党の本部。
「こちらに御座います。」
女秘書?に正面玄関に案内される。
「取り急ぎ、現総裁がお会いしたいとの事で。」
「判り申した。」
阿部史の言葉に、ワシはそう返した。
確かまだ40代。比較的若いと聞いたが。
エレベーターで最上階へと行き、総裁室の扉を女秘書がノックする。
「どうぞ。」
扉を開けると、実年齢より若く見える眉目秀麗な男性が立っていた。
「ようこそおいでくださいました。
私、民自党総裁を務めております、和泉晋二郎と申します。」
「織田三郎信長と申すもの。
この度は御礼の言葉も御座いませぬ。
以後、何卒お見知り置きを。」
なるほど…。
確かに絵にはなる男。
「担ぐ神輿。」
としては決して悪くはない。
が、政の実権を与えては敵に勝る害悪になろうな。
「時に総裁。単刀直入に無礼なる質問を致すが、立憲党にみすみす政権を牛耳られている。
この現状を如何お考えか?」
和泉は腕組みする。
10秒ほど熟慮したという態で、彼は口を開いた。
「僕はこのままの民自党ではいけないと考える。」
「うむ。」
「だからこそ、このままの民自党ではいけない。」
@〆*!??#☆!???
5分後、総裁室を出て、エレベーターを待つワシと阿部史。とその他数名。
「…誠に、お見苦しいものを。」
恐らくそうワシに詫びる阿部史は、背中まで汗を掻いていたであろう。
「気になさるな。
それにしてもこの党はよく、かの男を担いで選挙に臨む気になったのう。」
「は…、解散直前に新型ウイルスで亡くなった当時の幹事長、三階氏の遺言で…。弔い合戦と息巻く勢力に押され…。」
「そんなもので判断を誤る程、要は油断なされていた訳だな。」
「…一言もありません」
「取り敢えず、助けて頂いた身でいきなり何ではあるが…党の要人を集め話を致したい。
貴殿らの目的もそうであろう?」
「はっ、実は予めここ4Fの会議室で、すでに。
…特に深い意味はありませんが総裁抜きで。」
「あいわかった。」
こうしてワシは、かつての民自政権首脳部と顔を合わせる事になる。
ワシの外見は(憑依直後よりはかなり鍛錬したとは言え)相変わらずどこにでもいるような普通の令和の世の高校生。
だが…それでも魑魅魍魎蠢く政治界の修羅場を潜って一時は日本の中枢を握った面々が最敬礼する。
はてさて、纏うオーラが違ってきた、とでも喜ぶべきなのか。
とにかく…。
「皆々様、お顔を上げられよ。
現在ワシはただご厄介になってる身。
その様にされても…。」
「では、信長公。」
山井早苗議員が声を上げる。
一時は女性初の総理と目された…。
「いまの日本、そして我が党をどうすべきかお伺いしたいのですが。」
「うむ…。」
一旦一同を見渡した後、気持ち声を張る。
「国の護り、外敵、あるいは国内に侵食した反日勢力への対抗に関しては、皆様もワシと変わらぬ危機感を抱いておると思う。
実際令和の世に飛ばされて、ネットを知り、今の日の本の現状を知り怒りを覚えたからこそ、ワシはYouTubeで危険も承知であの様に語りかけた。
が…。敵に備え国を護るは重要であるが、それだけでは国を統べるもの達としては片手落ちじゃ。
そう、民を富ませねばならぬ。
自由主義を選んだ以上格差がつくのは仕方ない。
だが、そこにおける下層の者含め、全ての民の生活水準を底上げしなければならない。
…この中には、似たような事を考えてはおるものも多かろう。
しかし、結局大企業や官僚機構、地元利権や圧力団体。
そう言ったしがらみに囚われ身動きがとれず、いつの間にか志を忘れてしまっている。
そんな例が殆どであろう。
だが、ワシが介入したらその様な現状は許さぬ。
民を富ませる改革。それに既得権益守りたさにしがみつく者。そう言った手合いはワシ自ら動いてでも文字通り誅する!」
さすがに議員達はどよめく。
「恐怖政治と言われても、一旦重要な臓腑を除くくらいのことをせねば、この国は変わることができぬ。
当然今まで、あるいはこれから議員や、政権を秋に首尾良く獲れれば閣僚になるものも、心を一新せねばならない。
選ばれた人間ゆえ、特権を愉しむのも良かろう。
ワシもそうする。
だが、そのかわり民とこの国の在り方を護る為命を懸ける。
その覚悟で臨むべし。
それを忘れるものあらば、身内であっても手討ちと致す。
ワシを何がしかの名目で担ぎ上げ、政権奪回に利用する。それはそう言う事だ。」
「御意!」
理屈でなく本能で、ワシの言葉に感応した議員達は頭を垂れた。
ただ一人を除いては。
「俺は騙されないぞ。」
その男の名、元総理 浅生太郎。
「オタク高校生君が高度ななりきり演技でどう上手く立ち回ってもなぁ。」
何か言おうとする阿部史を制し、ワシは浅生に歩み寄り、一礼する。
「これはご挨拶が遅れました。
ローゼン閣下。」
!!?
「時に閣下、ラブライブはシーズン8こそが至高と考えますが。
閣下は如何!?」
浅生は目の色を変え、立ち上がる。
「オウ!兄ちゃん分かってるなぁ。
因みに俺はひなちむ推しだ」
「ワシはさゆりん推しです。」
「オウ、オウっ。分かるぜ!」
互いにがっしりと握手を交わす。
皆、あんぐりと口を開けたままだ
な に こ れ
「今度ウチに来いや、飲んで鑑賞会と行こうや信ちゃん。」
「喜んで。ラブライブ閣下。」
….こうして、さしたる障害もなく、ワシは民主党最高顧問という座を手にしたのであった。
長年なんのかので「戦後日本」の大半の期間、政権を牛耳って来た、民主自由党の本部。
「こちらに御座います。」
女秘書?に正面玄関に案内される。
「取り急ぎ、現総裁がお会いしたいとの事で。」
「判り申した。」
阿部史の言葉に、ワシはそう返した。
確かまだ40代。比較的若いと聞いたが。
エレベーターで最上階へと行き、総裁室の扉を女秘書がノックする。
「どうぞ。」
扉を開けると、実年齢より若く見える眉目秀麗な男性が立っていた。
「ようこそおいでくださいました。
私、民自党総裁を務めております、和泉晋二郎と申します。」
「織田三郎信長と申すもの。
この度は御礼の言葉も御座いませぬ。
以後、何卒お見知り置きを。」
なるほど…。
確かに絵にはなる男。
「担ぐ神輿。」
としては決して悪くはない。
が、政の実権を与えては敵に勝る害悪になろうな。
「時に総裁。単刀直入に無礼なる質問を致すが、立憲党にみすみす政権を牛耳られている。
この現状を如何お考えか?」
和泉は腕組みする。
10秒ほど熟慮したという態で、彼は口を開いた。
「僕はこのままの民自党ではいけないと考える。」
「うむ。」
「だからこそ、このままの民自党ではいけない。」
@〆*!??#☆!???
5分後、総裁室を出て、エレベーターを待つワシと阿部史。とその他数名。
「…誠に、お見苦しいものを。」
恐らくそうワシに詫びる阿部史は、背中まで汗を掻いていたであろう。
「気になさるな。
それにしてもこの党はよく、かの男を担いで選挙に臨む気になったのう。」
「は…、解散直前に新型ウイルスで亡くなった当時の幹事長、三階氏の遺言で…。弔い合戦と息巻く勢力に押され…。」
「そんなもので判断を誤る程、要は油断なされていた訳だな。」
「…一言もありません」
「取り敢えず、助けて頂いた身でいきなり何ではあるが…党の要人を集め話を致したい。
貴殿らの目的もそうであろう?」
「はっ、実は予めここ4Fの会議室で、すでに。
…特に深い意味はありませんが総裁抜きで。」
「あいわかった。」
こうしてワシは、かつての民自政権首脳部と顔を合わせる事になる。
ワシの外見は(憑依直後よりはかなり鍛錬したとは言え)相変わらずどこにでもいるような普通の令和の世の高校生。
だが…それでも魑魅魍魎蠢く政治界の修羅場を潜って一時は日本の中枢を握った面々が最敬礼する。
はてさて、纏うオーラが違ってきた、とでも喜ぶべきなのか。
とにかく…。
「皆々様、お顔を上げられよ。
現在ワシはただご厄介になってる身。
その様にされても…。」
「では、信長公。」
山井早苗議員が声を上げる。
一時は女性初の総理と目された…。
「いまの日本、そして我が党をどうすべきかお伺いしたいのですが。」
「うむ…。」
一旦一同を見渡した後、気持ち声を張る。
「国の護り、外敵、あるいは国内に侵食した反日勢力への対抗に関しては、皆様もワシと変わらぬ危機感を抱いておると思う。
実際令和の世に飛ばされて、ネットを知り、今の日の本の現状を知り怒りを覚えたからこそ、ワシはYouTubeで危険も承知であの様に語りかけた。
が…。敵に備え国を護るは重要であるが、それだけでは国を統べるもの達としては片手落ちじゃ。
そう、民を富ませねばならぬ。
自由主義を選んだ以上格差がつくのは仕方ない。
だが、そこにおける下層の者含め、全ての民の生活水準を底上げしなければならない。
…この中には、似たような事を考えてはおるものも多かろう。
しかし、結局大企業や官僚機構、地元利権や圧力団体。
そう言ったしがらみに囚われ身動きがとれず、いつの間にか志を忘れてしまっている。
そんな例が殆どであろう。
だが、ワシが介入したらその様な現状は許さぬ。
民を富ませる改革。それに既得権益守りたさにしがみつく者。そう言った手合いはワシ自ら動いてでも文字通り誅する!」
さすがに議員達はどよめく。
「恐怖政治と言われても、一旦重要な臓腑を除くくらいのことをせねば、この国は変わることができぬ。
当然今まで、あるいはこれから議員や、政権を秋に首尾良く獲れれば閣僚になるものも、心を一新せねばならない。
選ばれた人間ゆえ、特権を愉しむのも良かろう。
ワシもそうする。
だが、そのかわり民とこの国の在り方を護る為命を懸ける。
その覚悟で臨むべし。
それを忘れるものあらば、身内であっても手討ちと致す。
ワシを何がしかの名目で担ぎ上げ、政権奪回に利用する。それはそう言う事だ。」
「御意!」
理屈でなく本能で、ワシの言葉に感応した議員達は頭を垂れた。
ただ一人を除いては。
「俺は騙されないぞ。」
その男の名、元総理 浅生太郎。
「オタク高校生君が高度ななりきり演技でどう上手く立ち回ってもなぁ。」
何か言おうとする阿部史を制し、ワシは浅生に歩み寄り、一礼する。
「これはご挨拶が遅れました。
ローゼン閣下。」
!!?
「時に閣下、ラブライブはシーズン8こそが至高と考えますが。
閣下は如何!?」
浅生は目の色を変え、立ち上がる。
「オウ!兄ちゃん分かってるなぁ。
因みに俺はひなちむ推しだ」
「ワシはさゆりん推しです。」
「オウ、オウっ。分かるぜ!」
互いにがっしりと握手を交わす。
皆、あんぐりと口を開けたままだ
な に こ れ
「今度ウチに来いや、飲んで鑑賞会と行こうや信ちゃん。」
「喜んで。ラブライブ閣下。」
….こうして、さしたる障害もなく、ワシは民主党最高顧問という座を手にしたのであった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる