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圧勝。

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そう…ワシが奈路海組近隣のパアホテル屋上を貸切で、その本部に向け乱射したのは、本来アメリカ空軍対地攻撃機A10に搭載されているGAU8アヴェンジャーガドリング砲であった。 
それを「ある筋」で人力操作可能に応急改装して貰った上でワシが調達したものだ。
なにしろこの21世紀の大抵の装甲車両を破壊する最強の機関砲である。
筋者達が抗争に備え城塞化したであろう屋敷の塀も、屋敷本体も紙のように貫かれ、砂糖の菓子のように砕かれる。
そして、何発に一発か混じっている劣化ウラン弾とやらの効能で、そこかしこで火災が起こり、数百人単位で詰めていたであろう筋者達も逃げ場を失い、焼け死ぬか30ミリ砲弾に砕かれるかどちらかであった。
阿鼻叫喚…。
城が落ちるとき。それはここの世も変わらぬ地獄であろうな。
流石に放置とはいかず、消防車、パトカーが何台もけたたましい音と共に駆けつける。

さて…ワシは…。

!!

半瞬前まで居た空間を、業物の刀が袈裟斬りにする。
「うぬか…。」
奈路海組若頭、阿部!
凶猛な笑みを浮かべ、再び大上段に構える。
「くははは。どこまでも面白過ぎるガキだ。
どうやって調達したか知らねえが、まさかそんな玩具でコケにしてくれるたぁな!」
ほう…奇襲の混乱から、射線を捉えてここを嗅ぎつけるとはな。
その間に第二撃!
よたよたようやっと躱すふりをして、地べたに身体を転がし、30ミリ機関砲台の影に潜る。
そこで、己のモノを握る。
「ほう…持ってンじゃねーか。」
「ふ…此方も抜かねば何とやらだて。」
そう…学園襲撃の直後、亮太に「献上」された「秋水」である。
何でも彼の曽祖父がワシの存在と言動にいたく感動し、是非にそのお方にと託したものらしい。
祖先伝来のものと聞き、固辞しようともしたが、結局は有り難く拝領する事とした。
「まぁ、使える本身はウチに何振りもありますので。」
とは亮太の言である。
それはともかく…。

今度は横薙ぎに来る。
「…!!」
左肩口の寸前で受け止める。
太刀筋は単純。しかし一撃一撃が途方もなく重く、そして速い。
しかもこの男自体から放たれる圧が凄まじい。
これでは屋内で銃火器を持っていても…。
今度は大上段からのを受け止める。
「オラァ!防戦一方だぜ信長さまよぉ!?」
凄みある嘲笑と共に次の撃!
周辺の大気が切り裂かれる。
大気だけは。
!!??
居ない、あのガキが。
明らかに一瞬だけだが混乱し、阿部の五体が硬直する。
次の刹那。

阿部の左肩口から、袈裟斬りに胴体が両断され、斬られた双方が綺麗にするりとずれ、半瞬遅れて鮮血の豪雨。
「 Aoooooooooooooooooooo!!?」
ぼとりと、斬られた半身が落ちる


「うつけが。」
ワシは秋水を手首で一振りし、血を吹き払ってから鞘に収める。
「ワシが気紛れで遊んでやっていた事にも気づかぬとは。
所詮は戦さ場で勇を奮う器ではないな。」
一息ついた所で。大きな人影が歩み寄る。
「弥助か。」
「はっ。お館さま。勝利おめでとうございます。」
何処からどう見ても、褐色の屈強なアメリカ兵である。
まだ日本、厚木基地に残置している空軍の、整備士官であり、司令部付きで兵器メーカーとの納入、発注担当も務めていた。
まあ、つまりはそういう事だ。
「お主が奔走し、間に合わせてくれたが故だ。
礼を申すぞ。」
「はっ、いえそんな…。」
例により元々日本戦国期マニアだった男が、一連のワシの令和転生以降の騒動で、一気に「信長信者」となってしまったというわけだ。

「とにかく…いや。
そこの二人、さっさと出てこりゃあ。」
「はっは。バレバレか。」
「…押忍…すみません。」
雅治とサルである。
「学園の守りは大丈夫なのだろうな。」
「ノープロブレム。」
ハルが差し出したタブレットのリモート画面には、亮太、七瀬、田所の足元に倒れ臥している奈路海組構成員達の姿。
そして疾風も。
「…ふ…まぁ、一般生徒らに累が及ばねばよしとするか。」
ガドリング砲のみ、弥助…本名バリー・ウィリアムスのスタッフ達が手際よく片付けていく。
この場は撤兵。
後は学校と疾風の様子を見に行き、早々に休もう。

その夜のTwitterで、蓮根総理大臣が「許し難きテロ。現在警察庁長官を動かしております。」等々とワシを糾弾していた。
それに対しワシは、「法治の守りの外に置かれたワシと学園生徒達を守ったのみ。」
と返したのみ。
後は勝手に、SNSと世界的動画の世界で、ワシの本日の暴れぶりが世界を「驚喜」(?)させてくれる。

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