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いっその事

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数日後、副社長と営業部長が巡回してきた。
僕と川上さんは、交代で一人づつ面談を受けることになっていた。
川上さんが先に面談し、その後僕がいつものファミレスに向かった。
「仕事ぶりが思わしくないようだな。」
第一声、副社長はそういった。僕は反射的にすみませんと言ってしまっていた。
「川上は自分の言ったことを全く聞いてくれない、もう面倒を見切れないと言っているぞ。」
営業部長はそう言った。
ファミレスのソファー席が、特注の針の筵と化していた。
「なんだ、自分が年上だから、年下の上司の言うことを聞きたくないというプライドでもあるのか?」
副社長の言葉に、僕はかぶりを振った。
「いえ、そのようなことは決してっ。」
僕は川上さんに対しては、前任者に対してしてきたと同様、完璧なイエスマンとして徹してきたつもりである。何しろそれ以外の処世術を知らないのだから…。プライドなどとうの昔に捨てている。ただ自分の頭脳と身体が、川上さんの望むように動いてくれないというだけである。それが問題の根本であった。仕事における致命的なスキルとセンスの無さ。本来今語られるべきことはそれの筈であった。しかし、それを話したところで精神論で片付けられてしまうだろうという諦めが、僕の中にあった。
「上司が年下なのはしょうがないだろう。会社におけるキャリアの差というものがあるのだから…。」
「ここは副社長がおっしゃる通り、素直に現実を受け入れてだね…。大人の態度で、川上店長を立ててやっていくべきではないのかね。」
ですから問題はそういう事じゃなくて…。
「僕は最大限、川上店長に従っているつもりです。」
「しかし現実は川上の言う通りだ…。とにかく仕事で結果を出して川上と私たちを満足させねば何にもならん。いずれにせよ今のままでは話にならん。」
営業部長の言葉に、僕は俯いてしまった。
そう思うなら、もう正社員としてはクビにしてくれよ…。
向いてないんだよ根本的に…。
ああ、正社員を辞めて存分に夢を追いたい…。
うつろな表情を浮かべていたであろう僕に、もういいから仕事に戻りなさいと副社長は声をかけた。
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