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山津波の如く
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「ほう、日本人はそこに戦力を集中させておると。」
軽く酔ったような表情と声で、ソビエト連邦の独裁者たるスターリンは髭をしごいた。
「御意…。」
キース・ライアン(かつての別世界線での日本総理蓮根)は深々と頭を下げた。
「陸空と最強最大の戦力を集中させてくることは確実。
つまりは日本人の唯一の希望となる一大兵力。
それを殲滅してしまえば、奴らの戦意はおろか希望を粉砕してしまえますな。
無論、同志書記長のご威光も併せて。」
「ふふ…ならば重畳。
しかしそれが成っても敵の憎むべき海軍連合艦隊とやらは未だ健在。それらは如何にする?」
「ご懸念なく。それこそ3ヶ月後5基完成予定の反応弾付き弾道ロケットでいかようにも。日本の東京以外の政軍の要衝を蒸発させてしまえば、如何に水上兵力が充実していようとボートの群れ同然です。
その後は混乱に乗じ赤軍を津波の如く流し込めば。」
「念願の日本革命、天皇処刑ができる、か。」
は…とライアンはさらに深く首を垂れる。
そう、あの日…。あの世界で…。
あと少しで関東地区に母国の解放軍が来て念願の日本革命がなると言う時に…。
年増ボーイスカウトども…自衛隊が分際も弁えずクーデターを起こすとは!
しかも、財務省の一部まで裏切りを…
GDPを強引に1%弱に抑え込んでいた筈が…。
精妙なトリックで「本当にあった埋蔵金」を使い、本来の予算の3倍分防衛省に流していたなんて!
おかげで戦力復活し(大量リストラした筈の自衛隊員も大挙かつての駐屯地に駆けつけた)
た自衛隊に私たちの人民解放軍は押し返され、さらには日和っていたアメリカ軍の来援で全ては詰んでしまったのだ。
そして当てにしていた本来の母国が手を引いた後の屈辱…。
まさか自分が手錠を嵌められることになるとは!
外患誘致罪など憲法違反!
「あんたら!私を誰だと思ってるの!?
この日本の、史上初の女性総理大臣よ!」
SNSやリアルの空間で何度叫んでも虚しいだけであった。
この国…もともと人権意識の低い大衆のヘイトを一身に集めて、逮捕、裁判。
そしてわかり切った判決…。
こんなゲスどもに…。
13階段を登らされる屈辱。
全ては死んでなお愚民達の英雄となった久保拓也とかいう自衛官の…
しかし、私は「持っていた」
この新たな世界で、男としての美貌と才能。
この世界での強国アメリカとソ連におけるふさわしい権力を手に!
今度こそ成し遂げる!「私の革命」
同じく転生していた久保拓也もろともに日本人どもを…。
「掘れ!ガン掘りだ!1メートル深く掘れば皆の命がそれだけ延びる!」
決戦想定エリア満浦市近郊。
八原参謀と共に、久保拓也参謀副長も自ら時にスコップを取り野戦築城の指揮を執る。
全域には追っつかないにせよ米軍供与の重機群の存在はありがたかった。
どれだけ完全なトーチカで固められるか…。
恐らくあと2日前後の猶予だろう。
「結局は攻城戦プラス機動戦と、決戦中盤まではそうなりましょうな」
八原の言葉に、久保も深く頷く。
最前線指揮は宮崎将軍、バックアップに山下大将と参謀達であるが、皆、言葉にはしないにせよ「久保拓也の策」を最終的には拠り所にしていた。
当然陸戦は素人…だが空海で培った直感を信じるしかない。
450万に迫る空前の敵兵力を、食い止めるのではなく殲滅する
「ダーリン♡」
ルメイか。
「本国から召喚きちゃって…名残惜しいわ。」
「俺もだよ」
2人は固いハグを交わす。
アメリカ式だし多少はね?
といった表情で周囲の日本軍将兵は自分達を無理矢理納得させているようだった。
「なるべく奴らの脅威を中央に説いてくるわ」
「割とマジであてにしてるぜ?カーチス。」
踵を返して車の方に去っていくアメリカ戦略空軍のカリスマを、遠巻きに敬礼しつつ日本軍スタッフは見送った。
よし…。
準備はやれるところまでやり尽くす。
様々なシナリオの想定も。
そこからは全力を尽くすだけだ。
軽く酔ったような表情と声で、ソビエト連邦の独裁者たるスターリンは髭をしごいた。
「御意…。」
キース・ライアン(かつての別世界線での日本総理蓮根)は深々と頭を下げた。
「陸空と最強最大の戦力を集中させてくることは確実。
つまりは日本人の唯一の希望となる一大兵力。
それを殲滅してしまえば、奴らの戦意はおろか希望を粉砕してしまえますな。
無論、同志書記長のご威光も併せて。」
「ふふ…ならば重畳。
しかしそれが成っても敵の憎むべき海軍連合艦隊とやらは未だ健在。それらは如何にする?」
「ご懸念なく。それこそ3ヶ月後5基完成予定の反応弾付き弾道ロケットでいかようにも。日本の東京以外の政軍の要衝を蒸発させてしまえば、如何に水上兵力が充実していようとボートの群れ同然です。
その後は混乱に乗じ赤軍を津波の如く流し込めば。」
「念願の日本革命、天皇処刑ができる、か。」
は…とライアンはさらに深く首を垂れる。
そう、あの日…。あの世界で…。
あと少しで関東地区に母国の解放軍が来て念願の日本革命がなると言う時に…。
年増ボーイスカウトども…自衛隊が分際も弁えずクーデターを起こすとは!
しかも、財務省の一部まで裏切りを…
GDPを強引に1%弱に抑え込んでいた筈が…。
精妙なトリックで「本当にあった埋蔵金」を使い、本来の予算の3倍分防衛省に流していたなんて!
おかげで戦力復活し(大量リストラした筈の自衛隊員も大挙かつての駐屯地に駆けつけた)
た自衛隊に私たちの人民解放軍は押し返され、さらには日和っていたアメリカ軍の来援で全ては詰んでしまったのだ。
そして当てにしていた本来の母国が手を引いた後の屈辱…。
まさか自分が手錠を嵌められることになるとは!
外患誘致罪など憲法違反!
「あんたら!私を誰だと思ってるの!?
この日本の、史上初の女性総理大臣よ!」
SNSやリアルの空間で何度叫んでも虚しいだけであった。
この国…もともと人権意識の低い大衆のヘイトを一身に集めて、逮捕、裁判。
そしてわかり切った判決…。
こんなゲスどもに…。
13階段を登らされる屈辱。
全ては死んでなお愚民達の英雄となった久保拓也とかいう自衛官の…
しかし、私は「持っていた」
この新たな世界で、男としての美貌と才能。
この世界での強国アメリカとソ連におけるふさわしい権力を手に!
今度こそ成し遂げる!「私の革命」
同じく転生していた久保拓也もろともに日本人どもを…。
「掘れ!ガン掘りだ!1メートル深く掘れば皆の命がそれだけ延びる!」
決戦想定エリア満浦市近郊。
八原参謀と共に、久保拓也参謀副長も自ら時にスコップを取り野戦築城の指揮を執る。
全域には追っつかないにせよ米軍供与の重機群の存在はありがたかった。
どれだけ完全なトーチカで固められるか…。
恐らくあと2日前後の猶予だろう。
「結局は攻城戦プラス機動戦と、決戦中盤まではそうなりましょうな」
八原の言葉に、久保も深く頷く。
最前線指揮は宮崎将軍、バックアップに山下大将と参謀達であるが、皆、言葉にはしないにせよ「久保拓也の策」を最終的には拠り所にしていた。
当然陸戦は素人…だが空海で培った直感を信じるしかない。
450万に迫る空前の敵兵力を、食い止めるのではなく殲滅する
「ダーリン♡」
ルメイか。
「本国から召喚きちゃって…名残惜しいわ。」
「俺もだよ」
2人は固いハグを交わす。
アメリカ式だし多少はね?
といった表情で周囲の日本軍将兵は自分達を無理矢理納得させているようだった。
「なるべく奴らの脅威を中央に説いてくるわ」
「割とマジであてにしてるぜ?カーチス。」
踵を返して車の方に去っていくアメリカ戦略空軍のカリスマを、遠巻きに敬礼しつつ日本軍スタッフは見送った。
よし…。
準備はやれるところまでやり尽くす。
様々なシナリオの想定も。
そこからは全力を尽くすだけだ。
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