新訳 零戦戦記 選ばれしセカイ

俊也

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ハワイへの電撃

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日本艦隊、既に100キロを切る位置に迫る。
複数の情報から確定した事実。
最後はやはり今回もこうなるか。
敵戦艦は多くて10隻弱。
こちらはモンタナ級4隻と改アイオワ級14隻。
巡洋艦、駆逐艦は数的にも2倍弱はいる。
絶対優勢は揺らがない。
だが、問題は未だ全てが未知数の「アンノウン」
あれが今回参戦していない筈がない。
シアトル、サンディエゴの要衝を破壊し尽くした超怪物…。
なるべく哨戒機、潜水艦を動員し探してはいるが…。
あえて最初から前面に出してこない日本の真意もわからぬが…こちらに細部まで分析される事を極端に恐れている?

いや、とにかくまずは眼前の敵だ!
「まずは敵水雷戦隊を排除。
スカイレイダーの残機152機を加え、あの魚雷攻撃の前に排除する!
「「イエスサー!」」
帰投してきたスカイレイダーは倍近くいるのだが、損傷激しく再出撃に耐えるのがそれだけであったのだ。
そして…。
「敵前衛35キロ前方まで進出!」
唸りを上げ、上空を通過するスカイレイダー。
なんのかので頼もしさをアメリカ水兵達に感じさせた。
あと4分程で敵魚雷射程。その前に…。
!?
「方位046より、敵機!
一機だけですがあれは…。」
「何!?」
超低空でレーダーを掻い潜ってきたのはわかるが…。
まさかあのモンスターバードが!?
「いよっし!
なんとか近づいたぜ!?
河本さんよいけるか!?」
河本技術大尉は右手を上げた。
「ちょい待ち、あと1.2キロ寄せてください。」
「ヨウソロー!時間を稼ぐか!」
翼下、胴体下に搭載したロケット弾を放つ富嶽1号機。
敵駆逐艦2隻に命中し火災を起こすが、無論本命はそれではない。
爆弾層が開き、ずぶとい何かの筐体が姿を見せる。
「よし3.2.1…今!!」
河本がレバーを押し込む。
同時に落雷のような音が響き、富嶽機内に詰め込まれた黒いバッテリー群から火花が散る。
そしてアメリカ艦隊に指向された青白い衝撃波めいたものが…。
「ユニット投棄!ずらかるぞ!」
「了解!!」
「バッテリー付近火災が!」
「消せ消せ消せ。つーかそいつも投棄だ!」
「あっ薬液気をつけて、これ着てください!」

…地獄絵図はアメリカ全艦艇、艦載機であった。
スプルーアンスの眼前で CICのおよそ電子機器と名のつくもの全てが激しい火花と共にことごとくショート、ついには照明も消えてしまう。
「な、何が起こっている!?彼らは何をした!?」
「分かりません!今言えるのは敵どころか味方の状況も不明…。全てがシャットダウン…。」
「………………!!」
どういう事なの…。
しかし、最高指揮官として思考停止は許されない。
つまりはアナログで出来る事をするしかない訳だ。
「発光信号、手旗信号で各艦との連携を取れ、敵を目視、光学照準で砲雷撃!」
言い終えた所で幾重もの爆発音。
木村昌福、田中頼三両提督の率いる水雷戦隊。
彼らが無駄の無い迅速な艦隊運動で雷撃体制に。
まだ日は高く、距離は1万を大きく切っている。
「テーッ!!」
ロングランス…必殺の酸素魚雷が100強の射線でアメリカ水雷戦隊に襲い掛かる。
反撃しようにも砲雷撃の手動操作すら、麻痺している艦が半分以上…。
よしんば応射できてもただ虚しく空振りのみ。
次々と鍛え上げられた精度を誇る日本側の砲雷撃に仕留められていく。
そして頼みのスカイレイダー、護衛のF2Hも…。
互いの交信や母艦とのそれはおろか、爆撃はおろか機関砲一つ撃てない機体が続出し、パニックに陥る。
そして…手付かずの最後の零戦88型45機が襲い掛かり、存分に牙を振るう。
中には計器が壊れ海面に突っ込んでしまう米軍機も…。

その後後衛の日本巡洋艦群の砲撃も加わり…。
25分間で駆逐艦28隻、重巡軽巡10隻が撃沈破…目を覆わんばかりのダメージをアメリカ側は被る。

「急げ!兎に角無線、光学照準で撃てるよう最低限の射撃システムの復旧!
焼き切れた回線はモノごと交換!」
艦隊首脳部の必死の発光信号等のリレーで、各艦のクルーはかけずり回り、士官も水兵もなくダメコンチームを手伝い復旧させる。
スプルーアンス座上の旗艦、ミズーリⅡはどうにか主砲副砲群を復旧させる。

だが、数瞬早く、日本戦艦群が主砲を斉射していた。
距離は18000…。

「悪いが、手段は選んでいられないからな。」
後方待機の空母 鳳凰。
他のパイロット達と同様、私室で「休養」をとる久保拓也。
目の前ではカリンが美しい顔を軽く歪め、巨大な乳房が久保の両手を半ば飲み込んでいた。
富嶽に無理くりに搭載したバッテリー込みで15トンの…後の時代で言う所の…「HEMPシステム」
それによる電磁パルス攻撃であった。
下手すれば搭載機ごと炎上してしまう程の瞬間的電圧だったが、最高にハマってくれた…。
あとはもう、彼らは仮に復旧が間に合っても我が日本海軍の土俵でしか無い。
決着が着きかける頃に CICに戻ればいい。
むろん、めぐみにも内心改めて感謝しつつ。
口はカリンの乳首を強く吸う。
「んっ…キモっ、でも可愛い、気持ちいい…。」
カリンは陶然としつつ、仰角最大の久保のモノを握る。
互いにこうしていれば、下手な仮眠より脳が賦活化する。
何故かはしらないが、カリンの手先が力任せでなく、緩急つけてしごくようになったな…。
まるで…。



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