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そして殲滅戦へ

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ハルゼーは怒鳴りたいのを堪え、唇を噛んだ。
ここまでの損害とは…。
ミッドウェイ級2隻を含む正規空母10隻が、少なくとも離着艦は不能。
うち3隻は撃沈。
重巡以下の損害も、戦闘能力は約4割減。

さらには…。
「第二次攻撃隊、あと15分で着艦態勢。ですが…。」
バカな!
前回を上回る、被撃墜300機以上だと!?

先立って着艦したパイロット、あるいは無線での戦況報告…。
ガンシップ仕様のモンスターバードではなく、あの忌まわしきゼロのタイプ76、50機以上が乱入してきたと。
「バカな!?Bー29要撃後に再発進しただと!?
彼らが基地を潰しきれなかったというのか!?」
「別枠で護衛につけていたわがベアキャット隊は、速度、高度差で実質何もできなかったと…。」
ハワイ各基地に問い合わせると、詳細不明だがBー29の損害も7割に迫るとのこと。
おおよそ、何があったのかはもう見当がつく…。

ハルゼーはマグマのような体内のうねりをどうにか鎮める。
「だが、これで奴らは打ち止めだ。
現在サイパン方面に肉薄しつつある奴らに残されたのは、実質300機強の戦闘機中心の航空戦力。
あとは戦艦部隊のみだ。それも我々に遥かに劣る…。
一方我々はほぼ無傷の戦艦12隻。
重巡以下も70隻以上。
そしてまだ作戦機も800機弱はいる。」
「御意!」
カーニー以下幕僚達が追従する。

「悲しいかなそれでも奴らはもう夜間砲撃戦に賭けるしかない。
それをサイパン手前で迎撃し、猿どものなけなしの金貨をスラせてやるぞ!!」
「「イエスサー!!」」

一方、日本第一機動艦隊、葛城。
これまでの54型丁改に代わり、新たに降り立ち与えられた76型の翼の上で仮眠するカリン。
他のスーパーエース達も、座り込んでタバコをふかすなり、甲板上に寝転ぶなりして思い思いに…許された15分間の休憩で力を蓄えていた。
まだ着艦する機体は絶えない。
新鋭装甲空母も「大鳳」が大破、なんやかや稼働空母は6隻となっていた。
作戦機も残存は流星改56機、零戦54型丁改101機、76型35機…。
もう航空機は艦隊直掩機に全て回すしかないな…。
全ては、いまほんの一時の休息をとる猛者達にかかっている。

甲板上でそれらを見守る久保拓也参謀長は…。
仁王立ちで腕組みをし、やがて敵大編隊の邀撃に飛び立っていく、「空の神ならぬ神兵達」を敬礼し見送る。

「最終局面だな。」
「は、久保どの曰く、まだ筋書き…シナリオの範囲内らしいですが…。」
「御意。ただ空前の大破局に終わるか、大勝利に終わるかは正直、今はなんとも。」
葛城指揮所にて、久保は山口多聞司令と加来艦長に向けてそう言う。

「敵戦爆連合多数、艦隊前衛まで距離25000!
要撃機上空より攻撃開始!!」

はじまったか。

「いい腕してんね~」
巧みに被ってくるゼロの部隊を見て、こちらも本日熱い酷使のヘリントンは呟く。
数は我々の4分の1以下、だが分かる。
全員がプロだ。
「貴様ら!4機編隊崩すな!間違っても一騎討ちなど挑むな!
とにかく攻撃隊の半分でも通してやれば敵の艦隊は詰む!」
「「イエッサー!」」
とは言え、俺はひとりでよい。
部下達も…例えばヴァンには特別な任務を与えている。

「っどおりゃああああああ!!」
カリンの零戦76型が、この日累計15機目の獲物を血祭りに上げる。
やはりこの機体は桁違い、ドイツ、日本両帝国の混血児なだけはある。
高高度から、中低高度域に移っても、機動性速度はほとんど落ちない。
そう、液冷になろうが、こいつは零式なのだ。
頼もしい…。
!??

後方から火箭。
無論かわす。
しかしこれは…複数の殺気!
「ハッハ!また会ったな姉ちゃん。
借した金利は取り立てる。総掛かりでファックしてやるぜ!」

あれは…F4Uコルセア!?
恐らくは高速化改造された…。
しかもヴァンの単機でなく…12機!?







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