新訳 零戦戦記 選ばれしセカイ

俊也

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新しき戦闘?

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試製4式対艦噴進弾。
弾頭に250Kg徹甲弾を装着。
安定翼付き総重量1トン。射程20000メートルで最速920キロの固形燃料ロケット兵器。
無誘導ではあるが、敵対空火器の強力な基幹たるボフォース40ミリ機関砲の射程外から発射可能!
今回の初実戦投入では、命中率35%
が、敵駆逐艦群に与えた物理的心的ダメージは甚大であった。
「延焼とまりません!」
「ジェンキンス、爆沈!」
「クソが!連中弾頭に焼夷弾仕込んでたのか!?」
「消せ消せ消せ消せ」
損害は輪形陣奥の巡洋艦群にも波及する。

ロケットを撃ったら、当然速やかに離脱の事。

その命令に従い、部下にも指示徹底し離脱する友永少佐。
「敵さんの対空砲火の嵐の外から撃つ…。か。」
確かに当たり前のように、今まで雷撃にせよ爆撃にせよ、我々海軍航空隊は敵の猛火の中肉薄して命懸けの一撃を叩き込む。
その一点に傾注して猛訓練に励んできたが…。
今後はこう言ったものが海軍航空隊の主力兵器になるのか?
無論、貴重なパイロット達の生還率を上げ、戦果も効率よく上げる、と言う方針が、こう言った兵器導入や一連の防弾強化の流れに繋がっていることは歓迎すべき向きだが。
なんか、微妙な思いはあるな…。

「クソジャップ共!ただでは帰さねー!」
ヴァン大尉率いる一隊が、低空から離脱しようとする流星改の群れに襲いかかる。
が、視界の隅で一機のベアキャットが火を吹く。
!!??
「田所、遠野、大坊、多田野!それぞれの4機編隊を崩さず味方を守れ!
こちらの犠牲を抑え敵戦を一機でも削る!」
ホルテンブルグ大佐…カリンは各隊に迅速に指示を出すと、自らはフリーハンドで当たり前のように敵新鋭ベアキャットを狩っていく。
「これで7機目ぇ!
残弾…まだ良し。
あと10分はイケるわね。」

こちらはようやく2機目か…それも向こうが勝手に慌てての自滅に近い。
坂井三郎は、一瞬だけ唇を噛んだ。
明らかに俺は、敵新型の零戦張りの機動力についていけていない。
なんとか敵の未熟さに助けられているが。
それがあの女といい、西澤岩本さんと言い、敵の質量両面の優位さが存在しないかの様に次々とぶち墜としている…。
努力では超えられぬ、才能の壁…。

本来は、3桁を超える撃墜王となり、この戦争が終わったら、自伝を書き、日本国内のみならず世界に売り込む腹づもりだったのだが…。
ガンカメラ常備になってしまってからは撃墜数を盛ることも出来ず。
中国戦線からの通算28機…
(これでも堂々たるエースのスコアであり、岩本西澤カリンらが異常過ぎるのだが。)
とにかく…

!!??
しまった!手練れに喰いつかれた!
小手先の機動では振り切れない。
坂井は操縦桿を押し込みダイヴへ。
しかし、肉薄した後方のベアキャットが20ミリを撃つのが一瞬早かった。
「ぐおっ!?」
2、3発がコクピットの防弾板を抜き、破片が中で暴れ回る。
そして、その一つが坂井の額左側をえぐる。
「ごあっ!?」
視界が半分消えて…視神経の損傷か?
坂井三郎の意識が遠のく。
止めを刺そうとしたヘリントン。
しかし、ある第六感に反射的に機体を横転させる。
「ああん?なんで?(またお前?)」
既に6機を屠った岩本徹三である。
互いに次の動きを先読みし合いながらのドッグファイト…が、今回はあいにく岩本の側が燃料の関係で5分で撃ち止めとなり、緩降下で加速しながら、ベアキャット隊の手薄なところを縫ってあっさりと離脱する。
「仕方ないね♂」
ヘリントンは呟き、艦隊からの指示を整理しながらの防空戦闘に戻る。

最終的に…。
「駆逐艦群5隻沈没、12隻は中破以上。
重巡キャンベラ中破…」
「もういいッッ!」
ハルゼーの一喝にカーニー参謀長は手と声帯を止める。
「こちらがマリアナ…サイパンを目指している以上、いつまでもアウトレンジからのアクションは出来ん。
いつでも攻撃隊を発進できるようスタンバっといて、ある程度奴らの艦隊の位置が絞られたら発進させる!」
「御意!」
さらには輪形陣の再構築…。
ジャップ猿ども、最初のジャブが当たったくらいではしゃぐなよ。
最強最速の必殺ブローをぶち込んでやるぜ。






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