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長躯強襲
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アメリカ第三艦隊、旗艦モンタナ。
「上空!友軍B 29群、300以上が通過!」
幕僚の一人の報告に、ハルゼーは鼻を鳴らす。
「フン!向こうの地上基地ごと、こちらだけで引き受けてお釣りが来るってのに。いらんことを…(まあ何や彼や言って180機のベアキャットをこちらから援護に送ってはいるが。)
それより、向こうの機動部隊…。」
「はっ、複数の潜水艦が、敵空母群の発艦機動を確認しておりますので、おそらく既に…。」
よしと頷くハルゼーに正対しながら、カーニーは思った。
(そうは言っても、Bー29とは言わんから基地航空隊の援護はもっと欲しかったんだよなぁ。)
艦隊だけでやれはするが、念には念を…で。
マリアナの南方からはビアク。
北方からはウェーキ中心で、決戦前から圧力をかけていれば、なんなら敵艦隊が動く間も無くマリアナ諸島を制圧できていたかもしれないのだ。
当然我が陸海軍は半年以上前から動いていた。
しかし、ウェーキは数百機単位での精強な敵陸海軍航空隊。
ビアク方面も、いざ確保し、自軍基地化しようとした矢先のTNT火薬の時限発火大爆発。
その後も潤沢な物資、装備人員をバックにしての、組織的ゲリラ攻撃に悩まされ、遅々として基地整備や周辺制圧が進まない。
装備食料が尽き、ケロリとした顔で連中が白旗を上げてきたのは一昨日の事である…。
(まぁ、この人なりに成算があり、いつもの如く猛牛ハルゼーを演じているのだろうが。)
そこまで考えた所で、長距離対空レーダーに敵機の反応ありとの報告が入る。
片道3時間弱の飛行か…。
欧州戦線の常識からするとイカれてるわね。
部下達も、私自身の疲労の影響も未知数…。
そう思いを巡らしながら、カリンは内股をもぞもぞさせていた。
仮に水分を控えても、出るものは出る。
仕方ない。一時無線切って…。
「そこ」を開けやすくした仕様の飛行服。
彼女専用の、間口の大きい瓶。
そこへ押しつけ、羞恥心か何かよくわからないものを相殺し、「解除」した。
じょろぼぼぼぼぼぼぼ。
かなりの割合で、7000mの高空ではすぐ蒸発してしまうとは言え、今現在ではかなりの量…。
バカ拓也、次こんな飛行させたら胸で窒息させてやる。
そして…米軍空母エンタープライズ甲板上。
「しめてかかれ!母艦の誘導に従い先ずは高度の優位を獲る!」
戦闘機隊総指揮官ヘリントン大佐の号令一下、各母艦から450機のF8Fベアキャットが発進準備にかかる。
発艦後恐らくは、20分後に接敵か…。
実戦初めての連中でも、我々少数のベテランがフォローすれば十分戦える。
まだ、レーダーの方で敵高度の確定に至っていないが…。まぁ時間の問題だろう。
直掩隊発進!!
3分の1程度が発艦した頃…。
あまりにも唐突で、誰も把握出来なかった。
現実のものとも思えず…。
高度2000から、黒い影が降ってきた。
その3秒後、1隻のミッドウェイ級空母の巨大な甲板全体を、大爆炎が包む。
「空母ワスプⅢ、甲板に被弾!損害不明!!」
(因みにワスプⅡはハワイ沖海戦で損傷回航中、日本の潜水艦に撃沈されている)
モンタナの戦闘指揮所は騒然とした。
「何ィ!?こちらのレーダーは飾りじゃないぞ!?」
「海面スレスレを這うように飛んで、我が方まで肉薄、一旦上昇してから仕掛けたとしか…。」
ハルゼーに対し、カーニーは呻くように返した。
この大挙発艦時のドサクサに紛れたとは言え、何という腕だ!!
「ぐぬ…とにかく対処は全戦闘機を上げてからだ!肉眼含め索敵強化!!」
「イエッサー!」
「ヤンキーめ、また新型を作りおったか。」
スツーカJ改は、敵艦隊が半ばパニックに陥るなか、艦と艦の間を縫うように超低空で離脱していく。
「上空!友軍B 29群、300以上が通過!」
幕僚の一人の報告に、ハルゼーは鼻を鳴らす。
「フン!向こうの地上基地ごと、こちらだけで引き受けてお釣りが来るってのに。いらんことを…(まあ何や彼や言って180機のベアキャットをこちらから援護に送ってはいるが。)
それより、向こうの機動部隊…。」
「はっ、複数の潜水艦が、敵空母群の発艦機動を確認しておりますので、おそらく既に…。」
よしと頷くハルゼーに正対しながら、カーニーは思った。
(そうは言っても、Bー29とは言わんから基地航空隊の援護はもっと欲しかったんだよなぁ。)
艦隊だけでやれはするが、念には念を…で。
マリアナの南方からはビアク。
北方からはウェーキ中心で、決戦前から圧力をかけていれば、なんなら敵艦隊が動く間も無くマリアナ諸島を制圧できていたかもしれないのだ。
当然我が陸海軍は半年以上前から動いていた。
しかし、ウェーキは数百機単位での精強な敵陸海軍航空隊。
ビアク方面も、いざ確保し、自軍基地化しようとした矢先のTNT火薬の時限発火大爆発。
その後も潤沢な物資、装備人員をバックにしての、組織的ゲリラ攻撃に悩まされ、遅々として基地整備や周辺制圧が進まない。
装備食料が尽き、ケロリとした顔で連中が白旗を上げてきたのは一昨日の事である…。
(まぁ、この人なりに成算があり、いつもの如く猛牛ハルゼーを演じているのだろうが。)
そこまで考えた所で、長距離対空レーダーに敵機の反応ありとの報告が入る。
片道3時間弱の飛行か…。
欧州戦線の常識からするとイカれてるわね。
部下達も、私自身の疲労の影響も未知数…。
そう思いを巡らしながら、カリンは内股をもぞもぞさせていた。
仮に水分を控えても、出るものは出る。
仕方ない。一時無線切って…。
「そこ」を開けやすくした仕様の飛行服。
彼女専用の、間口の大きい瓶。
そこへ押しつけ、羞恥心か何かよくわからないものを相殺し、「解除」した。
じょろぼぼぼぼぼぼぼ。
かなりの割合で、7000mの高空ではすぐ蒸発してしまうとは言え、今現在ではかなりの量…。
バカ拓也、次こんな飛行させたら胸で窒息させてやる。
そして…米軍空母エンタープライズ甲板上。
「しめてかかれ!母艦の誘導に従い先ずは高度の優位を獲る!」
戦闘機隊総指揮官ヘリントン大佐の号令一下、各母艦から450機のF8Fベアキャットが発進準備にかかる。
発艦後恐らくは、20分後に接敵か…。
実戦初めての連中でも、我々少数のベテランがフォローすれば十分戦える。
まだ、レーダーの方で敵高度の確定に至っていないが…。まぁ時間の問題だろう。
直掩隊発進!!
3分の1程度が発艦した頃…。
あまりにも唐突で、誰も把握出来なかった。
現実のものとも思えず…。
高度2000から、黒い影が降ってきた。
その3秒後、1隻のミッドウェイ級空母の巨大な甲板全体を、大爆炎が包む。
「空母ワスプⅢ、甲板に被弾!損害不明!!」
(因みにワスプⅡはハワイ沖海戦で損傷回航中、日本の潜水艦に撃沈されている)
モンタナの戦闘指揮所は騒然とした。
「何ィ!?こちらのレーダーは飾りじゃないぞ!?」
「海面スレスレを這うように飛んで、我が方まで肉薄、一旦上昇してから仕掛けたとしか…。」
ハルゼーに対し、カーニーは呻くように返した。
この大挙発艦時のドサクサに紛れたとは言え、何という腕だ!!
「ぐぬ…とにかく対処は全戦闘機を上げてからだ!肉眼含め索敵強化!!」
「イエッサー!」
「ヤンキーめ、また新型を作りおったか。」
スツーカJ改は、敵艦隊が半ばパニックに陥るなか、艦と艦の間を縫うように超低空で離脱していく。
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